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順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
谷口 浩平
138.7
-27.0
62.3
7.5
78.3
17.6
2
澤崎 彰太郎
97.3
8.5
-15.9
51.6
-16.4
69.5
3
葉月 ほのか
-110.0
65.9
5.5
-44.9
-75.2
-61.3
4
大森 康平
-127.0
-48.4
-51.9
-14.2
13.3
-25.8

≪決勝観戦記≫

【選手紹介】

大森 康平(13期後期入会)
京都大学卒・現役東大院生である。麻雀はいわゆる現代風デジタルで、矢島亨が主催する勉強会に足しげく通っている。
フリー雀荘通いで培ってきたベースにそれを肉付けしており、思い切りもいい。

澤崎 彰太郎(13期前期入会)
今回の決勝メンバーで唯一の雀荘勤務。麻雀は仕掛けを多用するスピードタイプ。
準決勝でもその武器を存分に使い、最終戦を待たずしてほぼ決勝当確を決めている。

谷口 浩平(14期前期入会)
関西空港勤務。麻雀は門前オーソドックス型。
自身でも「派手なことは出来ません。ひたすら基本に忠実に打ちたいと思います」と述べている通り、押すべきところで押し、引くべきところで引き、危なげなく準決勝を突破している。

葉月 ほのか(11期前期入会)
昼間はOLとして働きながら、夜はネット麻雀等で研鑽している。麻雀は守備型で放銃が極端に少ない。
準決勝ではリーチに対してはもちろん、仕掛けに対してもいち早く反応していたのは葉月である。

タイトル戦の決勝は優勝者を決める戦いである。

そして各回戦・各局毎にテーマが存在する。

★1回戦(起親から大森→谷口→澤崎→葉月)

1回戦のテーマは、「いかに普段通り打てるか」だと思う。
決勝独特の空気や、放送を意識してしまい普段より守備寄りになってしまう打ち手も多く、
そのまま持ち味を出せないまま終戦というケースを多数見てきた。

大きな動きがあったのは東4局。
葉月(東家)12巡目
 ドラ
このイーシャンテンからをチーし、ドラので後付けテンパイ。
次巡あっさりをツモアガリ4000オール。
葉月44500、大森17100、谷口16900、澤崎21500

続いては澤崎。
南1局2本場(供託1.0) 澤崎(西家)10巡目
 リーチロン ドラ 裏ドラ
これを葉月から討ち取り、裏ドラはで8000は8600。

南2局
大森16100
谷口18900
澤崎30100
葉月34900

大森(北家) 11巡目
 ツモ ドラ
ここからドラのをツモ切ると澤崎の手牌が開かれた。
澤崎(西家)11巡目
 ロン チー ドラ
「タンヤオの可能性もありますし、タイミングよくここで後付けのテンパイのケースってそんなにありますかね?
(仕掛けを多用する澤崎相手で)人読みも含め、押した方が得だと思って押しました」
後日大森はそう語っていた。

さて、そのをチーした澤崎をどう見るかに焦点を当ててみたいと思う。
例として挙げる牌姿はアガリ形に似た形で引用させていただく。

※11巡目にでチーして2枚目の切り(↓はツモ切った牌)
麻雀は4面子1雀頭、そして役を作るゲームである。ではこの場合はどうか?

ソーズ、マンズの中張牌をバラ切りした後に切り、カンチーして打
1枚目のの後に手出しは入っていないため、タンヤオでテンパイだった場合待ちの候補は、
からのチーでの待ちやだろうか?

しかしその場合は一度テンパイを外している形になる。
例:
 ツモ  打
 ツモ  打 
ここでテンパイを外すのであれば、捨て牌から考えると序盤でを切るタイミングがいくらでもありそうである。

またタンヤオでテンパイしていないのであれば、4面子の候補を考えるとソーズ・マンズの中張牌よりもやはり早い段階でが切られているほうが自然と言え、この仕掛けをタンヤオとして考えるのは若干不自然に思える。

そしてがトイツだと仮定すると、4面子候補を考えた場合、捨て牌と総合してみて、
テンパイしていないケースは組み合わせ上ほぼ無いのではないだろうか?

