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【最終ポイント成績】

順位
選手名
TOTAL
予選
決勝1回戦
決勝2回戦
豊原 有太
185.7
241.4
-58.8
3.1
浅川 恭行
122.0
100.4
67.7
-46.1
郷内 武広
74.5
31.0
-16.4
59.9
田端 靖浩
37.8
48.2
7.5
-17.9

【東北チャレンジカップとは】

9月15日に東北支部の初主催となるワンデイマッチ「東北チャンピオンシップ」が行われた。
初開催となる今回は12名の参加となり、予選4回、決勝2回のポイント持ち越しの試合設定。

【優勝者自戦記】

去る9月15日(日)、協会東北支部主催のワンデイマッチである東北チャンピオンシップが行われた。
大会のシステムは予選4荘、決勝2荘の「ポイント持ち越し」の大会である。
この大会の模様を、優勝者である豊原有太、つまり筆者の視点で語っていこうと思う。


予選の筆者の戦いぶりはページの都合上割愛とさせていただきます…というより見所特に無し。
その日の筆者には近年稀に見るビッグウェーブが到来!配牌よしツモよし裏もっこりという有様。

同期の叶さいぞ曰く
「おたく今日本で一番牌勢がいいんでない?」

それほど今日の出来がいいのだ。覚えていたのは各卓をただただ蹂躙していった事のみ。

かくして予選四連勝の金看板を引っ提げ、堂々と決勝卓へと歩を進めた筆者であった。

決勝のメンバーは浅川、郷内、田端の各プロ。
皆、筆者よりも格上の先輩方である。
キツイ面子になったなぁというのが正直な感想。


ここで予選終了段階でのポイントを記そう。

豊原 241.4
浅川 100.4
田端  48.2
郷内  31.0


つまり優勝するには筆者を最低でも3着以下に落とすことが必要条件になる。
皆の条件は一致しているので必然と3対1の構図になるわけだ。暗黙の共同戦線が張られるのは間違いない。
優勝までの道のりが決して平坦では無い事を想起させる。しかもこの熟練者達との対峙である。

「胸を借りるつもりでいこう…」
そう思いながら決勝の席についた。

決勝、一回戦目。
座順は東家より浅川、郷内、田端、豊原。
ラス親を引けたのは吉兆なのだろうか?


東一局は5巡目にして以下の牌姿。

一萬二萬三萬四萬四萬四筒五筒六筒二索三索六索七索八索 ドラ六筒

予選の勢いを駆ってか淀みの無いツモで瞬く間にテンパイ、即リーチ。
ほどなくしてツモ。1300・2600。
幸先のよいアガりに内心「フフッ」とほくそ笑む。
この後数々の受難が待ち受けているとも知らずに・・・。


次局は、前局親カブりをした浅川から、9巡目に負けじと先制リーチがかかる。
現在ポイント2着目のリーチである。


――浅川恭行 C1リーグ所属
今回この東北CSのために郡山よりわざわざ足を運んで来てくれた。
筆者とは初の顔合わせとなるので打ち筋や雀風の事はあまりわからないが、
若さに似合わぬ落ち着きと、打点の高い本格的な麻雀が強く印象に残った。

ここは慎重かつ丁寧に現物を抜いていくことに決めた。
どうやら他の二者も同じ考えらしく、危険な牌は河に全く顔を見せずに流局。
これが決勝戦独特の重い空気というやつであろうか?


