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順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
中月 裕子
126.8
22.9
69.8
69.1
-44.0
9.0
2
岩東 秀樹
32.2
67.6
14.2
-13.1
5.3
-41.8
3
木村 尚嵩
25.1
-31.3
-67.8
10.1
62.3
51.8
4
ニコラス
-184.1
-59.2
-16.2
-66.1
-23.6
-19.0

≪決勝観戦記≫

準決勝A卓1位通過:ニコラス 16期前期入会・関西
アルゼンチン出身の1年目新人。インパクトだけならNo.1だろう。去年日本に来るまでは海外で天鳳をやり込んでいたという。
地球の裏側からやってきた勢いで勝ち切れるか。

準決勝A卓2位通過:木村 尚嵩 16期前期入会 雀王戦Dリーグ所属
こちらも1年目新人。ネット麻雀天鳳の東風戦鳳凰卓を主戦場としていて有名である。
メンバー経験もあり、16期新人の中でも一際高い前評判を持って入会。

準決勝B卓1位通過:中月裕子 13期前期入会 雀王戦C3/女流Bリーグ所属 第7回μレデイースOP優勝
今年で4回目の挑戦となる。他3人に比べると競技経験は一つ抜けている。持ち前の攻めの雀風がどう出るか。

準決勝B卓2位通過:岩東 秀樹 15期後期入会 雀王戦Dリーグ所属
こちらも1年目にして新人王戦の決勝にあがってきた新人だ。MJを通じて協会に興味を持ちプロになったという。

今期の新人は関東だけで約20人新たに加わったらしい。
その中でも、1年目初参加にして決勝に進出した優秀な新人3人。
一体どんな麻雀を見せてくれるのか、注目せざるを得ない。そこに4年目の中月が経験で勝る分どうなるか、非常に楽しみである。

 

◆1回戦(ニコラス→岩東→中月→木村)

1回戦目、各者緊張した面持ちから始まり場が動いたのは東2局。以下の3人リーチとなる
中月(南家) 9巡目
 ドラ
岩東(東家) 12巡目
 ドラ
木村(西家) 16巡目
 ドラ

中月が三色に仕上げて強気のリーチといったところ、岩東と木村がまわりつつ追いついた形だ。
誰もがあがればひとつ抜け出せるところ、これを制したのは岩東。木村から3900のアガリとなる。

更に連荘しアガリを積み重ねる岩東。
東2局2本場、岩東の麻雀の懐の深さが表れる。
岩東(東家) 2巡目
 ツモ ドラ

新人全体に対するイメージで速さ重視のイーシャンテンに取るを切るかなと思ったが、岩東はここから打とする。
ペンチャンカンチャンのイーシャンテンは嫌い、他の部分で強い形を作ることを視野に入れた一打だ。
岩東は全体的にストレートに手を進めるのではなく、良形と打点のバランスを取りながらアガれる待ちを追っていく麻雀がこの局を含め随所に見られた。これを見事にアガれるピンフに仕上げてツモり、点差を広げていく。
岩東(東家) 2巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

南1局でも岩東がダメ押しの満貫をニコラスからアガリ、50000点を超えトップが濃厚かと思われた。

南2局、しかし中月はトップを諦めない。
中月(南家) 7巡目
 ドラ
岩東とは25000差の2着目である中月。アガリ重視で言えば切りリーチだが、中月は打点重視で切りリーチとする。
結果的にはをツモって裏裏だったが、貪欲にトップを目指す姿勢が感じられた。そしてこの先、中月の貪欲さが失われることはなかった。

続く1本場、中月が木村から満貫をアガリ、親では粘り強く1000オールと5800をアガる。
なんと気がつけばオーラス中月と岩東の差は1000点以内となる。
オーラス、中月が親リーチに対して仕掛けで粘ったり、岩東と同テンの流局を挟んだが、
最後には岩東がニコラスとのリーチ合戦を制してなんとかトップ。

安泰と思われた岩東だったが、中月の猛烈な追い上げに冷や冷やさせられながらも、なんとかトップを捲り返した。

1回戦スコア
岩東+67.6  中月+22.9  木村▲31.3 ニコラス▲59.2

 

◆2回戦(木村→中月→岩東→ニコラス)

