順位 |
名前 |
TOTAL |
1日目 |
6回戦 |
7回戦 |
8回戦
|
9回戦 |
10回戦
|
1
|
中林 啓 |
278.3 |
48.2 |
56.5 |
12.0 |
77.7
|
19.1 |
64.8
|
2
|
内海 元 |
-17.9 |
127.7 |
-43.5 |
-27.5 |
1.1
|
-61.0 |
-14.7
|
3
|
木原 浩一 |
-122.7 |
-78.4 |
-19.9 |
86.4 |
-23.0
|
-17.9 |
-69.9
|
4
|
二見 大輔 |
-137.7 |
-97.5 |
6.9 |
-70.9 |
-55.8
|
59.8 |
19.8
|
【2日目観戦記】
|1日目観戦記|最終日観戦記|
早いもので協会に入ってから1年近く過ぎた。
自身はこの雀竜をストレートでA級まで勝ち上がり、
「小倉 孝の再来か?」と一部で言われたものの結果はあえなく降級。
偉大な先輩にはまだまだ及ばなかった。
決定戦に残った4人は当然皆格上。
まだまだ未熟な自分が観戦記なぞ書いていいものかと自答するが、折角書くからにはいいものを書きたい。
さて自分語りはこのぐらいにして、早速2日目の模様を見て行こう。
5回戦終了時のトータルは以下の通り
内海 +127.7
中林 +48.2
木原 ▲78.4
二見 ▲97.5
トータル15回戦あることを考えればまだまだ誰にでもチャンスがある。
★6回戦★(中林→木原→二見→内海) 2日目最初の発声は、東1局2巡目、内海の「ポン」であった。
北家・内海 2巡目
ポン ドラ
何度か一緒に打ったことがあるが、内海はかなり仕掛けを多用するタイプである。ドラの重なりもあるし内海なら当然の仕掛けだろう。
そしてそれに呼応するように中林も仕掛け返す。
東家・中林 3巡目
ドラ
この形からをチーして打。かなり苦しい形が残るが、親なので相手を警戒させながらテンパイに向かうということだろう。
中林は攻守のバランスが非常に優れており、あまりベタオリはせず常に和了や流局テンパイを見るスタイルだ。
親で3巡目であることを考えると鳴かない選択肢はないのだろう。
結果は内海が中林から3900の出和了。
北家・内海
ロン ポン ポン ドラ
ちなみにその放銃時の中林の手牌がこれ。
チー チー ドラ
……中林といえど、たまにはこんなこともあるだろう。
東2局は二見が木原からピンフドラ1の2000点をさっくりと和了る。
南家・二見
ロン ドラ
一発裏ドラ有りの麻雀はピンフドラ1は即リーチというのはもはや定説であろうが、二見はそんな常識には染まらない。
じっくり打点を作りに来るのだ。はまると大爆発するタイプであろう。
そして次局二見の手がこうなった。
東家・二見 4巡目
ツモ ドラ
ドラもないリーチのみのカン。手役派の二見は当然切りのテンパイ取らず……ではなく、を切って横に曲げた。
親の時はしっかりと足を止めるためにもリーチ。この辺りのバランスはさすがである。
このリーチには誰も向かえず、目論見通り一人旅となりのツモ和了。裏も乗って嬉しい2600オールとなった。
1本場は、独走はさせぬと中林が気合いのリーチからの一発ツモ。
西家・中林
ツモ ドラ 裏ドラ
安めだが一発と裏で満貫に。これで一気に2着目まで浮上した。
東4局は再び二見のツモ和了。
北家・二見
ツモ ドラ
ドラ無しリーチ無しで800・1600であるが正直これは勿体ないかなと思う。
というのはがすでに場に4枚見えており、中林がソーズの染めの仕掛けをしている。
さらにも2枚ずつ二見の目から見えているのでは相当使いづらい。
このよりいい待ちは無さそうなのでトップ目とはいえ微差なのでリーチをしても良かったのではないか。
これについては賛否両論あるだろうが、少し弱気になったように思う。
1周して南1局再び中林の親番。11巡目中林がテンパイ。
東家・中林 11巡目
ツモ ドラ
一手変わりでドラ含みの234の三色になる。切りダマがマジョリティであろう。
だが中林の選択は切りリーチ。
手変わりの可能性より、リーチで相手の足を止めつつ現状の打点を上げることを選択したのだ。
このリーチを受け二見も仕掛ける。
西家・二見
チー ドラ
打点こそ低いがも安牌であり、2着目の中林の親リーチをなんとかかわしにいこうとする。
そして15巡目、二見が切ったを見て内海の手が止まる。
北家・内海
ドラ
現状中林への現物はゼロ。スジはというとそれもゼロ。
ならいっその事鳴いての対子落としをしてテンパイを目指そうと考えているようだ。
これは非常に難しいところだろう。
15巡目であることを考えればテンパイしない可能性の方がはるかに高い。
そのために1回安牌を引くチャンスを捨てる価値があるかどうか。
悩んだ末、内海の口から「チー」の声が発せられた。
そして勝負。内海の覚悟が感じられる鳴きであった。
だが二見も内海も張れず結果は中林の1人テンパイとなった。
さて、ここまでご覧になった皆さん1つお気づきだろうか?