続く東三局1本場。

親番の田端も黙っていない。

――田端靖浩 B2リーグ所属
栄えある協会第一期生。東北CSの企画、運営を切り盛りしたのはこの男である。
協会東北支部を創設時より陰で支えてきた裏の大幹部。
抑えの切り札の異名通り、堅い麻雀を打たせたら右に出るものはいない。


五萬六萬七萬九萬九萬二筒二筒四索五索六索七索七索七索 ツモ九萬 ドラ西 1300は1400オール

四萬四萬四萬五萬六萬七萬三筒三筒三筒四索五索發發 ツモ六索 ドラ六筒 2600は2800オール

と立て続けにリーチをツモあがりトップ目に立つ。
この間筆者と浅川はほとんどベタ降り。当然である。
お互いが着順勝負とあっては滅多な事では前には出て来ない、否!出れないのだ。

それでも、歯を食いしばって自力で流しに行けるところはいかなくては…。

なんとか500・1000で場を進め、ほっと一息つく。


東場は手の入った者があがり、入らなかった者はただただ傍観をするだけの比較的静かで大人しい展開。
しかし一回戦から条件戦となってしまったためか、常に最終局面のような重苦しいムードが場を支配していた。
その緊迫した空気は風船の様に膨張し続け、いつしか爆発寸前となっていたのにこの時の私は気付くことが出来なかった。


南一局、ドラは三索

6巡目。ポンの発声は親の浅川。

五萬六萬九萬九萬五索六索七索一筒七筒八筒 ポン白白白横

7巡目。若干の間を置いてポンの声を掛けたのは西家田端。

四萬五萬七萬八萬八萬三索三索三索四索四索 ポン南横南南

こちらはドラが隠し暗刻の大物手である。おそらく筆者からの直撃を画策していた筈だ。


二人の仕掛けを受け、北家の筆者はこの形。

二萬二萬三萬三萬九萬一筒八筒八筒九筒北北


トータルで圧倒的な点差を得ている筆者は、リスクを負わずに場を進めるのが定石。
無闇やたらに前に出るべきでは無い、それはわかっている。

しかし二者の鳴きを受けて筆者は、ツモ切りのリーチ。
宣言牌は、筋の六筒であった。


甘かった。次巡、待っていたかの様に南家郷内が勢いよく牌を叩きつける。

「リ゛−チ!!」

五萬六萬七萬八萬八萬二筒三筒四筒五筒六筒七筒五索六索


――郷内武広 C2リーグ所属
言わずと知れた第14期最強位。協会東北支部長の顔も持つ。
豪快な印象を与えがちだが、実は緻密で戦略的な麻雀を打つ。
最後尾のスタートながら最も怖い存在である事は同卓者全員納得済みだ。
この決勝戦でもその大人の麻雀を存分に魅せつけてくれるであろう。

その執念が筆者の一発目のツモに高目を掴ませた。
力無く河に置かれる七索

「ロ゛ン!!」

怒声の様な発声と共に手牌が倒される。
メンタンピン三色、一発がついて12000点なり。


膨れあがった風船を割ってしまったのは、重苦しい空気に耐え切れずに自ら首を差し出してしまった筆者であった。

一瞬のスキを突いて放たれたクリティカルヒット。結果は思ったよりも残酷であった。

南2局。
ここで、ここまでの点棒状況を説明しておこう。

東家から順に
浅川 19400点
郷内 30700点
田端 37600点
豊原 12300点


前局痛恨の大失点を負った筆者ではあるが、浅川との差自体はそれほど離れていない。
これ以上傷口が広がらない事を願いつつオーラスを迎えたい所だ。

しかしここから浅川の猛攻が始まる。

4巡目 北家 浅川 

二萬二萬三萬三萬四萬五萬七萬三筒四筒七筒八筒二索三索 ツモ五萬 ドラ五筒

さて何切る問題。
ターツオーバーの手牌、どこを外そう?

