
5月3日から予選が始まり、5・6日と第5期新人王戦が開催されました。
新人王戦は、日本プロ麻雀協会に入会5年目までの新人雀士だけがエントリーできる、
言わば新人雀士の登竜門。
選手名 |
TOTAL
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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7
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8
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9
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10
|
宮崎信一 |
183.6
|
-20.5
|
-50.1
|
34.8
|
61.9
|
66.2
|
-19.0
|
57.6
|
3.4
|
-9.4
|
58.7
|
角谷陽輔 |
133.1
|
63.0
|
61.7
|
34.8
|
-1.7
|
5.7
|
13.1
|
13.6
|
-21.4
|
15.0
|
-50.7
|
宮崎和樹 |
31.5
|
9.3
|
-25.2
|
-47.0
|
-1.7
|
-55.4
|
62.5
|
-50.6
|
67.6
|
58.1
|
13.9
|
郷内武広 |
-350.2
|
-51.8
|
12.6
|
-22.6
|
-58.5
|
-17.5
|
-56.6
|
-20.6
|
-49.6
|
-63.7
|
-21.9
|
初日終了時
角谷陽輔 +163.5
宮崎信一 +92.3
宮崎和樹 △120.0
郷内武広 △137.8
角谷と宮崎信は、関西C2リーグ。過去関西リーグから新人王が輩出されたことはない。
前半の5回戦を終え、完全に関西側リードの様相を呈してきた。
宮崎和と郷内は、浮きの2名を沈めての大きなトップを取らねばならない。残りの5回戦はかなり厳しい道程である。
第6回戦
東1局、いきなり郷内に親満の聴牌が入る。
郷内(東家)      チー  ポン  ドラ
しかし、共にタンヤオドラドラの聴牌を入れていた宮崎和と宮崎信は、それぞれ生牌の を掴んで降り。
郷内はこういう手を浮きの2人から直撃したいところだが、事はそううまく運ばない。
東3局、宮崎和が牌運に恵まれた和了りを炸裂させる。
宮崎和(北家)            ツモ ドラ 裏
入り目が の一発ツモで3000・6000。
しかし、ここまでトータルトップ目の角谷、東4局の親番で
角谷(東家)            ドラ この聴牌を崩し、
角谷(東家)            ツモ ドラ 裏
リーチ一発ツモの4000オール。一撃で捲る。
南1局、
郷内(東家)             ドラ
郷内はここから打 のダマ。宮崎和以外から点数を削るためとはいえ、結果これが失策となる。
直後に角谷が対子落としをした を宮崎信が叩く。
宮崎(西家)         ポン  ドラ
これに業を煮やしてリーチ宣言をした郷内。捨て牌には 。
自然その河に従って聴牌を組んだ宮崎和が、宮崎信に3900を献上してしまう。
是が非でもトップの欲しい宮崎和。南2局の親番で踏ん張り、
宮崎和(東家)         チー  ロン ドラ
宮崎和             ツモ ドラ
2900と、2000オールで差し返した。
オーラス、それぞれの点棒状況は、親から順に角谷33100、郷内11400、宮崎和42500、宮崎信13000である。
まず宮崎信がリーチ。
宮崎信(北家)            ドラ
ダマの3着取りよりポイントを叩きたかったのか、やや蛮行ともいえるカンチャンリーチ。
親の角谷は宮崎信のリーチ宣言牌を食って7700の聴牌。
角谷(東家)         チー  ドラ
この局面、ラスを宮崎信に押し付けたい郷内が突っ張って、逆に宮崎信に放銃となる。
トップは宮崎和だが、ラスが郷内では、上位の傷は浅い。
第6回戦終了時
角谷陽輔 +176.6
宮崎信一 +73.3
宮崎和樹 △57.5
郷内武広 △194.4
第7回戦
郷内の優勝の目は厳しくなった。3位の宮崎和でさえ角谷とは234.1ポイント差。
この半荘の宮崎和の結果によっては、優勝は関西の2人にほぼ絞られる。
しかし東2局、親番の宮崎和がいきなりの満貫放銃。
宮崎信          ポン  ロン ドラ
シャンテンで自らドラを鳴かせた結果だが、この放銃によって失った点棒の価値を、宮崎和は理解していただろうか。
南入して宮崎和の親番。ここでも角谷がツモって宮崎和の点棒を削り取る。
角谷(南家)            ツモ ドラ 裏
