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順位
名前
TOTAL
1日目
6回戦
7回戦
8回戦
9回戦
10回戦
1
渋川 難波
202.1
133.4
15.6
5.4
68.9
-12.3
-8.9
2
仲林 圭
19.2
87.3
-27.3
55.2
22.9
-60.0
-58.9
3
金 太賢
-40.3
-193.1
86.8
-43.5
-2.7
57.9
54.3
4
木原 浩一
-185.0
-29.6
-76.1
-17.1
-90.1
14.4
13.5


 
【2日目観戦記】

1日目観戦記最終日観戦記

初日に1着・2着・2着・1着・3着と安定したスコアを出した渋川難波。
“魔神”渋川ここにありという麻雀で初タイトルに向けて好発進を決めた。
ネットでの好成績を背景に鳴り物入りで麻雀プロ入り。
戦術書も好調な売れ行きで、雀力の高さは折り紙付き。
あと10半荘の戦いは、渋川に走られてしまうと非常に厳しい戦いとなることは間違いない。

「渋川を止めろ」
共通した合い言葉で2日目の幕が開く。

★6回戦★(金→木原→渋川→仲林)

他者3人の思惑もどこ吹く風で、開局となる東1局は渋川のリーチからスタートする。
初の決定戦進出で緊張もあるはずだが、卓外から見たところは気負いも衒いもないように見える。
ごくごく普通の青年に見える渋川だが、麻雀は鋭利な刃物のように凶悪だ。
安牌に窮した金から吸い込まれるようにの高めのが放たれる。

渋川(西家)
 ロン ドラ 裏ドラ

他の3人は、2日目も開始数分で渋川を追う立場となってしまった。

東3局1本場 供託2000点
初日アガリが極端に少なかった木原にダブリーの手が入る。

木原(北家)
 第1ツモ ドラ

第1ツモが高めのであればダブリーに打って出たはずだが、ツモって来たのは安めの
木原はここからテンパイ取らずの打を選択し、手役を求めて旅に出る。
途中もう一度テンパイ取らずの後に一足早く渋川からリーチが入るも、即座に追いついてリーチする。

木原(北家)
 ツモ→ 打リーチ ドラ

狙い通り高めツモでハネ満まである大物手に育て上げるものの、すぐに渋川のアタリ牌を持ってきてしまう。

渋川(東家)
 ロン ドラ 裏ドラ

麻雀は抽選のゲームと公言する木原。
初日から抽選にことごとく外れ続けている。

東3局2本場

金(西家) 配牌
 ドラ

キツい配牌だ。チャンタに行くか。ホンイツかを叩いてどうにかなるか。

先制テンパイはやはり渋川。

渋川(東家)
 ドラ

愚形の役無し。ドラも残りの三元牌も1枚も見えていない。ダマテン。そんな中、を叩いてホンイツに向かっていた金。
仲林が勝負に行けると決断してをツモ切ると金がポン。一気に場に緊張感が走る。

仲林(南家)
 ドラ

金(西家)
 ポン ポン ドラ

を打てばペンの満貫テンパイに取れるが、金は打としてのテンパイ取らず。
トータルポイント的に打点が欲しいところなのであくまで役満を狙いにいく。
直後に引くのがわかっていたかのようにあっさりとを重ねて大三元のテンパイ。この時点では残り2枚とも山に眠っている。

を手放した仲林もリャンメンが埋まり勝負手になるもが見えていないためダマテンに構える。

仲林
 ツモ→打 ドラ

渋川は変わらずカンと苦しい形。
危ないところを引いたら即座に引く構えでのダマテン続行。

全員がの行方を探り合う中、木原がの見えないままドラドラのシャンポンリーチを敢行する。

木原(北家)
 ドラ

それにつられるように、ノベタンに変化させていた仲林もそれならばと追っかけリーチに踏み切る。

仲林(南家)
 ドラ

金の鳴きとペンチャン外しを見て大三元は当然警戒するところ。
木原は仲林の切りを見て、は仲林だと思ったのか?
仲林は木原のリーチを見ては木原だと思ったのか?

