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第5期 雀王決定戦観戦記2

 
TOTAL
第1節
第2節
第3節
第4節
須田 良規
320.5
105.7
109.4
-41.8
147.2
鈴木 達也
-57.5
-94.9
-28.4
32.0
33.8
石野 豊
-83.1
48.2
-64.4
4.6
-71.5
鍛冶田 良一
-222.9
-100.0
-18.6
5.2
-109.5

第3・4節観戦記  →第1節・2節の観戦記はこちら

「Stop The 須田」

それが、Aリーグの中でも屈指の実績と実力を兼ね備えた三名に課せられた使命だった。

2節終了時のポイント経過

 
TOTAL
第1節
第2節
須田 良規
215.1
105.7
109.4
石野 豊
-16.2
48.2
-64.4
鍛冶田 良一
-118.6
-100.0
-18.6
鈴木 達也
-123.3
-94.9
-28.4

半荘十回戦を終え、須田の一人浮きという結果で迎えた第三節。
須田にトップを獲られることや、須田のラス抜けを助けるような行為は好ましくない。
これ以上、須田を走らせる訳には行かない三者は必然的に暗黙の結託をすることになる。 

しかし――、この次点ではそれはまだ脆弱な疎通に過ぎなかったであろう。
現雀王の鍛冶田、第二期雀王の鈴木、そして二年連続決定戦進出の石野である。
恐らくは、我こそが須田の追撃者となり最終日に頂上に立つと目論んでいるに違いない。

だが、この日、須田は驚異的とまで言える粘りと勝負強さを発揮する。
この日の須田を象徴する局面が一回戦目に垣間見えた。

須田、鈴木、石野の競り合いで迎えた南二局。
親の石野が十巡目に均衡を破る4000オール。

(十一回戦 南二局 二本場 ドラ六筒

四萬四萬五萬五萬六萬六萬七萬七萬八萬八萬二筒三筒四筒 リーチ ツモ四萬

この、番手の石野の和了に逸ることなく、須田はすぐさま下の門前満貫の一向聴から三筒を仕掛けて2000点のチーテンを取る。

 (南二局 二本場 ドラ四筒

四萬四萬五萬二索二索五索五索六索六索七索七索四筒五筒

これを目下の着順争い相手である鈴木から直撃。

四萬五萬二索二索五索五索六索六索七索七索 チー三筒四筒五筒  ロン六萬

オーラスも満貫で締めくくり、連に絡む。

十二回戦は鈴木に跳満を親被りさせられるも、その後、細かい和了を重ねて二着。
十三回戦には石野の早い混一に捕まり12000点を放銃するも、その後の失点を最小限に抑え、鍛冶田にラスを押し付ける。

少ない好機を活かすべく、足を使い、ギリギリの牌まで勝負して供託棒や聴牌料で点棒バランスを保つ須田。
おそらく場がよく見えているのだろう。

石野、鈴木、鍛冶田は各々トップを取るも、デカいマイナスも引き受けポイントが伸び悩む。
結局、須田はこの日2、2、3、4、2で若干ポイントを減らすも、堅実に首位をキープした。

そして、迎えた運命の最終日。

第3節終了時のポイント経過

 
TOTAL
第1節
第2節
第3節
須田 良規
173.3
105.7
109.4
-41.8
石野 豊
-11.6
48.2
-64.4
4.6
鈴木 達也
-91.3
-100.0
-18.6
27.3
鍛冶田 良一
-113.4
-94.9
-28.4
9.9

  対戦者の思惑、そして観衆の視線はもはや“誰が須田を止めるか”よりも
“誰が須田を追う一番手となるか”へと向けられていた。

追撃者となるべく三人は、協会内のみならず他団体のタイトル戦やメディア対局といった舞台で数々の修羅場を潜ってきた猛者である。このまま簡単に須田の逃げ切りを許すとは思えない。
 だが、トップラスで80p差がつく協会ルールとはいえ、残された回数は五回。
石野、鈴木、鍛冶田の内、須田の追撃者となれるのは恐らく一人であろう。

