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順位
名前
ポイント
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
堀 慎吾
264.7
68.6
52.7
69.0
63.3
11.1
2
矢島 亨
66.2
7.5
-20.5
-2.1
12.5
68.8
3
渋川 難波
-159.6
-20.3
-41.6
-23.2
-11.4
-63.1
4
金 太賢
-173.3
-57.8
9.4
-43.7
-64.4
-16.8

【1日目観戦記】 | 2日目観戦記 | 3日目観戦記 | 最終日観戦記 |


「矢島以外は全員自分が一番強いと思ってそうだな」
今期の決定戦のメンバーが決まった時に抱いた感想だ。

オレが一番強い――
この中の3人は間違いなくそう思ってるだろう。

飲みの席だと戯れで協会内ランキングなどを言ったりするのだが 、渋川と堀は自分を必ず一番に挙げる。
すごい自信であり、少し羨ましくあったりもする。

金とはこの類の話はしたことがないが雀王2連覇と最近の対局を見ても、その自信は見て取れる。

矢島は自分より強い人間がいるのを認めてはいるが、自分より強いと思っている者を倒すことで自分の強さを証明したいのは間違いない。
ひょっとすると一番勝ちたいのは矢島かもしれない。


【一回戦】
東1局 ドラ

南家は苦手と常々言っている渋川だが開始早々にオリジナルな手順を踏む。


ここから打
渋川が見据えたのは789の三色、一通、純チャン。
まだ早い巡目であり、その構想にはは必要ないということだ。

その渋川が10巡目にテンパイ。
ドラ

ヤミテンにし、堀のを捉えて満貫をアガる 。

これは言われれば理解はできるがなかなかできないプレイではないだろうか。
「勝率は45%です」と公言する男がまずは先制する。



東4局

親の堀の3副露に対して矢島がメンホンチートイをテンパイ。
堀の麻雀をよく知っている矢島は、堀が3副露とはいえテンパってないこともあり、矢島自身のアガリはにあると判断し勝負の打


堀は矢島の希望通りイーシャンテンだったが、をポンすると、山に3枚残りのドラを手繰り寄せた。

ツモ ドラ カンドラ

堀に好きな役は?と尋ねればトイトイ、ホンイツと答える。
仕掛けて高い手をアガリ切る堀の麻雀の真骨頂を見せつける。

この後もチートイツで4000オールをアガるなど連荘し、一回戦は堀が制す。

一回戦終了時の合計
堀 +68.6
矢島 +7.5
渋川 ▲20.3
金 ▲57.8


【二回戦】

決定戦といえば長丁場が恒例だがこの半荘は8局で終了。

東3局ドラ
現雀王の金が好配牌を手にする。


これはすぐテンパイするだろうと思われたが、なんとテンパイは13巡目。


・・・しかもこの形である。
不服ではあるが巡目も深いためリーチといく


2巡後にをツモり、リーチ・ツモ・タンヤオ・三暗刻で2000.4000。

リーチ後に持ってきた牌を見て欲しい。
・・・なんとテンパイ外しをしていれば四暗刻。

もちろんこの巡目でテンパイ外しをするのは難しい選択ではあるが・・・

金も苦笑してこの表情を浮かべる。
「やれやれ、これは苦労しそうだな」
そんな思いだっただろうか。

ちなみに金は一回戦ノーホーラだったこともあり、気分転換にメガネを変えている。

[After]


[Before]


どこに売っているんだというシャツがトレードマークの金。
二日目以降の服装にも注目してみて欲しい。


この半荘を制したのは一回戦に続き堀慎吾。
勝負の分かれ目は南2局。
金の先制リーチ、渋川のホンイツテンパイに真向勝負で満貫ツモ。

南2局 ドラ 裏ドラ


渋川


ツモ

生牌のを掴んだ時には流石に放銃したと思ったか、珍しく感情が切り方にも表れた。



堀は続く南3局にも役牌ホンイツ一通の満貫をアガり連続トップをものにした。

二回戦終了時の合計
堀 +121.3(+52.7)
矢島 ▲13.0(▲20.5)
渋川 ▲48,4(▲41.6)
金 ▲61.9(+9.4)