がトイツで当たりになっていないケースは、
例: ツモ 打 
このような手役絡みのケースくらいだろうか?(とは言えこれでもピンズを切る打ち手の方が多そうだが)

もちろん「ラス目」「良形のチャンス手」「頭取りの決勝」「初の大舞台」「人読み」「後付けではない可能性」等々、本人の中で押すに相当する理由があったから押したわけで、彼を責めるつもりは毛頭ない。

しかし結果は満貫放銃となり、この日その後彼に大きなチャンスが訪れることは無かった。

澤崎はこのアガリでトップ目に立つが、葉月がオーラスで再逆転し1回戦終了。

葉月+65.9
澤崎+8.5
谷口▲27.0
大森▲48.4

 

★2回戦(起親から谷口→葉月→大森→澤崎)

5戦の内、2勝すれば優勝マジック点灯である。葉月以外の三者のテーマは葉月にトップを取らせないことであろう。

しかし先制したのは葉月。7巡目まで3シャンテンだったが、8巡目にポン、9巡目にポン、10巡目にを引いてテンパイ
東1局 葉月(南家)
 ポン ポン ドラ 
テンパイをしていた澤崎が同巡を掴み12000のアガリ。

葉月からすれば初戦2着の澤崎からのこのアガリは相当感触がよかっただろう。
逆に他三者はここで葉月に連勝されると一気に苦しくなる。

ここで葉月の独走に待ったをかけたのは親落ちした谷口。
東2局 谷口(北家)
 リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ

東3局 谷口(西家)
 リーチロン ドラ 裏ドラ

連続で満貫をアガり、一気に葉月を捲る。

南2局1本場 谷口(北家) 2巡目
 ツモ ドラ
仕掛けやすい端牌のがトイツなのでマンズを払って一気にホンイツまでいきたいところだが、現状の点棒状況が
葉月35600
大森17100
澤崎7500
谷口39800
トップ目とは言え葉月との差はわずか。ここは打点よりも葉月の親を落とすことを優先して打

しかし葉月が早くも6巡目にリーチ。
葉月(東家)
 ツモ→打リーチ ドラ

谷口も同巡テンパイ。
谷口(北家)
 ツモ ポン ドラ
最近よく「局収支」と言う単語を耳にする。親リーチに対して1000点テンパイで押すことは確かに「局収支」で見たらマイナスかもしれない。

ではここは降りるのが正解なのか?

答えは否であろう。

この局面で攻め返せそうなのは自分のみ。降りれば確実に葉月の一人旅。
この手で降りるのは簡単だ。けれどそれでトップがとれるのか?
特にタイトル戦の決勝のような頭取りの麻雀ではどこかで腹を括って押さなければならない局面が存在する。
この局はそれであると私は思う。

谷口が無スジを3枚押し切って葉月から1000は1300のアガリ。

南3局 葉月(北家)
10巡目にをチー、すぐにをポンしてこの満貫テンパイ
 ポン チー ドラ

※チーして打。ポンして打

即座に谷口がを掴む。
 ツモ ドラ

実はは谷口が8巡目に切っており、そこでポンの声が掛からないまま葉月はツモ切り。
葉月の捨て牌がやや色濃く、自身の手牌がさほど良くないは言え東くらいは押すのかな?と思いながら眺めていたがここは打で放銃を回避。
次巡を引き完全撤退でベタオリ。今日の谷口はこの辺りの押し引きが非常に冴えている。

南3局1本場、谷口が4巡目にチートイツテンパイ。
谷口(西家) 4巡目
 ツモ ドラ
現在谷口と葉月の点差は5800点差。
ヤミテンにするメリットはリーチをした時と比べアガリ率が高くなり局を消化出来る。
リーチをするメリットは3200をアガればオーラス葉月はマンガン出アガリでも谷口に届かなくなる。
谷口の選択は後者。

親の大森以外は降りを選択。終盤まで縺れるも16巡目にツモアガり1600・3200。

オーラスは澤崎が6000オールで2着目の葉月まで肉薄するも捲るまでは至らず谷口→葉月→澤崎→大森の順で終了。

葉月+5.5 (+71.4)
谷口+62.3(+35.3)
澤崎▲15.9(▲7.4)
大森▲51.9(▲100.3)
()内はトータルスコア

 

