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順位
選手名
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
田村 翔梧
77.5
56.4
10.0
-23.0
-17.7
51.8
2
荒木 栄二
35.8
-42.4
57.4
9.6
3.5
7.7
3
菊池 慧
-17.2
7.7
-17.5
-47.6
53.7
-13.5
4
庄司 麗子
-96.1
-21.7
-49.9
61.0
-39.5
-46.0

≪決勝観戦記≫

観戦記者を務めます、黄河のんです。昨年の新人王戦から今日まで、麻雀プロとして様々な機会を頂けた1年でした。
悔しいかな、本日新たな新人王が生まれます。(笑)でもきっと今回出場する選手は全員、過去の新人王以上に活躍する!そう期待しながら。
第13期新人王戦、始まります!

■出場プロ選手(五十音順)
1.荒木 栄二
第11期前期入会。昨年行われた麻雀最強戦2013全日本プロ代表決定戦優勝という経歴を持つ。
ユーモアとセンス溢れる鳴きは、画面の向こうへどう伝わるのか。
<持ち味>【楽しませる麻雀】
誰も真似できない、独自性あふれる仕掛けを貫きたい。
<意気込み>
視聴者を飽きさせることなく、92%の確率で勝ちますよ。

2.菊池 慧
第11期後期入会。普段は麻雀店に勤務し、普段から腕を磨いている。
会場着いてすぐ、スタッフ1人1人に挨拶して回る姿を神様は見てくれているだろうか。
<持ち味>【普通を貫く】
普段は守備型だが決勝は短いスパンなので、あまり他家に対応し過ぎず、パランスよく打ちたい。
<意気込み>
先輩や同期、職場の皆の期待に応えたいです。

3.庄司 麗子
第12期前期入会。育児と麻雀に奮闘する肉食系ママさん雀士。
決戦会場に似つかわしくない可愛い女の子がいる。
小さな後ろ姿は、扉の向こう側へ行くお母さんを少し寂しげに送り出す。二人三脚で歩んできたこの道、母の眼差しは力強い。
<持ち味>【メリハリ】
押し引きを明確にしたい。なるべく仕掛けを控え、門前で勝負したい。
<意気込み>
優勝して、娘にトロフィーをプレゼントしたいです。

4.田村 翔梧
第12期前期入会。関西にて、麻雀教室講師・ゲスト等精力的に活動中。
あいにくの雨の中、大きな荷物を持って会場入り。西日本代表選手としての重圧を物ともせずに打ち抜けるか。
<持ち味>【対応力】
平面ではなく、仕掛け・立直・場況・点棒・巡目全てを加味した打牌に注目してほしい。
<意気込み>
勝っても負けても後悔しないように打ちます。

さて、新人王に輝くのは・・誰?

今回はこの対局を、簡潔に楽しく分かりやすく皆様にお伝えするために、
わたくし得意の5-7-5俳句形式にまとめて振り返りたいと思います。

1回戦目のポイントはこちら。
【赤信号 トップ目光速 両面チー!】
南1局 ドラ
東家・田村37600 南家・庄司20100
西家・荒木19300 北家・菊池23000

田村は、上家である菊池の第1打であるをチーします。
から仕掛けると、混一色だけでなく、チャンタの可能性も残せます。
多角的に役を見据え、光の速さで反応した田村、見事な仕掛けでした。
トップ目で親番中、1巡目に両面をチーする時とはどんな場面でしょうか?
手牌がバラバラだったら、守備力が落ちるので手牌を短くしたくないですね。
また、好形のイーシャンテンだとしても、役にタンヤオやピンフ等が絡むと、立直をしたいので鳴きません。
となると、「鳴いても高い手」が入っていると推測することができます。そう、他家への牽制にもなりえるのです!
それに応えたのが、荒木。

上家の庄司より、4巡目にをチーしてのバックに構えます。
残っている形が優秀である・打点が低いことから、親である田村を意識した鳴きでしょう。
この荒木の働きで、田村の大物手を蹴り、トップ目の親を流すことに成功しました。
本手がかわされ4者双方が対応する熾烈な争いは、この後も続くことになります。