この半荘も岩東と中月がぶつかり合う。
東1局
岩東(西家) 8巡目
 ドラ
中月(南家) 11巡目
 ドラ
岩東が中月から5200のアガリとなる。

東2局
岩東(南家) 13巡目
 ドラ
中月(東家) 14巡目
 ドラ
岩東が手詰まった木村から2600のアガリとなる。

このまま岩東の連続トップだけは他の3者はなんとしても避けたいところ。

東4局、今まで沈黙していたニコラスに見せ場がくる
ニコラス(東家) 2巡目
 ツモ ドラ
ここからいろんな役の可能性を見て打。次巡をツモって以下の形。
 ドラ
が山にいそうだと読んで打
待望のドラを重ね、更に自信があったを引き入れ最速の4000オールをアガリきる。
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

1回戦大きめのラスだったニコラスにこれは嬉しいアガリとなった。

東4局1本場、更にニコラスに手が入る。
ニコラス(東家) 4巡目
 ツモ ドラ

ニコラスは唯一のリャンメンターツをこわす打を選択。実はこれが一番受け入れが広い。
この手配が面白いように動く。

更に引き打
 ドラ
引き打で仮テン。
 ドラ
徐々に最終形へと進んでいく。

しかし次の8巡目ツモで次の形。
 ドラ
ここで少考して、打リーチと行く。
8巡目という巡目と親の先制好形が打たせたといったところだろうか。道中の進め方が素晴らしかっただけに、少し勿体無かったか。
河にソーズが並ぶが一人テンパイで更に点差を広げてトップ目をキープ。

東4局2本場、しかし東場で誰もトップを諦めるはずがない。
中月が以下のイーシャンテンになる。
中月(西家 )7巡目
 ツモ ドラ

手なりなら切りだが、そこは4人のなかでは競技麻雀に対して一日の長がある中月、
ドラを使い切る打とする。
と引きリーチと出る。
 ドラ
これにホンイツをテンパイしていた木村が一発で飛び込み、裏ドラで12000。
中月と岩東がニコラスに10000差で迫る形となった。

南1局1本場、更に中月が追いかける。
うまくドラを重ねて以下のリーチ
中月(南家) 11巡目
 ドラ
ニコラスが安全に躱し手のテンパイを取るもハイテイでアタリ牌をつかむ。
ニコラス(北家) 19巡目
 ツモ チー チー ドラ
テンパイ取りの打とし中月に満貫放銃となってしまう。
中月捨牌


のダブルワンチャンスとはいえ、中月の河にはが切られた後に切りリーチだ。が関連牌なのはほぼ間違いない。
うまくテンパイまで漕ぎ着けたこと、1半荘目に大きなラスだったことが焦らせてしまったか。
冷静に考えればトップ目からのかわし手のテンパイでは見合わないと思い直せるだろう。
苦しい中でニコラスが先に顔を上げてしまう形となった。

その後、トップ目の中月が更に親で4000オールを引き、
中月・岩東の並びでそのまま終了となった。

2回戦スコア
中月+69.8 岩東+14.2 ニコラス▲16.2 木村▲67.8

2回戦終了時トータルスコア
中月+92.7 岩東+81.8 ニコラス▲75.4 木村▲99.1

 

◆3回戦(ニコラス→木村→岩東→中月)

これまで中月・岩東で連対を独占している。
木村・ニコラスはこれ以上離されると厳しい位置となった。

東2局、ここまで展開がかなり悪い木村に大物手が入る
を暗カンして新ドラを乗せ、以下の手になる
木村(東家) 9巡目
 ツモ 暗カン ドラ

ダマでも出和了り満貫、ツモだとハネ満。
しかし木村の選択は切りリーチ。トータルポイントが150以上も離れた状況。
ここはトップを決定づけるあがりプラス素点も欲しいといったところか。

リーチをかけられて助かったのは中月。
道中に新ドラのを掴み、リーチがなかったら振り込んでいただろう。
木村の起死回生の思い届かず、一人テンパイで流局する。

東場は大物手が成就せず、小場のまま南入する。

南1局、 中月と岩東がそれぞれピンズとマンズのホンイツに行く中、木村がタンヤオ・ドラ3をうまくまとめてアガリきる。
木村(南家) 17巡目
 ツモ ポン ポン ドラ
このアガリで木村が頭一つ抜け出す。

南3局、最低2着は欲しいニコラス。大物手が欲しいところに以下の配牌が来る。
ニコラス(西家) 1巡目
 ツモ ドラ
この手を仕掛けていき、以下の形。
 チー ポン ドラ