 果たして、誰が須田の覇道に待ったをかけるのか――。


16回戦

 先ず、名乗りを挙げたのは“破壊王”こと鍛冶田良一であった。
 その体躯や呼び名から、豪快な打ち筋を目されやすい鍛冶田だが、実はこの男の強みは繊細な押し引きと低姿勢で我慢できる忍耐力にある。

 その鍛冶田が強引な寄り切りを見せる。

(東一局 西家 ドラ五萬

四萬七萬八萬九萬五筒三索五索八索南發發中中

 上の配牌を手にした鍛冶田は躊躇うことなく一色手に走り、激しく仕掛ける。
 十一巡目にドラ表を叩き切り、十三巡目に満貫を自摸和了る。

七萬八萬九萬南 チー六萬七萬八萬 ポン發發發 ポン中中中 ツモ南

 親は何処か。
 親被りは須田である。

「俺はまだ死んでいない。俺がやってやる」
大事なところで放銃牌を引かされ、初日からマイナスゾーンで戦ってきた鍛冶田。
その鍛冶田による三者へ切っ先を向けるような和了で最終日の幕が切って落とされた。 

 相互に牽制し合っての結果か、細かい和了と流局で局が進む。
 そして、最初の折り返し地点も過ぎ、場面は再び須田の親番となっていた。

 須田    20900
 石野    25400
 鍛冶田   29400
 鈴木    24300

最初に口を開いたのは石野だった。
 
(南一局 一本場 ドラ八萬

 九索北西八筒九筒三筒
 北五萬八萬横(リーチ)

 二萬三萬四萬六萬六萬二筒三筒三索四索五索東東東 

堅実な門前での手造りに定評のある石野。
五萬とドラの八萬の切り巡から、この局に対する石野の意志を汲み取ることが出来る。

対する須田は、前巡にドラを一枚リリースしての一向聴。
 
六萬七萬八萬四筒五筒五筒三索四索五索六索六索南南 ツモ四索 

 リーチ一発目――、快濶に摸打を繰り返していた須田の手が一瞬止まる。
固唾を呑み、この日最初となる須田の凌ぎに観衆の熱い視線が注がれた。

ここで石野に打ち込めば、紛うことなくラス候補の筆頭となる。
点棒と、残りの局。その双方を失うことになる。
私だったら、現物であるドラ牌を手中から抜いたかもしれない。

だが、“須田の親番での、石野のリーチ”なのである。
鈴木、鍛冶田の両名が石野に打つことは余程の手が入ってない限り考えづらい。
また、消極策に出ることが今後の帰趨にどう影響するかも分らない。

須田がその辺りを勘案したのかどうかは計り知れないが、数秒の逡巡の後、彼はリーチに通っていない五筒を劈くように叩き切った。
そして次巡、六索を引き込んでリーチ。

六萬七萬八萬四筒五筒三索四索五索六索六索六索南南

石野にしてみれば、これで一つの形が出来た。
勝てば、須田の翼の一部をもぐことが出来る。

リーチ二巡後、石野が東を暗槓する。
脇は、完全に勝負を二人に預けた。

両者、真っ向からの衝突となった捲り合いは石野に軍配が上がった。

二萬三萬四萬六萬六萬二筒三筒三索四索五索 カン裏東東裏 ツモ一筒

点が跳ねて、1000・2000は1100・2100の和了。須田と8400点差をつける大きな和了である。

南二局、石野の親番。
今度は鈴木が六巡目リーチで、三色出来合いの満貫自摸。

五萬六萬七萬二筒三筒五筒六筒七筒九筒九筒五索六索七索 ツモ一筒

嵩にかかって須田を攻め立てる三人。
「あと二局だ、あと二局で須田をラスに出来る。そして俺がリペラーとなって須田を捲くってやる」
三者のそんな心の声が聴こえてきた。

(南二局終了時)
須田   15800
石野   26700
鍛冶田  26300
鈴木   31200

しかし、南三局 六巡目。須田が高めの八筒を引き入れて乾坤一擲のリーチと出る。

(西家 ドラ四萬

二萬二萬六萬七萬八萬九萬九萬九萬六筒七筒八筒七索八索 (リーチ)