★3回戦(澤崎→谷口→大森→葉月)

3回戦のテーマは各人異なる。
大森はトップ必須である。
逆に葉月は自身がトップでなくとも、大森がトップであればそこまで悪い展開にならないケースもある。
谷口は比較的フラットに打てるが、葉月のトップはできれば避けたいところ。
澤崎はここでこれ以上葉月に離されると、場合によっては4・5回戦を連勝しても優勝できなくなるかもしれない。

東1局 その澤崎が上手く葉月を牽制しにいく
澤崎(東家) 5巡目
 ツモ→打リーチ ドラ
平素なら親とは言えマンズを払いたいところである。
しかし葉月(北家)が既にポンの仕掛け。

ベスト16から見てきた限り、葉月の仕掛けは早いか高いかの二択が多く、ブラフ気味の仕掛けはあまり見せていない。
今回の仕掛けは捨て牌を見る限り打点を兼ね備えた仕掛けに見えるが、まだ2シャンテン、よくてイーシャンテンだろう。
また、葉月は全体的にリーチを受けた場合は早めに守勢に回ることが多いため、それを見越してのリーチ。

そんな葉月だが危険牌を打ち出すことなく9巡目にテンパイ。しかし11巡目に手が止まる。
葉月(北家) 11巡目
 ツモ ポン ドラ

この時点で現物はのみ。は生牌。
少考後、葉月の選択はのトイツ落とし。ここは安全牌が少ないだけに腹を括りを押してほしかった。

結果論ではあるが、このさえ押せていれば澤崎がを掴んでいるので、葉月のアガリになった可能性が非常に高い。

ここは澤崎の思惑通り1人テンパイで流局。

その後、葉月になかなか手が入らずオーラスを迎える。
葉月16100
澤崎31600
谷口26500
大森25800

トップまで5200点出アガリ条件の谷口が仕掛ける
谷口(西家) 11巡目
 チー 打 ドラ
トップは欲しい。そしてメンゼンで仕上がれば条件は満たす。
が、ここで葉月に4000オールでも引かれ、その後トップまで取られようなものならば目も当てられない。
また、大森を3着にしておくことにより、次回戦以降、大森の打牌にある程度制限をさせられることにも繋がる。
ここはシビアに1000点をアガり3回戦終了。

澤崎+51.6(+44.2)
谷口+7.5 (+42.8)
葉月▲44.9(+26.5)
大森▲14.2(▲114.5)

 

★4回戦(谷口→大森→葉月→澤崎)

さて、協会ルールは2着・3着間、3着・4着間では順位点が20P変わる。
例えば4回戦オーラスを向かえこのような状況だったとしよう。
大森40000
澤崎27000
谷口26900
葉月6100

このような状況だった場合、谷口・澤崎はかなり無理してでもトップを捲るアガリを目指さなければならない。

なぜならば、
例1:このまま終った場合のトータルポイントは、
澤崎+51.2
谷口+29.7

例2:谷口が1000点をアガり、2着になった場合のトータルポイントは、
谷口+50.7
澤崎+31.2
となる。

例1では澤崎が21.5P上、例2では谷口が19.5P上。
先述した通り着順1つにつき20Pの差がつく。
つまりここで2着をキープしたところで結局、最終戦の着順勝負にしかならず、メリットが皆無なのである。

もちろん他家とのトータルの差の関係等で2着をキープすることが大事な局面もあるが、
この半荘は澤崎・谷口はトップ、もしくは相手に2着順以上の差をつけたいところである。

先手を取ったのはここまで出番の無かった大森。
東1局2本場 大森(南家) 17巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