【三回戦】

堀が2連勝となればまだまだ先は長いとはいえ、 3連勝は阻止したいのが3者の共通見解だ

南3局までは金が40000点越えのトップ目だったがこの日の堀は出来が違う。

南2局
矢島の先制リーチに対し、チートイドラドラをテンパイすると、まずは生牌の白を勝負。
その後に一枚枯れのを引くとを切ってリーチと出た。


堀の思考は以下の3点。
・矢島は役牌からの切り出しでが当たる可能性は低い。
・渋川の捨て牌が変則的での所在が不明。
・渋川がをトイツ落とししておらず、金も合わせていないのでは山にいる可能性が高い。

見事に2巡後にを引き当て跳満をツモアガる。


南3局
3回戦は勝負手の空振りが続き苦しい展開だった矢島だがこの局は高打点の手牌構想力が上手くハマった。
2巡目にホンイツ、チャンタを見据えて切り。


13巡目にテンパイし、リーチといくと金からをアガる。
金もタンピンのテンパイを入れており、危険は承知の切りだったがここは手痛い放銃となってしまった。


南4局
東家 堀 36000
南家 金 28600
西家 渋川 20800
北家 矢島 14600

伏せてもトップの堀。
今年のリーグ戦を見ても思ったが堀はトップに立った後のプレッシャーの掛け方が抜群だ。
この局もドラ色のホンイツで相手に簡単な進行を許さない。

矢島が着順アップのためリーチ。
ドラ

8000は打てない堀だったがリーチにドラ跨ぎのをプッシュ。
この押しには嫌な予感が全員に走るが矢島の待ちも悪くない。

しかし、数巡後に手を開いたのは堀。


ツモ ドラ
トドメの4000オール。

次局に矢島が金からの8000で4→2に着順を上げることに成功したが、堀の3連勝で三回戦を終えた。


三回戦終了時の合計
堀 +190.3(+69.0)
矢島 ▲15.1(▲2.1)
渋川 ▲85.1(▲23.2)
金 ▲93.2(▲43.7)



【四回戦】

四回戦も堀の勢いは止まらない。
アガリを積み重ね東三局で40000点を超える。


東四局

親の矢島に大物手を予感させる配牌が与えられる。

そこそこの手の堀が矢島に字牌を被せるが、その全てが矢島に鳴かれてしまう。

矢島が4枚目を切るときには2者の捨て牌が無いという珍しい場面だ。

ここからを切った矢島だが、次巡に東を引くと小考に入る。



矢島打

!?西じゃないの!?」
控え室で思わず声が出たが矢島はホンイツの保険を断った。

これは思い切った進行だが、周りが親の自分の仕掛けには逆らいづらいことも考えると最高形を残すのもありか。

を引きと入れ替えた後にが暗刻になると打単騎に。

見事にを引き当て6000オール。

この半荘終了後に矢島と話すと
「浅井くん、あれなんで単騎にしたか分かる?」

「いや、分かんないです。なんでですか?(みんな降りてて優劣は無かったような)」

の方が盲牌でわかりやすいからね!これ観戦記書いといて!」

・・・よくこの舞台でそれで選べるなと苦笑した。


さてこのアガリの裏にはこんな苦悩があった。
渋川の手牌をご覧いただきたい。
皆さんなら何を切るだろうか?