浅川が選んだのは七筒
マンズの部分の形を壊さない方針だ。

この選択が功を奏す。
六萬二萬とツモり12巡目。

二萬二萬二萬三萬三萬四萬五萬六萬七萬三筒四筒二索三索 ツモ四索 ドラ五筒

高め三色の大物手のできあがりだ。
当然三萬を切って即リーチ。

2巡後安めのドラ五筒をツモるも、裏が乗って3000・6000は3100・6100。


さらに続く浅川のターン。

西家で7巡目、手なりであっという間にテンパイ、リーチ。

七萬八萬九萬四索五索六索七索八索九索西西北北 ドラ六索

あっさりと高めの西をツモりあがる。2000・4000。
たった2局で浅川はトップにのし上がり、筆者は点差を34500まで広げられて最悪の展開。


そのオーラス、全く手を緩めない浅川。6巡目に親である筆者の五筒四筒五筒六筒でチー。

「まずい、早いのか!?」

その仕掛けを受けた筆者の牌姿がこれである。

五萬七萬五筒六筒一索二索三索四索五索六索八索白白 ツモ七索 ドラ東

本来なら素直に五萬七萬と落としていくところなのだが、
先程五筒を鳴いた浅川の捨牌がこう。

九筒八萬西五索三索二筒
七索

マンズはもう切れないと踏み、ピンズを払う。
しかしその逃げ腰を嘲笑うかの様に、次巡浅川があっさりツモりあがる。
待ちはマンズでもピンズでも、はたまたソウズでもなし。

七萬八萬九萬東東南南中中中 チー五筒横四筒六筒 ツモ東

トドメの一撃、2000・4000。
浅川にとっては最高の、筆者にとっては最悪のシナリオの完成だ。

一回戦結果

浅川+67.7
田端+7.5
郷内-16.4
豊原-58.8

トータルポイント

豊原182.6
浅川168.1
田端55.7
郷内14.6

「もう豊原は終わったな」「浅川で決まりだ」

後ろで見ていた人達は皆思ったそうだ。

確かに一回戦終盤の浅川の猛攻は、そう思わせるに十分なインパクトを持っていた。
加えて半荘全体を通した筆者の消極的な姿勢が、敗勢を匂わせたのかもしれない。

二回戦までのしばしの休憩の間、一人佇んでいると郷内が笑みを浮かべながら語りかけてきた。

郷内「どうだおもしろくなったろう?」

筆者「ええ、おかげさまで」

あの南1局がターニングポイントになった事は間違いない。
この男全くもっていい仕事をする。
荒武者の名は伊達じゃない。

しかしながら今更あの事を悔やんでいてもしょうがない。現実を見据える。
浅川との差は僅か14.5ポイント、つまりは完全なる着順勝負である。
むしろわかりやすくて闘いやすい。気持ちを切り替え、静かに闘志を燃やした。

「まだもう1半荘ある!」


二回戦

座順は東より豊原、浅川、田端、郷内


開局早々、9巡目に南家の浅川が先制リーチ。筆者は早くも山場を迎える。
起家を引いての当面のライバルのリーチ、引くわけにはいかない。
その時の筆者の手はこう。

六萬七萬八萬一筒二筒二筒七筒七筒八筒六索七索白白 ドラ六索

次巡白を鳴き、さらに2巡後ようやく追いつく。

六萬七萬八萬一筒二筒七筒七筒六索六索七索 ツモ八索 ポン白白横白

現張りのペン三筒、しかし余り牌はドラの六索
躊躇せずに打ち放つ・・・。

「ロン」

手牌を倒したのはこの直前に仕掛けを入れていた北家郷内。

一萬二萬三萬一索二索三索七索八索東東 チー二筒横一筒三筒 ロン六索

鳴きの三色ドラ1で2000点。
これなら浅川との差は1000点、最悪の事態は何とか回避する事が出来た。
振り込んだもののほっと胸を撫で下ろす。

だがこの後、筆者は本日一番のミスを犯してしまう。
東4局1本場、15巡目のことである

一萬一萬四萬五萬六萬一筒二筒二筒三筒三筒四筒二索四索 ドラ白

南家である筆者はここに二索をツモってきて小考。


二索は生牌、変則手模様の親に対して不気味に思った筆者、比較的安全と思われる2枚切れの四索切りを選択。
しかしこれが親の郷内の今テンチートイドラドラ、9600は9900にズドン。

