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日本プロ麻雀協会、関西所属協会員による西日本最強決定戦。
「ウェスタン・チャンピオンシップ2013」開催。

最終ポイント成績

順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
堀 良三
24.6
-52.4
55.7
9.4
-49.2
61.1
2
薬王寺 重成
8.6
58.2
12.3
-52.8
-21.3
12.2
3
山浩
-15.0
-15.0
-23.8
-14.3
57.5
-19.4
4
田内 翼
-18.2
9.2
-44.2
57.7
13.0
-53.9

≪決勝観戦記≫

今年もあっさり予選敗退し、採譜者として決勝会場に到着した筆者。
堀の採譜を担当すると決まり準備をしていたが、ふと疑問に思ったことを立会人に聞いてみる。
「今年の観戦記者は誰ですか?」
「君だよ」
は?
全くの初耳である。
今年は採譜者として決勝の雰囲気を楽しみながら見ようと考えていたのに、2年連続の採譜者兼観戦記者となってしまった。

突然告げられた観戦記担当であるため、決勝面子の予習が足りない。
こんなことなら仕事を休んで前日の準々決勝・準決勝を見に行くべきだった。
筆者が知っている知識だけでも紹介しておこう。

堀と田内は第1回大会以来2度目の決勝進出。
その時は堀が優勝している。
他の大会も含めてお互いに3度目の決勝であり、経験値は十分だ。

その2人に挑むのは、山浩と薬王寺のダブル新人。
山浩は腰が重い麻雀を打つイメージ、少し緊張が見える。
薬王寺に関しては事前知識がまるでない、こちらはリラックスした様子。
決勝の舞台となると場慣れや条件戦の経験が勝負を分けることもある。
そういう意味では堀や田内の方が有利であるが、新人2人はそのハンデを跳ね返すことができるか。

★1回戦★(薬王寺→山浩→田内→堀)

薬王寺が2局連続で1巡目から仕掛ける。
東2局1本場
 ポン ドラ
東3局
 ポン ドラ
かなり遠い手だが、積極的に動いた。
どうやらこういう打ち手なのだろう。
1つ目の手はリーチを受けてテンパイから回し打ち、2つ目の手はドラにくっつき2000点のアガリとなる。

大きな点棒の動きが無く迎えた南1局、全員の河が異様である。

田内と堀がソーズのホンイツを意識したため、ソーズと字牌が高い。
薬王寺と山浩は恵まれた配牌とツモを生かし、リーチをかけなくても十分な打点のテンパイ。
ソーズや字牌以外の待ちであるため、お互いにアガリの感触を掴んでいただろう。
山に2枚のカンと山に3枚のカン、勝ったのは山浩。
放銃した堀が1人置いていかれる展開となる。

次局の南2局、トップと500点差の2着目である薬王寺が動く。
 チー ドラ
8巡目にリャンメンチーでテンパイ、直後に田内からアガリを拾う。
確かに残り3局全てアガリを決めればトップで終えることが出来る局面であり、僅差である程早アガリが重要になってくる。
しかし-が場に多く切られているわけでもなく、鳴かずに好形イーシャンテンを維持してから門前リーチで相手を突き放すチャンスを窺った方がいいように思える。
普段からこう打つタイプであればいいと思うが、ちょっと焦っているようにも見えた。

オーラス
堀16600
薬王寺28200
山浩26000
田内29200

この局面、堀の立場となって考えていた。
親なのでまだまだ逆転可能であるが、3人の条件が軽いのでそう簡単には連荘出来そうにない。
とにかく早くリーチをかけたいところである。
まず分岐点は6巡目。
 ツモ ドラ
テンパイチャンスなら三、形重視ならor、最高形を見るならor、タンヤオを確定させるorも面白い。
時間をかけて悩んだが、リーチスピードを優先させるために打
次巡に田内から仕掛けが入り、堀がツモるはずだったを薬王寺にツモ切られる。

