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第7回日本オープン

順位
氏名
所属
合計
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
坂巻 稔永 一般
63.2
-17.5
57.4
-172
66.0
-25.5
2
北島 路久 RMU
1.2
-45.8
6.6
5.1
23.4
11.9
3
長田 裕志 一般
-8.9
55.5
-49.0
53.8
-16.0
-53.2
4
西川 淳 連盟
-55.5
7.8
-15.0
-41.7
-73.4
66.8

≪決勝観戦記≫

春雨ぱらつく中、ひっそりと聖地ばかんすで始まった。

『第12回日本オープン決勝』

★1回戦★(北島→長田→坂巻→西川)

初っ端、親の先制リーチはこうであった。
 ドラ

リーチの主は、前年度日本オープン優勝者・北島 路久。

昨年度プロ1次予選から圧倒的戦績で決勝まで勝ち上がり、
決勝でもその素直でストレートな手筋をもって猛者達をなぎ倒し、戴冠したのは記憶に新しい。

今年度も準決勝シードからあっさりと首位で決勝卓へ駒を進め、まずは皆から注視される立場と言えよう。
このドラ単騎七対子のリーチも14枚のイーシャンテン時に抱えたドラ以外のが全て山に2枚生きと
非常に精度の高いものであった上、テンパイ時のツモはと、パーフェクト。
普通の人はを河に並べてしまいそうであるから、恐れ入る。

だがそれに待ったをかけたのが西家、坂巻 稔永だった。
坂巻(西家)
 ツモ チー チー ドラ

カンチャンのから仕掛け、安牌を丁寧に選びながらチーテンをとり、打点は1000・2000。
とこちらも文句のつけようのない進行。

坂巻はこの中で最も経験豊富なのではなかろうか。
少なくとも試合巧者である事は前日の準決勝からも窺えていた。

RMU会員として大会に幾度も参加し、実際数年前のヴィーナスカップでは優勝も果たしている。
卓回しが上手く、仕掛け・押し引きの判断や牌の残し方にも妙がある。

続く東2局、東3局ともかわし手をきちんと成就させて、局を進めていた。

一方この2局、勝負手を潰されていたのが長田 裕志である。

親番の
 ドラ

東3局の
 ドラ
はどちらも勝負手で、坂巻に上手くしてやられた感がある。

熱くなってもおかしくない状況だったが、
実際卓に着いている長田はとても紳士的なプレイヤーであった。

放銃しても相手の牌姿を確認し、「はい」と言い、丁寧に点棒を受け渡す。
またドラを大切に持ちながら手を進める様子も見ていて安心感がある。

聞けば、協会道場の「パレット」ができて以来、通ううちに、競技麻雀に興味を持つようになった。

東4局、積極的に仕掛けてテンパイを入れたのが親の西川 淳。

ここまで手が入らず、牌が言うことを聞かないといった状況であったが、
親で3本場、供託3本で2900リャンメンテンパイとあっては、リーチ者がいようと知った事ない。

だが、ここも河に置いたスジのにリーチ者の長田から声が掛かる。
長田(西家)
 ロン ドラ 裏ドラ

西川は日本プロ麻雀連盟所属のB1リーガーである。
今年度のB1では16名中3位で惜しくもAリーグへの昇級とはならなかったが、素晴らしい戦績だ。
また第22期のチャンピオンズリーグでは優勝を果たしており、
今回の決勝四人の中での下馬評は一番であったように思う。

だがその西川を持ってしても、偶発性のある「裏ドラ」には手の施しようが無い。
これが協会ルールにおけるリーチの怖ろしさと言える。

しかしその後迎えた南2局、その裏ドラの恩恵を倍にして授かったのが他でもない西川であった。
西川(西家)
 ツモ 暗カン ドラ 裏ドラ

ここまで恵まれなかった西川が起死回生のリーヅモドラ6の倍満。
ラス前は長田が丁寧な仮テンをものにし、オーラスは北島以外の三者が3000点差以内の超僅差となる。

ここで抜け出したのがソーズの山を掘り当てた、長田であった。
親の西川はピンフテンパイ。
トップ目坂巻は苦しい形からも、ノーテン罰符すら2着順落ちる可能性もある状況のため、必死に仕掛けていくが、
まさかあの配牌から長田にダマテンのメンホンができあがろうとは。

