第1節観戦記

1回戦　須田―石野―鈴木―鍛治田
緊張感張り詰める東１局、先手を取ったのは鍛冶田。
6巡目に早くもマンズに寄りはじめる。

　ドラ
ここでドラのをリリース。

親の須田が間髪入れずポンの発声。
その鳴きで７巡目に、９巡目にと引き入れ、鍛冶田がメンホンチートイのテンパイ。

　ドラ
ドラを仕掛けイーシャンテンの須田が即掴み、放銃となる。

絶好のスタートを切った現雀王鍛冶田に、待ったをかけたのは石野。
東２局の親番でまず２０００オール。
１本場でも８巡目にこのカリテンから

　ドラ

１０巡目にを引き入れ３面張でテンパイを入れるが、がカラなのを見て慎重にダマ。
同巡須田の先制リーチに対してもダマを押し通し、ツモの２６００は２７００オール。

このリードを守り切り、初戦は石野がトップ。

２回戦　石野―鍛治田―鈴木―須田

鍛冶田が東２局に４０００オールをアガると、

　ツモ　ドラウラ

それに応戦するかのように鈴木もすぐさま満貫をツモ。
　ツモ　ドラウラ

南１局、北家須田２巡目
　ドラ

ここからをポン。

終盤１４巡目に
　ポン

からをポンしてのツモで１３００・２６００のアガリ。

南２局
東家・鍛冶田３１１００
南家・鈴木　２４９００
西家・須田　２６０００
北家・石野　１８０００

追加点の欲しい鍛冶田と、ここで点棒を戻しておきたい石野。両者に４巡目にテンパイが入る。

鍛冶田
　ドラ

石野
　ドラ

両者即リーチと行ったが、石野がを掴み裏ドラは。
親満で鍛冶田がダントツとなる。

オーラスも鍛冶田が５巡目リーチをあっさりアガり切り、一回戦目トップの石野をラスに沈め、トップをもぎ取る。

３回戦　鈴木―須田―鍛治田―石野

波に乗りたい鍛冶田、東３局の親番で
　ドラ
のメンホンのイーシャンテンからをチー。

９巡目、鍛冶田が少考の後、「・・・ツモ｣の声。

　チー　　ツモ　ドラ

７巡目に鈴木がチーテンを入れており、石野・須田ともに早めの形のイーシャンテンであった。
鍛冶田苦渋の１０００オール。

東４局、鈴木の冴えたアガりが炸裂する。
ファーストテンパイは鈴木。１０巡目のピンフドラ１である。
　ドラ

　　　　　　　　　　　　　　　↓　　　↓　↓　　 ↓　　　↓　　　↓
東家・石野捨て牌　　

　　　　　　　　　　　　 　↓　↓
南家・鈴木捨て牌　　

　　　　　　　　　 　　　　　　↓　　　　　↓　　　　　　　↓
西家・須田捨て牌　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　↓　↓
北家・鍛冶田捨て牌　　　（↓はツモ切り）

普通はここでリーチと踏み切る人が多いであろう。
しかし鈴木の選択はダマ。
静かにかわしたかったのか、が少ないと考えたのか。確かにこの時点で待ちは山に１枚しかいない。

直後に鍛冶田からリーチが入る。
同巡を引いた鈴木、を切って一旦迂回。

次巡に鍛冶田のアガり牌であるドラのを引き込みリーチ。

　ドラ

鍛冶田が一発でを掴み、裏がで１２０００のアガりとなる。
このアガりを拾える打ち手がどれだけいるのだろう。
ファンタジスタたる鈴木らしさの現れた一局であったと思う。

これで２着目と１１０００点差となり、
４着・３着スタートの鈴木としては是が非でもトップを堅守しておきたい状況である。
しかし、石野・須田が細かいアガリやノーテン罰符で刻み、ラス前を迎えて
東家・鍛冶田　９９００
南家・石野　２８５００
西家・鈴木　３３９００
北家・須田　２７７００
となる。

