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第7回日本オープン

順位
氏名
所属
合計
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
北島 路久 RMU
103.9
-20.5
65.1
-19.7
11.7
67.3
2
竹内 暁彦 最高位戦
-12.7
61.4
-16.4
-46.8
-17.2
6.3
3
近藤 千雄 協会
-31.8
10.2
4.4
58.6
-47.1
-57.9
4
堀 良三 協会
-61.4
-51.1
-53.1
7.9
52.6
-17.7

≪決勝観戦記≫

今年で11周年を迎えた日本プロ麻雀協会。そして、11度目の日本オープン。
12期より当協会に移籍する武中 真(元最高位戦所属)を除くと・・・当協会からの優勝者は未だ無し。
この呪縛から解き放たれるのはいつなのか?
>去年も見たよ、この記事。

混戦を極めた準決勝(ベスト16)を勝ち上がった選手は、以下の4名であった。

・準決勝1位通過
竹内 暁彦(最高位戦日本プロ麻雀協会 所属)
第35期より最高位戦に所属、現在B2リーグ在籍。
普段は東南戦の麻雀を打っているためか、手牌13枚の内1枚を安全牌もしくは好形への変化待ち用として持つ古い打ち手が好む打ち方をする。
ただし、親番となると躊躇せずに役牌後付けの仕掛けもする。

・準決勝2位通過
近藤 千雄(日本プロ麻雀協会 所属)
第2期より当協会に所属している古株。
親の立直にも臆することなく危険牌を全て通す雀風。
今回の決勝戦においては、愚形待ちでも躊躇せずに即リーチする姿が印象的であった。
トップかラスのケースが多く、トップ者が優遇される協会ルールでは、最も効果的な打ち方とも言える。

・準決勝3位通過
堀 良三(日本プロ麻雀協会 所属)
第5期より当協会の関西支部に所属。
仕掛けは早いが、状況次第で慎重にオリが選択出来る重厚な打ち手。
ただし、攻めきれずにアガり逃しをしてしまうのが玉に瑕。

・準決勝4位通過
北島 路久(RMU 所属)
2008年よりRMUにアスリート会員として所属、今期からは昇級してR1リーグに在籍。
4人の中で最もスタンダードな打ち方をしており、決勝戦においても伸び伸びと打っていた印象が残る。
故に、対戦相手からすると掴みどころが無く、やり辛い打ち手と言える。

個人的には、私が某団体に所属しているころから顔なじみである近藤に期待していた。
特に下のリーグに所属していると、自団体のタイトル戦優勝によりした後に付随する付加価値が高い。

一つ目は、各大会のシード権を得ることである。
より高いラウンドから出られるようになれば、次の大会で優勝しやすい条件を得られることになる。
私自身も某大会で優勝して得たシード権の利点は、嫌と言うほど実感したものである。
>即負けして、役立たずでしたが何か?

二つ目は、自分の名前を憶えて貰えることである。
リーグ戦で対局した相手であれば、相手の実力、名前を覚えて頂く場合もあるが、
他団体の選手は個人的な接点がない限り、そのような機会は少ない。
優勝することにより、普段接点が持てない他団体のトッププロとも交流を深める機会が発生する。
私自身もμの方や現在所属している協会の方々にも、某大会の優勝がきっかけで幸い覚えて頂いたものである。
>恥晒しをしただけですけどね!!

さて、日本オープンを制し、今後の競技活動へ新たな一歩を踏み出すのは誰か?

 

★1回戦★(近藤-堀-竹内-北島)

東場は特に大きな点棒移動も無く、静かな立ち上がりであった。

その東場の中で、気になる1局があった。
東4局の9巡目に竹内がイーシャンテンで4枚目のをツモった場面。
竹内(北家)
 ツモ ドラ

は場に2枚切れている状態で安全牌として抱えていた。
ここで竹内は、打としてをカン材として持つことにした。

竹内の麻雀をじっくりと見るのは今回の決勝戦が初めてであったが、
若いながらも両面ターツ固定を意識しながら、常に1牌浮かせている一発裏無し麻雀で好まれる打ち手の印象であった。
今回の牌姿でおいても、をツモった場合でもツモ切りをするとのことで、両面ターツ固定の意識で打っていたと言っていた。

