順位
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名前 |
TOTAL
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1日目
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2日目
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3日目
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最終日
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1
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鈴木 達也 |
245.5
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63.4
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151.8
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30.7
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-0.4
|
2
|
小倉 孝 |
179.9
|
-45.4
|
-59.9
|
91.9
|
193.3
|
3
|
崎見 百合 |
-181.0
|
-16.8
|
-27.3
|
-10.8
|
-126.1
|
4
|
須田 良規 |
-250.4
|
-2.2
|
-65.6
|
-113.8
|
-68.8
|
【2日目観戦記】 1日目観戦記 | 3日目観戦記|最終日観戦記
「比較的平穏」な結果であった第1日。
4者の「頭取りゲームの戦い方」がどのようであるかが、私の今回の決定戦の視点の一つであるのだが、 とりあえず今日第2日開始時点では各々気にしなくてよさそうではある。
第1日から日があいていることもあるだろうが、スコア的にも「あらためて仕切り直し」といった落ち着いた雰囲気の中第2日は始まった。
★第6回戦★(鈴木→崎見→小倉→須田)
東1局、2000オールで先行した鈴木。
1本場に大物手を成就させる。
鈴木(荘家)
リーチ ツモ ドラ 裏
第1日にも似たようなものを取り上げたが、このように結果だけ書いてしまうと簡単そうな6000オールに見える。
だが、この鈴木も「手牌が伸びる種」を残してこの最終形に導いている。
イーシャンテンとなった3巡目の牌姿は下記の通り。
鈴木(荘家、3巡目)
リャンメン2組のイーシャンテンでを放していない。
次巡にツモった1枚切れの(よりは安全そう)に持ち替えたくなる打ち手も少なくないと思われるが、それではこの和了は取れていない。
鈴木はこの後も3900は4500、流局を2局はさんで東2局5本場にも1300・2600を和了し、持ち点は60000点を超える。
こうなってしまうと、他の3人としてはとりあえず2着確保が当面の目標となってしまうわけだが、
安い和了ながら手数が多い須田と、和了は1度ながら2000・4000をものにした小倉が崎見に対して1歩リード。
そして迎えた南2局1本場。小倉に勝負所となる局面が訪れた。
配牌は何の変哲もなかった小倉であるが、6巡目にドラのを重ねると、順調に手牌が伸び9巡目には次の形。
小倉(南家、9巡目)
ドラ
ここに鈴木からリーチが入るが、2巡後を引いて、テンパイを果たす。
現状の待ちのカンは2枚切れ(ただし鈴木の現物)。決して良い待ちとは言えないが打点十分、
もし鈴木から直撃で和了できればトップとなる可能性も見えてくる。
小倉なら当然ここは「押し」の一手であり、ここまではノータイムでの進行。
だが、次巡のツモで手が止まった。
そして少考ののち、小倉が下した決断は打での「リーチ」。
選択内容について意見がわかれそうであるが、私の興味はそこにはない。
小倉がここで「オリるかどうか」について考慮を入れているハズはないであろうし、ほぼ「待ち選択」での考慮である。
小倉は、こういった手牌変化について常に考慮を入れてある印象があり、私の興味は、
A)カンでのテンパイ後、手牌変化についてどのような考慮をいれていたのか