東2局1本場(供託2.0) 大森(東家) 9巡目
 ロン チー チー ポン ドラ

このアガリで一気に4万を越える。

東2局2本場、またまた先手を取ったのは大森。
大森(東家) 9巡目
 ツモ→打リーチ ドラ

しかし谷口が上手く回って12巡目に追いつきリーチ。
谷口(北家) 12巡目
 ドラ
4巡後に谷口がをツモり1300・2600は1500・2800のアガリ。

東3局、谷口が13巡目にリーチ。
 ドラ
3巡後に三色テンパイを入れた大森のリーチ宣言牌を討ち取り8000。

今日の大森は牌の巡り合わせが非常に悪くこういった不運な放銃が非常に目立つ。

逆に谷口は上手く打ち回している部分も目立つが、一対一となった局面ではほぼ競り勝っている。

次局も、谷口(南家) 7巡目
 ツモ→打リーチ ドラ

澤崎(東家) 15巡目
 ツモ→打リーチ ドラ

ドラドラの澤崎のリーチ宣言牌を捕らえる。裏ドラで3900。

谷口は最高の並びを作り南入
谷口43000
大森28400
葉月13700
澤崎14900

南1局 谷口(東家) 9巡目
 ツモ→打 ドラ
高目安目のある手牌だが、ここはヤミテンを選択。その後をツモり打、そして15巡目
谷口(東家) 15巡目
 ツモ ドラ
この6000オールで勝負あり。

その後は大森が立て続けにアガり南3局。
谷口60600
大森38000
葉月▲6500
澤崎7900

もしこのまま終るとトータルスコアは、
谷口+123.4
澤崎+12.1
となり最終戦3万点差のトップラス、トップ3着だと5万点差が必要となる。

最初のテンパイは大森。
大森(北家) 13巡目
 ポン ポン ドラ

追いついた谷口。役無しになるテンパイだがを誰も使っている気配がないためリーチ。
谷口(西家) 16巡目
 ツモ→打リーチ ドラ

次巡、イーシャンテンの澤崎の手が止まる。
澤崎(南家) 17巡目
 ツモ ドラ

自分の残りツモは2回。カンをした場合は、ハイテイが上家の東家になるため残りツモは1回。

前述の通りこのまま終わってしまうと澤崎は最終戦相当厳しい。
カンをした場合、自身のチャンスになる可能性はもちろん、カンドラ次第では大森の手がより高くなり、
谷口からの直撃でトップが入れ替わるチャンスも生まれる。

澤崎の選択はカン。
新ドラは大森がポンしている
さらにリンシャン牌はドラの!ツモ番は一度しか無いが当然リーチに踏み切る。

一発目のツモは。流局かと思われたが、親の葉月がテンパイを入れるチー。

このチーにより澤崎にハイテイが回ってくる。
この時点で-は残り1枚。(は場に4枚)

澤崎(南家) 19巡目
 リーチハイテイツモ 暗カン ドラ 裏ドラ

最後のアガリ牌をハイテイツモで4000・8000

南4局、澤崎は満貫のツモアガリで2着へ浮上だが、ここは谷口が700・1300のツモアガリで終局。

しかし澤崎は南3局の倍満で現実的に戦える条件を残すことができた。

谷口+78.3(+121.1)
澤崎▲16.4(+27.8)
葉月▲75.2(▲48.7)
大森+13.3(▲101.2)

 

★5回戦(大森→澤崎→葉月→谷口)

谷口と澤崎の差は93.3p差
澤崎は谷口とトップラスで13400点差、もしくはトップ3着で33400点差以上離せば優勝となる。
葉月・大森はかなり現実的には厳しい条件なので、二人のマッチレースになることが予想される。

澤崎は谷口を出来ればラス、もしくは最低でも3着にしたいので、自分が親以外の時にどういう打ち筋を見せるか。
谷口は自分以外の親はなかなか落ちないケースが多くなるので、どこまで踏み込んでいけるかが焦点となりそうだ。

東1局、まずは大森がタンヤオ・ドラドラ2000オールのツモアガリ。
ちなみに澤崎は、
澤崎(西家) 1巡目
 ドラ
ここから打。大森は南場の親が落ちた後はアガリに向かってこないケースも十分考えられる。
それを考慮し軽くアガリに向かわない打牌で、この後も随所にその様子が取って見られた。

東1局1本場は、谷口が仕掛けて500・1000は600・1100のツモアガリ。

東2局 澤崎(東家) 4巡目
 ツモ→打リーチ ドラ
捨て牌も強く序盤であれば谷口からの直撃も狙えるチャンス手。
これを一発でツモアガり4000オール。

実はこのリーチ一発目に葉月よりが放たれたが、これをアガると谷口が楽になってしまうので見逃し。
そして同巡谷口
 ツモ ドラ
もちろん打。これは葉月がを放とうが放つまいが確実に出た