この時点で六索は山に二枚、九索は三枚生きだった。
三色で和了ればデカい、だが如上の点棒状況だけに九索での和了であると自らが余計に苦しくなる可能性がある。

このリーチに立ち向かったのが北家の石野。
リーチを受けてから手牌を七対子へ路線変更させ、根気で須田の待ち牌である九索を重ねて追っかけリーチ。

四萬四萬五萬五萬六筒六筒七筒七筒二索二索九索九索北 (リーチ)
 
須田のリーチに対し、石野が九索を切ることは無かった。
それは石野が一流の打ち手であることの証だ。
そして、石野がリーチときた以上、鍛冶田と鈴木が二人の和了牌を切ることはない。
石野のみならず、脇も須田を叩きにきた石野の勝利を切望しているからだ。

 だが、一四巡目。須田の膂力がそんな三人の思いを打ち砕く。

 二萬二萬六萬七萬八萬九萬九萬九萬六筒七筒八筒七索八索 ツモ六索

しこりの様に硬くなった目玉で、須田の手元に引き寄せられた六索を見つめる三人。
牌の妙味とも云うべきか。石野が凡庸な打ち手であれば、1300で終わっていたかもしれない局面だった。

須田はこれで二人抜きの二着浮上。オーラスで放銃がない限り、ラスは無い。

(南三局終了時)
須田    24800
石野    23700
鍛冶田  22300
鈴木    29200

オーラスは三者が策を弄する間もなく、須田が役無し手をリーチし、あっさりと引き和了る。

 (南家 ドラ二萬

三萬四萬五萬七萬八萬九萬二筒三筒五筒五筒六筒六筒六筒 ツモ四筒

須田は価値ある二着。また、鈴木がトップを獲るも、二番手の石野を後退させる大きな半荘となった。

16回戦終了時スコア
須田   180.1
石野   -28.4
鈴木   -43.1
鍛冶田 -151.6


17回戦
 
追撃者は誰か――。
報われないながらも健闘している石野か、はたまた緒戦でトップを獲った鈴木か。鍛冶田も残り四戦、全て連に絡めばまだ芽はある。

東一局。
鈴木のドラポンを掻い潜って、鍛冶田が1000・2000の和了。

東二局。
親の須田がここから打七筒の捌き。

(東二局 東家 ドラ六筒 四巡目)

四萬五萬七萬四筒四筒五筒七筒四索五索六索發西西 ツモ八萬

 すぐに六筒三萬と引き込んでリーチ。
 
 “須田のリーチに打ってはいけない”
それは全員のテーマである。だが、同時に須田が攻撃しているときは得点を奪うチャンスなのでもある。

 次巡、索子にくっつきを求めていた鈴木が、萬子が通しづらい須田のリーチに対応してフリテンの五萬八萬で追っかけリーチ。

七萬一筒二筒三筒六筒六筒三索四索四索五索七索八索九索 ツモ六萬

 だが、これは須田の六萬九萬待ちの方が遥かに秀逸。
 須田が自摸和了って2600オール。

三萬四萬五萬七萬八萬四筒五筒六筒四索五索六索西西 ツモ六萬

須田が先行したことによって一気に苦しくなった三人。
だが、先ほどの捲り合いがこの男に火を付けたのか。鈴木が執念の和了を炸裂させる。
 
 まずは須田の親番一本場。
 五巡目で一応の聴牌を果たす。

(南家 ドラ九筒

三萬四萬七萬九萬五筒六筒七筒八筒七索八索九索中中 ツモ二萬

 ドラを使った三色を狙うか、親が須田だけに筒子を伸ばして自摸和了を狙うか。
 鈴木の選択は前者。
 次巡、目論み通りのドラを引き込んで5200の聴牌。

二萬三萬四萬七萬九萬七筒八筒九筒七索八索九索中中

 無論、リーチはかけない。
 須田は第一打目に九萬を捨てている。須田の萬子に関する情報はこれしかないが、願わくば自摸・直で和了りたいはずである。

 そこへ、徐に鍛冶田が八萬を打ってきた。
 だが、鈴木は微動だにしない。
 須田が一歩先行しているとはいえ、まだ東の二局。チャンスはまだあるだろうし、何よりも須田を追う二番手に浮上できる。
 執念の見逃しである。

