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順位
選手名
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
黄河 のん
126.2
27.7
61.5
8.5
57.8
-29.3
2
小林 雅
22.6
76.7
-53.8
-17.9
-65.8
83.1
3
生井 俊介
4.8
1.0
-18.0
55.5
16.3
-50.0
4
尻無濱 航
-153.6
-105.4
10.3
-46.1
-8.3
-4.1

≪決勝観戦記≫

ゴールデンウイークと言えば世間では大型連休という一大イベントなのであるが、
日本プロ麻雀協会にとっても毎年一人の新しいタイトルホルダーの誕生という一大イベントの日である。
そう「新人王」の誕生する瞬間である。

今年の新人王戦の決勝進出者はこの四人。

黄河のん(第8期入会)

会場に真っ先に現れたのが彼女。
つい先日発売された近代麻雀「麻雀人口増加計画」の中では、
主役の前女流雀王大崎初音と共にスポットライトをあてられた。
その直後に初の決勝に進出なんてこれは≪もっている≫としか言えない。

続いての会場入りは、
小林雅(第8期入会)

昨年結婚した奥さんでもある夏芽ひさこプロを伴っての会場入り。
ベスト16・8ともに危なげなく勝ち進んだ小林。
今回の決勝面子では一番の試合巧者だろう。
決勝開始前にも「年の功で勝ちます」と語っていた。

 

 

生井俊介(第9期入会)

12期に入会した同郷の柳田憲昭プロとともに会場入り。
ベスト16からずっと応援と観戦を続ける後輩にいいところをみせられるか。
準々決勝から見ていて一番安定感のある麻雀をしているなという印象を受けた。

 

最後に会場に到着したのは、
尻無濱航(第10期入会)

最年少ながら二日続けてのトリでの会場入り。
この男大物である。前雀竜位仲林圭や三木敏裕などの先輩達に可愛がられているのは、
人柄だけではなく雀力も評価されている証だろう。

 

 

 

今回の4人は全員が初のタイトル戦決勝。
全員に緊張の色が感じられる中、第12期新人王戦の決勝の幕が開ける。

 

★1回戦★(尻無濱→黄河→小林→生井)


本日初の発声は黄河。4巡で早くもイーシャンテンとなり
 ツモ ドラ
と当然の暗カン。
だが一向にツモが噛み合わずやっとテンパイしたのは15巡目。
を引いての役なしテンパイ。
先制両面テンパイということもあり基本に忠実な彼女らしいリーチ。
だが同巡に追いついた小林が尻無濱のリーチ宣言牌を捕えて8000。
 一発ロン ドラ 裏ドラ

次局も小林が尻無濱とのリーチ合戦を制して加点に成功すると、はにかむような笑顔をみせる。
かなり緊張がほぐれてきたか。

逆に苦しいのが尻無濱。
リーチ負けを繰り返して4局連続放銃で持ち点がなんと200点にまでなってしまう。
その放銃した全ての局で手が入っていただけに仕方がないと割り切れるか。
あるいはネガティブな思考になってしまうのか。
表情からは窺えないが発声の大きさにいつものような元気良さが感じられないのが気がかりではある。

対照的に生井のテンポがいい。
小気味いい打牌音で流局を挟み加点を続け、なんとか黄河が親を流して南入したときには40000点オーバーとなった。

迎えた南2局0本場。

点棒状況は親の黄河から、
黄河32900、小林35900、生井41400、尻無濱▲10200となっている。

結果から書いてしまうと、黄河が簡単にピンフをテンパイしてリーチ。
生井が宣言牌を鳴いて対抗するもオリに回り、黄河が2600オール。
という特に変哲のない局のようだが、この1回戦の生井の敗着となった一局だと思って取り上げることにした。

現状トップ目の生井にとってオーラスが自分の親なので流すべき敵の親は二つ。
連荘されることはなるべくなら避けたい。
もらった配牌はこう
 ドラ
神のような配牌をもらったといってもいい。
だがツモの噛み合わないまま、親の黄河が全て手出しでこの捨て牌

この河で遅いわけがない。すぐにもリーチとくるだろうから、6巡目の小林のはチーしないと間に合わないのじゃないだろうか。
加点することのできる可能性の高い手牌だが、現状自分はリャンシャンテン。
を鳴いていれば次巡黄河がを引いたところでを切るかもしれないし、が宣言牌になってもポンして戦うことができる。
しかし、実戦でのシャンテンからの宣言牌ポンは疑問手だと思う。

