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第15回日本オープン

順位
氏名
所属
合計
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
魚谷 侑未 プロ連盟
127.1
78.6
7.6
-27.6
61.9
6.6
2
渋川 難波 プロ協会
78.4
-69.0
50.8
74.7
-28.8
50.7
3
櫻井 秀樹 プロ連盟
-57.3
-29.6
-17.6
12.5
17.6
-40.2
4
濱 博彰 プロ協会
-148.2
20.0
-40.8
-59.6
-50.7
-17.1

<決勝観戦記>

日本オープン決勝、今回は一般参加者の勝ち残りはなく、連盟、協会ともに2人ずつとなった。


準決勝1位通過・渋川難波(日本プロ麻雀協会10期前期)

言うまでもなく、第15回の覇者。ディフェンディング制ではない日本オープンで2年連続決勝は難しい。
準決勝(ベスト16)からと、他よりは圧倒的に有利なシードではあるが、過去、ここをクリアした前年度覇者は少ない。渋川は前日行われた準決で他より1回早く勝ち上がりを決めたが、そこで帰ることはせず、最終戦しっかりと観戦していた。藤崎智(連盟)以来の連覇が期待される。


準決勝2位通過・魚谷侑未(日本プロ麻雀連盟)

2009年、25期生でデビューすると、わずか2年で女流桜花戴冠、さらに翌年連覇。
MONDO杯でも活躍し、現在女流最強の呼び声も高い。
喰い仕掛けを多用する速攻のイメージが強いが、前日は渋川に次ぐポイントを持ち、最終戦はじっと耐える麻雀で2位通過を決めた。


準決勝3位通過・濱博彰(日本プロ麻雀協会7期前期)
第8期新人王。だが、それ以降目立った活躍はない。それだけに久々に迎えた決勝の舞台、期するものがあったはず。
前日の最終戦、同卓の中月裕子との競り合いに勝ち、決勝進出を決めた。


準決勝4位通過・櫻井秀樹(日本プロ麻雀連盟)
24歳で連盟入会とのことなのでプロ歴15年と、4人の中ではもっともベテランであり、31期十段位(2014年)のタイトルも持つ。
前日の最終戦は厳しいポジションだったが、持ち前の得点力で大きなトップを取って条件をクリアした。

なお、あまり関係ないが、出身地は渋川・広島県、濱・徳島県、櫻井・山口県と中四国が3人、東日本は魚谷・新潟県のみ。
血液型は連盟2人がB型、協会2人がA型と見事に分かれている。

★1回戦(座順・魚谷―渋川―櫻井―濱)
濱がスタートダッシュ。リーチドラ1、3200点、白ノミ400・700と小刻みながらも立て続けにアガる。これを魚谷が東3局、マンガン(リーチツモ中、裏ドラ2)一発で捲る。

東4局、親番の濱が2局連続1人テンパイで連荘。これを落としたのが魚谷、リーチツモのみだが、供託、積み棒込みで5600の収入。
南1局、今度は魚谷が親番で粘る。櫻井との2人テンパイの後の1本場、リーチドラ1を渋川から。2本場はポンの1300は1500オール。この時点で2着目・濱とも2万点差のダントツ。
この親を落としたのが濱。
リーチ、オモウラの5200は7100。
濱は次局もアガる。自風をポンしてのホンイツ・ドラ1でマンガン。この瞬間、魚谷まで3000点弱と迫った。だが、しかし……
南3局は魚谷がホンイツ・ドラ2のマンガンを渋川からアガッて突き放し、オーラス、連荘したい濱の親も、ダブポン、アンコの手を7巡目に仕上げて終わらせた。
すべてのアガリを記したが、最後まで和了者として名前が出てこなかった者がいる。櫻井と渋川、ノーホーラが1人ということはたまにあるが、2人も。
控え室に戻ってきた櫻井は無言、渋川は「やることやってノーホーララス。後悔する必要なし」と苦笑い。
しかし、この2人よりも「アガッてもアガッてもアガリ返される」とつぶやいていた濱のほうに疲労が色濃く見えた。
一方、幸先いいスタートを切った魚谷は……何かを食べていました。ガッツリ食べているわけではなく、いわゆる「もぐもぐタイム」。
エネルギーチャージに余念がなかった。