長田(西家)
 ロン ドラ

1回戦結果 長田+55.5 西川+7.8 坂巻▲17.5 北島▲45.8

 

★2回戦★(坂巻→長田→北島→西川)

1回戦オーラス痛恨の1着→3着であった坂巻だが、この半荘も500オール、2100オールとアガリを積み重ねていく。

淡々と進んだこの2回戦だったが、東4局に点棒が大きく動く。
西川(東家)
 ロン ポン ドラ

打ったのは長田。
イーシャンテン時まで絞って放たれたダブ東が鳴かれ、西川に12000のテンパイ。
そこにサクッとカンが入ってのリーチ。すぐつかむドラ表の。非情なものだ。

さらに南場に入っても西川が技ありの三色ドラドラの3900を出アガリし、着々と点数を積み重ねる。

南3局となり、勝負所が訪れる。

西家の坂巻対親の北島。
手に汗握る捲り合いも流局となる。

そしてオーラス。
親の西川33000、坂巻29400、長田11000、北島26600。
1回戦同様僅差の戦いである。

西川は1人ノーテンは避けねばならず、最初からベタオリはできない。
手牌進行としてはある程度までは素直に進めるしかないだろう。

ところが、この局、ほぼ確実に一色手であろう仕掛けが各家に入った。
南家坂巻にピンズ、西家長田にソーズ、北家北島にマンズである。
さらにドラはで見えていない。しかも全体牌譜を見て欲しい。


坂巻はをツモ切り、1枚枯れのを手出し、をポンし、打である。
長田はをポン、打、次巡手出し。
北島はマンズ三フーローだ。 皆さんなら何を切るだろう。

西川の最悪は対面の長田に12000放銃でラス落ちだ。
しかも長田は西家なのでが暗刻の場合もれなくハネ満になるし、対々でがヘッドだとしてもアウトだ。
実際、長田はを対子にしていた。
また満貫の放銃もトップから3着にまで転げ落ちる。

ましなのは坂巻に3900放銃か。2着には残る。
最良は誰かが張っておらずの2人テンパイ。

これだとトップのままだ。
だがまだ5巡ほど山は残っていた。

西川(東家)
 ドラ
さすがに長考が入る。
苦しい、本当に苦しい。
マンズ3フーローに向かってマンズはやはり打てないであろう。

ピンズはがスジで2枚枯れ。
は3枚見えだ。
が全見えであり、はノーチャンス。そしてが1枚切られている。
はどうか?
ソーズの長田だけ1フーローだが、通る根拠が何も無い。ピンズを選ぶしかなかった。
以外は通りそうな理由があり、また満貫を作る必要がないであろう坂巻になら(を持ってなかった場合に限るが)、2着なのだ。
そして西川が選んだ牌はであ った。

坂巻(南家)
 ロン ポン チー ドラ

一通…。

満貫…。

西川痛恨の3着落ち。
致し方ない放銃かもしれない。
をスムーズにツモ切った坂巻も褒められるべきなのかもしれない。

だが、この高レベルの2人にはあえて苦言を呈したいと思う。
カンをチー、をツモ切り、1枚枯れのを手出し、ポン打の人間に果たして1枚枯れの対子持ち、
ノーチャンスのが単騎にあたる事はほとんどあり得ないだろう。

さらにその人物は3900条件なのだ。
を切って残り3枚のを見限ってまでわざわざカン固定をするだろうか?
こう考えられるヒントを与えてしまった坂巻の打もやや疑問だ。
が浮いているリャンシャンテン時にわざわざノーチャンスの牌を見せる事はどうなのであろうか?
これではが出アガリ易くはならないのではないか?
だがしかし、坂巻の切りがなければ、西川を惑わせる事もなかったという事も事実である。
ピンズはどれにも手を掛けられなかったかもしれない。

坂巻にはでアガろうとする強い意思があったのだろう。
自分への放銃を呼び込んだ、ある意味テクニカルな切り出しであったように思う。
西川にとっては非情に悔やまれる1局となってしまった。

2回戦結果 坂巻+57.4 北島+6.6 西川▲15.0 長田▲49.0

2回戦終了時トータルスコア
坂巻 +39.9
長田 +6.5  
西川 ▲7.2
北島 ▲39.2

 

★3回戦★(坂巻→西川→北島→長田)