次巡、親の岩東が以下の手になる。
岩東(東家) 8巡目
 ドラ
2着目の岩東はトップ目の木村と9000差。
ニコラスの捨て牌にはまだマンズは余っていない。
を切るのは確定だが、岩東の選択は打リーチ。
ドラのは使いたいし、どうせ切らない。ならば、ダマで脇に好き放題やられるよりは少しでも長引かせてツモアガリたい。
なんとなくダマにしそうなところを、きちんと考え勝負にいった一打だ。

もちろん後のないニコラスがをポンをして対抗する。
上下差が激しい勝負のゆくえは、ニコラスがを掴み岩東に12000の放銃となった。
これで岩東が木村より4000程上のトップに立ち、ニコラスは相当厳しくなった。

南3局3本場、トップとは33000差、2着とは27000差の西家・ニコラス。
本日一の手でリーチと踏み切る。
ニコラス(西家) 4巡目
 ドラ

捨て牌もおとなしく、誰もこんな手だと思わないだろう。
そこに切り込むのはこちらもどうしてもトップが欲しい木村。以下の手で追っかけリーチと行く。
木村(北家) 7巡目
 ドラ

更に次巡の中月。
中月(南家) 8巡目
 ツモ ドラ
ラス目のニコラスと5000差の中月。
2軒リーチには通っていなく、安全牌ならがある。
ニコラスにアガられてまくられるのは望むところではない中月、果敢に切りリーチといく。
全員の待ちが山にあるなか、この局を制したのは中月。ツモアガって点差を縮め、最後の親番にかける。

南4局
中月 21200
木村 33000
岩東 39400
ニコラス 6400
少し縦長の展開になった。
木村は当然トップを捲る手作り、岩東は自分で決めないとトップがない局面か。

条件がある木村は以下の手になる。
木村(西家) 6巡目
 ツモ ドラ

木村の条件は、ツモアガリ1300・2600、ロンアガリは満貫以上。
木村は手拍子で打とする。
本人も打った直後に気づき、悔やんだという。
456の三色に変わるには2手必要で、やドラを先に自分で引かないといけない。
であればのトイツ落としが条件に対しては自然か。この後ツモってくるがその選択を責める。
これまで絶妙のバランスで打牌選択をしてきた木村、競技麻雀に慣れていない面が出てしまったか。

そしてアガリトップの岩東。
岩東(北家) 9巡目
 ドラ
は早めに切らずに温存していて、中月から出たをスルーする。
ドラが出てしまうことを恐れて、この局は無理だと感じたのか、声は出ない。

そうなるとその先に待つのはもちろん真っ直ぐ攻める親リーチになる。
中月(東家) 17巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
中月が2600オールで追い上げる。
岩東・木村にとっては一番悔やむ局になってしまったか。

そして怒涛の中月の連荘が始まる
南4局1本場 一人テンパイ
 ドラ
南4局2本場 4000オール。
 ツモ 加カン ドラ
南4局3本場 2000オール。
 ツモ ポン ドラ
気がつけば中月は50000オーバーになっていた。
各家に条件があり親に有利な状況とはいえ、ここまで捲れるものなのか。
中月が毎回しっかり高い手を狙っていった結果だろう。
最後は木村が岩東を捲るアガリを決めて2着になり、なんとか残り2回に望みを託した。

3回戦スコア
中月+69.1 木村+10.1 岩東▲13.1 ニコラス▲66.1

3回戦終了時トータルスコア
中月+161.8 岩東+68.7 木村▲89.0 ニコラス▲141.5

 

◆4回戦(木村→岩東→中月→ニコラス)

これまでのポイント状況により各々の目標が見えてくる。
中月は岩東より着順を上にして5回戦目で100以上離したい。
逆に岩東は最低でも中月より着順が上、 木村・ニコラスは中月とのトップラスを目指す。

木村も毎回打点を作りにいっているがいずれも成就しない。
東1局
木村(東家)
 チー ドラ
東2局
木村(北家)
 ドラ

その後、ニコラス・岩東が丁寧なアガリをものにして、追い抜き、中月をラス目にする。

南2局
木村に5巡目にポンテンの満貫が入る。
木村(北家)
 ポン ドラ

優勝を諦めていない木村、目標どおりに中月をラスに沈めたい。
次巡、現状トップ目のニコラスからが出るがスルー。
初の決勝とは思えない程、状況把握も出来ている。

しかし誰からでも出るを誰も掴まないまま、巡目が進み中月に絶好のヤミテン満貫が入る。
中月(南家) 11巡目
 ドラ
しかし、再度をニコラスが掴み、巡目も深くなり自身のトップも必須の木村、渋々アガリトップ目に立つ。