 二巡後、鍛冶田がリーチときた。
 その瞬間、彼の口元が微かに緩んだ気がした。
 
現物牌以外切る由もない須田が、八萬を抜いて鈴木会心の直撃打。
リーチ棒と積み場も併せて12000点詰め寄る和了で須田に並ぶ。

東三局は石野が鈴木から2000点の出和了。
東四局は須田が親の仕掛けに臆することなく攻めて、親番の鍛冶田をもオリさせて一人聴牌。

そして迎えた南一局。
鈴木が七巡目にタンヤオ三色含みで聴牌。

(西家 ドラ北

五萬六萬六萬七萬八萬六筒七筒八筒三索四索六索七索八索 ツモ五索

 鈴木は打五萬を選択。
 ここを勝負局と踏んだのか、鍛冶田から打たれた九萬を見逃し。
 次巡、引いてきた三萬単騎に切り替える。

 すぐに五索を引き込んで三面張の聴牌。

 三萬六萬七萬八萬六筒七筒八筒三索四索五索六索七索八索 ツモ五索

 鈴木の捨て牌には序盤に放った八索がある。
 それでも平素の鈴木であれば、フリテン三面張でリーチと行っただろう。
 しかし須田からの直撃を狙っているのか、三面張を拒否し、三萬単騎で押す。

 二巡後、なおも果敢に攻める須田からリーチが入る。

 一索九索七萬南白北
 六索中西七筒九筒横(リーチ)

 一萬二萬三萬六萬七萬二筒二筒四筒四筒四筒二索三索四索 

 石野の鳴きで二索を引き込んでいた鈴木の自摸は一索
 改めて場を見渡す鈴木。
 
 鈴木が意を決し、一索四索でのリーチを選択。
 
六萬七萬八萬六筒七筒八筒一索二索三索四索六索七索八索

断公九は消えるが、須田は一索を一打目に捨てている。須田が一索を持ってきたときに捉えられるよう、決死のリーチであった。

三巡後、鈴木が一索を引き和了る。

六萬七萬八萬六筒七筒八筒一索二索三索四索六索七索八索 ツモ一索

私は感嘆の吐息と共に、この男のどっしりとした首筋のあたりを見回した。
ファンタジスタと呼ばれ、 その非凡な和了創造力を活かして嘗て三年で九つもの決勝に残った鈴木達也。

 やはり、この男が来るのか――。

南二局、須田の親番。
鈴木の回転数が上がってきた。六巡目にリーチを打ち、九巡目に1300・2600の和了。

(南家 ドラ三索

五萬六萬一筒一筒一筒五筒五筒五筒二索三索四索白白 ツモ七萬

(南二局終了時)
石野  16000
須田  23600
鈴木  39400
鍛冶田 21000


ここからは、鈴木の時間だ。
 彼と対戦し、彼の力を識っている者ならば誰もがそう感じる展開だった。

 だが――、晴天の霹靂はあまりにもあっけなく訪れた。

 親番の鈴木。(ドラ三筒

九萬二筒二筒五筒五筒六筒六筒七筒二索二索發發東 ツモ三筒
 
九巡目、ここから面子手を拒否しての七対子狙い。

七筒とする。残した九萬東に余程自信があることが窺える。

一方の須田はリャンカンが欲しいところに、先に二面を引いての聴牌。

三萬四萬五萬七萬八萬一筒三筒五筒五索五索六索七索八索 ツモ六萬

一筒で2600の聴牌を取る。

そこへ、混一色の聴牌を入れていた鍛冶田が南を暗槓。新ドラに一萬が増える。

一萬二萬三萬三萬五萬六萬七萬中中中 カン裏南南裏

鈴木、新ドラの一萬を引き込み、表示牌に見えた九萬と入れ替える。

一萬は、須田と食いタン仕掛けの石野が捨てている。

そして、目論見通り東を重ねるが・・・・・・。

「四日間、我慢に我慢を重ねて叩けるチャンスを待っていたんだ。あの一萬を狙いに行かないでどうする・・・・・・」
 一年振りに顔を合わせた親友は、開口一番私にそう云ってきた。