魚谷+78.6 濱+20.0 櫻井△29.6 渋川△69.0


★2回戦(座順・渋川―濱―櫻井―魚谷)
小さなアガリがあった後の東3局、櫻井に待望の初アガリが出る。
ツモ ドラ 裏ドラ
2600オール。もちろんトップ目に立つ。
この局は渋川もリーチ打牌のをポンして、
ポン ドラ 裏ドラ
この手で真っ向勝負していた。ようやく2人とも戦える状態になってきたようだ。
1本場は西家の渋川が濱から5200出アガリ。
チー 加カン ドラ
濱も、
ポン チー ドラ
この形で対抗しながらも2枚とを掴まされ、
ポン チー ドラ
ここにをアンコにしてテンパイしての放銃だった。
次局は親の魚谷がメンタンピンのリーチ。
ドラ
これを濱が追っ掛ける。
ドラ
同巡、渋川もテンパイ。
ツモ ドラ
三色を見て残していたがリーチ打牌となって濱に一発で3900放銃。
渋川からはドラがすべて見えており、は首位を行く魚谷の現物。この牌で回る気はさらさらなかっただろう。
この半荘ここまでアガリのない魚谷がラス目になっていたが、南場になって連続アガリ。
ポン
トップ目の櫻井があとは局を進めるだけと、-リャンメンリーチを打ったが、リーチ後にを持ってきて魚谷にポンテンを入れられ、まで掴まされてしまった。
次局は、魚谷が気持ちのいいドラのカンを引き入れてリーチ。
ドラ
これに放銃したのがまたも櫻井。ドラ2枚のピンフイーシャンテン、かつ魚谷の現物ナシという状況で切ったが捕まった。
トップ目櫻井からの連続打ち取りで、30000点持ちとトップ目にまでなった魚谷。これは他3者からは非常にまずい状況である。
南3局、櫻井がマンズのホンイツで仕掛けるも、渋川が委細構わずカンでリーチ。流局して1人テンパイ。

オーラス流れ1本場、魚谷の親番。点棒状況は、
魚谷 29000
渋川 26800
櫻井 23200
濱 20000

供託が1本あるので、渋川は何をアガッてもOK。
櫻井は5200出アガリ、1000・2000ツモ、直撃なら2600。
濱は1600・3200以上のツモかハネマン出アガリ、直撃は3900や5200でもかわせるが、その場合は渋川がトップになるので6400以上が必要。
この接戦を制したのは渋川。
ツモ ポン ドラ
櫻井がタンヤオで仕掛け返しており、条件からいってもドラ2枚以上は持っているはずで、苦しいカンだったが、ツモり上げた。

渋川+50.8 魚谷+7.6 櫻井△17.6 濱△40.8
小計:魚谷+86.2 渋川△18.2 濱△20.8 櫻井△47.2

★3回戦(座順・魚谷―渋川―濱―櫻井)
この半荘は全24局と非常に長かった。
東2局に親となった渋川が7本積み、親番が終わったときには6万点を超えていた。
ただし、無理をする必要のない魚谷が失点が少なく、2着につけている。
そう、この半荘が非常に局数が多かったのは、渋川の大連荘が一因だが、余裕のあるトップ目ならば魚谷の順位を落とそうとする渋川の思惑、渋川の大量点で自分のトップが難しいならばせめて魚谷の順位を落とそうとする櫻井、濱の連合軍ができたことが最大の要因である。