結果この2600オールからアガリを重ね黄河は50000点越え。
 リーチツモ ドラ 裏ドラ


南3局は前局に尻無濱とのリーチ合戦を制した小林の親番。
4巡目のチートイツイーシャンテンからホンイツに一気寄せ。
7巡でをポンしてテンパイと手役派らしい麻雀を見せた小林。
このアガリで黄河をわずかにかわしてトップ目に立つ。

次局も加点した小林がオーラスに粘る二人を振り切って自らアガりきり19局に渡る熱戦となった初戦をトップとした。

1回戦結果 小林+76.7 黄河+27.7 生井+1.0 尻無濱▲105.4

 

★2回戦★(黄河→小林→生井→尻無濱)

初戦に大きな負債を背負ってしまった尻無濱。
東風戦仕込の鳴きを得意とする長所がこの先使いにくくなってしまった。
先制して局回しできる展開になればいいが、他の3人が門前主体のタイプなので終盤勝負になることが多い。

大きな動きのあったのは東3局。
黄河が6巡目にこのテンパイ。
 ドラ
これをヤミテンに構えて8巡目にを引いてリーチといく。
イーシャンテンになった小林から出アガリ。裏が乗って満貫のリードを奪う。


またも黄河のアガリ。
好配牌と連続形を大事にするまさにのん先生らしい手順で尻無濱から8000。
小林はこれまでも形が悪いと字牌を抱えて我慢することが多い。
を鳴きたかった尻無濱。無念の放銃になってしまった。

南2局2本場 尻無濱の新人王初アガリが25局目にやっと訪れる。
300・500ながら本場と供託2本を回収して2着に浮上。
 ツモ チー ドラ

だが黄河がオーラスもアガリをものにしてトップで終了。

2回戦結果 黄河+61.5 尻無濱+10.3 生井▲18.0 小林▲53.8

2回戦終了時トータル
黄河 +89.2
小林 +22.9
生井 ▲17.0
尻無濱▲95.1

 

★3回戦★(尻無濱→生井→黄河→小林)

まず先制したのは生井。
東1局、東3局と自然な手順で満貫のアガリ。
ここまで連続3着と展開的には苦しいが、一番素直に手牌を進めている。
門前での基本がしっかししているので、できのいい時は後ろで見ていて非常にしっくりくる。


オーラスを迎え、点棒状況は親から、小林24000、尻無濱13900、生井35500、黄河25600。
現状トータルトップの黄河としては、ここでトップを取れば限りなくコールドゲームに近づくが、
トータル2着の小林よりも上の順位を守れば、残り2回を有利に戦える。
手堅く2着取りの仕掛けを決めた。
小林の手牌はタンピンドラドラのイーシャンテン。
勝負を長引かせていればどうなっていたかわからないだけに英断だったと言えるだろう。

3回戦結果 生井+55.5 黄河+8.5 小林▲17.9 尻無濱▲46.1

3回戦終了時トータル
黄河 +97.7
生井 +38.5
小林 +5.0
尻無濱▲141.2

 

★4回戦★(小林→黄河→尻無濱→生井)

尻無濱はかなり厳しくなった。
そして黄河はトップを取るだけでも最終戦がかなり有利になるだろう。
小林、生井は最低でも黄河よりも上の着順で終えること。それが優勝への道である。


黄河が小林から3900をアガって迎えたこの局。
まだ諦めるわけにはいかない尻無濱がをポンしてホンイツへ。
生井はソーズの山を引き当て9巡でこの形。
 ドラ
だがこの段階で尻無濱は安全牌の字牌の手出しを入れ、親の黄河がその仕掛けにマンズを2牌かぶせている。
その状況で次巡の場に4枚目のをスルー。
染め手の匂いを消したかったとのことだが、緩手だと思う。
その後をポンして結果オーライの3000・6000。

次局は黄河が好配牌を丁寧に仕上げヤミテンで小林から12000。
小林もかなり苦しい・・・。

もう後がない尻無濱がここから5200は5500、8000とアガってトップの生井に肉薄。
生井にとって緊張のピークだったであろう局が続くことになる。


点棒状況が親から尻無濱37500、生井40400、小林▲5800、黄河26900。
好配牌をもらった生井3巡目、
 ドラ
黄河を三着のままにしたいため、ここで求めるものは打点よりスピード。
だが生井の選択は打
通常のリーグ戦ならば打点との兼ね合いもあり否定されるべき打牌でもないと思う。
だが、タイトル戦の決勝という舞台でこの得点状況ならばを打たなければいけなかったと思う。
尻無濱から出アガリする場合も打点が安いほうが黄河の着順が上がりにくくなるし、ツモの場合も同じ。
結果はアガリ逃しの後、尻無濱に放銃と最悪のものになってしまった。