まだまだスコアも平たい、3回戦。
気をとり直すべく、西川が先制パンチ。
西川(南家)
 ロン チー ドラ

東2局は坂巻がやり返す。
坂巻(北家)
 ロン ドラ
3900の行って来い。

そしてこの全員原点の状態から抜け出してきたのが、長田だった。

東3局
長田(南家)リーチ
 ツモ ドラ 裏ドラ

東4局
長田(東家)リーチ
 ドラ
これは300・500のツモられ。

南1局
長田(北家)リーチ
 ドラ
流局、1人テンパイ。

南2局
長田(西家)リーチ
 ドラ
流局、1人テンパイ。

何と4局連続の先制リーチ。
これでは他家はなかなか真っ向勝負ができない。長田の見事な手牌進行を褒めるべきである。
長田がトップ街道をひた走り、2着以下は接戦の展開が続き、ラス前、北島の親番となる。

ここで北島に2局連続で微妙な選択が生まれる。
北島(東家)
 ポン ドラ

北島(東家)
 ポン ドラ
そしてどちらもがのリャンメンを拒否してのシャンポン待ちの選択とし、アガリ逃しとなってしまう。

上の牌姿はで2900は3500なので打の高め追求。

下の牌姿はが2枚枯れ、ドラのは期待ができないため、ソーズの変化を見た打との事であったが、
どちらも本場が積まれて供託もある親番中。リャンメンにとる方がよかったのではないだろうか。
素直にアガリに行く北島としてはらしくない選択に思えた。

この両局とも他家にはアガリが出ず、5本場まで行って、坂巻が本場を奪う大きなアガリ。
 ツモ ドラ 裏ドラ
裏ドラの方をしっかり手繰り寄せ、2着まで浮上してきた。

オーラスは北島の手が早かった。まだ一段目のことである。
 ロン ドラ

これを坂巻からアガり、2着をキープ。
長田が嬉しい2勝目となった。

3回戦結果 長田+53.8 北島+5.1 坂巻▲17.2 西川▲41.7

3回戦終了時トータルスコア
長田 +60.3
坂巻 +22.7
北島 ▲34.1
西川 ▲48.9

 

★4回戦★(西川→坂巻→北島→長田)

4回戦が始まる頃、目下4位の西川に最強の応援団が来ていた。妻と娘である。

その想いはすぐに届いたような気がした。
親を引いた西川の配牌が何とこうだ。
 ドラ
ドラドラの配牌イーシャンテンである。麻雀がわかる8歳の娘も目をキラキラさせて見ていた。

だが…、有効牌をなかなか引かない。
4巡目から10巡目まで端牌のツモ切りが続いた。

そして13巡目、北家長田からの先制リーチ。

西川は一発目から無スジのを切り飛ばし臨戦態勢だった。

だがそこに、飄々とチーの発声をしてくる者がいた。
坂巻である。

坂巻(南家)
 ツモ チー ドラ
先制の長田のリーチ()と
タンピンドラドラで追いついたばかりの西川の勝負手()をまとめて一掃してしまった。

しかもはフリテン。
これには脱帽だ。

迎えた東2局の坂巻の親番。
ここで4巡目。
長田の手がこうだった。
 ドラ

ここで少し迷って長田はを切った。
多分との比較であったように思う。
悪いわけではない。だがこの決勝の大舞台まで勝ち上がってくる、力のある彼にはここで一つ工夫をして欲しかった。
その打牌がである。(前巡を切っている)

確かにを切るとリャンシャンテン戻しとなる。
だがそれを補うのくっつきが全て残る。を切るとそのどちらかの牌の周りのロスが痛い。
特に場況の出にくい序盤ではミスをしやすい。
また動きの無い序盤であるがゆえ、この手でリャンシャンテンに戻してもさほどスピード的に問題はない事が多いように思う。

ここでイーシャンテンにとっても待ちのシャンポン待ち2600リーチとなるケースが多くなってしまうだろう。
それならば、アガリ易くツモり易いピンフを求めて、ドラ対子以上や一通まで夢見て、
を切っていくのがこの巡目ならばよかったように思うのだ。
最悪タンヤオで仕掛けてかわし手にいけるかもしれない。

長田は危惧した通り持ってきたを河に捨てるしかなく、親リーチに追っかけて一発で捉えられていたはずの
ただ見つめるより他に無かった。

坂巻(東家)
 ツモ ドラ 裏ドラ

次局も坂巻だった。
坂巻(東家)
 ツモ ポン ドラ
配牌で授かったダブの暗刻を生かし、ドラをも暗刻にしてのツモアガリ。
2000は2600点のアガリを挟み、3本場の坂巻の進行を見て頂きたい。