リーチもかけずに中途半端に役無しテンパイを維持した揚句の放銃。
巡目的にもあがりは見込めない手だったのだから、見切りをつけて降りにまわるべきだった。

しかしながら何度と無く筆者に苦渋を味合わせるこの男。さすが第十四期最強位である。

続く二本場は流局して東場終了。

ここまでの点棒状況は、

豊原 15800
浅川 19800
田端 22700
郷内 40700

となっている。筆者、浅川の点差はほとんど無しと言っても差し支えが無いだろう。

南1局3本場、東家の筆者に早い巡目のチャンス手到来。

六七八EEEFG12678 ドラ北

ツモれば親満のこのリーチだったが、結局流局となってしまう。

同4本場。本日のハイライト。

筆者の配牌。

六萬七萬八萬六筒六筒六筒七筒八筒一索二索六索七索八索 ドラ北

ドラの扱い方次第といった所か。
3巡目に八筒を引き入れるものの、それ以外の部分が中々まとまらない。

三萬五萬八萬八萬九萬四筒五筒六筒七筒八筒九筒二索白


4巡目、北家の郷内が早々に三索をチーして染め手気配。
ドラが役牌なだけに非常にイヤな仕掛けだ。
この決勝で郷内には散々痛い目に遭わされている。
今回も辛酸を舐めさせられるのだろうか?

5巡目郷内、九索をポンして2フーロ。

一層ドラが打ちにくい状況になったなぁと思っていた所に、
そのポンで下りてきた牌はドラの白。光明が差した。

迎えた9巡目、待ちに待ったテンパイ。

三萬五萬八萬八萬九萬四筒五筒六筒七筒八筒九筒白白 ツモ七萬

待ちは場に二枚とびのカン四萬。軽く深呼吸をして、八萬を横に曲げた。
14巡目、一瞬顔を曇らせた郷内が四萬を静かに河に置く。7700は8900。
ようやく一矢報いる事ができた。

南2局、浅川最後の親番。浅川は東1局のリーチ以来全くといっていいくらい目立っておらず。
一回戦の勢いも失ってしまったかの様だった。しかしここは意地のテンパイを入れる。

三萬三萬四萬四萬六萬七萬八萬五筒六筒七筒二索三索四索 ドラ八筒


12巡目、並びシャンポンの三萬四萬待ち。
16巡目、四萬を手元に引き寄せたのは・・・西家の郷内。

二萬二萬五萬六萬二筒三筒四筒四索四索五索五索六索六索 ツモ四萬

1300、2600。


オーラス

豊原 24900
浅川 12700
田端 23900
郷内 38500

1本場は郷内が軽くあがる、700は800オール。

続く2本場、長き沈黙を破り土壇場にて繰り出されるは浅川のファイナルフラッシュ。
「待たせたな」と言わんばかりに牌を叩きつける。

三萬三萬四萬四萬五萬一筒二筒三筒七筒七筒一索二索三索 ドラ三萬

高めなら文句なし、安めでも一発か裏1でハネマンの文字通り逆転手。
浅川の力を込めた一ツモ一ツモがとても重苦しく感じる。
すでに降り気味に打っていた筆者にできる事と言えば、ただただこの手が成就しない事を祈るだけ。

最後のツモが河に放たれる。親の郷内が静かに手を伏せ、終局。


優勝は豊原有太。

東北C3リーグ所属入会2期目の筆者が初の栄冠に輝きました。

大会を成功させるために御尽力された運営の方々、多忙の中本当にお疲れ様でした。

初開催となる東北CS初代チャンピオンの栄誉をいただけた事を大変光栄に思います。

今後はこの東北CSが2、3回と続き、ひいては東北支部の発展に繋がる様、自身の力を寄与していきたいです。

自分としてはこれをきっかけに更なる飛躍を遂げられる様、切磋琢磨していきたいと思います。

ありがとうございました。

(文:豊原有太)

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