決定戦の初日も含め、木原は今回の対局では普段よりも押しの割合が高かった。
いつもなら淡々と引くような牌も押し、そしていつもより攻撃的な手組だった。

結局のところ、決定戦での戦い方というものを一番わかっているのは木原なのだろう。
麻雀は抽選のゲーム。常々木原が言っていることだ。難しいことじゃない。
おみくじを引いたら大吉か、大凶か。天に向けてコインを投げて、表か出るか裏が出るか。全ては神様の仰る通り。
上級者同士での麻雀対局で人がなんとかできることは驚く程少ないのかもしれない。

それでもリーグ戦であれば木原はこの手をリーチにいかなかっただろう。
年間を通した戦いではアベレージの勝負だ。ダマテンで構えながらひょっこりツモることを期待しながら、を引いたら冷静にオリる。

だが、決定戦は優勝以外意味がない。
人の記憶は残酷で、タイトルホルダーの名前は覚えていても決定戦の進出者なんて終わってみれば誰も覚えていないのだ。
ゼロか勝利か。2位も3位も4位も意味がない。どこかで一か八かの勝負に出ないと駄目なのだ。

殴り合いの結果は。

いつも通り淡々と打牌を重ねる木原が掘り当てたは、あたかも安牌であるかのように卓上に静かに置かれ、
金もそれが1000点の手であるかのように静かに発声する。

金(西家)
 ポン ポン ロン ドラ

木原が引いたおみくじは大凶―――。

ご神木に結びつけたいところだがもちろん会場には見当たらない。
そういえば若く見える木原ももう42歳の本厄だ。大三元は強烈な厄払いになっただろうか?

渋川を一気に捲った金は次局も2000・4000をツモアガり突き放す。

東4局
金(南家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

金がその後は安手の連続でゲームを回し、6万点超えの大トップを取る。
借金を80ポイント余り返済し、反撃の狼煙を上げた。

金+86.8 渋川+15.6 仲林▲27.3 木原▲76.1

(6回戦終了時)
渋川 +149.0
仲林 +60.0
木原 ▲105.7
金  ▲106.3

 

★7回戦★(仲林→木原→渋川→金)

また金が仕掛ける。6回戦と同様と3巡目で軽快に仕掛けて場に緊張が走る。

東1局 金(北家)
 ポン ポン ドラ

途中2000点のテンパイが入るも、ここでもテンパイは取らずホンイツに向かう。

人の親番で勝手なマネはさせないとばかりに、カンを鳴いてチーテンに取る仲林。
出アガリの期待薄なバックで仕掛けると、あっさりとツモ。

仲林(東家)
 チー ツモ ドラ

東1局1本場
今度はキッチリ暗刻にして4000オールのツモアガリ。今度は仲林が一気に抜ける。
仲林(東家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

東1局3本場
渋川が6巡目にこのリーチ。

渋川(西家)
 ドラ

微妙に異なっているが、待ちの部分は色こそ違えど前の半荘の東3局1本場と同一だ。

7回戦 東3局1本場
渋川(東家)
 ロン ドラ 裏ドラ

ツイてる親をさらりと流す、という考えは渋川にはない。リーチをするべき手は素直にリーチをする。

観戦記者として会場で観戦していた私は、この渋川のリーチの後立ち会いを努めていた五十嵐から声をかけられた。

「俺はあの手をリーチにいけない。高めが自分で2枚で分が悪い。役もあり取りあえずアガれる。自分なら手変わりを待ってからリーチするか選択する」

確かに一昔前ならこの手をリーチするのはあり得ない、という風潮だったような記憶がある。
定石も時代で変わる。
渋川の打牌が今風なのだろうか? 手変わり待ちは古いのか?

東4局
親番の金にチャンスが訪れる。

金(東家)
 ドラ

高め三色のリーチを入れたところ、渋川の長考が入る。
渋川(北家)
 ツモ ドラ

は金の現物。は1枚切れ。捌くなら単騎のダマテンか。
普段は淡々と打牌を繰り返す渋川がここで珍しく長考する。
として単騎のチートイツの追っかけリーチに踏み切る。

トータルラス目の金としてはそろそろ着順を考えたいところ。
決定戦始まってから未だラス無しの渋川にラスを押しつける絶好の直撃チャンス。渋川の追っかけは願ったり叶ったり。

結果は金がをつかんで放銃となってしまう。裏が乗らなかったのがせめてもの救いか。

トップは前半の貯金を守った仲林。ついに渋川の背中が見えるところまでポイントを詰めることに成功した。

仲林+55.2 渋川+5.4 木原▲17.1 金▲43.5

(7回戦終了時)
渋川 +154.4
仲林 +115.2
木原 ▲122.8
金  ▲149.8

 