連には絡んでおきたい須田が、１２巡目に役なしながらリーチ。
　ドラ

２巡後に、テンパイしていた石野からを討ち取ると、裏ドラは望外の。
鈴木との点差を一気に１０００点差まで縮める。

オーラス、トップ鈴木と２着須田のアガり競争。
須田は１０００点を脇からアガると鈴木と同点トップ、それ以上ののアガりは単独トップである。

７巡目にを叩き、１０巡目にまずテンパイを入れたのは鈴木。

　ポン　ドラ

須田はイーシャンテンから９巡目に鈴木の切ったをチーテンとらず。

３巡後にを引き入れ、あっさりツモ。

　ツモ　ドラ

須田の目論み通り、単独トップを奪い取る。

４回戦　鈴木―鍛治田―須田―石野
東１局に親の鈴木が鍛冶田から９６００を討ち取り、その後は小場となる。

動きがあったのは南２局。親の鍛冶田に好配牌が入る。

鍛冶田　　ドラ

須田も第１ツモで方向性がはっきりと決まる。

　ツモ　ドラ

２巡目に、３巡目にと引き込んで、４巡目にを叩いてマンガンのテンパイ。

　ポン　ドラ

須田・捨て牌　

対する鍛冶田はドラをアンコにし、８巡目に追いつく。

　ドラ
当然の即リーチである。

１０巡目、手元にしっかりとを手繰り寄せて４０００オール。
破壊王らしいアガりをやっと見せつけた。

オーラス１本場
石野　２３９００
鈴木　２９０００
鍛冶田２８２００
須田　１８９００

全員にトップが見える状況で４巡目に先制リーチを入れたのは石野。

　ドラ

これにイーシャンテンから捕まってしまったのが鈴木。
裏ドラがで僥倖の１２０００。鈴木はトップからラスに転落してしまう。
今日の鈴木は苦しい展開が続いている。

４回戦を終えたここまでのポイントは、
石野　　３２．７
須田　　２８．１
鍛冶田−３２．４
鈴木　−６９．４
（供託　４１．０）

５回戦　石野―鍛治田―鈴木―須田
須田の独壇場となる。
子では細かく、親では本手をアガるという理想の展開で、
東場が終わる頃には５万点近くまで点棒を伸ばす。

そして極めつけは南２局。
西家・須田のリーチ。

　ドラ
高目なら出アガりでも倍満という大物手。

結局安目ながらをツモり、３０００・６０００となる。

須田の大トップで初日は終了。

５回戦終了時
須田　　１０５．７Ｐ
石野　　　４８．２Ｐ
鈴木　　−９４．９Ｐ
鍛冶田−１００．０Ｐ
（供託　４１．０）

第2節

６回戦　石野―須田―鈴木―鍛治田
鍛冶田が細かくアガりを重ね、トップ。
オーラスは鈴木がラス目から２着に浮上するアガりを見せ、須田・石野を４着・３着に沈める。
須田はこれが初ラスである。

７回戦　鈴木―須田―鍛治田―石野
ここまでノートップの鈴木。後手後手を踏む展開が多く、
勝負手が入ったときもサッと潰されてしまう印象が強い。まさにこの半荘もそうだった。