残りの1牌を防御に使うか、攻撃に使うか、この駆け引きのバランスが実に素晴らしい。

この局は、北島が堀から出アガリの2900。
北島(東家)
 チー ロン ドラ


点棒が大きく動いたのは、南1局1本場。
9巡目に竹内がポンの仕掛けを入れた。
竹内(西家)
 ポン ドラ

何としても連荘したい近藤がで放銃してしまう。
近藤(東家)
 ツモ→打 ドラ

竹内が近藤から出アガリの8000は8300。

しかし、次局に近藤は北島から出アガリの12000。
近藤(北家)
 ロン ドラ

南4局に北島が4000オール。
北島(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

北島の麻雀はベスト16あたりから多少見ていたが、両面などの好形に囚われずにテンパイ優先との印象があった。
結果として、アガリ回数、流局時のテンパイが多く、気が付いたら点棒を持っているという場面をしばし見かけた。
アスリート選手と言う呼び名は、実に北島に相応しいと言えよう。

次局、9巡目にリーチをかけた竹内が、を一発でツモり初戦を制した。
竹内(北家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ


1回戦結果
竹内+61.4 近藤+10.2 北島▲20.5 堀▲51.1

 

★2回戦★(堀-北島-近藤-竹内)

東1局の7巡目に竹内が七対子のテンパイ。
竹内(北家)
 ツモ ドラ

ここではリーチを打たず、打として北島がポン。
北島(南家)
 ポン ドラ

9巡目に竹内が手の内に2枚あるをツモった。
竹内(北家)
 ツモ ドラ

捨牌にはがあったため、絶好の空切りリーチをかけると思いきや、
静かにをツモ切った。

対局後、理由を聞いたところ、を聴牌宣言と見せたくないとのことで、
中張牌であれば空切りリーチをしたとのことであった。

つまり、より良い待ち、待ちという他家の読みを防ごうとしていたのである。
若手ながら、なかなかの手練れである。

東2局に親番の北島が一発ツモで4000オール。
北島(東家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

東2局1本場に竹内も負けじと高めのを一発ツモで3000・6000は3100・6100。
竹内(西家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

東3局2本場に今まで静観していた堀が動き出した。
5巡目にポン、6巡目にポンとして、10巡目にかけられたリーチをものともせずに12巡目にツモ。
堀(西家)
 ポン ポン ツモ ドラ

供託4本があったので、大きな収入となった。

堀は慎重な打ち手であり、今回の決勝戦でも一番長考が多かった印象がある。
その分うっかりミスが少ないのだが、時間をかける場面とそうで無い場面がはっきりしており、他家に攻守の判断が分かってしまうマイナスな面もある。逆に、ノータイムで打牌をしている堀には、お近づきになりたくないものである。

しかし、その後の北島のアガリが止まらない。
東4局に2000・4000。
北島(西家)
 ツモ ドラ

南3局1本場は堀から出アガリの8000は8300。
北島(北家)
 ポン ロン ドラ

北島の独壇場となっていたところに、近藤がオーラスで意地を見せた。
2着目の竹内とは8000点差の状況で8巡目に近藤がテンパイ。
近藤(北家)
 ツモ ドラ

このままだと、竹内からの出アガリ若しくはツモって一発裏1条件のため、
近藤が選択したのは打

ドラの受け入れを考慮すると打が良いと思っていたが、次巡にをツモり待ちのフリテンリーチ。

14巡目には堀からリーチがかかる。
堀(南家)
 ドラ

リーチ棒が出る条件を満たしたところで、近藤が17巡目に待望のをツモ。
近藤(北家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

休憩時に近藤は、「あ〜、待ちで即リーだったかぁ〜」と言っていたが、当然冗談である。
冗談が言えるくらい、近藤自身このアガリは大きかったと感じていたのだろう。

2回戦結果
北島+65.1 近藤+4.4 竹内▲16.4 堀▲53.1

(2回戦終了時スコア)
竹内 +45.0
北島 +44.6
近藤 +14.6
堀  ▲104.2

 

★3回戦★(北島-竹内-堀-近藤)