★8回戦★(渋川→木原→仲林→金)

8回戦になっても渋川が主導権を握る。魔神だけあって疲れ知らずだ。
叩かれてもすぐ蘇り、放っておくと暴れ出す。8回戦も当たり前のように先制リーチ。

渋川(東家)
 ドラ

なんとか渋川を止めたい三者。ここで渋川からの直撃が欲しい仲林が、追っかけリーチを入れる。
初日から手が届きそうで届かない前を走る渋川。とうとう目の前にみえた魔神の独走を止めたい。待ちも得点も充分。勝負。

仲林(西家)
 ドラ

2軒リーチを受けて手にならない木原と金が静観する中、リーチ者2人がお互いのアタリ牌を掴まないまま場が進む。
これは、流局かという空気が会場に流れたところで渋川の最終ツモが

ここも駄目かと弛緩気味だった仲林が、自分の当たり牌が置かれた瞬間、光速で倒牌する。

捕まえた―――。

かすかに浮かぶ渋川の眉間の皺が、会場の空気を変える。
三者がめくり合いを挑んでも、なかなか他家の当たり牌を掴まなかった渋川がついに捕まった。

東4局1本場
金が4巡目と早々にリーチ。早くて、高い。
待ちはカンと悪いので、役もあり打点も充分なのでダマテンにしそうなところだが、金なら当然のリーチ。
6000オールを狙いにいく。金の怖いところだ。

金(東家)
 ドラ

木原に安牌がない。ソーズが高く、前巡が通って、3枚見えたのをを頼りに2枚あるでズドン。裏も乗って18000と手痛い放銃になる。

東4局2本場
金はトップも見えたが渋川との順位も考えたいところ。親番で理想的な展開になる。

金(東家)
 ツモ ドラ

絶好のドラ引きで、もちろんリーチ。
ツモって一気にトップに立って、後は渋川をどう料理するか――と、同巡渋川も追っかけリーチに来る。
ドラを暗刻にしての金。他の手牌は恐るるに足らずかと思っただろうが、渋川も純チャン三色と見事なリーチ。

渋川(南家)
 ドラ

金としては直撃を狙いたい…と思っただろうが、一発でをツモって6000オール。

これで金56400点、仲林34300点、渋川10300点、木原▲1000点と金と仲林の2人の一騎打ちになるかと思われたが、黙っていられない魔神、渋川難波。

東4局3本場
渋川(南家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

あっさり3000・6000をツモって追撃体制を整える。

南1局
前局親カブリはしたもののまだ5万点オーバーの金。渋川からの直撃が欲しいところでまたチャンス手が入る。
を叩いて10巡目に-の理想的なテンパイ。

金(北家)
 ポン ドラ

金がテンパった同巡に、親の渋川からリーチが入る。

渋川(東家)
 ドラ 裏ドラ

高めのをツモれば6000オールだが、この時点でカラテン。安めのも各家の手の中にあり、渋川のアガリ牌は1枚のみ。
圧倒的有利な金。どんな牌でも押す構えの金が最後のを掴んでしまい渋川勝利。2900のアガリ。

南1局1本場
アガリ優先の打風かと思われがちな渋川だが、この手で小考の後、打を選択する。

渋川(東家)
 打 ドラ

狙い通りカンを引いてリーチ。

木原(南家)
 ツモ ドラ

かなり押し気味に進めていた木原は、入り方によってはが出るかと思われたが、渋川の高めのを引いてリーチ。
すぐに引いたのは、こちらも渋川の当たり牌である4枚目の。もちろん暗カン。これで渋川のアガリ牌はの1枚のみ。
木原としては当面の相手である渋川から直撃したいところだったが、渋川が力強く最後のをツモ。

渋川(東家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

なんと45000点以上差があった金がとうとう渋川に捲くられてしまう。

南1局2本場でもトイトイドラ2の4000オールをツモアガり、一気にダントツに。

渋川(東家)
 ポン ポン ツモ ドラ

危ないところもあったものの、終わってみれば渋川の圧勝。さらにポイントを伸ばし仲林の追撃はまたも届かなかった。

渋川+68.9 仲林+22.9 金▲2.7 木原▲90.1

(8回戦終了時)
渋川 +223.3
仲林 +138.1
金  ▲152.5
木原 ▲212.9

 