東4局、親の櫻井が6巡目にリーチ。
ドラ
10巡目にツモッて6000オール。魚谷をかわして2着に浮上。
南1局、テンパイ連荘後の3本場、親の魚谷がリーチ。
ドラ
これをツモり、裏ドラを乗せて4000オール。再び2着に浮上。さらに次局も1000は1400オールで櫻井との差を広げる。
渋川はこの時点で52500とへらしており、魚谷に4000オール一発で並ばれる。もう余裕はなくなっていた。
次局はテンパイ連荘。気がつけば、東場の渋川に迫る6本場となっていた。
ここで連合軍にとって一番怖い魚谷の親リーチが入った。
ドラ
入り目は絶好の。渋川も櫻井も打つわけにはいかず、このリーチに対抗できない。もはや一人旅で時間の問題かと思われた。
しかし、箱下で失うものが何もない濱が立ち向かった。
ドラ
このテンパイをしていたが、2枚切れでは追っかけるわけにもいかず、ヤミにしていると、ドラのをツモ。渋川が早々と打っていて残り1枚のドラと中ぶくれので思い切りよく追っかけた。が魚谷のアガリ牌と知っていたら、リーチは打てなかっただろう。
このラス牌を魚谷が掴む。リーチ棒、積み場込みで8000の放出。
もしもカンのままリーチと行っていたら、その後ので5800は7600の放銃であった。点棒の動き以上の大ファインプレーである。
南2局、親の渋川がドラを重ねて10巡目テンパイ即リーチ。
ドラ
捨て牌はこう。


必殺のリーチである。
このとき魚谷は、
ドラ
のイーシャンテン。引きならば勝負で良く見える-マチにするかもしれないが、ツモならばで放銃となるだろう。しかし、魚谷はが出て行かないツモで打、形勢逆転のリーチを打つ。
しかし……リーチ後に掴んだのはラス牌のだった。
この12000で3着に落ちるも、次局リーチタンヤオピンフの3900は4200を渋川から打ち取り、三度びの2位浮上。
南3局、箱点の濱の親。渋川、櫻井はこの親を邪魔する気はないが、魚谷がポンの300・500で冷徹に流し、ラスだけは引かない形を作る。
オーラス、2着魚谷と3着櫻井の差は3400点。
櫻井リーチで流局。櫻井と渋川の2人テンパイ。差は1400に詰まる。
1本場、渋川はタンヤオのみのカンをテンパイ。
ドラ
1300は1600で、魚谷直撃ならば3着に落とせる。
ここに櫻井がリーチ。
ドラ
リーチ打牌はだったが渋川はもちろんアガらない。渋川は結局オリに向かい、櫻井の1人テンパイ。ようやく2着3着が入れ替わる。
2本場、櫻井がリーチ。
ドラ
2巡後に追いついた魚谷、
ドラ
ヤミテンにしたが、次巡のを大長考の末、空切りしてリーチ。
この勝負は櫻井がをツモッて(裏ドラ)4000オール。魚谷の3着をほぼ確定させた。
オーラスは濱がリーチピンフ・ドラ1をツモッて終了。

渋川+74.7 櫻井+12.5 魚谷△27.6 濱△59.6
小計:魚谷+58.6 渋川+56.5 櫻井△34.7 濱△80.4

★4回戦(座順・魚谷―濱―渋川―櫻井)
東1局、櫻井がリーチ一発ツモ・タンヤオのマンガン。
ツモ ドラ 裏ドラ
親が魚谷だけに値千金。
しかし、東2局2本場に渋川の罠に嵌まってしまう。
ドラ
12巡目のリーチ、捨て牌4巡目にはが切られている。
櫻井はドラドラのイーシャンテン。
ドラ
を落とせばベタオリになる。そこでに手を掛けてマンガン放銃となった。
だが、櫻井は東4局の親でダブポンドラ雀頭の4000オールでトップ奪還。
さらに安手ながらも2局連続でアガり、4万点越えとなる。
4本場、濱がリーチ。
ドラ
櫻井がドラをアンコにして追いつき、追っかける。
ドラ
マチはともに2枚残りだったが、櫻井がを掴んでしまう。
このマンガン直撃で櫻井に200点差と肉薄。
もしも濱が櫻井を捲って、濱、櫻井、渋川、魚谷の並びで終われば、最終戦は全員に目がある戦いとなる。
南1局、濱にこの日最大に見せ場が来る。9巡目にツモリ四暗刻のリーチ。
ドラ
しかし、ラス目で親番の魚谷がひるまず押し返し、2巡後に追っかけ。
ドラ
-1枚ずつ、1枚の勝負だったが、濱が一発でを掴む。
魚谷、次局もリーチツモ・裏ドラ1枚乗せての2600オール。たったの2局でラスからトップまで駆け上がった。
2本場は櫻井が自風から仕掛け、
チー ポン ツモ
で、再び魚谷にマンガンを被らせ、トップに返り咲く。
櫻井は南3局1本場にもタンヤオのみながら供託棒3本をかっさらって43600持ちで29900持ちの魚谷のマンツモ圏外に逃れてラス親を迎えた。
通常は櫻井トップで終わるところである。それがまさか……
暗カン ドラ
魚谷、わずか7巡目にこにの手をテンパイ。ツモ直撃OKなのでヤミテン。
途中でを引いて-に変わったが、なかなかツモれない。
終盤になり、櫻井はあとは伏せるだけとなった最後のツモ番で、魚谷がをツモり上げた。
魚谷+61.9 櫻井+17.6 渋川△28.8 濱△50.7
小計:魚谷+120.5 渋川+27.7 櫻井△17.1 濱△131.1

