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順位
名前
ポイント
1日目
2日目
11回戦
12回戦
13回戦
14回戦
15回戦
1
堀 慎吾
234.3
264.7
-59.4
15.4
10.1
48.9
-48.2
2.8
2
矢島 亨
-7.0
66.2
-62.2
61.0
-68.1
-40.3
60.3
-23.9
3
金 太賢
-110.6
-173.3
43.9
-19.9
72.5
8.3
11.2
-53.3
4
渋川 難波
-119.7
-159.6
77.7
-56.5
-14.5
-16.9
-24.3
74.4

1日目観戦記 | 2日目観戦記 | 【3日目観戦記】 | 最終日観戦記 |

★11回戦(渋川→金→矢島→堀)


ロン ドラ

矢島
ロン 暗カン ポン ドラ

ポイント上位の2人が好スタートを切る。
早くも崖っぷちに立たされたのは渋川。
上記のアガリはどちらも彼の放銃だ。

○東3局1本場
渋川
ドラ
ここから切り。
純チャンや下の三色を見た、かなり大胆な一打。


親のリーチ一発目にテンパイ。
の危険度、待ちの弱さ、打点の不満。
押したい気持ちをグッと堪えて受け、アタリ牌を吸収してテンパイ料を獲得。
我慢強い冷静なファインプレーだ。
ドラ (流局)

○東4局

上家の渋川のソーズの3副露を受けての金の手牌。
に期待できず三色変化も残して切り。
いい手順だがその後のツモは
流局してテンパイ料を得たがモヤモヤする。
どこかで払拭できればいいのだが。

矢島が堀とのリーチ合戦を制するが
ツモ ドラ 裏ドラ

堀も負けじと食らいつく。
ツモ ドラ 裏ドラ

そして迎えたオーラス、事件は起きた。

親のタンヤオのみテンパイ。
広く構えた甲斐があった、リーチだ。

しかし、いつの間にかが置かれていた。
次巡ツモでリーチ。
山に伸ばした堀の腕が描いた放物線は、ゆっくり手元へ戻ってきた。

リーチ・一発・ツモ・タンヤオ、4000オール。
実に鮮やか。なにか芸術品を見ているようだ。

-は4枚見え。曲げても流局率が高そう。
しかし-以外のピンズとソウズはいい。
テンパイ復活は容易だが親を蹴られやすい立場。
だからこそ、リーチの押さえつけではなくアガリが大事という判断だ。

11回戦スコア()はトータル
矢島+61.0(+65.0)
堀+15.4(+220.7)
金△19.9(△149.3)
渋川△56.5(△138.4)


★12回戦(堀→金→渋川→矢島)
一発ロン ドラ 裏ドラ

一発ロン ドラ 裏ドラ

現雀王が反撃の狼煙を上げた。
「やりたい事がある。まだ譲るわけにはいかない」
金の冒頭挨拶がフラッシュバックする。


南入してさらに8000点のアガリ。
マンズとソーズの染め手がいる中で、ピンズ狙いの鋭い一撃だ。

さて、堀の立場で考えると展開は悪くない。
金のラッシュも被害なく2着目、トータル2着の矢島は箱下だ。
無理せず楽な進行がしやすい。

○南3局

タンヤオ・ドラ3の4000オール。
いいアガリだが実は不満が残る。

イーシャンテンが
ドラ
6000オールや8000オールまで狙える形だった。
トータルポイント上トップが欲しいだけに、苦渋の仕掛けといえる。

○南4局
矢島△21800
堀33800
金54600
渋川33400

堀を3着に落としたい。
渋川がタンヤオで仕掛け、上家の金がアシスト。
ここまでは全員の想定通りだろう。
そこに親の矢島からリーチがきた。


「オレからは当たらないだろう」
そんな渋川の思惑は外れ、矢島が手を倒した。
リーチ裏1、3900。
意外なアガリだった。
着順アップが厳しくトータル2位の矢島。
堀の3着落ちで順位点の2万点を縮めた方が早い。
渋川を自由に打たせた方が得に思える。

○南2局2本場

2着で逃げたい堀は小考して切り。
タンヤオや平和をほぼ捨てた一打。
あとで堀に聞くと、恐ろしい答えが返ってきた。

「倍満ツモでトップだからね。全員の心を折りにいった」

リーチツモ七対子ドラドラ裏裏で倍満の2本場。確かにトップだ。
なるほど、実にジャイアンである。

2着狙いという私の前提が間違っていた。
しかし、七対子に構えるのは理に適っている。
タンヤオは時間がかかるし、受けが効かない。
ドラが対子なのも大きい。
渋川が仕掛けて3900の手になる可能性が下がり、局面が遅くなりやすい。
この局は親へ放銃したが、冷静に2着をキープした。

12回戦スコア()はトータル
金+72.5(△76.8)
堀+10.1(+230.8)
渋川△14.5(△152.9)
矢島△68.1(△3.1)


★13回戦(矢島→渋川→堀→金)

○東1局
ツモ ポン ドラ
1600/3200の先行は堀。
ここ3戦とも堀の中〜高打点のアガリで始まっている。
からの待ち取りもノータイムで完璧。
同卓者の苦悩の表情からも、堀の仕上がりの良さがわかる。