画面では淡々と打っていたように見えたが澤崎の胸中やいかに。

東2局1本場は澤崎が2000は2100オール。

東2局2本場、先制テンパイは葉月。
葉月(南家) 9巡目
 ツモ→打 ポン ドラ

イーシャンテンの谷口がを押し、葉月のアタリ牌であるを引きテンパイ。
谷口(西家) 11巡目
 ツモ→打 ドラ
この後を押し、14巡目に再びツモ。

谷口(西家) 14巡目
 ツモ ドラ
ここは打でオリを選択。

すぐに澤崎が追いつく。
澤崎(東家) 15巡目
 ツモ→打リーチ ドラ

組みなおしてイーシャンテンになっていた谷口。上家の葉月からが打たれる。

谷口(西家) 18巡目
 チー→打 ドラ
チーして中スジのを打ってテンパイ。
このチーでハイテイ牌が澤崎から葉月に流れる。

ハイテイで葉月掴んだのは。そのまま河に放つ。

澤崎(東家)
 リーチホウテイロン ドラ 裏ドラ

元々葉月がラス目であること、裏ドラが乗らずともそれなりの加点が出来ること、谷口がテンパイ濃厚であること、様々な要素を加味した上で出した澤崎の結論は、トップ-3着で33400点差をつける道を選んだ。
このアガりで現状29800点差のトップ-3着。2着目の大森と3着目の谷口の差は僅かとは言えほぼ並びである。

葉月は手拍子でをツモ切って谷口にチーされてしまったが、しっかりとと入れ替えていればまた別の結末を迎えていただろう。

東2局3本場 谷口(西家) 5巡目 
 ツモ→打リーチ ドラ
ただ局を消化するだけならば当然ヤミテンを選択するほうがいい。
しかし打点を上げ2着をしっかりキープをしておきたい。ここは谷口リーチ。
これを澤崎よりアガリ2000は2900。

東3局 谷口が6巡目にテンパイ
 ツモ→打 ドラ

親の葉月が追いつきリーチ。
 ツモ→打リーチ ドラ

谷口が一発目に掴んだのは無スジの

ここで満貫の放銃でもすれば一気にラス目…澤崎に塩を送る形になってしまう…ここでアガれなくてもまだチャンスはある…
弱気になる材料は山ほどある。

だが谷口はしっかりと押した。
ここで先延ばしにしても澤崎はアガリに向かってこない。大森も大物手狙いの手筋が多い。
誰だってここで押すのは怖い。怖いけれども押さなければいけないのもまた事実。
を押した谷口。ご褒美のようにでツモアガリ。

南2局1本場。澤崎の親番である。
現在の点棒状況は、
大森15200
澤崎53300
葉月▲300
谷口31800
となっており、大森が普通にアガリに向かってこないと考えると、澤崎は谷口と53400点差をつけなければならない。
8000オールで並び、といったところだ。

澤崎(東家) 5巡目
 ツモ ドラ
長考の末澤崎が選んだ牌は
もしマンズに手をかけていれば、もしツモでリーチをしていれば、もし-待ちではなくシャンポン待ちでリーチをしていれば、もしリーチ時点で3枚ヤマにいたが澤崎の元へ来ていれば……色々な選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがある。

後日、澤崎自身も
「後悔していません」と述べていた通り澤崎はを選んできたから、ここまで勝ちあがってきたのだと思う。

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「派手なことは出来ません。ひたすら基本に忠実に打ちたいと思います」

開始前のコメント通り押すべきところは押し、引くべきところは引き、勝負処を間違えずに一番しっかり打てていたのは間違いなく谷口である。

「タイトルを取ってからが本番。活かすも殺すも本人次第」よく言われるセリフである。
よく言われるセリフではあるがまた、真実でもあると思う。

この優勝を糧に谷口のさらなる飛躍を期待して筆を置きたいと思う。

(文・大浜 岳)

≫準決勝までのスコアはこちら

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