そう、6局消化した時点でまだ一度しか名前の出てきていない選手がいるのだ。(しかもその一度は放銃者として)
嫌いだから出していないわけではない。これまで一度も発声もせずテンパイもせずと書こうにも書けないのだ。
その男の名は木原 浩一。
彼をよく知る人物は彼を評してこう言った。
『まるで乾いた砂漠のようだ』
砂漠ですらかなり乾いているのに、乾いた砂漠。尋常ではない。
筆者自身もどういうことか分からなかったが、木原と初めて打ったとき理解した。
一定のリズムで淡々と打ち、表情も常にポーカーフェイス。確かにこれは乾いた砂漠だ、と。
しかしこれは決して木原をバカにしているわけではない。麻雀においてこれがどれだけ長所であるか。
しかも麻雀の内容は攻めるべきとこは攻め、オリるべきところはオリと文句のつけようはない。
本人自身手が入らないこの状況にも表には何のいらだちも表さない。
さて話を戻して南1局1本場、中林の親番である。ここで先手を取ったのは内海であった。
北家・内海 9巡目
ドラ
目下3着目、当然切りリーチといく。
そのを親の中林がチーしてこの形。
東家・中林
チー ドラ
無スジのを切り飛ばして勝負に行く。2人の一騎打ちかと思ったが、
ここで『乾いた砂漠』木原がついに中林の切ったに「チー」と決定戦2日目初の発声をする。
そして2人に無スジのを勝負してこの形。
南家・木原
チー ドラ
待ちは悪いが満貫である。その同巡、中林も仕掛けてテンパイを入れる。
東家・中林
チー チー ドラ
このめくりあい、制したのは中林であった。を力強くツモりあげて1000は1100オール。見どころのある1局であった。
続く2本場も中林の勢いは衰えずあっさり4巡目リーチ。
東家・中林
ドラ
その同巡、目下トップ争い中の二見もチーしてテンパイを入れを勝負。
西家・二見
チー ドラ
トップを取るためにはここで引くわけにはいかないだろう。このめくりあい、勝ったのはまたも中林。
東家・中林
リーチツモ ドラ 裏ドラ
裏ドラもしっかり乗せ4000は4200オール。これで中林の持ち点は45900となり一気に頭一つ抜け出した。
3本場も中林は役牌を積極的に仕掛けていき、内海も負けじと仕掛け返す。
そして5巡目、中林は木原から出たをここからポンして打。
東家・中林
ポン ドラ
これはさすがに疑問手だ。
中林はもう十分な点棒を持っている。そこまで必死に1500を和了に行く局面でもない。トイトイにするにもかなり厳しい。
大丈夫かと思っていると、さらに内海から出たをチーして1500のテンパイを果たす。
東家・中林 9巡目
チー ポン ポン ドラ
テンパイはしたがリーチが来たらどうするつもりだろうか。そう懸念していると、木原からリーチが入ってしまう。
木原の捨て牌はこうである。
(リーチ)
中林が一発目に引いたのは。が一枚見えておりほぼ安牌なのでの対子落としを始める。
その後14巡目、手牌はこうなった。
東家・中林
チー ポン ポン ドラ
手の内は全て無スジ。地獄絵図の完成である。
安牌を願っていただろうがそこに引いて来たのは。
が場に3枚見えており、木原もリーチ前にと切っている。
何の保証もないピンズよりはとをツモ切る。
すると木原が待ってましたとばかりに「ロン」
南家・木原
ロン ドラ 裏ドラ
裏ドラは乗らないが8000は8900の嬉しい初和了。対して中林はダントツから一気に危うくなってしまう。
この局に関してはのちに本人もやり過ぎだったと反省の弁を述べていた。
さて木原にも待望の初和了が出て迎えた南2局木原の親番。
前局を考えると木原の爆発か?と思ったのもつかの間。ここでも一番早いのはなんと中林だった。
わずか5巡目にしてリーチの発声。
北家・中林
ドラ
リーチのみだがテンパネは確定。当然リーチの一手だろう。このリーチを受け親番の木原、一発でを掴んでしまう。
東家・木原
ツモ ドラ
中林の捨て牌はこうである。
(リーチ)
3着目の親番で安牌は1枚。これはさすがには止まらないなと思ったのだが、木原は小考の後に打とした。