最終的に1回戦を制したのは田村。
田村+56.4 菊池+7.7 庄司▲21.7 荒木▲42.4

2回戦目のポイントは、ここです。
「心理戦 深読みしすぎず なめすぎず」
南1局 ドラ
東家・田村27500 南家・菊池25500
西家・荒木37900 北家・庄司9100

先ほどトップ目の両面チーは怖いとお話しました。
それを逆手にとった荒木の戦術を紹介します。
トップ目の荒木、4巡目に菊池から出たをチーして打
ドラがであり、チャンタ+ドラを匂わす仕掛けで、他家は荒木を無視することができません。
この一瞬の怯みや読みの歪を利用し、良い意味で裏切る妙手。この後、菊池のリーチをうけて一旦回りますが、
最終的にフリテンをチーしてラス牌で、あのバラバラな手牌だった荒木がアガリを物にするのです!
手牌を短くしても、守備に長けている荒木だからこそ功を奏した局と言えます。

巧みな仕掛けと押し引きで2回戦のトップは荒木。
荒木+57.4 田村+10.0 菊池▲17.5 庄司▲49.9

トータル 田村+66.4 荒木+15.0 菊池▲9.8 庄司▲71.6

3回戦のポイントをどうぞ。
「ドラポンを された後こそ 括目せよ!」(字余り)
南3局 ドラ
親家・菊池20400 南家・荒木29600
西家・田村25000 北家・庄司25000


2つの手牌がぶつかった局です。
親である菊池のドラ3VS北家庄司の南白ホンイツ。
庄司は、しか仕掛けていません。
が、ドラのを捨て、親である下家の菊池がドラ3を仕掛けたにも関わらず、ノータイムで親に無筋のをツモ切ります。
もし、ドラを打牌後に手牌から親に安全そうな牌が手出しで出てきたら、当面の主人公は菊池だと推測されますが…。
そう、今回はエース級の主役が2人。
ドラを切った人に着目するのは大事ですが、その後の動きの方がケアすべき対象判別のヒントになります。
12000と8000が火花を散らす戦いを制したのは、庄司。見応えある一戦でした。

大物手をアガリきった庄司がトップ。
庄司+61.0 荒木+9.6 田村▲23.0菊池 ▲47.6

トータル 田村+43.4 荒木+24.6 庄司▲10.6 菊池▲57.4

4回戦のポイントは2つあります。まず1つ目。
「何切るの? 平面だけじゃ 語れねぇ!!」
南2局 ドラ
東家・菊池32600 南家・庄司14900
西家・荒木29100 北家・田村23400

皆さんならどうしますか?!?
何切る問題になりそうな手牌ですね。
しかしここで大事なのは、親の菊池がこの時点で2つ鳴いていること。
6巡目をポンして打。さらに8巡目をポンして打
この時点でホンイツかどうかは分かりませんが、と処理したことで、間四軒と呼ばれるにただならぬ香りが。
ましてはドラなので、余計に切りづらい。実践で加味されるのはテンパイチャンスだけ・・・ではないのです!!
少考の末、田村の出した答えは
ドラは絶対切らないという強い意志を表す一打。その後単騎待ちでテンパイしますが、終盤場に1枚切れのをツモって、冷静にオリ。
攻守バランスが見事に表現された一局でした。

ポイント2つ目。それはなんと言ってもこのシーン!
【4面子 候補が足りなきゃ 視野広く】 
南2局1本場 ドラ
東家・菊池34100 南家・庄司14900
西家・荒木27600 北家・田村23400

庄司は現状14900点持ちのラス目で、トータルポイントとしてもトップか2着が欲しいところ。
そのため4巡目に菊池が切ったをポンしませんでした。
がドラでなくても、はっきり4面子!雀頭のイメージができない手牌は、真ん中をポンしてぶった切らず、できれば連続形を残したいですね。
ドラが孤立するのを避け、ギリギリまで最高打点を追った肉食系の手筋。
この後も庄司の選択が冴えわたり、視聴者にハネ満を見せつけたのです!