魚谷の勝負強さが光る。最終戦を迎え、2番手の渋川でさえ12800差のトップラス(準決勝1位の渋川は同点で優位)、櫻井は57700差のトップラス(櫻井は同点不可)というキツイ条件が突き付けられた。
そして魚谷は、長引くであろう最終戦に向けてエネルギーチャージに余念がなかった。

★5回戦(座順・櫻井―濱―渋川―魚谷)
東1局、魚谷がリーチ。何でもない手で、いわゆる13本リーチだが、一発ツモで1000・2000。これはでかい。
このリードだけでも魚谷をラスにするのはそうとう難しくなるからだ。
トップに名乗りを上げたのは3者のなかでは条件が一番現実的な渋川。
東3局の親、流局テンパイの次局、
ドラ
この手をヤミ。リーチをして櫻井や濱から出たのではトップラス条件が難しくなるからだ。
実際、濱から出たを見逃している。すぐに高目をツモッて4000オール。

2本場は渋川が濱から12600。
ドラ 裏ドラ
濱から先リーチが入っていたので先ほどとは状況がちがう。とはいえ、ツモアガリにしたかっただろう。
この2回の親満で5万点越え。32800差のトップ3着でもOKなのだ。

3本場、櫻井がリーチ。
ドラ
渋川がドラ1の手で追っかける。
ドラ
さらに濱が参戦。
ドラ
結果は渋川がを一発で掴んで6400は7300の放銃。

東4局、親の魚谷にチャンスが訪れる。
ツモ ドラ
6巡目、絶好の3メンチャン。当然リーチと思われたが、魚谷はを曲げずに置いた。
ここで5800の加点は大きい。まずラスはなくなるだろう。それはわかる。
しかし。4000オール、6000オールならば渋川の希望を打ち砕くことができる。なによりこの局面、3者全員恐れているのが魚谷の親リーチなのだ。
解説席も疑問視したヤミテンである。
下家でをポンしていた渋川が魚谷の切ったをチー。
それを見て、魚谷はツモ切りリーチ。しかし、これが最悪のタイミング。渋川が掴んだのはヤミテン続行ならば出たであろうだった。
そしていつのまにかロン牌のをトイツにしていた櫻井が、さらにアンコにしてリーチ。
ドラ
結果は手詰まりとなった渋川がで櫻井に放銃(裏ドラ)。しかし、櫻井への放銃は悪くない。櫻井を魚谷の上に押し上げたからだ。
魚谷の失点はリーチ棒の千点のみで済んだが、やはり逸機となった局である。
南1局、濱が4巡目にリーチ。なんでもないカンリーチだったが、リーチ後にを持ってきたおかげで魚谷がオリ打ちしてしまう。しかし、これは悪くない。1300の放銃で櫻井の親を終らせることができたからだ。実質、櫻井はここで終了である。