何のヒントも無いリーチに完全不要な当たり牌を止め、必要な無スジを切り出したのだ。
これには驚いた。そしてツモ切りを2巡はさみ引いて来たのは。
東家・木原
ツモ ドラ
を使い切ることが出来る形となり打。
これはもう筆者にも分かる。流れというものがあるなら木原の勝ちだ。
その数巡後、「ツモ」の声が響き渡る。
北家・中林
リーチツモ ドラ 裏ドラ
裏は乗らず700・1300の和了。現実は非情である。
南3局も中林がしっかりと1000点を和了りオーラスを迎える。
点棒状況は以下のようになっている。
中林 40700
木原 18800
二見 26900
内海(親) 13600
中林がトップ目で内海がラス目。中林にとっては理想の並びだ。
二見は是が非でもハネ満をツモってトップになりたいところだろう。
ここで内海が意地を見せる。
をポンしてわずか5巡目に中林から出和了。
東家・内海
ロン ポン ドラ
2900だがトップから直撃。まだまだ分からない。
続く1本場。3着目の木原
西家・木原 4巡目
ドラ
この形から中林のをチーして打。かなり強引な仕掛けだが、
現状トータルトップの内海をラスのままで終わらせようという意思が伝わってくる。
そしてもう一つ、木原の上家は中林なのだ。これがどういうことか分かるだろうか?
木原はその後すぐ内海からをポンして打。その時中林の手はこうだった。
南家・中林
ツモ ドラ
ここから打。
そう、現状トップ目の中林としても木原に和了ってもらうのは願ったり叶ったりなのである。
当然のアシスト、差し込み狙いなのだ。そしてこのは空振りだったものの、次巡を切りそれを木原がポンしてこのテンパイ。
西家・木原
ポン ポン チー ドラ
かなり苦しい形だが、ここでまたも中林。一瞬でを差し込み1000は1300で終局。
針の穴を通す鳴かせと差し込みでトップをものにした。
ちなみにこの時内海の手は以下のようなものだった。
東家・内海
ドラ
1巡差し遅れるだけでとんでもないことになっていたかもしれない。まさにプロの技であろう。
中林 +56.5 二見 +6.9 木原 ▲19.9 内海 ▲43.5
(6回戦終了時)
中林 +104.7
内海 +84.2
二見 ▲90.6
木原 ▲98.3
★7回戦★(二見→木原→内海→中林) 早速首位が入れ替わったがまだまだ先は長い。
気にするところではないだろう。
東1局、いきなり木原の手にお化けが入る。
南家・木原
ドラ
これがなんとまだ2巡目である。誰が見ても四暗刻が思い浮かぶだろう。しかしこの手が全く進まない。
8巡目になったにもかかわらず手はこうである。
南家・木原
ドラ
まるで間違い探しだ。しかも同巡、ここに2枚目のが放たれてしまう。
木原はそれを苦渋の表情で「ポン」の発声で打。やむなしと言ったところか。
木原が単騎に受け替えたところで親の二見がリーチ。
東家・二見・13巡目
ドラ
をすでに捨てているためフリテンであるが、足止めを狙ったのだろう。
このリーチを受けて一発目の木原のツモが直前まで当たり牌であった。木原にしては珍しく力の入ったツモ切り。
は無スジなのでオリる手もあったが、満貫あるため気合いの勝負。
このめくりあいは二見がを掴んで決着。トータルラスの木原が幸先よく先制する。
東2局も木原が親番で先制リーチをかけツモ和了。
東家・木原 14巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
この4000オールで早くもダントツとなる。砂漠にオアシスとはまさにこのことか。
続く1本場、先制したのは内海。
南家・内海 7巡目
ドラ
ドラそばのカンで力強くリーチ。これに対し全員諦めずうまく鳴きを駆使し回りながら攻めたのだが、それが裏目。
回りまわってきた海底で内海が力強く「ツモ」の発声。
南家・内海
リーチツモ ドラ 裏ドラ
大きな大きな2100・4100となり木原を追う一番手に名乗りを上げる。
この親番で勢いよくトップまで駆け上がりたい内海だったがここは中林がさっくりと二見から2600を出和了。