東３局に７巡目に高目ハネマンのテンパイを入れるも、
　ポン　チー　ドラ

あっさり須田が仕掛けてかわす。
迎えた南１局の親番でも、須田の４巡目リーチに対し、為す術もなくマンガンの親っかぶり。
須田が初回のラスを打ち消すトップ。

８回戦　須田―鍛治田―鈴木―石野

石野が５巡目にファーストテンパイ。
　ドラ

形こそ良くは無いが、リーチに踏み切る。
このリーチに対し、親須田がメンゼンで応戦。鈴木も回り気味に応戦。

東家・須田　捨て牌　　　
西家・鈴木　捨て牌　
北家・石野　捨て牌　

鍛冶田が手詰まりとなる。
　ツモ　ドラ

中筋であるをツモ切り、裏ドラで痛恨のマンガン放銃。

鍛冶田、続く親番の東２局でも、
　ドラ

からをポンして打。これが鈴木のマンガンに刺さる。

　ポン　ドラ

南２局
点棒のない鍛冶田、親番で奮起のリーチ。
　ドラ

次巡鍛冶田がツモ切ったを、北家の須田が叩いてテンパイを入れる。

　ポン　ドラ

そして喰いアガって来た牌は鍛冶田のアガり牌である。

須田は１枚を切っているが、しっかり押さえて流局。
鍛冶田にとって苦しい局が続く。

南３局
東家・鈴木　３００００
南家・石野　２９８００
西家・須田　２８６００
北家・鍛冶田１１６００

鍛冶田を除く３人にとっては勝負局である。

鍛冶田も２巡目にドラである自風のをポンし、参加体勢に入る。
ツモればオーラストップまで見える鍛冶田にとっては三者に降りてほしい所だろうか。

３巡目にはこのイーシャンテン。
　チー　ポン　ドラ
しかし、このイーシャンテンがなかなか埋まらない。

先に須田にかわし手のテンパイが入る。
　チー　ポン　ドラ

周りはもう薄く、鍛冶田は別の良い浮き牌が入ればが出て行ってもおかしくはなかった。

しかし鍛冶田はここにを重ねてテンパイを果たす。

　チー　ポン　ドラ

トータルトップ目の須田からを討ち取った。

須田はこの半荘ラス落ちの危険も出てきたが、オーラスに３００・５００を引きアガって３着をキープ。
トップはトータルラス目の鈴木であり、須田としてはまだ御の字の展開であろう。

９回戦　須田―鍛治田―石野―鈴木

須田の勢いが止まらない。
東１局西家の石野がマンガン確定のリーチをかけるが、
　ドラ

親の須田が１７巡目に追いつく。

須田は残りツモ１回だが、鳴きが入っていて石野に海底含めて２回ツモ番が回るため、

少考の後を切ってリーチ。一発で石野から討ち取る。

しかし造り雀屋石野も黙ってはいない。
同２本場で須田から３９００は４５００。
次局も１３００・２６００。
南場も小刻みに点棒を積み重ねる。

鈴木もオーラスの親で７７００をアガり、鈴木・石野・須田のトップ争いとなる。

南４局２本場
鈴木　３１３００
須田　２８９００
鍛冶田１１９００
石野　２７９００

北家石野、
　ドラ

ポン、打と仕掛けて行く。

ここまでのトータルポイントが
須田　１０１．５
石野　　２５．２
鈴木　−８３．８
鍛冶田−８４．９
（供託　４２．０）
石野としては勿論トップが欲しいが、ここで須田にトップを取られると後々苦しくなってしまう。
鈴木をまくれなくても致し方ないところ。

須田１２巡目、
　ツモ　ドラ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓　　 ↓　　　↓　 　↓　↓
東家　鈴木捨て牌　

　　　　　　　　　　　　　　 ↓　　　↓　　　↓　　 ↓ ↓　↓　↓　　　　　
南家　須田捨て牌　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　↓　
西家　鍛治田捨牌　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　　↓　↓　↓　　
北家　石野捨て牌　　　　（ポン）

（↓はツモ切り）

石野の捨て牌を見て、須田の選択は受けながらの打。次巡を引き、打勝負のテンパイ。
終局間際の１６巡目に５００・１０００は７００・１２００をツモアガり、さらにトップを重ねる。

　ツモ　ドラ

１０回戦　石野―鍛治田―鈴木―須田

折り返しとなるこの半荘。ここまでのトータルポイントは、
須田　　１５３．０
石野　　　１２．４
鈴木　　−７３．７
鍛治田−１３３．７
（供託　４２．０）
ほぼ須田の一人舞台である。