オーラスの点棒は、親から宮崎信31500、郷内23600、宮崎和16500、角谷28400。
宮崎信は仕掛けて早々に聴牌。
宮崎信(東家)      ポン  ポン  ドラ
これに丁寧に打って追いついた角谷。
角谷(北家)             ドラ
14巡目である。河には が4枚、 が1枚。
角谷は長考の末打 。
見た目の枚数では共に残り3枚ずつだが、 は宮崎和に暗刻であった。
次巡すぐに をツモって顔を歪める。
宮崎信が、宮崎和のリーチ宣言牌 をとらえて、トップを磐石にした。
最後は角谷が郷内から2600を和了って、とりあえず上位組のワンツーで締める。
角谷(北家)            ロン ドラ 裏
第7回戦終了時
角谷陽輔 +190.2
宮崎信一 +130.9
宮崎和樹 △108.1
郷内武広 △215.0
第8回戦
綺麗に関西組と関東組で明暗が分かれている。
しかし、関西側が特に結託して打っているという感はなく、むしろ宮崎信などは角谷をライバル視している。
いい意味で二人は凌ぎ合い、勝負を面白くしている。
「柴原さんにしばかれないよう、頑張ります」
関西の雄、柴原大造門下の角谷。
「角谷君には負けたくないです」
宮崎信はそう語って、残りの戦いに決意を込めた。
東1局から3軒リーチが勃発。
角谷(東家)            ドラ
郷内(南家)            
宮崎和(西家)            
さらに叩いて追いつく宮崎信。
宮崎信(北家)         ポン  
この全員聴牌を制したのは、一人カンチャン待ちの親の角谷。
ツモって1300オールだが、まずは幸先のいいスタートである。
東2局2本場、宮崎和に久々の大きい和了り。
宮崎和(南家)            ドラ
ダマで宮崎信から8000。
宮崎和は、ここで大トップを取らないことには次がない。一縷の望みを託し、貪欲に和了りを目指す。
東4局9巡目の宮崎和。
宮崎和(北家)             ドラ
ここから宮崎和は打 。
234と345の三色で天秤に掛けるなら打 だが、一通なら必要な牌は ただ1種でよい。
索子を払って萬子搭子を残したのは、萬子仕掛けの郷内をケアしての判断。
そこへ角谷からリーチ。
角谷(南家)            ドラ
ドラ雀頭の本手。
同巡、 を引いて宮崎和も聴牌を果たすも、なんと役無しダマに構える。
宮崎和(北家)            ドラ
次巡待望の を手繰り寄せ、打 で追いかけた。
宮崎和(北家)            ドラ
この同テンを引き勝った宮崎和。力強い意志を成就させた。
さらに南1局の宮崎和。
宮崎和(西家)            ドラ
が場に3枚走っているため、堅実にダマ。トータルトップの角谷から5200を討ち取る。
南2局、角谷も郷内から満貫を和了ってしぶとく食い下がる。
角谷(北家)         ポン  ロン ドラ 
オーラスは、親から宮崎信5100、角谷39700、郷内12500、宮崎和42700。
ここまで順風だった角谷だが、なまじ捲りの手牌が入ったために翻弄される。
角谷(南家)             ドラ
少考の末打 。七対子のシャンテンを維持。
次巡ツモ から打 。
すぐに を叩いて打 。
角谷(南家)         ポン  ドラ
そこへ親の宮崎信からリーチ。
角谷の引かされた牌は 。
最初に面子手固定で打 としていたら、ツモ和了っていた牌である。
親には押せない点棒状況だが安牌も皆無。ツモ切って、奈落へ落ちた。
宮崎信(東家)            ロン ドラ 裏
最後も角谷は宮崎和へ6400の放銃。
宮崎和(北家)            ロン ドラ
依然トータルトップは角谷だが、流石に落胆の色は隠せなかった。
第8回戦終了時
角谷陽輔 +168.8
宮崎信一 +134.3
宮崎和樹 △40.5
郷内武広 △264.6
第9回戦
上位2人はなかなかポイントを落とさない。目無しの郷内が素直に和了りにいけないので、ラスを2人に引かせられないのである。
初日に2人を走らせた展開が、ここに来て重く響いている。
東2局、宮崎和が僥倖の親満。
宮崎和(東家)         チー  ツモ ドラ
宮崎の第1打に があるフリテン。
終盤の渋々の聴牌取りだったが、牌山の巡りに助けられた。
東2局3本場、今度は宮崎信にフリテンのツモ和了り。
宮崎信(西家)         カン   ツモ ドラ 
5巡目に を切っていたものの、海底間際に8枚目の両面を引き戻し、1600・3200。
東4局、南家の郷内に本手が入る。郷内は優勝の目が無いが、自然に曲げて引き和了った。
郷内(南家)            ツモ ドラ 裏
この4000・8000で、郷内32600、宮崎和32200、宮崎信20900、角谷14300の並び。