B)他の3者から見て、(上記のような印象のある小倉が)少考の末リーチというのがどのように映ったか
この2点である。
この局の結末は小倉が鈴木への8000放銃。
勝負事に「たられば」は禁物であるが、このゲーム唯一といえる鈴木からの直撃チャンスであっただけに、
10巡目での選択が打以外だったらどうなっていたであろうか。
また、小倉の少考が須田の仕掛けを「絶対」にしてしまった感も少なからずあるので、
ノータイムでの選択だったらこれもまたどうなっていたであろうか、と思わずにはいられない1局であった。
小倉は(早い巡目のヤミテンで仕方がないとはいえ)次局も鈴木に8000放銃でこのゲームラスとなってしまった。
鈴木+94.5 須田▲4.7 崎見▲33.7 小倉▲56.1
(6回戦終了時)
鈴木+157.9
須田▲6.9
崎見▲50.5
小倉▲101.5
供託+1.0
★第7回戦★(崎見→小倉→須田→鈴木)
さて、第1日の観戦記の中でも触れたとおり「頭取りゲーム」の唯一の達成目標は「決まったスパンの中で1位になること」である。
達成目標が唯一であるということは、道中考慮を必要とすることもたった一つであり、
それは追う立場から見た場合「首位者とのポイント差」であり、逃げる立場から見た場合「次位者とのポイント差」である。
私の感覚的な目安でしかないが、半荘20回戦の中盤戦で追う立場だった場合、どのぐらいのポイント差だと「特別な意識」を持つべきかは、
残り半荘数×(0.5順位+5000点)
※0.5順位=10000点(これは順位点の分)
※※0.5順位だと5000点ぐらいの素点の差があると仮定
と考える。
今は残り14半荘なので、
14×(10000点+5000点)=210000点=210P
である。
あくまで私の感覚での話であるが、須田・崎見はまだ特別に何かこだわる必要はないが、小倉はこだわってもいいポイント差であると思われる。
ただ今日が終われば残りは10回戦。
2番手の須田ですら、今日これ以上離されるわけにはいかないポイント差とも言える。
開始早々、鈴木から崎見に7700。トータルトップ目である鈴木が放銃したことで若干とはいえ、3者とも気楽に打てる状況。
この後、須田から小倉に6400(は6700)、崎見から須田に3900、崎見から小倉に5200と鈴木に挽回させることなく局は進む。
南1局には崎見が鈴木から2900。
これで鈴木から3着目須田までは8000点差、鈴木にラスを引かせるには絶好の状況で進んでいるように見えたのだが…。
問題は南1局2本場に起こる。
ポイント差的にはそこまでこだわる必要がない立場とはいえ、トータルトップの鈴木がラス目。
崎見の立場からすれば「かなり」トップがほしいこのゲーム。
役牌2組なら当然ともいえるホンイツの仕掛けを始める。
私とは進行が異なるのであるが、そこらへんは焦点ではなくまた崎見が鈴木に放銃した結果も重要ではない。
気になるのは「放銃した時の牌姿と放銃牌、そのときの巡目」。
崎見(荘家、18巡目→残りのツモ牌5枚)
ポン ポン ドラ
この牌姿でをツモ切って放銃。ももリーチの現物、須田と小倉は完全に撤収している。
もうテンパイ維持の打もしくはでよくないか?
2着目崎見が鈴木に放銃したことで、2着争いが三つ巴の混戦。
ここからは崎見と鈴木の壮絶な和了合戦(打ちあい)。
南2局は鈴木が崎見から2600。
南3局は崎見が鈴木から5200で逆転。
南4局は鈴木が崎見から3900で再逆転。
この熾烈な2着争いは1本場に崎見が鈴木から2000(は2300)を和了、再々逆転で終止符。
鈴木▲18.8 崎見+4.3 小倉+55.1 須田▲40.6
(7回戦終了時)
鈴木+139.1
崎見▲46.2
小倉▲46.4
須田▲47.5
供託+1.0
★第8回戦★(小倉→須田→鈴木→崎見)
最悪の状況(鈴木がトップになる)は回避したものの、鈴木がトップを取ればまたしても200P以上離れてしまう状況に変わりはない。
これもまた私感だが、追う3者が横並びでしかも1トップでプラスに転じることができるという状況は、
当然自分優先になりやすく鈴木にとってやりやすい状況なのではないかと思う。
東1局、鈴木が下記のリーチをかけると、
鈴木(西家)
ドラ
タンヤオで仕掛けてテンパイしていた須田からで一発で和了し8000。
第1日もそうであったが、鈴木が先行した時はその点棒がなかなか削れていかない展開が多い。
この第8回戦も唯一の失点は南1局に放銃した1000点のみ。
逆に加点したのもテンパイ料が2回のみ(和了はこの東1局だけ)。