南2局、親でアガリ続けていれば可能性が残る濱が6巡目にリーチ。
ドラ
渋川は「濱さんツモれ〜」と願っていただろう。
濱自身と渋川の願いが通じてツモ(裏ドラ)。この2000オールで濱が2着に浮上。渋川待望の魚谷ラス目となった。
並びができた以上、あとは局を回すだけである。ヘタに高い手を作っては着順を変えてしまうとばかりにホンイツのみで仕掛け、櫻井から2000は2300点。これなら櫻井は3着のまま。無限連荘を狙う濱の親も終わった。
南3局、渋川は自分の親番と、オーラスの魚谷の親番を流すのみと思っていただろう。しかし、ここで異変が起こる。



6巡目に2枚目のをポンした魚谷、一応トイトイ狙いだが、形テンでも良しと思っての仕掛けだろう。
ここでは、解説席は、
「櫻井の序盤の切りを見れば、国士などのウルトラC狙いで、基本アガリに行っていない。ならばテンパイ料でも3着浮上である」
といった見解から、その条件下での反応の早さに驚くだけだった。
それが、出アガリマンガンに育つとは!?
をアンコにした8巡目でも「これでトイトイのイーシャンテン」と言っていただけだったが、をアンコにした瞬間、驚きの声が上がった。
渋川はただならぬ気配を察してをチーしての先付けテンパイ。
「緊急事態と思ってテンパイを入れた。魚谷さんは止まらないでしょ」
渋川はオリるつもりなどさらさらなかった。
「魚谷さんはトイトイしかない。仮に1フーロでテンパイしているなら、ツモられると三暗刻が付いて満貫になる。それなら打ったほうがマシ。2600ならば、オーラス簡単な手の直撃か親被りで順位を落とせる」
このときの魚谷は18600持ち。2600加点ならば21200で現在3着の櫻井19800より1400上になる。しかし、これは1600以上の直撃、1600・3200以上のツモでOKであり、さほど難しい条件ではない。
だから、掴んだがトイトイに危ないションパイであっても、躊躇なくツモ切られた。
だが、魚谷の「ロン」の声は並のテンションではなかった。その声を聴いた瞬間、渋川は思った。
「こ…これは2600の声じゃない。役牌全部見えているし、ドラは僕が持ってるし、なんで?」
魚谷から続いて出た点数は想定外の「8000!」
ポン ドラ
「そうか…その形があったか」
渋川は途中、魚谷のアガリで何度も心を折られたと言っていたが、最後に枝葉ばかりでなく幹までバッサリと折られた。それも根元から。
渋川はまだトップだが、魚谷が2着に浮上。しかも、魚谷を再びラスにするためにはマンガン直撃が必要。ことここにいたって、魚谷がそんなミスをするはずがない。
魚谷はオーラス、全身全霊を込めてオリ切った。

渋川+50.7 魚谷+6.6 濱△17.1 櫻井△40.2
合計:魚谷+127.1 渋川+78.4 櫻井△57.3 濱△148.2

観戦子(五十嵐)が魚谷の麻雀を、凄いなと最初に思ったのは第6期の「夕刊フジ杯争奪麻雀女王決定戦」である。この年はトップが3勝、2着が2勝1敗、3着が1勝2敗、ラスが3敗となる勝敗方式で行われていた。
ある日の魚谷、珍しくポンもチーも、もちろんリーチも言わず、ジッとしていた。ラス目とはいえ、無理もしていないのでそう大きくへこんでおらず、マンツモでトップになる点差だった。オーラス、ドラも何もない手だったが、ダブと何かのシャンポンでこの半荘初めて声を出した、「リーチ」と。
そしてをツモり上げ、一発で3勝をものにした。そのとき、「この娘は凄いな」と思ったのである。それからあちらこちらで活躍するようになるのに時間はかからなかった。
今回の決勝5回戦の得点推移表を見てみると、1回戦の大トップでリードを持ったわけだが、それもあってか、2回戦東場はノーホーラながらも放銃もなし。
3回戦の東場も渋川大連荘の間、ジッと耐えてノー放銃で2着につけていた。
4回戦、5回戦とも東場はノー放銃である。
「最速マーメイド」のキャッチでその早い攻撃にばかり目が行くが、リードしている所からは簡単に足場を崩すようなことはしない、雪国出身の我慢強さにも脚光が浴びていいように思う。
日本オープン、女性初の優勝者となったわけだが、さらなる活躍に期待したい。


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