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順位
選手名
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
吉田 俊介
125.6
24.3
-50.4
10.8
79.6
61.3
2
奥田 大祐
27.3
-63.8
12.6
51.5
14.2
12.8
3
元島 照志
-28.0
-30.9
63.9
-10.7
-27.6
-22.7
4
愛内 よしえ
-125.9
70.4
-27.1
-51.6
-66.2
-51.4

【第9期新人王戦 観戦記】

今回、初めて協会のタイトル戦の観戦記を担当させてもらうことになった。
しかも、担当のタイトル戦が去年筆者が獲得した「新人王戦」。
過去このタイトル戦には、
第8期雀竜位の大脇貴久、現女流雀王の朝倉ゆかり、第7期雀王の小倉孝など、
今では協会を代表する錚々たる先輩プロたちが獲得している。

今回、新人王の決勝戦に駒を進めたのはこの4名!
吉田俊介(5期後期入会)
関西所属。関大前の雀荘の店長を勤める。
周りの人たちに対して気遣いがしっかりしていて、麻雀に関してはかなりの研究熱心な一面を持つ。

元島照志(6期前期入会)
関西所属ではあるが、福岡の小倉に住んでいる。
見た目はがっちりしているが、大人しい性格をしている。
今期のリーグ戦は休場しているが、今回の新人王に関しては気合十分に意気込んでいるのが印象的だった。

奥田大祐(7期前期入会)
関西所属。控えめな性格だが、MJで認定雀士になるほどの実力者!
打点重視の麻雀を打つ傾向が見られる。
「いや、まじで」が口癖らしい。

愛内よしえ(7期後期入会)
関東所属。第8期女流雀王戦第3位。
筆者は彼女とはプロになる前から知り合っていたが、その時から麻雀に対する姿勢は猛るものがあった。
協会史上最年少で女流雀王決定戦に進むなど、その実力も確か。

 

★1回戦★ 〜波乱の幕開け〜 (愛内→奥田→元島→吉田)

緊張感あふれる中で始まった第9期新人王戦、スタートダッシュを決めたのは愛内。
愛内(北家)
 ロン ドラ 裏ドラ

配牌からチートイツのリャンシャンテンだが、
7巡目に上家の吉田が初牌のを切ったのを見て、が出るのを確信したという愛内。
あえて即リーチせずに次巡、ツモ切りリーチすることによって、の警戒心を薄れさせている。
決勝という緊張した大舞台で、自分の信念を曲げずにしっかりと麻雀を打っていた愛内。
筆者にとってはひとまわり以上も年齢が下なのに恐れ入る。

さらに次局は大物手がぶつかりあった。
親の元島がツモり四暗刻テンパイでリーチをすると、負けじと吉田もを暗刻にしてメンホンで追っかけリーチ!!
さらに愛内にはタンヤオドラ3のテンパイが入る!!

しかし、この局を制したのは最後にテンパイを入れた奥田。

なんともいやはや、大荒れを予感させる局であった。。。
その予感は的中し、愛内が子の満貫・親のハネ満をツモアガると、
愛内(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

これまで耐え忍んでいた吉田が南2局で子の満貫ツモ、南3局1本場で5200は5500を奥田からアガり愛内に急接近。

そして迎えたオーラスでは、奥田に先制リーチを打たれるも、
追っかけて奥田から12000をもぎ取り、ついには愛内を抜いてトップに立った。

しかし、ここでも平常心を保っていた愛内。
次局で1300・2600の1本場をあがり、吉田の追い上げを断ち切ってトップを奪取する!
愛内(南家)
 ポン ポン ツモ ドラ

これで愛内は5万点オーバーの大トップ。これ以上ないスタートダッシュを決めた。
1回戦目でこの乱打戦。まさに波乱の幕開けとなった。

【1回戦】
愛内+70.4 吉田+24.3 元島▲30.9 奥田▲63.8

 

★2回戦★ 〜逆襲〜 (吉田→愛内→奥田→元島)

勢いに乗りたい愛内。
奥田に1300を振込むも、親番で奥田から3900取返した後の東2局1本場。
愛内がピンフイーペーコー確定のリーチをかける。
愛内(東家)
 ドラ

一気にたたみかけようとした愛内に、奥田がドラ3を抱えての追っかけリーチ!
これが、裏3となって一気に倍満に!!!
独走体勢の愛内に暗雲がたちこめる。
奥田(南家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

次局も愛内は元島に満貫を振込み、次々局には奥田に3900振込み、開始早々の勢いを落とす。
さらに、南3局1本場 ドラ
ハイテイ間際に、愛内が切ったが元島のハネ満に当たってしまう。
元島(南家)
 ポン ロン ドラ

場況は2枚切れ、4枚切れ、4枚切れ、1枚切れとは確かにかなり出やすい。
は出やすい場況だけど、ハイテイ前と考えれば甘かった」と愛内はこの局面を反省していた。
逆に今度は元島が一気に巻き返し、親番が回ってきた南4局で2600オールでしっかり加点し、この半荘のトップをもぎ取った!!