★9回戦★(金→仲林→木原→渋川)

ここまで何かの呪いのように手牌と展開に恵まれない木原が目を覚ます。仲林の先制リーチを受けて

東3局
木原(東家)
 ロン(一発) ドラ 裏ドラ

12000をアガり、トップ目に立つ。
ここから反撃開始といきたいところだが、今決定戦では今ひとつ二の矢が継げない木原。
攻撃重視で押すと必ずといっていいほど放銃に繋がってしまう。
押すべきところは押して、引くべきところは引いているように見えるのだが、いい結果に繋がっていかない。

ところどころで木原の言う「抽選」にまではたどり着けるのだが、どうやっても「アタリ」の文字が出てこない。
夏祭りのインチキ屋台のように、木原が引くクジだけはアタリくじが排除されているのかもしれない。厄年の辛いところだ。

失点を最小限に抑えた木原にラス前に僥倖が訪れる。
軽く連荘、と思えばおっと裏3、4000オール。

南3局1本場
木原(東家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

再びトップ目に立ったと思えば1本場でリーチに追っかけを食らって、一発放銃。
8000直撃であっさり金に捲られる。

木原(東家)
 ドラ

金(西家)
 ロン(一発) ドラ 裏ドラ


オーラスは金にそのまま軽くアガられ終了。木原はどうしてもトップがとれない。

金+57.9 木原+14.4 渋川▲12.3 仲林▲60.0

(9回戦終了時)
渋川 +211.0
仲林 +78.1
金  ▲94.6
木原▲185.0

 

★10回戦★(渋川→木原→仲林→金)

いよいよトータルポイントを考えなければならない局面に入る10回戦。仲林が厳しい戦いを強いられる。

配牌で2トイツのところからほぼ淀みなく5巡目でチートイツドラ2のテンパイを入れる。

東4局
仲林(北家)
 ドラ

この時点で木原38400、渋川26200、仲林21700、金13700。
仲林からすれば木原にトップを取られるのは一向に構わない。できることなら金に這い上がってきてもらい渋川を捲って欲しい。
金から出たら最悪とダマテンに構える。

打て、渋川―――。

この時点で金には暗刻。仲林が待ちを変えない限り渋川から当たり牌が出ることはない。
仲林の願いが通じたのか、金にテンパイが入り迷わずリーチ。

途中、仲林は一枚切れの単騎に変更するも、金のツモアガリ。

金(東家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

この6000オールでトップ目木原、2着目金と並びはいい。

あとは仲林が渋川を捲れば最高というところまでこぎ着ける。

南4局
迎えたオーラス、この時点でトップ木原33500、金34300、渋川32100の3者が遠く離れたトップ争いの中、仲林は100点持ちにまで削られてしまった。点数的に自分が上の着順を目指すのは厳しい仲林だが、皮肉なことに好配牌とツモに恵まれる。

仲林(北家)
 ドラ

を落としてメンタンピンに向かえば三色を絡めてハネ満、倍満まで臨める手牌だ。普通ならもちろんそうする。
だがここで最悪なのは渋川にトップを取られてしまうことだ。
大事なのはこのままの着順の並びで終わることだ。
仲林はこの手から5巡目で上家から出た1枚目のを迷うことなく鳴きを入れてテンパイを組む。
軽い1000点の仕掛けだが、アガり切れば値千金の1000点。

仲林の狙い通り、イーシャンテンまで育っていた渋川からが出て、渋川を3着のまま終了させることに成功した。

仲林(北家)
 チー ロン ドラ

金+54.3 木原+13.5 渋川▲8.9 仲林▲58.9

(10回戦終了時)
渋川 +202.1
仲林 +19.2
金  ▲40.3
木原 ▲185.0

終わってみれば渋川は今日もノーラス。
魔神の守備の渋川を崩すのは容易なことではないだろうが、他の3人は着順の並びを作ることには長けている。
渋川包囲網は今日よりも更に強まる。渋川をこのままラクには勝たせるはずはない。

最終日は、麻雀というゲームの醍醐味を存分に味わえる闘いになりそうだ。

(文:藤田 拓郎)

1日目観戦記最終日観戦記

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