黄河がマンズに寄せていくが、まだまだ加点したい尻無濱。
 ドラ
12巡目に出る
巡目と黄河とのスピード感からマンズはさばきたいのでチーといくと、下家にと流してしまう。
そしてを引いてテンパイするも、動かなければ黄河の放銃になっていたであろう牌。
結果で放銃となり尻無濱の新人王はここで幕を閉じた。

トップと2100点差の黄河がオーラスもアガリ、残すは最終戦のみとなった。

4回戦結果 黄河+57.8 生井+16.3 尻無濱▲8.3 小林▲65.8

4回戦終了時トータル
黄河 +155.5
生井 +54.8
小林 ▲60.8
尻無濱▲149.5

 

★5回戦★(黄河→尻無濱→小林→生井)

最終戦開始前に条件の確認が行われる。
現実的な条件は生井のみ。
黄河と100.7ポイント差なので、トップラスを決めての20800点差かトップ-3着での40800点差(同点は先行有利)を満たせば生井の優勝。
満たせなければ黄河が12期新人王となる。

先制したのは尻無濱と小林。優勝するためにはかなり大きいトップが必要になってくる二人だが条件がある間は諦めない。
このアガリは生井にも歓迎。二人がアガってくれないと黄河とのトップラスは厳しい。
南入した時点で、黄河17600、尻無濱32700、小林32400、生井17300。
この並びなら生井はあと21000点稼げれば優勝。かなり現実的な条件だと思われたのだが・・・

 ツモ ドラ

南2局この小林の四暗刻ツモによって希望は絶望へと変えられてしまう。
小林の条件も現実的になってきたところで希望を打ち砕いたのは黄河。
あっさり小林の親を流し、オーラスも簡単にテンパイ。

 チー ポン ドラ

尻無濱にとっては初戦が全てだったと思う。
もう少し違った展開になれば持ち味が生きる事も多かっただろうし、
表彰式での五十嵐代表の言葉じゃないけど、来年以降この舞台でまた成長した彼の麻雀を見てみたいと思わせてくれた。

生井には打ち上げの席でも厳しく書いてくださいと言われていたので、今回の観戦記では敢えて厳しく書かせてもらっている。
でもベスト16からすごく安定していたし、決勝でも基本に忠実にしっかり打てていたと思う。
麻雀の引き出しを増やしていけばもっと強くなるんじゃないのかな。

小林はしっかりした受けと、試合運びがうまかったなぁって思う。
しっかりした麻雀を打つ小林がいなかったらこんなに熱戦にもならなかっただろうし。
今年が最後の新人王戦でもうこの舞台に立てることはないけれど、雀竜で一緒に麻雀しましょう!
僕もC級予選からなんで・・・

テンパイからアガリまでの6巡の間、彼女は何を思っていただろうか。
麻雀プロを志し、麻雀人口増加という夢を見ながら挫折しかけたことだろうか。
それともこの先に広がる夢の続きだろうか。
そしてベスト16から彼女の後ろには常に大勢のギャラリーがいた。
前女流雀王・大崎初音、最高位戦日本プロ麻雀協会の華村実代子プロとはじめた麻雀教室「紅孔雀」の生徒さん達だという。
多くの人の前で自分の麻雀を見せ続けて、このゲームの素晴らしさを伝えたのん先生。
基本に忠実に自分らしい麻雀を打ち切ったことは本当に素晴らしかった。


生井から放たれたによって第12期新人王が決まった。

本当におめでとう!!新人王は黄河のん。

新人王戦は学生時代の部活動に似てる。
その年で引退する人もいれば、新しく入ってくる一年生もいる。
自分の力を出し切っていい成績を残せる人も、普段の実力を出し切れない人もいるけれど、
全員が同じ目標に向かって戦っているのは本当に見ていて気持ちがいい。
来年も素晴らしい戦いが見られることを期待してこれで観戦記を終えたいと思う。

そういえば今回の決勝戦、会場に到着した順番に順位が決まったんだけど、
これじゃあ今年の雀王決定戦も、常に時間ギリギリ到着のあの人は協会のエースになれないなぁ・・・

(文・小川 裕之)

≫準決勝までのスコアはこちら

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