東4局、先制テンパイは中林。
東家・中林 8巡目
ドラ
ここから上家の内海のをチー。少しもったいない気もするが内海のポンを見ての仕掛けだろう。
その2巡後木原もテンパイを入れる。
西家・木原 10巡目
ツモ ドラ
理想的な入り目で二盃口のテンパイ。
しかし木原の捨て牌を見ると3巡目にが……。どうしてこうなった。
木原の3巡目はこの形
西家・木原 3巡目
ツモ ドラ
三色、ドラ受けを考えるとが一番不要。これは仕方ないだろう。
そして木原は二盃口を断念し打ダマ。
捨て牌にがあるためリーチかと思ったが慎重にダマを選択……と思ったら次巡力強くツモ切りリーチ!
筆者には分かった。あえてツモ切りリーチをすることによって、
「のスジのなんていい待ちなら即リーチするに決まってるだろ?だからは通るんだよほらほら」
というメッセージを発しているのだ、と。
さすが百戦錬磨の木原である。汚い。
そのリーチを受けた中林。
さすがに1500ではリーチに向かえないかと思いきや、リーチ後に掴んだ、、を全てぶったぎって真っ向勝負である。
筆者には分かった。
「ツモ切りリーチってことはどうせ苦しい待ちですよね?そんなのにオリるわけないじゃないですかほらほら」
と思っているのだ、と。
そして結果は木原がを掴み1500の放銃となる。
東家・中林
ロン チー ドラ
策士策に溺れるを目の当たりにした。
続く1本場、怒りの木原(推定)が早くも2副露し場に緊張が走る。
西家・木原 4巡目
ポン ポン ドラ
ここから打。さすがに満貫丸見えなのでホンイツへと走る。
そして木原が張らないまま7巡目、中林にテンパイが入る。
東家・中林 7巡目
ツモ ドラ
ピンズの染めがいる状況、中林の選択は切りリーチであった。木原の手を止めるためにリーチは必須。
が中林の目から4枚見えているためが使いづらいのでタンヤオよりそちらをとったのだろう。
このリーチを受けて木原はオリたが、二見に大きなテンパイが入る。
南家・二見
ドラ
が現物のためダマに構えるが、残りツモ一回で意を決してを空切りリーチ!
は山に1枚、は山に4枚だったが和了ったのは中林。
東家・中林
リーチツモ ドラ 裏ドラ
裏は乗らなかったが2着浮上となる大きな和了だ。
南1局、木原の配牌がこう。
南家・木原
ドラ
ひどいものである。それが終わってみたらこう
南家・木原
リーチツモ ドラ 裏ドラ
リーチ、ツモ、三暗刻、白、裏3。4000・8000。
ひどいものである。
とにかくこの和了で木原が完全に1人抜け出す格好となる。
これだけ稼げばもういいかとなりがちであるが、木原は貪欲だった。次局も
東家・木原 13巡目
ドラ
ここからをポン。形式テンパイでの連荘を目論んでいる。骨までしゃぶりつくす気である。
次巡、思惑通りツモでテンパイを果たす。しかしテンパイを入れているのは木原だけではなかった。
北家・二見
ポン ドラ
木原よりも先に二見がこの形でテンパイしている。すでに箱下の二見、これ以上傷を広げまいと局を流す構えだ。
そして14巡目、遅ればせながら内海もテンパイを入れた。
南家・内海
ポン ポン ドラ
そして16巡目、ついに中林にもテンパイが入り元気よくリーチの発声。これで4人テンパイとなる。(ただし1人形式テンパイ)
西家・中林
ドラ
このリーチを受け木原は一発でを掴む。さすがに打てないと今通ったを切り回る。
すると同巡、内海も二見の当たりであるを掴み、これまた苦渋の表情で現物の打。
さらに二見も無スジのを掴み現物を抜いてオリ。
これで中林の1人テンパイかと思いきや、まだドラマはあった。
内海が次巡引いて来た牌は
南家・内海
ツモ ポン ポン ドラ
この1巡でが通ったわけでもなく、安牌を切ってオリかと思いきやここで打勝負。
二見がのテンパイを外した瞬間であった。そして二見も現物のを合わせ打つとそれを木原がチー。
東家・木原
ポン ドラ
ここからを鳴き中スジのを切りテンパイし、そのまま流局し3人テンパイ。
当たり牌を止めるも諦めずテンパイを取る。