東1局1本場の12巡目に堀が先制リーチ。
立て続けに負けじと近藤がリーチ。
近藤(北家)
 ドラ

結果は、堀が近藤から5200は5500を出アガリ。
堀(西家)
 リーチロン ドラ 裏ドラ

しかし、ここからの近藤が凄かった。

東2局に近藤は裏ドラ3枚の2000・4000。
近藤(西家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

東3局1本場に近藤が堀から出アガリの5200は5500。
近藤(南家)
 ロン ドラ 裏ドラ

南1局に近藤としては珍しいヤミ聴に構えての北島から出アガリの3900。
近藤(北家)
 ロン ドラ

南3局に近藤は4巡目にリーチをしてツモリ1300・2600。
近藤(南家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

南4局は全員ノーテンで終わり、近藤トップのまま3回戦を終了した。

近藤の麻雀は何といっても、相手が全くいないのかと思わせてしまうほどの、ノータイムでの全ツッパ麻雀である。
これがツボに嵌るとトコトン点棒を稼ぎ続けるのであるが、逆になると何点点棒を吐き出すのか分からなくなる側面もある。
まるで少年が麻雀を打っているような清々しい印象を与えてくれるのが近藤である。

3回戦結果
近藤+58.6 堀+7.9 北島▲19.7 竹内▲46.8

(3回戦終了時スコア)
近藤 +73.2
北島 +24.9
竹内 ▲1.8
堀  ▲96.3

 

★4回戦★(堀-近藤-北島-竹内)

3回戦を終了して、周りからも近藤が獲るのではないか、と思わせるほど圧巻の内容であった。
近藤自身も手ごたえを感じていたようで、知り合いのケンジ(仮名)にメールを送ったところ、
ケンジ「どや顔メールが送られてきたんですけどwww」
とTwitter上に晒したようだった。

・・・嗚呼、思えばこれがフラグ?だったのかも知れない。

東2局の8巡目に堀がテンパイ。
堀(北家)
 ツモ ドラ

ここで堀は打としてリーチを宣言したが、トータルトップと約170ポイント差がある状況であり、と払ってチンイツへ移行すべきではないだろうか。

結果は、11巡目にをツモり、裏ドラの1000・2000。実に勿体ない。

東4局の9巡目に親番の竹内がリーチ。
竹内(東家)
 ドラ

場にマンズは高く、押さえつけの意味でリーチとしたとのことであった。
そこに飛び込んだのが北島、自分から見てが4枚とも見えており、放銃して思わず苦笑い。

だが、次局の1本場に北島がリーチして一発でツモり3000・6000は3100・6100。
北島(北家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

このまま北島が抜けたまま、5回戦を迎えてしまうかと思ったが、
南3局1本場に堀が意地を見せた。
堀(西家)
 ツモ ドラ

7巡目にテンパイが入り、長考の末、打としてリーチ。
堀はこの半荘でトップを取らないと、優勝の可能性はほぼない。
何としてもアガリたいところだ。
しかし、ドラは竹内が2枚持っている。
残り1枚をこの局面でとらえる事ができるであろうか。
そんな心配を余所に堀はを一発でツモリあげた。
堀(西家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

そして、向かえたオーラスの点棒状況は以下の通り。
東家・竹内 24,400
南家・堀  32,600
西家・近藤 11,300
北家・北島 31,700

ここで近藤の視点からオーラスの戦略を考えると、満貫ツモでも着順が変わらない状況であるが、以下の選択を取れる立場であった。
1)このまま終了させて、5回戦は北島と着順争いの勝負をする。竹内、堀に対しては、若干有利な条件となる。
2)堀を優勝圏外にして、5回戦は北島と着順の並び条件で勝負する。

後ほど、近藤に伺ったところ、条件を意識せずに一半荘勝負ができる1)を考えていたと答えた。
観戦者の中には、2)を選択した方が敵一人減る分、打ちやすいとの意見もあった。
私的には、近藤の麻雀は余計な制約を付けない方が良いと思っていたので、1)を選択するだろうと予想していた。