残りの局も木村がツモアガって中月をラスにしたまま、最終半荘にかすかな目を残した。

4回戦スコア
木村+62.3 岩東+5.3 ニコラス▲23.6 中月▲44.0

4回戦終了時トータルスコア
中月+117.8 岩東+74.0 木村▲26.7 ニコラス▲165.1

 

◆5回戦(ニコラス→岩東→木村→中月)

4回戦で中月がラスになったことで、差がかなり縮まった。
優勝条件を確認すると、中月と岩東の差は43.8。
岩東トップ・中月2着、もしくは岩東2着中月ラスの場合、素点3800点差以上なら捲って優勝だ。

木村は中月ラス岩東3着の並びにして6万点以上の点差が必要になる。
現実的に見て岩東・中月の争いになるだろう。

東1局、ニコラスが連荘で点数を稼いで一旦トップ目に立つ。
東1局2本場、ニコラスがダブで仕掛ける中、岩東が以下の形。
岩東(南家) 7巡目
 ドラ
追う立場の岩東、ドラのを切ってリーチ。
木村がこのをポンしてタンヤオを目指す。
更に木村がをカンして新ドラがになるも、岩東のツモアガリ。
期待の裏ドラは2枚乗って満貫となる。
岩東(南家) 11巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
岩東としては最高の立ち上がりだ。

東2局、更に岩東にチャンス手が来る。
岩東(東家) 1巡目
 ドラ
うまくいけば大物手になり、この半荘を決めかねない手だ。
第一打はとし、次巡考える。
 ツモ ドラ
正直、嬉しくないツモだ。
岩東は少し考え打とする。バランスを取ったとすれば聞こえはいいが、三元役か門前でいかない限り高くなりそうにない。
この手を決め手とするなら、ツモ切りという選択肢もあったかもしれない。
その後はツモに翻弄され一進一退となる。

そこに中月からリーチが入る。
中月(西家) 9巡目
 ドラ
ツモるか裏ドラが乗れば大きいチートイツ。

しかし木村が追いついてリーチし1300・2600のツモアガリ。
木村(南家) 18巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
岩東にしてはほっと一息か。
これで岩東トップ・中月ラス、点数は11500で岩東が捲った形となった。

東3局、岩東が更に加点する。
岩東(北家) 9巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
ドラはないが一発でツモり更に15500差にリードを広げる。

東4局、木村に手が入る。
木村(北家) 5巡目
 ツモ ドラ

を第一打に切っているためフリテンである。
しかし-の二度受けになるよりは、先に引き戻すこともあるしフリテンになっても両面待ちだ。
ということで木村は打とした。
木村はここまで展開が非常に悪く、あまり取り上げるところは少なかったが、
随所で正着を打ち続ける前評通りの非常にレベルが高い打ち手に見えた。

目論見どおりを引いてリーチといく。
木村(北家) 7巡目
 ドラ

このリーチに対して安牌がなくなった岩東は以下の手だ。
岩東(西家) 10巡目
 ツモ ドラ
木村捨て牌

岩東が打とし、木村に8000の放銃となった。
捨て牌が強すぎて、安全牌がなく非常に難しい局面である。
切りはイーシャンテンに取りつつ、その後を2枚を落として、まわることも降りることもできる攻守兼用の一打である。
何も情報がなければそうするのがいいだろう。
しかし今回は捨て牌にヒントがある。
の後に安全牌であるを切ってからの切りリーチである。
が暗刻からでなければ、面子手ならば-はほぼ入り目か待ちになっているだろう。
そしてリードしていることを加味すれば、以外を切る選択肢があったかもしれない。
労せずして中月は岩東との差を縮めることとなった。
岩東3着・中月ラスの8500差で、着順が変わったので中月がまたリードした形となる。

南2局、親の岩東に難しい手がくる。
岩東(北家) 8巡目
 ツモ ドラ
自分でを切っている。
岩東は打とする。マンズとピンズの横伸を本線に見据えた一打だ。
その後を持ってくるも妥協せずツモ切り。
10巡目にを持ってくるが以下の形のままヤミテンにしてニコラスからで2000点のアガリ。
岩東(東家) 13巡目
  ロン ドラ
ツモに弄ばれた形となったが、この手で2000点はさすがに不満か。
しかしこれで岩東2着・中月ラス、点数が岩東27300・中月15500で再度捲った形にはなった。