どうしようもないことではあるのだが、私ならここでイライラゲージ急上昇。
堀も同様のタイプに思えるし、あとで実際にそう語っていた。

しかもその後田内が3副露、薬王寺の仕掛けも入って気が気じゃない。
一刻も早くリーチと言いたいのに、ついには山浩からリーチがかかってしまう。

待望のテンパイが入ったのは15巡目、気合を込めてリーチの発声。
一発目のツモは全員への危険牌。
祈る気持ちで河に置いたが、薬王寺からロンの声が聞こえてきた。

(1回戦終了時)
薬王寺+58.2
田内 +9.2
山浩 ▲15.0
堀  ▲52.4

 

★2回戦★(山浩→薬王寺→田内→堀)

大きな動きがなく進み、南2局。

配牌イーシャンテンだった田内の手が難しい。
 ドラ
4巡目にここからをツモ切り。
受け入れ枚数1枚の差と言うよりは、123の三色の可能性を高めた打牌だろうか。
次巡のツモが、役ありや好形の手変わり待ちで打ヤミテン。
のツモ切りを挟みツモ、ここでテンパイ外しの打
を切っているのでフリテンの可能性もあるが、234の三色と場況で良さそうなソーズを捕らえにいく。
そして2巡後に来た牌が、最高だ。
 ドラ
安目一盃口、高目三色の黄金リーチ。
このテンパイを組めたらアガリも同然と思いたいものだが、麻雀とはそう簡単なものではなかった。

親の薬王寺から追いかけリーチを食らい、あっさりと引かれてしまう。
薬王寺にとっては大きな4000オール、この半荘もトップ目に立つ。

さぁ、他の3者は慌てないといけなくなってきた
5回戦しかない決勝で最初に連勝を許すとかなり苦しい。
何とかして薬王寺のトップを阻止しなければならない。

しかし、ここで山浩に条件戦の経験の少なさが出てしまう。

門前なら手役が見える手牌から、仕掛けて1000点のアガリ。
本人は2着目に浮上したが、このアガリで1番得をしたのは誰であるかといえば間違いなく薬王寺である。
リーグ戦だとこの打ち方でもいいかもしれないが、この局面で山浩が狙うべきはトップのみ。
これは自分の首を絞めるアガリになり兼ねない。

その点では田内が素晴らしい。
オーラス、堀の親番。
堀の仕掛けに田内がお手伝い。
放銃覚悟で鳴ける可能性がある牌を切り、堀のアガリを誘う。
堀をトップに押し上げる作戦である。
そして、狙い通り堀のアガリが生まれる。
 ツモ チー ポン ポン ドラ
この2600オールで堀はトップ目に。
1回戦ラスだった堀がトップで終わると、まだ全員に十分チャンスが残る。

次局、堀と薬王寺の点差は3600点。
テンパイノーテンで替わるかもしれない点差なので、まだ堀も安心せずにアガリを狙う。
ホンイツ仕掛けに入り、ここでも田内がお手伝い。
堀にテンパイを入れさせ、さらには自らのラスを覚悟するチーテンを入れる。
東家・堀
 チー ポン ドラ
北家・田内
 チー ドラ

このまま流局なら安泰だなと思っていたところに、薬王寺が最後の打牌で堀に通ってないを打ってきた。
確実にテンパイ宣言である。
西家・薬王寺
 ドラ

そして次は田内の手番、掴んだのは生牌の
堀だけでなく薬王寺にも危ない。
しかしここで田内が押してテンパイを取ってしまえば、薬王寺と田内がテンパイ確定。
3000点差以上開いているため、2人のテンパイだと堀はノーテンでもトップをマクられないことになる。
最悪、堀に放銃してもいいだろうとを押した田内、誰からも声はかからず。

そして次の手番が堀、これが海底牌。
ツモってきたのは誰にも通っていない
ここで堀も考えないといけない。

薬王寺と田内の2人テンパイならノーテンでもトップから落ちることはない。
しかしオリていそうな山浩が万が一テンパイで1人ノーテンとなるとトップ陥落。
それだけは避けなければいけないため、テンパイを取りたくなってしまう。

ただ、それまで田内がずっと自分に協力してくれていたことを思い出さなければいけない。
テンパイ宣言の順番は、堀→山浩→薬王寺→田内である。

つまり、もし山浩がテンパイであったとしても、田内がテンパイを宣言しなければ2人テンパイで堀がトップから落ちることはない。
田内が助けてくれることに気づくことが出来れば、ここでは押さずにノーテンで伏せておくのが正解であると導き出すことができる。