手がまとまらずオリとなる局が結構あるのだが、不思議と失点にならず、巡りがよい。
それほど大きいリードではないことが逆に3者に無理強いを与えずに、小場で回ることに繋がったか。
そんな鈴木と対照的なのがこの日の須田。
これといった勝負手もなかなか入らず、たまにテンパイが入るとことごとく誰かとぶつかる。
この第8回戦も終盤になってようやくまとまる手牌が入りだしても、すでにビハインドが大きく無理を強いられて逆に失点。
南3局に次のような状況。
せめてもう少し点棒があれば打とできたであろう(私はこの状況でも打を選択するが)。
さて鈴木にとって、これといったヤマ場もなく勝負はオーラスを迎えたのであるが、
鈴木から見て小倉・崎見との点差は10000点もない(失点もしてないが加点もしてないのだから当然といえば当然)。
ゆったり進行というわけにもいかずちょっと遠めではあるが1巡目のを仕掛け始める。
鈴木(北家、1巡目)
ポン ドラ
待ちは悪いものの、結構すんなり6巡目にテンパイを果たしたこの仕掛け。
だが他の3者にも逆転手を入れてしまっていることに鈴木は気がついていたのであろうか
(親の崎見のドラポンは自らが鳴かせたものであるから、厳密には残りの2者の手牌)。
待ちも薄くフリテンの小倉はさておき、離れたラス目須田も跳満のテンパイ。
待ちの以外でも、を鈴木がツモってきた場合、が出て行く可能性は高い。
ギャラリーも固唾をのむめくりあいとなったが、ここは鈴木が制した。
鈴木+57.1 小倉+7.4 崎見▲15.7 須田▲48.8
(8回戦終了時)
鈴木+196.2
小倉▲39.0
崎見▲61.9
須田▲96.3
供託+1.0
★第9回戦★(須田→鈴木→小倉→崎見)
連続ラスで鈴木まで約300P離されてしまっている須田。
ここは踏ん張り所。
起家で役牌2組の配牌をもらい、序盤から積極的に仕掛けて場の制圧にかかる。
3巡目にポン、8巡目にポン9巡目にを加カンと激しい仕掛け。
いつも思うのだが、三元牌の対子2組を持っている時の3種類目の処遇は結構難しい。
仕掛け始めた後、あまり早く放してしまうと(重なった時の打点も痛いが)他家が楽になってしまうし、
逆に持ちすぎてしまうと、危険度が相当に高くなってしまう(こちらの仕掛けに対応した他家が待ちとしている可能性が通常の生牌より高い)。
さて、激しく仕掛けてみたはいいものの、手牌の方はというと進行は芳しくない。
ようやくイーシャンテンにこぎつけたと思った12巡目小倉からリーチがかかる。
その時の須田の手牌はというと、
須田(荘家、11巡目)
ポン 加カン ドラ
一発目のツモでは勢いよくを切ったものの、次巡のツモでは現物のを切ってオリ。
いくらこの日の調子が悪いとはいえ、須田はまだまだ辛抱できているように見える。
ひょっとすると、和了より仕掛けて場を動かすことに主眼があったのかもしれない。
和了だけに主眼があったとすれば、7巡目のはツモ切りとはしにくいであろう。
もし7巡目に打、8巡目のポンで打としていれば、12巡目にカンのテンパイは入っていた。
ところで逆に、他家に三元牌の2フーロがある場合の対応についてだが、皆さんはどのようにお考えだろうか?
場の状況とか自分の手牌にもよるが、私が思うに当協会のルールでは巷のフリー麻雀と比べて、
「役満の価値が低い」というか「役満の威力が小さい」。
祝儀がないのはもちろんのこと、トビで終了ということもない。
特に、この決定戦という「頭取りゲーム」ではトータルトップ者がそういった仕掛けをしている場合は別として、
通常のリーグ戦よりもケアしなければならない度合いが低いのではないかと思われる。
この東1局の須田の仕掛けに対し、小倉はリーチを選択しているが、そういった考えも少なからずあってのことだろう
(私はヤミテンにしてしまいそうであるが)。
続く東2局、今度は崎見が三元牌を2フーロ。7巡目にホンイツでテンパイを果たす。
同巡、須田も平和テンパイ(高目イーペイコウ)。
須田はヤミテンを選択。
先ほどの場合と若干違いがあるのは、3種類目がすでに場に1枚出ていること。
それも1種目を仕掛けた後に出ているのであるからここはリーチとしておいてもよさそうであったが。
結果は須田がヤミテンのまま(テンパイ即ツモ)700・1300の和了。
ようやくすっきりした和了形が出た須田。続く東3局には1300・2600。
さらに東4局にも700・1300と3局連続で平和手をツモ和了。頭1つ抜け出す。
南入しても大物手が出ない展開は続く。
南1局は鈴木が400・700。