見ごたえのある1局であった。
続く1本場は必死のテンパイを取った木原が3人テンパイを制し1300は1400オールの和了。
これで木原の持ち点は64700まで膨れ上がる。
さらに木原は2本場でも6巡目に先制リーチ。
東家・木原
ドラ
ブラフ気味のリーチで他家をおろしにかかる。しかしここは中林にも手が入っており真っ向勝負となる。
西家・中林
ポン ドラ
お互い苦しい待ち対決。
これを制したのは中林。力強くをツモりあげ2200・4200の和了。2着になるための大きな大きな和了となった。
南3局は木原があっさり500・1000をツモりオーラス。
4者の点棒状況はこうなっている。
二見 ▲10900
木原 61500
内海 17400
中林(親) 32000 木原も親が中林である以上捲られる可能性はあるので和了にくるだろう。
内海はハネ満ツモ、中林から満貫直撃で2着になれる。二見は少しでも負債を減らすのみ。
ここでも木原の手が早く、10巡目に以下の形からを仕掛けてテンパイを入れる。
西家・木原
ドラ
が2枚場に切れており、とは両方とも場に見えていない。
当然打かと思いきや木原の選択は打。2枚切れのを狙いにいった。
すると同巡、内海に大物手が入る。
北家・内海
ツモ ドラ
ここまで育てば当然ドラのを勝負してリーチといく。
シャボ待ちを選択していれば満貫の和了だった木原。何を思って見送っただろうか。
しかもはなんと4枚全て山に生きており、は二見が1枚使っており残り1枚。
これはもう内海の四暗刻が炸裂だと筆者は思ったものである。
しかし麻雀とは非情なもの。どんなに和了を逃そうと、どれだけ残り枚数に差があろうと、和了れるときは和了れるのだ。
内海がを静かに河において、7回戦は終了となった。
木原 +86.4 中林 +12.0 内海 ▲27.5 二見
▲70.9
(7回戦終了時)
中林 +116.7
内海 +56.7
木原 ▲11.9
二見 ▲161.5
★8回戦★(二見→中林→内海→木原)
この8回戦は中林の頭ハネからスタートした。
内海からすると相当悔しいであろうが、この半荘はトータルトップの中林のリードから始まった。
そして続く東2局も海底で中林が力強くツモの声を上げる。
東家・中林
ツモ チー ドラ
テンパイを崩してを止めた二見の努力むなしく4000オール。
たった2局で43000まで走った中林。3者の心境やいかに。
続く1本場、6巡目にして中林の手牌がおかしい。
東家・中林
ドラ
三色確定ののダマテン。なら出ても18000点。ツモならどちらでも6000オール。
前局といい神のご加護を受け過ぎである。
今にも和了れそうなだが中々出てこない。
そうこうしているうちに、二見もテンパイを入れる。
北家・二見
ツモ ドラ
絶好の入り目である。がもう枯れているとはいえ高めしかないと思えば悪くない。トータルから考えてもリーチの一手だろう。
しかしここで二見はダマを選択。間もなく内海からが出て2000は2300の和了。
リーチと言ってればこのは出なかっただろう。結果的に中林の和了を潰すファインプレーとなった。
東3局は二見と内海の2人テンパイ。内海はいまいち乗り切れない。
続く1本場は中林の技が光る。
北家・中林 7巡目
ツモ ドラ
選択肢はいろいろあるが、中林はここで切りダマを選択。そして次巡ツモでこれを手に入れ、手の内から切りリーチ。
宣言牌にがあればは警戒されるが、宣言前に切っていれば警戒は薄まる。それを狙ったのだ。
それに飛び込んだのは二見。イーシャンテンから引いて来たをツモ切るとこれが一発放銃。これで中林がダントツとなる。
東4局、ここで木原が意地を見せる。順当に手を進め11巡目に先制リーチ。
東家・木原
ドラ
二見が追いかけるも、をつかんでしまい放銃。裏も乗り12000となった。
二見はリーチはかかるが和了れなく、かなり苦しい状態である。
続く1本場は木原が好形リーチをかけるも和了れず内海との2人テンパイで流局。
2本場、先手を取ったのは内海。
北家・内海 5巡目