東一局
この局も先に仕掛けたのは須田であった。
６巡目、北家須田
　ドラ

ここから１枚目のをポン。
テンパイまでに時間こそかかったものの、１３巡目にファーストテンパイ。

　チー　ポン　ドラ

しかし、同巡西家の鈴木からリーチが入る。
　ドラ

須田の一発目のツモ牌は鈴木に当たりである。小考の後を落としに行く。

その間に鍛治田も苦しい形ながら高目マンガンのテンパイを入れる。
　チー　ポン　ドラ

どちらがアガりをモノにするのか、と固唾を飲んで見ていると、
１６巡目「・・・ロン」の声はなんと須田から。

の後、、、と引き込み、鈴木からの出アガリ。

　チー　ポン　ロン　ドラ

東２局は、鍛治田が１０００オール、一人テンパイと小刻みに積み重ねる。
しかし同２本場、石野のリーチをかわして須田があっさり１３００・２６００は１５００・２８００のリー棒２本付をモノにし、
すぐさまトップ目へ返り咲く。

　ツモ　ドラ

東４局、迎えた須田の親番。
三者はこれ以上須田にアガられるわけにはいかない。
石野が牽制の意味も込め、６巡目にこのリーチ。

　ドラ

捨牌　　リーチ

対する須田は、
　ツモ　ドラ

ドラドラだが形は苦しい。とりあえずの打として様子を見る。
しかし１２巡目には愚形ながらドラアンコのテンパイ。

　ドラ

当然のリーチに踏み切り、親満のツモアガリ。

南２局９巡目、親の鍛治田が仕掛ける。

　ドラ

をポンして、打と行く。

１２巡目に、鈴木にテンパイが入る。
　ドラ

しかし鍛治田がポンの後と手出しで切って来ている。

ドラのも見えていないため、ここは自重してダマ。

１３巡目、石野の切ったを鍛治田がチーして打。

　チー　ポン

それを見た鈴木、即ツモ切ってリーチを敢行。

しかし、次巡鈴木が力なく河に放った牌はであった。鍛冶田の５８００のアガリ。

オーラス
須田　４３１００
石野　１２４００
鍛治田３３１００
鈴木　１１４００

是が非でも鍛治田は須田をまくりたい。
石野・鈴木もどうにかして須田をトップから引きずり下ろしたいところである。

１０巡目、ファーストテンパイは石野。
　ツモ　ドラ

一応、形上は打でテンパイに取ったが、アガっても須田を楽にさせるだけである。
おそらくアガる気はほとんど無いだろう。

１３巡目に鍛治田がようやくテンパイを果たす。
　ドラ

は場枯れだが、ツモ裏１で条件を満たす。

このリーチを受けて当然全員がオリにまわる。
悠々の鍛冶田独り道であったが、ツモれずに１７回目のツモ牌であるを河に置く・・・。

ここで反応したのが鈴木。

ここからをチーし、危険牌である打。
鍛治田に海底を回すとともに、鍛治田の出アガリハネマンに期待しての犠打である。
しかし、結局海底に待ち牌もおらず、流局。

１０回戦終了時スコア
須田　　２１５．１
石野　　−１６．２
鍛治田−１１８．６
鈴木　−１２３．３
（供託　４３．０）

第２日終了時までの和了率・放銃率データ
１０半荘　総局１１６局

須田の好調が際立つ。
しかし、トップラスで８０Ｐ以上変動する協会ルールである。
その性質からこれまでも数々の逆転劇を生んできた。
石野・鍛冶田に目があるのは勿論、現状４位の鈴木も極端に低い放銃率で耐え忍んでいる。
３日目、４日目と須田に対するマークはかなり厳しくなっていくだろう。
このまま３人がおとなしく黙っているとは思えない。
早い段階で須田に何度かラスを押しつけることができれば、まだまだわからない。
須田がこのまま逃げ切るのか、それとも反撃の狼煙が誰かから上がるのか、非常に楽しみである。

文：大浜　岳

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