一萬二筒二筒三筒五筒五筒六筒六筒二索二索發發東 ツモ東

 己の感性を信じ、三筒を叩き切る鈴木。
 だが――、ファースト聴牌の次巡、カチリと筒子を一枚引き込んでいた須田が静かに手牌を倒す。

「8000――」

三萬四萬五萬五萬六萬七萬三筒三筒五索五索六索七索八索 ロン三筒

 
 あまりにも大きな振り込み。
 オーラス一本場、鈴木との和了トップの勝負を制したのは須田であった。


17回戦終了時スコア
須田   235.6
鈴木   -31.7
石野   -72.4
鍛冶田 -164.5


18回戦。

何とか一縷の望みにかける三者だが、東一局に親である須田が積極的に二巡目七対子をダブ東単騎でリーチ。
 
 このリーチに直ぐに鈴木が飛び込み、裏ドラも乗って12000点の放銃。


(ドラ六筒 裏ドラ六萬

五萬五萬六萬六萬一筒一筒四筒四筒九索九索東南南 ロン東

三者も牌勢が苦しいなか粘りを見せたが、このリードを守りきった須田がトップで終了。
須田を引き摺り下ろすというテーマで始まった戦いも、終わってみれば二着、一着、一着と須田の一人舞台だった。


18回戦終了時スコア
須田   287.6
鈴木   -78.9
石野   -87.8
鍛冶田 -153.9


この三回戦の戦いで雌雄は決したと言って良いだろう。

 昂揚や憔悴を抑え、必死に一つでも上の着順を目指して打ち続ける須田。

 この最終日を通して際立ったのは、その真摯な姿勢である。

 決して無理なゴリ押しはせず、かといってポイントの庇護に肖ることもなく、勝負所では果敢に攻めた須田。

 そう、仕掛けの嗅覚が鋭いという呼び声が高い須田であったが、
私は寧ろ面前時での場況に合った押し引きに彼の強さはあると感じた。
恐らくは、その姿勢が彼にとって有利な展開を呼び込んだのではないだろうか。

 そうして訪れた、新たなる王の瞬間のとき。
 それは、新たな協会の希望でもある。

 今回の決定戦進出者の中で唯一叩き上げのAリーガーである須田。
 彼は協会発足後に入った第一期生であるため、二度の昇級を経てAリーグに辿り着いたのである。
 その須田が初となる決定戦で堂々たる戦いを見せて、終わってみれば圧倒的大差のポイントで見事戴冠を果たした。

 協会は今、C3リーグまでの六リーグから成っている。
 須田雀王の誕生というのは下位リーグ者の希望の星なのである。
 来期の雀王リーグ戦は、各リーグで一層の熱い戦いが繰り広げられるであろう。
 雪辱に燃えるAリーガーたちの戦いも見逃せない。

そういった協会プロの思いを担い、次世代の旗手となるべく須田新雀王の今後に更なる期待を寄せたい。


須田プロの優勝者コメント

「鍛冶田プロに誘われて入った協会で、五年目にしてやっと雀王になることができました。本当に嬉しいです。下位リーグで頑張っている皆さんも絶対にチャンスは訪れるので、上を目指して頑張って下さい」


――お疲れ様でした。圧勝という結果に終わりましたが、全体を通してどんな戦いでしたか。

「初日と二日目は自分の狙い通りの和了が出来ましたけど、三日目は全然和了ることが出来ず、苦しい展開でした。その中でも細かい和了や、積み棒を取る戦いが出来たと思います」

――他の対戦者に関しては?

「いや、やっぱり皆強いです。本当に。開かれた手牌や河を見て、何度もそう思いました」

――近代麻雀でのコラム「東大を出たけれど」など、執筆面でもご活躍されていますが。

「僕はもともとあまり器用な方じゃないんです。麻雀も文章を書くことも。だから時間をかけて努力したり研究したりと、自分なりのやり方で努力したことが今の結果に繋がっているのだと思います。」

――最後に本当におめでとうございました。ファンの方々に一言お願いします。

「僕自身はただの麻雀好きで、ただの雀荘メンバーです。神がかった強さなど無論持ち合わせてはいませんし、皆さんと同じ、等身大の麻雀ファンの一人です。どこかの雀荘でお会いすることがあれば、是非一緒に楽しい麻雀を打って下さいね。」

→須田プロのブログ「東風戦メンバー戦記」

文:吉田光太

 

 

前半観戦記はコチラ

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