1000点でもアガリたい近藤は、7巡目で以下のイーシャンテン。
近藤(西家)
 ポン ドラ

その仕掛けに対して、9巡目に親の竹内がを空切りリーチ。
竹内(東家)
 ドラ

竹内は789の三色移行を狙ってヤミに構えていたが、
近藤が前巡にを切って場に2枚見えてしまったため、やむなくカン待ちのリーチをした。

10巡目に安牌に窮した堀が、打としてそれを鳴いた近藤がテンパイ。
 ポン ポン ドラ

近藤にしてみれば、自分が堀よりアガらない事を分かっているなら、少しでも早く鳴きやすい牌を打って欲しかったはず。
当の堀はというと、近藤の思考を理解はしていたが、完全に信用しきれない部分があったのであろう。

結果は近藤がを掴んでしまい、竹内が3900のアガリ。

次局の1本場、一刻も早くトップを確定させたい堀が4巡目に仕掛ける。
堀(南家)
 チー ドラ

5巡目に近藤がリーチをかけ、13巡目にリーチ宣言をした竹内より出アガリの5200は5500。
近藤(西家)
 ロン ドラ 裏ドラ

私的には、せっかく堀が仕掛けているなら、ヤミ聴に構えてピンフへの移行を待つべきと考えていた。
しかし、その場合だと、竹内が跳満をアガっていたかも知れない。
また、近藤は堀からが出た場合は見逃すとのことであった。
私は決勝まで残った者とそうで無い者の思考の差を改めて感じさせられた。

4回戦結果
堀+52.6 北島+11.7 竹内▲17.2 近藤▲47.1

(4回戦終了時スコア)
北島 +36.6
近藤 +26.1
竹内 ▲19.0
堀  ▲43.7

 

★5回戦★(堀-北島-近藤-竹内)

最終戦を迎えて、トータル首位と4位の差が80.3とトップ取れば誰でも優勝できる状況になった。

その大事な東1局に竹内が4巡目にリーチ。
竹内(南家)
 ドラ

親番の近藤がの形から、を使いきれないと判断して、10巡目に打を放銃。
竹内が8000の出アガリ。

東3局に北島が6巡目にリーチして、近藤より一発で出アガリの8000。
北島(南家)
 リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ

近藤は早い巡目のリーチに苦しめられ、辛い状況となった。

東4局に堀は11巡目のイーシャンテンからを暗カン。
堀(北家)
 暗カン ドラ

14巡目にを引き入れリーチ、次巡にを持ってきて再び暗カン
堀(北家)
 暗カン 暗カン ドラ

これをアガリ切れば堀も優勝の可能性が高まったが、思いは叶わず流局。
もし 堀がアガっていれば、以降の展開も変わっていたかも知れない。
私的には、この局で優勝者が決まっていたと思う。

以降は、北島の独壇場。
東4局1本場に北島が近藤より出アガリの2400は2700と供託2000。
北島(東家)
 ロン ドラ

南1局に北島が近藤より出アガリの3900とリーチ棒2000。
北島(東家)
 ロン ドラ 裏ドラ

南2局に北島が近藤より出アガリの3900。
北島(西家)
 ポン ポン ロン ドラ

オーラスを迎えて、堀が8巡目にリーチ。
堀(北家)
 ドラ

優勝条件はダブル役満であったため、堅実に着順を上げるリーチをしたが、空振りに終わった。

こうして、第11期日本オープンは幕を閉じた。

――それでは決勝で戦った各人のコメントを。

第4位 堀 良三
 「決勝に進めただけで、満足している自分があった」

第3位 近藤 千雄
 「後悔する打牌はしなかった」
 「これから悔しさが込み上げてくると思う」

第2位 竹内 暁彦
 「他団体のタイトル戦に出場したのは初めてでした」
 「全て良い内容で打てたので、参加して良かった」
 「来年も決勝に残れるように頑張りたい」

――そして、栄えある優勝者のコメントを。
優勝 北島 路久
 「日本オープンには初めて参加しました」
 「一次予選、本選とジャンプアップで進めて順調だった」
 「自分の麻雀を打てました」
 「来年も連覇出来るように頑張ります」

オリンピックで優勝して有名となった同姓の選手も言っていたが、
日本オープンの覇者となった北島もこう思っていただろう。


注意)御本人はこんな事を言っていませんでしたので、あしからず。。。

(文・画:田籠 謙介)

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