矢島はポン打
ポン打
ポン打
手出し
手出し
手出しで残りはツモ切りとなっている。

矢島がホンイツだとして、ソーズかマンズかの判断は一見できないように見える。
長考の末、渋川はを選んだ。

マンズのホンイツだとしたらを先に払い、ピンズのホンイツとの天秤にかけるのではないか?
それならばとトイトイにも当たりづらい切り。

実際はまだテンパイでは無かったがこの辺りの読みの精度高さはいつも通りだ。

堀と矢島のマッチレースだが、南2局に堀が勝負を掛けたリーチを放つ。

全員が押してきそうな点棒状況で2600の愚形リーチはリスクもかなり高いが、ここのアガリは大きいと捉えリーチに踏み切った。

親の渋川は当然降りる訳にはいかない、全力勝負で追いつく。


堀からの12000が3者の最高のシナリオだ。
枚数も3対1で渋川に分がある。

しかし、またしても堀の手が開かれた。
これには堀以外の全員が顔を歪める。

オーラスも役牌を鳴けた堀がさらっと流し4連勝を飾った。


四回戦終了時の合計
堀 +253.6(+63.3)
矢島 ▲2.6(+12.5)
渋川 ▲96.5(▲11.4)
金 ▲156.5(▲64.4)


五回戦

南3局まで均衡した状態を保っていたが、矢島が親で爆発。

堀のリーチをかいくぐり4000オール。
このアガリから7本場まで積み6万点近くまで点棒を積み重ねる。

堀をラスにしたい矢島が7本場ではラス目の渋川に打って良しの放銃だったが、なんと裏3で12000。
本場込で▲14.1は少々痛手となったが堀をラス目にすることには成功した。


南4局

矢島は上家の金からのアシストに期待してドラのを一打に切った。
金もそれに呼応し矢島に鳴かせにいくが、渋川が上手くその牌をポンしマンズの清一色に向かった堀から2900をアガる。


しかし、この連荘が渋川に悲劇を生み出そうとは・・・


堀の配牌と第一ツモ


誰が言ったかは分からないが昔こんな話を聞いたことがある。
「オーラスにはその半荘の全てが集約される。」
私は右から左に受け流していたがこれはもうそういうことなのかもしれない。

をすぐ重ねると、アガリに来た金からが飛び出す。
7巡目にはが暗刻で三倍満をテンパイ。


解説席からもこの事態に声があがる。
※5回戦は解説 田内翼、実況 佐月麻里子

佐月「私、心臓がもうやばくて本当に、田内さん私の心臓触ります?」
田内「心臓、大丈夫です」

何を言ってるかは分からないがとにかく「やばい」ということだろう。
もちろん尋常じゃない捨て牌は全員が分かっている。

しかし、3着目で親番の渋川にテンパイでを止めろというのは、無理というものだろう。
むしろ優勝の為に危険は承知で押したと見るべきだ。




五回戦終了時の合計
堀 +264,7(+11.1)
矢島 +66.2(+68.8)
渋川 ▲159.6(▲63.1)
金 ▲173.3(▲16.8)

4連勝2着1回という圧巻の成績を堀が収めた。
過去に鈴木たろうが初日5連勝からの優勝を成し遂げたことがあったが、それを彷彿とさせる勝ち方だった。

控え室では緊張から解き放たれたか、談笑する声が聞こえる。
勝利確率は45%と言った渋川。
渋川に周囲が何%になったか聞いている。

「最後のはさすがに参った・・・あれで40%になった」

・・・どういう計算で弾き出したのかは分からないが、残り15回もあれば問題ないだろうということだろうか。

金、渋川は当然黙っているわけはないだろうし、今日の堀と同じことをすれば十分逆転は可能だ。
矢島に関してはポイントを伸ばせば自然と堀を捲ることも可能だろう。

全員のターゲットなる堀は苦しい戦いが予想されるが、堀がどう戦うのかは楽しみでもある。
いつも通り飄々と交わしてしまうような気もする。


最後に堀にもこの質問をしてみた。
「堀さん優勝確率は今何%ですか?」

堀は少しはにかんでこう答えた。

「それはみんなの前では言えないなぁ」

                                                                          (文・浅井 堂岐)

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