○東3局1本場

ツモ・タンヤオ・七対子・ドラドラの3000/6000。
平和がヨレて七対子はたまにあるが、気分のいいものじゃない。
しかし丁寧な進行で堀の親かぶりに成功した。

○南1局
金の華麗なアガリが出たので配牌から追っていこう。

配牌
ドラ
リーチ本線で役牌のから処理。
ドラがある時は目一杯。
ターツが弱い上に不足している時は引きのリャンカンのイメージも大切だ。

6巡目
ツモ ドラ
ツモ切り。平和やイッツーを意識した6ブロックに構える。

10巡目
ドラ
親の矢島からリーチ。
絶好のを引き盤石に。次巡ツモでリーチ。

山に6枚残りの-をしっかりツモって3000/6000。
切ったを堀が鳴いたのもリーチの後押しか。
トップを見た手作りと状況判断がバッチリの局となった。

○南4局
金が勝負に出た。

ドラ3で高め三暗刻の大物手をリーチ。
しかし、最後まで光を浴びることなく流局した。
どちらを切るにしてもダマテンもあったか。
役ありで、自由な単騎選択や多面張の変化もある。
「焦りすぎちゃったかなぁ」
逃した魚は大きかった。
卓から戻った金の小さな独り言が残響する。

13回戦スコア()はトータル
堀+48.9(+279.7)
金+8.3(△68.5)
渋川△16.9(△169.8)
矢島△40.3(△43.4)


★14回戦(堀→金→渋川→矢島)

○東2局1本場
先手を取ったのは矢島。
ロン ドラ 裏ドラ
安めでも8000点と十分。
6巡目
ドラ
タンヤオ、平和、三色すべてを見て中切り。
構想通りの手ごたえあるアガリだ。

○南1局
ドラ
渋川が2巡目のから動いた。
すぐにもポンして打
トイトイも見えるが、ホンイツの方が有効牌が多い。

堀のリーチと対決し5200の直撃。
遂に3人が望む堀のラスが見えてきた。


○南4局

ドラは。さて何を切ろうか。
矢島は少し考えを選んだ。

矢島の立場で考えると、安い手の連荘は価値が低い。
堀の3着チャンスを増やしてしまう。
また、リーチ棒を出すと金に満貫ツモ条件ができてしまう。
本来は加点チャンスの親番だが、実はかなり繊細な場面だ。

切りはそれらを上手く解消している。
テンパイ時の役ありの可能性、リーチでも-待ち残りの強さ。
なにより、ドラ引きのマンズ2メンツ構想ができる。
切りとはマンズの使いやすさが違う。実に細かい一打だ。

ドラ
ドラが暗刻になったのは金。
を仕掛け跳満へ。ツモればトップだ。

あっという間にテンパイ。
渋川からすぐ2枚目のが出たがアガらずポン。
待望の堀とのトップラスのチャンスだ、2着では終われない。

状況はさらに加速する。

堀がリーチ。
フリテンだが、ツモ裏の3着狙いのためあまり関係ない。
もちろん狙いはそれだけじゃない。

実は金のポンは少し間があった。そしてポン出し対子落とし。
その「間」に違和感を感じれば、見逃しの単騎待ちも読めそうだ。

トップをとるのは少しでもトータルの離れた金の方がいい。
ならばリーチ棒を出して金の条件を緩和。
自分にも3着条件が残る。
矢島からすると悪魔のリーチ棒だ。

残り1巡で金に究極の2択が迫る。
ポン ドラ
は生牌、は1枚切れ。
山にいるかもわからない。
ただ、この日の金はを切った。

最後のツモは、だった―
どちらでもなければ諦めがつく。
あまりに無慈悲な結末だ。

14回戦スコア()はトータル
矢島+60.3(+16.9)
金+11.2(△57.3)
渋川△24.3(△194.1)
堀△48.2(+231.5)


★15回戦(渋川→矢島→堀→金)
ツモ ドラ
金が満貫をアガったが平たいまま南入。

○南1局
ここまで誰よりも苦しんだ男にやっと追い風が吹いた。
ツモ ポン ドラ
渋川がここまで苦しむ姿は初めて見る。
先制しても追撃を受けて放銃。そして容赦のない裏ドラ。

それでも冷静に、できることをする。
豪快なアガリに目移りしがちだが、苦境に立った時こそプロの真価が問われる。
プロを目指す人、なったばかりの人は彼の真摯な姿勢をぜひ見習ってほしい。
そんな選手だからこそ

見てる側は応援したくなり、ここ一番のアガリが盛り上がるのだ。


○南3局2本場
矢島の第1打に堀が食らいついた。

パッと見、点数状況で鳴かなそうだ。
手格好も平和や三色が見えて、門前でもなんとかなる。
この仕掛けの意図を後日確認したところ、LINEで1000文字超えの返事が来た。
全て掲載はとても無理なので要約すると

・1500点のアガリの価値が高い
・トータル2着の矢島が上家
・矢島or金がアガって迎えるオーラスのラス率の高さ

この3点が大きいようだ。
アガるだけなら、はタンヤオの1番の急所。
ドラドラに見えて対応してくれれば儲けものだ。
ここでアガれば、金と矢島はある程度手を作る必要がある。
ラス回避率に着目した選択だ。

とはいえだ。
ドラ
ノータイムで、しかも1巡目に両面を鳴ける人間がどれ程いるだろう。

ツモ ポン チー ドラ
3者が対応する中での500は700オール。供託含め3100点の収入。
堀の情報処理能力の高さを見せつけられた。
この局はまさに、堀慎吾の麻雀の真骨頂と言える。

15回戦スコア()はトータル
渋川+74.4(△119.7)
堀+2.8(+234.3)
矢島△23.9(△7.0)
金△53.3(△110.6)


解説の五十嵐と須田いわく「全部が上手い」「ミスがない」
リーチ手順、仕掛け、チートイ、守り。
堀に死角なし。攻略本が欲しくなる。

2番手の矢島は残り5回で227p差。可能性は十分ある。
金、渋川も厳しいながら、しっかり食らいついている。
残り5回戦、固唾を飲んで見守るばかりだ。

                                                                          (文・佐治 敏哲)

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