採譜ボードを手に持ちながらそんなことを考えていたが、
実際に対局者としての椅子に座っていれば冷静な考えは出来ないのかもしれない。

堀は田内のことを素晴らしい打ち手だと認めているように思うが、
かといって100%信じきって運命を委ねるということに抵抗を感じたのだろう。

大長考の末、堀はをツモ切り。
押したということは当然テンパイ宣言。

山浩はノーテンだったので3人テンパイ。
この瞬間に堀は後悔したことだろう。

次局に薬王寺のアガリが出てトップが入れ替わると堀はもっと大きな後悔をすることになっていたが、
またも助けたのは田内だった。
北家・田内
 ツモ チー ドラ

自らのラスを確定させるアガリでフィニッシュ。
何度も脇から支え、1度振られようとも最後まで堀を守りきった。
さながら献身的な女性のような打ち回しである。

堀+55.7 薬王寺+12.3 山浩▲23.8 田内▲44.2

(2回戦終了時)
薬王寺+70.5
堀  +3.3
田内 ▲35.0 
山浩 ▲38.8

 

★3回戦★(田内→山浩→薬王寺→堀)

これまでの半荘は大物手が少なかったが、この半荘はいきなり満貫が飛び交う。
東1局 山浩
 ツモ ドラ 裏ドラ
東2局 田内(放銃者山浩)
 ロン チー ポン ドラ
東3局 堀
 ツモ ポン ポン ポン ドラ

そして全員2万点台になった南2局に堀が大きなアガリで抜け出す。
 ロン ドラ
放銃者は薬王寺、いわゆる「デバサイ」で暫定的にトータルポイントをひっくり返す。

南3局
薬王寺8200
堀38400
田内26700
山浩26700

オーラスが親番である堀は、この局にアガリを決めればほぼトップが決まる。
その堀が5巡目にテンパイを入れて小考。
 ドラ
前巡にを切ってあるため、待ちリーチをかけたくなる。
ただこの局はアガリ優先、かけちゃいけない。
グッと我慢し、を縦のまま河に置いた。

そして次巡ツモは、場に1枚切れ。
あぁかけたい、この待ちでリーチをかけたい。
その気持ちはすごく分かる。
でもダメだ、我慢すべきだ。
着順の並びが最高の今の状況で前に出る必要はないのだから。

「リーチ」

言ってしまった。
誘惑に負けたか。

リーチをかけたからといって、アガリの確率は感覚的に6割くらいありそうだ。
成功する可能性の方が高い。

しかし、「リーチ」の一言は自分が酷いことになる可能性も秘めている。
親の薬王寺は何があろうと攻めてくるはずだし、山浩と田内も手が入れば同様だ。
リーチをかけてしまった以上、あとは誰かが向かってくる前に決着することを祈るだけである。

結果は無情だった。

田内「リーチ」
薬王寺「リーチ」

堀は連続で危険牌を引かされ、少し力を込めて切ったその牌に田内から声がかかった。
 ロン ドラ 裏ドラ
裏ドラが乗って満貫。
オーラスも田内があっさりアガリを決めて、半荘トップもトータルトップも田内に入れ替わる。

田内+57.7 堀+9.4 山浩▲14.3 薬王寺▲52.8

(3回戦終了時)
田内 +22.7
薬王寺+17.7
堀  +12.7 
山浩 ▲53.1

 

★4回戦★(堀→山浩→薬王寺→田内)

東1局1本場、前局に6巡目のアガリを決めて連荘した堀がまた早い。
 ドラ
4巡目にこのテンパイ。

この日に何度も早い七対子テンパイを空振っていた堀だが、さすがにこの手はアガることが出来るだろうと思って見ていた。
しかし2巡後に薬王寺がリーチ、またかという声が聞こえてきそうである。

堀の次のツモは、河にがあるので薬王寺のリーチさえなければこの待ちでリーチにいけただろう。
しかし薬王寺に通っていない以上それも無意味、両方無スジなのでどちらを切るかは指運か。