この局もを暗刻にしての仕掛けでテンパイが入っているのだが、ぎりぎりまで押して、
単騎替え、ピンズの嵌張に受け替え、オリ、とお手本のような打ち回しだ。

坂巻強し。 だがこの坂巻に易々とはトップをとらせない気概のアガリを見せてくれる者がいた。
前年度チャンピオンの北島だった。

この局7巡目に北島にテンパイが入っていた。
 ドラ
ここでリーチドラ1で蓋をするには早計。
マンズリャンメン手変わりや一通変化、チンイツを見てダマテンがセオリーであろう。

そして同巡上家から切られるをどうするか。
カンで鳴いてチンイツへ行く道もあるが、北島はスルー。

ツモ山に手を伸ばす。
そしてツモったのがドラの
ここでテンパイ外しの打だ。
即出るをポン!北島の選択が生きた。
河には序盤に字牌が切れているだけでまだソウズは1枚も余っておらず、
マンズのホンイツに向かっていた西川がドラのを切れるのはこの瞬間しかなかった。

北島(東家)
 ロン ポン ドラ
親倍の炸裂である。
王者北島が見事なアガリで観戦者を魅了してくれた。

南2局、負けじと長田も大きなアガリをものにする。
 ツモ ドラ白
メンホン一通のハネマンツモ。

南3局、トータルマイナスの北島の親番である。
何とか坂巻をまくりたい所であったが、試合巧者の坂巻がそうはさせてくれなかった。

この局11巡目に北島が高めタンピン三色のテンパイを入れていた。
高めのがトップ目坂巻が切っている事もあり、北島はダマテンをチョイス。
このダマテンの入った巡目の坂巻、初牌のを持ってきて充分に戦える手牌であったにも関わらずを抑えて切り。
さらに次々巡ドラのを持ってきて出来メンツのを抜いてオリた、ように見えた。

だがドラが通り、安いピンズが鳴き直せた事によりテンパイ復活のチャンスが来た。
もうこのソーズ三面張ならドラも見えているし、初牌のを切ってもいいだろう、という感じでチーテンを入れる。
目論見通り1000点で局を流す事に成功した。

親満のチャンスを逃した北島だが、まだチャンスは残されていた。
オーラス、長田が連荘で坂巻が丁寧にオリを繰り返す中、北島は満ツモで坂巻を捲る位置まで来た。

そして渾身のリーチを宣言する。
北島(北家)リーチ
 ドラ

ツモは文句なし、は一発ツモかツモって裏で逆転だ。
ツモる指に力が入る。坂巻は生きた心地がしなかっただろうか。

3巡後ツモッたのはの方だった。
後はこの綺麗に横伸びしたメンタンピンに裏が乗れば…!

しかし、裏ドラ表示に顔を見せたのはであった。

4回戦結果 坂巻+66.0 北島+23.4 長田▲16.0 西川▲73.4

4回戦終了時トータルスコア
坂巻 +88.7
長田 +44.3
北島 ▲10.7
西川 ▲122.3

 

★5回戦★(北島→長田→西川→坂巻)

最終戦となったが、時間はまだ夕刻にさしかかったばかり。
4名のテンポのよい進行には頭が下がるばかりだ。それでいて、大きな打牌ミスなど全然見当たらない。

麻雀には基本的には制限時間がないと言われる。
だが果たしてそれは本当に真理だろうか?

ネットやゲームでの麻雀は右下に小さな数字が目減りする事で我々を急かせてくるし、
巷のフリー麻雀では1ゲームいくらといった形でゲーム代が発生する店側の都合で、長々と時間を使えないのが現状だ。
また日本オープンの準決勝までの対局でもそうであったように、競技麻雀でも時間打ち切りの大会は数多く存在する。

麻雀というものは選択に時間をかけるより、かけずに打てたほうが相手に余計な情報を与えずに済む上、プレッシャーを与えることも出来る。

この日の四人はそれを具現化していたように思う。こんな決勝卓の最終戦は見たことが無かった。
たった全12局、ほぼ1時間で終局したのである。もちろんオーラスの親がトータルトップ目の坂巻だったというのも影響はしている。