宮崎和にとっては待望の展開。あとは郷内をかわしてラスを角谷に押し付けたい。
ところが南3局2本場で事件が起こる。
角谷(東家)      ポン  ポン  ドラ
この仮テンに をツモってしまった角谷、打 で和了らずを選択。
そこにドラを引いてドラ単騎のトイトイに受けていたところに、郷内がドラを無造作にツモ切って18000を献上。
角谷(東家)      ポン  ポン  ロン ドラ
次局宮崎和が郷内から満貫を和了って再びトップになるものの――、
宮崎和(北家)   チー  ポン  ポン  ロン ドラ
ラスが郷内なので上位との差をあまり縮められず、最終戦は事実上、角谷と宮崎信の勝負となった。
第9回戦終了時
角谷陽輔 +183.8
宮崎信一 +124.9
宮崎和樹 +17.6
郷内武広 △328.3
第10回戦(最終戦)
角谷と宮崎信の差は、58.9ポイントである。
回りは起親から角谷、郷内、宮崎信、宮崎和。
宮崎和はラス親だが、角谷との差が165.7ポイントでは、やはり捲りは非現実的であろう。
東1局、宮崎和の大明カンにより新ドラを乗せた宮崎信がいきなり跳満を引き和了る。
宮崎信(西家)      ポン  ポン  ツモ ドラ 
ここまで食らいついてきた宮崎信、角谷に親被りもさせ、やっとトータルトップに躍り出る。
東3局、点棒の必要になった角谷は、7巡目にドラ表示牌カンチャンで果敢にリーチ。
角谷(西家)            ドラ 裏
これを宮崎和から討ち取って2600の和了り。
その後は2者とも点棒に大きな動きはなく、宮崎信と角谷の点差19200でオーラスを迎える。
点棒の並びは、宮崎信35900、宮崎和24900、郷内22500、角谷16700。
この時点の順位関係だと、角谷はトータルポイントで40.3ポイント宮崎信と離されている。
現在角谷は、宮崎和を捲って2着になれば優勝である。
南4局0本場は宮崎和が1000オールのツモ和了り。
南4局1本場は宮崎和が2000は2100オールのツモ和了り。
ここで宮崎和34200、宮崎信32800とトップが入れ替わったため、角谷は、1000点和了りでよくなった。
南4局2本場、当然その条件を理解している角谷が2巡目に を一鳴きする。
角谷(南家)         ポン  ドラ
しかし、ラス親の宮崎和の非情な3巡目リーチ。
宮崎和(東家)            ドラ
角谷は押し切って追いつくも、
角谷(南家)      チー  ポン  ドラ
ツモ和了りと宮崎和からの出和了りは、宮崎信をトップに押し上げてしまうのでできない。
厳しい状況で突っ張り、結果宮崎和に2400は3000の放銃。
南4局3本場は角谷3900条件。
角谷(南家)            ドラ
与えられた手牌は、まさに天の配剤。
叩いて5巡目にこの形である。
角谷(南家)       ポン  ポン  
角谷はここから打 。
しかし直後に郷内が放った牌は、 であった。
悲痛な心境の角谷に、オーラス初めての聴牌を入れた宮崎信のリーチが襲いかかる。
宮崎信(北家)            ドラ
和了った方が優勝。
親の宮崎和も追いついて三つ巴となる。
宮崎和(東家)            ドラ
最後に自らの運命を手繰り寄せたのは――、
9回戦まで辛抱強く角谷を追走し、最後まで諦めなかった宮崎信であった。
宮崎信(北家)            ツモ ドラ 裏

第5期新人王おめでとうございます!今のお気持ちを聞かせて下さい!
優勝できてとても嬉しいです。
終始、堅い表情でしたが、やはり緊張していましたか?
初めての決勝ですし、採譜されたのも初めてですし、ものすごくアウェイな感じがするし、緊張する要素がいっぱいありました。
最終戦、角谷プロを3着にしてのトップ、もしくはラスにして2着、他にも点差という条件がありましたが、何を意識して打たれていましたか?
最終戦は自分がトップを取るのがほぼ絶対条件だと思って打ちました。また最悪角谷プロが2着でもい良い様に約二万点差を目標にしてました。その結果東一局に少々強引な跳萬をツモって親かぶりさせる事ができました。
勝因は何だったと思いますか?
終始冷静に自分らしい麻雀が打て事だと思います。
やはり、自分のフォームを崩さない、強い心が必要と言うことですね!
では、これからの豊富をお聞かせ下さい。
多くのタイトルを獲得したいです。
最後にファンの方へ一言お願いします!
今後フリー雀荘や大会、もしくはMJで一緒に打つ機会があるかも知れません。その時はよろしくお願いします。
ありがとうございました!これからも自分らしい麻雀を追及していってください!
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