堀の選択はツモ切りで待ち続行。
次巡の牌はまたも、アガリ逃しで堀のイライラが伝わってくる。

結局待ちは変わることなく、薬王寺のカン2600に放銃。
裏ドラがだったことも堀に精神的なダメージを与える。

この半荘は山浩が東2局の親で満貫をツモり、先行する。
 ツモ ポン ドラ

この半荘に山浩がトップを取ると、最終戦は全員が現実的な条件で迎えることが出来る。
他3者はトップが取れそうになければ、山浩にこのままトップを取らせにいくという選択肢もある。

その後下位3人の競り合いが続いたが田内が東場の親番で頭一つ抜け出し、南2局と南3局にも連続アガリを決め山浩に肉薄する。
 ツモ ポン ドラ
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

オーラス
田内37000
堀12800
山浩39500
薬王寺10700

田内と山浩はトップを目指すのみ。
堀と薬王寺は、山浩をトップのまま自身の3着を狙いたい。

イーシャンテン1番乗りが8巡目の堀。
 ドラ
仕掛けられるを切るかなと思ったが、打

極端な場況ではなかったように見えたが、-に感触があったか?
その後全員の仕掛けに対して生牌のを掴み、形テン狙いに切り替える。
最初に仕掛けたのは薬王寺。
 ポン ドラ
ドラを2枚使い切ってアガれば3着に届く。

そして3巡後にツモ、条件クリアのテンパイ。
ただし山浩からアガると田内をトップに押し上げてしまうため、そこからは見逃しか。

配牌がよかった田内はツモが噛み合わず、14巡目に門前を諦めチーしてイーシャンテン。
 チー
山浩も形テン狙いで仕掛けた。
ここから誰も進まず流局間近へ。

連荘したい田内とテンパイノーテンで薬王寺とひっくり返る堀はとにかくテンパイが欲しいが、イーシャンテンから動かない。
そして海底牌を田内がツモりにいこうとしたが、直前の薬王寺の打牌に山浩がポン。
田内のツモを失くすことが出来る会心の鳴きである。

ツモ番が変わり薬王寺が引いた海底牌は、田内がテンパイ出来ていた牌であり、薬王寺のアガリ牌でもある。
山浩と薬王寺にとっては、最終戦の条件が楽になる大きなアガリとなった。

山浩+57.5 田内+13.0 薬王寺▲21.3 堀▲49.2

(4回戦終了時)
田内 +35.7
山浩 +4.4
薬王寺▲3.6 
堀 ▲36.5

田内・山浩・薬王寺はトップを取れば無条件で優勝。
堀は、田内が2着なら32200点差以上、3着なら12200点差以上、ラスならば無条件。
その上で山浩が2着の時は900点差以上つければ優勝である。
十分現実的な条件と言えるだろう。
決定戦の最終半荘でここまで全員が僅差なのは珍しい。
条件を考えなくていいという意味では山浩と薬王寺の新人2人にとっても戦いやすいだろう。
ただ、最終戦の重圧に耐えていつもの打牌が出来るかどうか。

 

★5回戦★(薬王寺→田内→山浩→堀)

東場は唯一条件がある堀が先行する。
東1局
 ロン チー ポン ドラ
東3局
 リーチロン ドラ 裏ドラ

放銃者はいずれも田内。
堀にとっては並びが出来た。
しかしまだ僅差、全員にチャンスを残して南入する。

薬王寺24000
田内20500
山浩25000
堀30500

南1局、山浩に難問が与えられる。

 ドラ
5巡目にこの形で上家からが出るも、これはスルー。
直後にを引き、打で磐石のイーシャンテン。

2巡後にツモでテンパイ、しかし小考後にツモ切り。
トップ条件であるため、決められる手が来たときにはじっくり育てるということだろう。

しかしここから何も引かず、10巡目に親の薬王寺からリーチ。
一発目は安全牌をツモ切ったが、次巡ツモが無スジのも通っていない。
ここは中スジの打で粘り、次巡ツモでこちらもスジの打
さらに次巡のツモでテンパイ。
 ツモ
は無スジ、3枚目のが見えたのでワンチャンスではある。
ここは歯を食いしばってを押した。
リャンメン以上の待ちになれば追いかけリーチといくだろう。
しかし次にツモってきたのは4枚目の、また悩ましい。