南2局1本場、このまま離されるわけにはいかない中月、親を流すべく以下の手でリーチ。
中月(西家) 8巡目
 ドラ

しかし次巡、岩東も追いつく。
岩東(東家) 9巡目
 ドラ

奇しくも待ちは同じ。
岩東はタンヤオがついているだけにアガると決定打になりかねない大きなリードとなる。
山にごっそりいる-、ほぼどちらかのツモアガリだろう。

先にツモったのは――――――

なんと中月が一発でツモ!
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

しかも裏ドラも乗って望外の満貫!
親流しのためのリーチだったが、大きく優勝に近づくアガリとなった。
これで中月が2着目に浮上し、岩東は方針をトップ取りにせざるを得なくなった。

南3局、中月は休まない。
10巡目に以下の形で、ニコラスから出たをポン。
 ドラ
木村・岩東からリーチがきそうな巡目で、2人の現物が少ない中、休まなかった。

木村と岩東も満貫が見えるイーシャンテンだが、中々テンパイ出来ずに巡目が進む。
木村・岩東が渋々形式テンパイを取るが、岩東の河底打牌が中月にあたってしまう。
中月(南家) 18巡目
 ホーテイロン チー ポン ドラ

岩東から直撃の3900となり、これで岩東のオーラスを満貫ツモ条件からハネ満ツモ条件にするアガリとなった。
オーラス、岩東にハネ満条件が残るが、テンパイできず流局。
新人王は中月に決まった。

最終戦スコア
木村+51.8 中月+9.0 ニコラス▲19.0 中月▲41.8

最終スコア
中月+126.8 岩東+32.2 木村+25.1 ニコラス▲184.1

今回の新人王戦は結果的に中月・岩東のデッドヒートとなったが、
1年目ながらニコラス・木村も最後まで戦い切り、熱い戦いを見せてくれた。

第4位:ニコラス
この中で一番ストレートな手組みで戦っていただろう。
条件が厳しくなってから、点数が必要になり、その時見せてくれた打点へこだわった手順。
それをもっと早く出せていればもっと違った展開になったかもしれない。
現実的な条件がなくなってからも場を壊さずに最後まで打ち切ったのは立派だった。
これから活躍して協会にグローバルな風を起こして欲しい。

第3位:木村 尚嵩
1,2回戦で展開に恵まれていなかったが故に、後の選択肢が少ない立場になってしまった。
しかし、随所に見えた正確無比な打ち筋は将来を期待させるものだった。
これから競技麻雀を学び、競技的な思考と打ち筋を会得した時、
彼がどれだけ凄い打ち手になるか今から非常に楽しみだ。

第2位:岩東 秀樹
決勝初めてにも関わらず、自分の麻雀を打ち切れたと思う。
彼の新人らしからぬ懐の深い麻雀は競技麻雀のルールに合っていると思うし、リーグ戦でも安定した強さを発揮できるだろう。
初めての決勝で惜しいところまで辿りつけたのも納得の打ち筋だった。
今回、勝負の分岐点となる局面がたくさんあったと思う。
彼がもう一度同じ場面に遭遇した時、正解を選べる打ち手に成長してくれるのを期待したい。

優勝:中月 裕子
彼女の常に攻めの姿勢を持つ麻雀が、決勝の頭取りにおいてガッチリハマったという印象だ。
彼女は1年目の時に新人王戦で準決勝まで行き敗退した。
準決勝では早々に勝ち上がりの可能性がなくなり、役満条件さえ残ってない自分の姿が不甲斐なく、悔しすぎて涙したそうだ。
それから3年。
女流リーグだけではなく雀王戦リーグにも毎回出場。
更にいろんな大会にも積極的に出場し、決勝卓や放送対局での経験も積んでいった。
そこに今回の新人王戦でのリベンジのチャンス。
今回優勝したのは間違いなく彼女がこれまで積んだ競技経験が実った結果と言えるだろう。
頑張ってる人が優勝するのは本当にこちらまで嬉しくなってくるものだ。

優勝本当におめでとう!!
第16期新人王・中月 裕子
これからの更なる活躍を期待します。

(文・江崎 文郎)

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