【2回戦】
元島+63.9 奥田+12.6 愛内△27.1 吉田△50.4

2回戦終了時トータル
愛内 +43.3
元島 +33.0
吉田 ▲26.1
奥田 ▲51.2

 

★3回戦★ 〜接戦〜 (奥田→吉田→愛内→元島)

折り返し地点、トータルマイナスの奥田・吉田にとってはどうしてもトップが欲しい3回戦目。
そんな2人に意地と意地がぶつかり合う。
親番スタートの奥田、いきなり愛内の満貫ツモ親っかぶりの洗礼を受けてしまう・・・
愛内(西家)
 ツモ ドラ

一方の吉田は、東場の親を迎えて2600オール、次局は愛内から1500は1800と順調に加点していく。

それに対して奥田も同局2本場で1000・2000をあがり、反撃体勢を整えていく。

ここで、それまでの対局からバランス派のイメージが強かった奥田が、本来の打点重視の麻雀を魅せる。
それがこの東4局2本場。
奥田(南家)
 ロン ドラ

愛内から6400点打ち取っているのだが、捨て牌からチートイツに見せないようにヤオチュウ牌を連続して切っている。
ロン牌がだったが、アガった時思わず「うまい!」と声が出そうなくらい素晴らしいアガリだった、いや、まじで。

そして、南2局でもハネ満をツモアガり、ようやく奥田本来の力が発揮されてきたようだ!

一方の吉田もしっかりと魅せる。
吉田(北家) 8巡目
 ツモ ドラ

ここで吉田は2巡目でを打っているのだが、打としている。これは、仕掛けている愛内、元島に対応してのもの。
結果、最後までを手離すことはなくテンパイまでこじつけた。

手牌を開けられ時の、愛内・元島の驚いた表情が印象的だった。

オーラスを迎えての得点状況
奥田 31500  元島 30300 吉田 29800 愛内 8400

この状況で吉田に2着アガリが出る。

「ここではトータルトップ争いに奥田を引き入れることによって、最終条件を少しでも緩めたかった」とは吉田。

なるほど、確かにここまでのトータルトップを走っている元島を3位にすれば、
元島のポイントが10ポイント近く下がり、最終的な優勝条件が少しでも楽になる。
目の前のトップよりもその先を考えての吉田の状況判断力には「さすが」の一言だ。
一方、元島にとってはダマの親マンを張っていたが為に、
吉田の1000点のアガりには点数以上のダメージがあったかもしれない・・・

トータル最下位だった奥田がトップを取ったことによって、一気に4人が並んだ格好となった。

【3回戦】
奥田+51.5 吉田+10.8 元島▲10.7 愛内▲51.6

3回戦終了時トータル
元島 +22.3  
奥田 +0.3  
愛内 ▲8.3  
吉田 ▲15.3

 

★4回戦★ 〜まさかの!?〜 (奥田→愛内→元島→吉田)

東3局。元島が親で即リーチをかけるのだが・・・
元島(東家) 6巡目
 ツモ 打リーチ ドラ

親リーチで3者を押さえつける意味でリーチしたと思われるが、
まだ巡目も浅かっただけにもう少し手変わりを待ってもよかった場面であった。
結果的に次巡を引いて、2巡後にはを引いている。
さらに3巡後にはを引いてる。
当の本人も「さすがに早すぎましたね・・・」とこの局をしきりに反省していた。
さらに元島に悪夢が訪れる・・・・

「ツモ!!」

奥田の手牌が倒される・・・なんと四暗刻の親っかぶり!!
奥田(西家) 16巡目
 ツモ ドラ

これで奥田が完全に一気に蘇った格好となった!
一方、愛内にミスが少しづつ目立ちはじめる・・・

東4局、親の吉田がポン、ポンの早い仕掛けに対し、すぐさまを切って吉田へ7700を献上。
親の早い仕掛けなだけに、少し警戒心が薄れたか。

四暗刻の貯金を守りたい奥田であったが、親で何気なく切ったが元島のダマ満貫に当たってしまう・・・
元島(西家)
 ロン ドラ

場況的にはが3枚切れ、奥田の手中にはが3枚あったため、
それほど危険な牌ではないが「油断した」と奥田。
前局でも12000アガった元島にとっては、東場での役満親かぶりを取り戻した格好となる。
奥田は南3局でも愛内に8000を振り込み、一気に吉田との差が縮まってしまう。
このチャンスを見逃す訳にはいかないと吉田。
南4局一本場。逃げ切ろうとする奥田から技ありの7700をゲット!まさに「デバサイ」である。
吉田(東家)
 ロン ドラ