ドラ
が場1なため一瞬ダマにしたがすぐさまツモ切りリーチ。これに8巡目、二見が追いつく。
南家・二見
ドラ
この時点では山4枚、も山に2枚生きている。さすがに二見の勝ちかと思ったがツモの声は内海であった。
北家・内海
リーチツモ ドラ 裏ドラ
ラス牌のを力強くツモりあげた。二見はまたもリーチ負け。これで二見は箱を割ってしまう。
南1局、ここでは二見が意地を見せ2局連続和了。しかし肝心の打点は1500と2000は2300。
どうにも乗り切れないまま2本場は中林がうまく回って1000は1600の和了。
続く親番でも中林は5巡目に何よりもおいしいを引きテンパイ。
東家・中林
ツモ ドラ
ドラドラもあり当然リーチ。そしてあっさりツモ和了。
裏ドラは乗らないものの4000オールとなり、これがこの半荘を決める和了となった。
残りの局も危なげなく消化し中林トップ。内海はなんとか2着に滑り込んだ。
中林 +77.7 内海 +1.1 木原 ▲23.0 二見 ▲55.8
(8回戦終了時)
中林 +194.4
内海 +57.8
木原 ▲34.9
二見 ▲217.3
★9回戦★(二見→木原→内海→中林)
いよいよ折り返しを過ぎ中林が抜け出した。もう中林にトップを取らせるわけにはいかないだろう。
しかし東1局、先制したのはまたしても中林。
北家・中林 4巡目
ツモ ドラ
まだ4巡目。どうするかと思ったがノータイムでを切ってリーチ。を拾いにいったのだろう。
そして一発目のツモが望外の。裏は乗らないが1000・2000の和了となった。
東2局、先制リーチは二見。
北家・二見
ドラ
それにしても二見は本当に三色率が高い。手を作っている証拠だろう。このは現時点で山に1枚しかなく苦しい。
そこに中林が追いかける。
西家・中林
ツモ ドラ
絶好のを入れての一通確定リーチ。またしても二見の放銃か……そう思ったのもつかの間。
中林がすぐにを掴んで放銃。裏は乗らないが8000の和了。
リーチ対決で全く勝てていなかった二見がついに勝利。
そして続く東3局も内海から満貫の出和了。これで二見がダントツとなった。
この局に関してのちに内海は言う。
「さすがにやりすぎたわ……」
東4局、ここでも中林の技が光る。
東家・中林 5巡目
ドラ
ここからチーして打である。
筆者には分かった。
「ドラですよ?親ですよ?トータルトップ目ですよ?皆この仕掛け怖いですよね?色々切りづらいですよね?」
と圧をかけているのだ、と。
事実この仕掛けにより好形だった内海にが流れ、内海の手を止めている。
中林は終盤にもとどめの暗カンを入れ、誰も来させなくしてからの全員ノーテンで流局。
あのひどい手での親番を全く失点せずに終えた。これは地味ながらもファインプレーであろう。
続く南1局、南2局は共に木原1人テンパイで流局。場が少し重くなってきた。
南2局3本場、木原に大物手が入る。
東家・木原 6巡目
ツモ ドラ
をそっと切ってダマ。出ても18000である。願うは中林からの直撃である。
そしてその2巡後、木原はを持ってくる。普通ならツモ切りであろう。
しかし中林の仕掛けがこう。
西家・中林
チー ポン ドラ
捨て牌もピンズソーズの真ん中が切られておりマンズの染が匂う。
そして木原の捨て牌がこう。
なんともは狙い目である。
木原は小考し、切りリーチへと踏み切った。
この時中林はテンパイ。
西家・中林
チー ポン ドラ
中林がオリれば木原の狙い通りだったのだが、ここで中林は腹をくくって引いて来た危険牌を全て切っていったのだ。
そして木原にとって運がなかったのは完全にオリている二見の所にが2枚いってしまったということだ。これでは出ようにも出ない。
そして結果は中林がをツモって1300・2600は1600・2900の和了。リーチ棒もついて一気に木原まで逆転し2着目まできた。
ここまで苦しい展開のラス目の内海の最後の親番。ここで内海に手が入った。
東家・内海 6巡目
ツモ ドラ
点棒の無い親番。当然ドラの受けを残し待ちでリーチといった。