南2局は小倉が300・500。
南3局は鈴木が700・1300。
なんとここまで6つの和了すべてがツモ和了。
大きな手を和了されたわけでもなく、あっという間のオーラスでしかもラス目とされてしまっている崎見。
鈴木のリーチに対して必死の仕掛けでテンパイを目指したが、無情にもテンパイできずに流局で終了。
接戦の2着争いを制した鈴木、ついにこれで+200P超え。
須田+53.7 鈴木+4.8 小倉▲16.2 崎見▲43.3
(9回戦終了時)
鈴木+201.0
須田▲42.6
小倉▲55.2
崎見▲105.2
供託+2.0
★第10回戦★(崎見→鈴木→須田→小倉)
じわじわとポイント差が開き続けている。
それもそのハズで鈴木がトップでない回は、毎回そこまでのトータルラス目がトップを取っている。
しかも鈴木は本日ラスなし。気がつけばトータル2着目ですら約250P離されている。
追う3者、どのように考えているであろうか。
崎見から須田へ1000点が移動した後の東2局、鈴木にチャンス手が入る。
配牌からドラが対子で入っており2巡目に下記の形。
鈴木(荘家、2巡目)
ドラ
くっきりと三色が見えていたのだが、ここからと続けて引き込み、6巡目に下記のイーシャンテン。
鈴木(荘家、6巡目)
ドラ
仕掛けても18000のイーシャンテン。
そして8巡目にをポンしてついにテンパイ。
これが決まるようだと2日目のこの時点ですでに優勝が大きく近づいてくる。
ギャラリーにも緊張した空気が張り詰めた。
テンパイした時点ではソウズはおろか字牌すら1枚も余しておらず、サラッと和了できても不思議ではなかったが、結果は流局。
ところで勝負とは話がズレるが、この局の鈴木の手牌進行、皆さんだとどんな進行になるのだろう。
およそ第1打が分かれ目だと思うが、鈴木は打としている。
非常にユニークな選択で、鈴木らしい選択と思われる。
参考として牌譜を掲載しておくことにする。
続く1本場。
今日も苦しい展開が多い崎見だが、ようやくここでマンガン手をものにする。
崎見(北家)
ツモ ポン ポン ドラ
中盤まではまったく形になっていなかったのだが、絶好のタイミングでそれぞれ場に2枚目のが鳴けてすぐにツモ和了。
実はこの局、親の鈴木は3巡目にしてすでに下記のイーシャンテン。
鈴木(荘家)
ドラ
同巡にが打たれたのだが、これを鳴かずに10巡目に出た2枚目のでテンパイとしていた。
まだ3巡目で手牌は好形。鈴木らしいといえるが、その「らしい」進行が、前局この局と不発。
少し小声でうなっていたような気がしたのは気のせいか?
チャンスがつぶれて気分はよくなかったであろう鈴木。
そんな鈴木にここからギャラリーも驚く大集中砲火が始まる。
東3局、まずは須田。高目三色のタンピンドラをヤミテンで5800。
須田(荘家)
ロン ドラ
流局を挟んで、東4局2本場には小倉が12000は12600。
小倉(荘家)
リーチ ロン ドラ 裏
続いて東4局3本場、今度は崎見が12000は12900。
崎見(南家)
リーチ・ロン(一発) ドラ 裏
小倉・崎見への放銃は自分が先行リーチを打っていてのもの。
待ちはリャンメン、打点もともなっているもので致し方なしと思えるが、
残った事実はあっという間に持ち点が箱下約10000点ぐらいになっているということ。
南1局、南2局とリーチ合戦を制して箱上には復帰できたものの、
須田に親番を流されて、ギャラリーもさすがに今回はラス濃厚かなという雰囲気となる。
「鈴木をラスにする」という共通の思惑がほぼ達成されたと思っていたであろう3者。
後は安心してトップ争いに専念できる…、ハズだった。
事件は南3局1本場に起こる。
結果だけでよかろう。鈴木が大三元をツモ和了。
魔がさしたというほどひどい対応とは言えないし、油断したというのも違う感じだが、「しょうがない」で片づけるわけにもいかない出来事である。
不幸中の幸いは崎見がオーラスに和了してトップは譲らなかった事。
今年の決定戦の行方はまだわからない。
ただ、もし鈴木の優勝となった時には、この第10回戦が大きなポイントとなるのではないか?
事実、第2日目終了後の追う3者の表情には落胆の色が少なからずあった気がする。
崎見+61.1 鈴木+14.2 須田▲25.2 小倉▲50.1
(10回戦終了時)
鈴木+215.2
崎見▲44.1
須田▲67.8
小倉▲105.3
供託+2.0
(文:二見
大輔)
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