しかし、4回戦は今まで苦しかった菊池がトップをもぎ取りました。
菊池+53.7 荒木+3.5 田村▲17.7 庄司▲39.5

トータル 荒木+28.1 田村+25.7 菊池▲3.7 庄司▲50.1

最終戦5半荘目でのポイント、それは。
「一気寄せ 並び対子は チーが○(マル)」
南2局 ドラ
東家・田村24400 南家・菊池32700
西家・荒木27300 北家・庄司15600

親番が無くなった庄司に対し、田村・菊池・荒木3者が対決し合う事となった最終戦南2局。
この半荘トップを取った人が優勝という壮絶なクライマックスで、現状トップ目の菊池が3巡目に渾身のチー。
そして覚悟を決めた、打。ここで白發ホンイツの満貫を和了し、優勝に王手をかける!!
多くの場面で守備気味に打ち回してきた菊池だからこそ、この仕掛けにトップへの執念と熱い想いが込められているように感じました。
この連続した数牌の対子にがくっついたという形。
ホンイツの染め手にすると決めた際は、ポンよりチーが優秀です。
鳴いた後に残る形が、をポンしてのより、
をチーしての方が、両面で受け入れが広い上にをツモってのターツ選択も出来るからです。
決勝の最終戦、あの緊迫した局面で瞬時に判断し仕掛けた菊池の判断は、賞賛に値するものでした。

 

今回の新人王戦は1人が飛び抜けることもなく、最後まで波乱万丈な戦いとなりました。

庄司は、メンゼン高打点を狙う肉食スタイルで、何度も大きな見せ場を作ってくれました。
庄司が居なければ、ハラハラドキドキする様な大物手がぶつかるシーンは生まれなかったと思います。
仕掛けが多い中で、あれだけパンチ力のあるアガリができたのも、日々の手組研究やスタイル構築の賜物なので、
引き続き今後も活躍してほしいと願っています。

菊池は、まず対局者4人の中で、動作が最も綺麗でした。
ツモって切るスピードは一定で、熱くなる仕草も無く、視聴者を意識して冷静に打っている印象を受けました。
守備を重視し打ち回す雀風で、前半戦は苦しい戦いを強いられましたが、我慢強く辛抱し、ここぞという場面で素早い決断を下していました。
その強いメンタルに磨きがかかって、再度決勝の舞台に帰ってきてくれると信じています。

荒木は、対局が終わった後も変わらぬひょうきんさで周りを明るくしていました。
しかし、この結果を最も歯がゆい気持ちで、悔しい想いに打ち拉がれていたのは間違いなく荒木です。
それを微塵も出さずに振る舞う姿はプロそのものでした。
今回荒木は、出場選手の中で知名度が抜きん出ていました。それは皆が期待しているからに他なりません。
大きな事を言う、けれどそれ以上に結果を出してくれると。
堂々たる言動、徹底した鳴き、高い守備力、次はきっと、120%の確率ですね。大舞台に戻ってくることを皆が待っています。

さて、今回壮絶なバトルを制したのは・・・
 ロン チー ドラ
上記手牌をアガった、田村 翔梧!
親の荒木が、とあっという間に仕掛けていく中で、田村はなかなかテンパイせずやきもきしたと思います。
ドラのを切るタイミングも非常に難しかったはず。しかしギリギリのところでテンパイし、自力で優勝をつかみました。

全体を通してみると、決勝5回戦の中で唯一ラスを取っていないのが田村です。
持ち前の対応力を武器に攻守のバランスを上手くとった結果、安定した成績を残したのだと感じます。
それに、対局中別室に置いてあった田村の携帯はずっと震えていました。
LINEのグループで、仲間から途切れることのない応援メッセージや途中経過の報告がされていたそうです。
沢山の声援と友人の想いを胸に、対局に臨んだ田村。今後は関西の若手エースとして、より高みへ登りつめてくれるものと確信しています。

優勝は、田村翔梧プロ!おめでとうございます!

(文・黄河 のん)

≫準決勝までのスコアはこちら

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