しかし悲しいことにこのはリーチ時点ですでに山に1枚も残っていない。
ならば1人テンパイが希望なのだがここに立ちふさがったのが中林。
南家・中林 9巡目
ツモ ドラ
2着目ながらも気合いを入れてを叩っ切りリーチといった。内海の勝ちはもうない。願うは流局のみ。
しかしそんな願いを粉々に打ち砕くかのごとく、中林の一発目のツモ牌は。
裏ドラは乗らないものの3000・6000。なんとたった2局で中林が一気にトップの座を奪い取った。
オーラスを迎えて点棒状況は以下のようになっている。
二見 33400
木原 22100
内海 5400
中林(親) 39100
中林はノーテンでもトップなため無理はしないだろう。
二見は1000・2000ツモ和了か6400出和了。直撃なら3200以上で可。
木原は跳満ツモ。
内海は倍満ツモ和了もしくは、中林から6400以上直撃してトップを落とすことが必要だ。
言うまでもなく一番条件に近いのは二見。その二見の配牌がこう。
南家・二見
ドラ
ダブさえ引ければなんとかなるか、という感じだが重い。
そしてその後誰も仕掛けないまま巡目は進み16巡目。中林はもう完全にオリており、流局ノーテンの構え。
このまま中林トップで終わるという雰囲気の中、内海が場に放ったにロンの声がかかる。
声の主は二見
南家・二見 16巡目
ロン ドラ
丁寧に仕上げた七対子ドラドラで6400。中林を捲って嬉しい本日初トップとなった。
中林有利には変わりないがこれでまだまだ分からなくなった。
二見 +59.8 中林 +19.1 木原 ▲17.9 内海 ▲61.0
(9回戦終了時)
中林 +213.5
内海 ▲3.2
木原 ▲52.8
二見 ▲157.5
★10回戦★(木原→二見→内海→中林)
いよいよ本日最終半荘である。ついに中林の1人浮きとなってしまったが、まだ6回戦も残っている。まだまだ何が起こるか分からない。
東1局は二見がピンフのみを和了り静かな立ち上がり。
続く東2局の中林。
西家・中林 8巡目
ツモ→打 ドラ
安めでも6400あり、ここは慎重にダマ。すると一瞬で親の二見、子の内海から同巡にリーチがかかる。
二見の捨て牌
(リーチ)
内海の捨て牌
(リーチ)
そこに中林が一発で持って来たのは。2人に無スジである。ここで中林、長考に入る。
ここまでの中林なら間違いなく勝負だろう。リーチまであるかもしれない。
しかし今はトータルトップでラスだけは引きたくないところ。ここで一発で打つとラスがかなり近くなってしまうだろう。
そして中林の出した結論は打であった。
しかしその数巡後二見から放たれる。
中林の顔が曇ったのを筆者は見逃さなかった。
その次巡、二見がツモの声を上げる。
東家・二見
リーチツモ ドラ 裏ドラ
ちなみに内海の手はこうであった。
南家・内海
ドラ
中林は結果的にを掴んでいない。これまで通り勝負に行けば捉えていたドラである。このアヤがどう転がるだろうか。
続く1本場はここまで苦しみ続けた内海が久々の満貫和了。木原もテンパイなら致し方ないか。
東3局は木原が先制リーチ。
西家・木原
ドラ
待ちは悪いが満貫確定である。これをツモか中林直撃で中林をラス目に落とすことができる。
しかし10巡目、中林にもテンパイが入る。
南家・中林
ツモ ドラ
先ほどの和了逃しを払拭するかのように力強くリーチの発声。
このめくりあいは木原がを掴み勝負あり。裏ドラは乗らないまでも5200の和了となり上位3人が三つ巴となる。
東4局は木原が2巡目に早くもテンパイ。
南家・木原
ツモ ドラ
手代わりもほぼないのでリーチと行く。
すると10巡目、またしても中林にテンパイが入る。
東家・中林
ツモ ドラ
ここに至るまでほぼ危険牌を切らずにいた中林。は無スジだが親でもあり追いかけリーチにいく。
このめくりあいは再び木原がを掴んで放銃。裏も乗ってしまい12000となった。
これで中林何度目の親満だろうか。
先ほど弱気になった時は中林のトップは無いと思ったものだが、一瞬で40000オーバーのトップ目となっている。