ちなみに、5回戦の総トータル局数は63局であった。局数が少ないのはたまたま親以外に手が入る展開が多かったせいもあるが、
それにしてもリズム感のあるこの戦い方を我々競技プロはもっと意識していかなくてはならないと思った。

もちろん、大事な場面で長考する事を否定しているのではない。
麻雀打ちというものは経験を重ねれば重ねるほど色々なものが見えて、ベストチョイスを紡ぎ出すのに時間が掛かるようになってしまうものだ。
だが彼ら4名は本当に優秀なプレイヤーであった。 もっと長く彼らの戦いを見たかった。

東2局、トータルトップ目の坂巻が北島のリーチに放銃する。
北島(北家)
 ロン ドラ 裏ドラ

坂巻からが3枚見え、イーシャンテンキープからのワンチャンスの牌で放銃、と仕方が無いであろうが、
で打つとドラが絡む。

そのため、違う牌を打つ選択肢はなかったのですか?と伺った所、
「一番トップを取られたくない仕掛けている親の長田さんの現物だったからね」 と明瞭簡潔な答えが。

この後は西川が今までの鬱憤を晴らすかのようなアガリをものにする。
東3局 西川(東家)
 ロン ドラ

東4局 西川(北家)
 ツモ ドラ
西川ももっと早くこのようなアガリをものに出来ていれば…

西川がトップをとり坂巻が3着だと余程の点差をつけないかぎり坂巻に軍配があがる。

南1局、ここが北島の正念場。
何とか仕掛けて連荘を試みるも、長田のアガリで流れる。

南2局。今度は長田の踏ん張る番だ。
まずは先制リーチで1人テンパイ。

1本場、ここで二人のぶつかり合いとなった。

坂巻(西家)
 ロン ドラ 裏ドラ

アガリは坂巻だった。仕掛けてテンパイを入れていた長田から1300。
三面張ながらリーチのみだ。勇気がいったと思う。
だが当然のように曲げて、アガリをものにした。

実は前局、坂巻はこの決勝戦で初めて顔に手をやって苦悶の表情を浮かべていた。
親の長田のリーチに1牌押せていれば何度もアガることができていたのだが、
さすがに、無スジの牌を最も争っている相手にたたき切る訳にはいかなかったのだ。
ただその牌は、結果通っていた。

後に坂巻はこう語ってくれた。
「勝負所で押すかどうかは本当に難しい。あの局はさすがに押せなかったが、通せば簡単に親を流せていた。
だがもっと大事なのはその事をひきずらずに次にアガれる手をアガる事だ」と。

オーラスを迎え、各家、倍満直撃や三倍満ツモや役満直撃など、条件があったが、中盤北島に入った手はこうであった。
まるで今までの4人のリズム感を象徴するようなスムーズなアガリだった。
 ロン ドラ

5回戦結果 西川+66.8 北島+11.9 坂巻▲25.5 長田▲53.2

最終スコア
坂巻 +63.2
北島 +1.2
長田 ▲8.9
西川 ▲55.5

第12回日本オープン優勝の栄冠は坂巻稔永の頭上に輝いた。

4位西川さん、手牌が4回戦まで本当に厳しかったですね。
何度も七対子とホンイツの両天秤のような進行になっているのを見て、私も心苦しかったです。
次回は心躍るような配牌とツモが来てもっと生き生きとした西川さんを見れる事と思います。お疲れ様でした。

3位長田さん、手練れの3人を相手に一歩も引いていませんでしたね。
さすが大崎初音女流雀王に見込まれたお方です。
これからも今日のようにドラを大事に、麻雀を楽しんでいって下さいね。

2位北島さん、安定の成績で最後もトータル2着を守り切り、さすがでした。
ただ昨年のような打撃戦にならず、得意の展開に持ち込めなかったのが残念でしたね。
1回でもトップを取れていれば2連覇も濃厚でした。
RMUの方々は日本オープンとの相性抜群ですし、またまた決勝卓へ舞い戻って来ることを期待しております。

坂巻さん本当におめでとうございました!!!
強かったー!そりゃこんなに強けりゃ同僚の人も一緒に麻雀してくれませんよね(笑)

でもチャンピオンになったからセットのオファーが殺到して、嬉しい誤算になってしまうかもですね!
来年またお会いできる事を楽しみにしております。

(文・コウ)

 

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