さらにはテンパイ連荘を重ねて5万点オーバーとなり、ついにトップを奪取した吉田。
これで4人全員がそれぞれトップ1回ずつ取ったことになる。

【4回戦】
吉田+79.6 奥田+14.2 元島▲27.6 愛内▲67.2

4回戦終了時トータル
吉田 +64.3 
奥田 +14.5
元島 ▲5.3 
愛内 ▲74.5

 

★最終戦★ 〜劇的フィナーレ〜 (愛内→奥田→元島→吉田)

ホワイトボードにそれぞれのポイントが記されていくのを見て、各々条件ポイントを計算していった。
優位な立場に立った吉田ではあるが、奥田はトップ条件、元島に関しても点数を重ねたトップなら十分優勝に手が届く条件である。
愛内だけは並びも考慮した上での進行が必要で、不可能ではないが厳しい条件である。
今期の新人王は、いったい誰に輝くのか!!? 
ラストステージの幕があがる・・・

最初に抜け出したのは奥田。
親を迎えた14巡目、ドラの引き入れてリーチ!!
奥田(東家)
 ツモ 打リーチ ドラ

場況確認すると、奥田の目からはが4枚見え、高目のが1枚、さらには愛内が暗カンしている状況。
最高にいい待ちだと確信して、リーチを敢行!!
元島も負けじと追っかけるが奥田の高目をつかむ・・・
奥田にとっては会心の一撃!!いや、まじで!
奥田(東家)
 ロン ドラ 裏ドラ

この18000で奥田の優勝がグッと近づいたかに見えた。
しかし、そんな奥田に吉田が待ったをかける!!

東3局2本場。
「リーチ!!」

ここに来て吉田にダブリーが入る!!
会場にいたみんなは「え?」って思ったに違いない。
5巡目には自らツモアガり、奥田を追っかける体勢を整える。

吉田(西家)
 ダブリーツモ ドラ 裏ドラ

さらに、愛内も諦めずに必死に追い上げる!
東4局で満貫をツモあがり、南場の親を迎えて1300オールなどで点棒を加算していく。

「最後まで諦めない」そう彼女の心の声が聞こえてきそうであった。
しかし、元島に12000を放銃したことにより愛内の第9期新人王戦は幕を下ろす。
元島(西家)
 ロン ドラ 裏ドラ

元島も必死に粘るが、親は2本場で吉田に流されオーラスを迎える。
この時点で奥田は4万点持ちのトップ。
追い上げる吉田は3着なので、ポイント的にはまだ奥田に余裕がある。

「このまま逃げ切りたい」
奥田の気持ちが素直に聞き取れそうな感じがした。

しかし、最後の最後に吉田にとっても奥田にとっても忘れられないドラマが待っていた・・・・

吉田が粘ってテンパイ連荘を重ねて迎えた南4局2本場。
9巡目にしてこのイーシャンテン。
吉田(東家)
 ドラ

ここから9巡連続ツモ切りが続く。
5巡前には上家の元島からが出るがスルー。
親のテンパイ維持の為にはどうしても欲しいだったが、吉田は我慢した。

しかし、ツモの残り回数が段々と少なくなってきた…
このまま奥田の逃げ切り優勝か!!??

と思われた残り2巡、吉田のツモは!!!
吉田にとってはギリギリのところで「希望」という光を拾った!
そしてを切ってリーチ!!
で、最後のツモはなんと!!!
このアガりにはさすがに会場中がザワっとなった!

吉田(東家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

まさに会心の一撃だった。

最後の最後で奥田を逆転してトップ奪取!!
最後の局は当然のように牌を伏せて終了させた。
この瞬間、吉田俊介が第9期新人王に輝いた。

【最終戦】
吉田+61.3 奥田+12.8 元島▲22.7 愛内▲51.4

最終成績
吉田 +125.6
奥田 +27.3
元島 ▲28.0
愛内 ▲125.9

 

今期の新人王戦決勝はどの半荘においても打撃戦さながらであったが、唯一吉田は振込みを1回しかしていない。
しかも、その1回もリーチ後に掴んだ2000の振込みのみ。
いかにどの状況においても慌てず、的確な状況判断が出来ていたところは立派であった。
また、奥田・元島・愛内も半荘毎に自分の反省点をしっかりと見出して、決して言い訳するようなことはなかった。

今回、筆者にとって公式大会の初の観戦記取材であったが、
こういった内容の濃いタイトル戦の取材をさせてもらい本当に幸せだった。
今期新人王戦に参加した先輩・後輩プロたちの追い上げにも負けず、
これからも自分の麻雀力を成長させていきたいと思う。

(文:濱 博彰)

 

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