自分の考えの浅はかさが恨めしい。
続く1本場は内海が気合いの一発ツモ。
中林に追いすがる。
南1局は親の木原の先制リーチ。
東家・木原
ドラ
その時中林はすでにテンパイ。
北家・中林
ポン ドラ
危険牌を掴めばオリるだろうが、危険牌を掴むことなくツモ切り続け、流局間際会場に「ツモ」の声が響き渡る。
北家・中林
ツモ ポン ドラ
高めツモで1000・2000。これで2着の内海に10000点以上の差をつける。
南2局、3着目の二見最後の親番だがテンパイすることができず、中林の1人テンパイで南3局へ。
南3局1本場、親番の内海にテンパイが入る。
東家・内海
ツモ ドラ
が1枚切れなのとピンズの伸びを見てダマ。するとこのが中林にで食われてしまい、が無くなる。
そして中林の捨て牌がこれ。
明らかなピンズの染めである。数巡ツモ切りを繰り返し、を引いたところで内海は意を決したように切りリーチといった。
手代わりを待つのは限界。一刻も早く中林をおろさなければいけないと感じたのだろう。
中林はそれを受けてぎりぎりまで押すが、終盤に無スジを引いて撤退し流局。
なんと木原、二見共にテンパイしており中林の1人ノーテンとなる。
続く2本場、二見が7巡目にテンパイを入れる。
北家・二見
ツモ ドラ
とは場に1枚。は場に出ていない。トータルポイントを考えるとここは是が非でも四暗刻を和了りたいところだろう。
しかし二見の選択は切りリーチ。
現状中林とは17000差。夢よりこの差を縮めてオーラスに向かう方が有利との結論だろう。
そしてこのリーチを受け行くしかない2着目の内海が一発でを放銃。
裏は乗らないものの6400は7000、供託を合わせて8000の和了となった。
オーラス、4者の点棒状況はこうなっている。
木原 ▲8900
二見 36800
内海 26300
中林(親) 45800
ちなみにここまでのトータルポイントはこうだ。
中林 +213.5
内海 ▲3.2
木原 ▲52.8
二見 ▲157.5
ここで中林にトップを取られるとあと5半荘あるとはいえ条件的にかなり厳しくなる。
内海は倍満ツモもしくはハネ満直撃。
二見は5200直撃、満貫ツモ、ハネ満出和了だ。
中林はおそらくよっぽどの手じゃない限り配牌からオリるだろう。
オーラスは静かに進んでいった。そして15巡目、二見がついにテンパイを入れる。
西家・二見・15巡目
ツモ ドラ
タンヤオのみだが残るツモはあと2回。一発か裏ドラにかけて曲げるしかないと思ったが二見は三色の手変わりをまって切りのダマ。
そして次のツモは不要牌の。
残るツモは1回。
ここでリーチすれば一発がついて満貫確定。
最後の望みをかけてリーチ……かと思いきやダマ。
筆者は目を疑った。
ここでダマにして何の意味があるのだ、と。
そして二見最後のツモは。
最後の最後で三色へと振り替わった。
協会はツモ番のないリーチは認めている。
ここでリーチをすれば一発で差し込んでくれるかもしれないし、鳴きを入れてもらい海底を回してもらえるかもしれない。
ここはもうリーチ以外ないかと思ったが、ここでもダマ。
確かに中林から直撃すれば逆転だ。しかしそれは中林を侮り過ぎである。
最後の切り番で無スジを切るはずがない。
結局このまま二見の1人テンパイで終了。トップは中林である。
二見も冷静に考えればリーチすべきだと気づけただろう。
これが決勝の舞台の恐ろしさ。
決勝特有の緊張感が判断をにぶらせてしまったのだ。
中林 +64.8 二見+19.8 内海 ▲14.7 木原 ▲69.9
(10回戦終了時)
中林 +278.3
内海 ▲17.9
木原 ▲122.7
二見 ▲137.7
何はともあれこの2日目は中林のワンマンショーであった。
最終日は全員で中林をマークすることであろう。
全員が百戦錬磨の強者、中林もそう易々とは優勝できないだろう。
最終日は一麻雀ファンとして楽しもうと思う。
(文:渋川 難波)
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