カンすれば安全にテンパイ続行出来るが、その後が辛い。
ここはスジの打で薬王寺の現物待ち。
そして次巡のツモが
ノーチャンスではあるが、薬王寺の捨て牌を見ればほぼ対子以上であると読める牌。
しかしここまで押してしまえばもう止まらないものである。
ツモ切って3900の放銃となった。

連荘となった次局は田内がアガり、3着浮上。
この時点で田内がトータルトップに復帰。
しかし次局、展開を大きく動かす出来事が突然訪れた。
南2局 7巡目 薬王寺(北家)
 ツモ ドラ
大きな大きな満貫ツモ。
これで2着の堀に7700点差をつけたトップ目に浮上。
ここまで冷静に打っていたように見えた薬王寺だが、さすがにこのアガリの点数申告は気合が入っていた。
さすがに優勝を意識したか。
残りは2局、無事に通過出来れば勝利が待っている。

南3局、親が無くなって17800点差を追う田内が1番厳しい。
しかし満貫ツモ2回と考えるとまだ望みはある。

山浩はこの親で連荘必須、堀は薬王寺と一騎討ちの状態で親を迎えたい。
ここでまず動いたのは薬王寺、2つ仕掛けて6巡目テンパイ。
 ポン ポン ドラ
これをアガれば優勝に王手をかけることになる。

そして8巡目に山浩もテンパイ。
 ツモ
嬉しくはないが、薬王寺の仕掛けがある以上はリーチもありだろう。
かけないにしても、テンパイは取っておいた方が良かったように思う。

山浩は長考後ツモ切り。
確かに点差はあるので打点を見たいが、ちょっとやりすぎか。
その後3巡のツモ切りを挟み、やってきたツモはまたも
さすがにもう待てないと感じたか、打リーチ。

ここで薬王寺がどうするか見たかったが、ドラドライーシャンテンの堀がこのリーチに一発で捕まった。
裏も乗って7700。

この放銃で後退した堀だが、次の配牌を取るとドラが3枚。
やる気はすぐに回復したことだろう。
その後のツモにも恵まれ、7巡目テンパイ。
 ツモ ドラ
とりあえずの打ヤミテン。
しかしここから3枚目のが見えたため、3巡後にツモ切りリーチ。
田内が一発でを切ってきたため、俄然やる気が出る。
薬王寺はオリたように見える、手詰まれば直撃も狙えるだろう。
田内は最後のチャンスであろうチンイツのイーシャンテン。
どこまでも押そうと考えていただろうが、あっさりを掴んでしまった。
堀が先程の失点を取り返す満貫のアガリ。

オーラス
堀29100
薬王寺36200
田内10100
山浩24600

親番の堀はトップ目の薬王寺をマクって伏せれば良い。
山浩は6400直撃かハネ満ツモ。
田内は倍満直撃か三倍満ツモ。

薬王寺が嬉しい配牌を手にする。
 ドラ
を鳴ければすぐにでもアガれそうだ。
と引き、ゴールテープに少しずつ近づく。

しかし予期せぬ事態が起こる、4巡目に堀がリーチ。
チャンスが一転してピンチに変わる。
さぁここからどうするか。
アガれそうとはいえまだリャンシャンテン。
振り込んだらおそらく逆転される。

しかし、感覚的には押した方がいいように思える。
もっと点差に余裕があれば降りてもよさそうだが、
ひとつのアガリでひっくり返される状況でこの手が来たならば、決めにいった方がいいのではないだろうか。

しかし、薬王寺の選択はオリ。
上家から、そしても場に出たが、いずれも見送った。
初めて味わう決定戦の最終局、この場面で向かっていくという選択をするにはかなりの勇気が必要だろう。
しかし、もしそれが出来ていればどんな未来が待っていただろうか。

薬王寺は脱落したが、今度は山浩にチャンスが生まれる。
 ツモ ドラ
9巡目にこのイーシャンテン。
も通っていないが、リーチツモと一盃口で条件は足りている。
自分勝手に攻めていい場面だとは思うが、現物であるをツモ切った。
ここで放銃し、優勝者を変えてしまったらどうしよう。
そんな思いがあっただろうか。
次巡もイーシャンテンとなる牌を引くが、ここでも現物を抜いた。
山浩も脱落。

これで堀の一人旅となり、決着はすぐについた。
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
価千金の4000オール。
薬王寺に8900点差をつけて、ついにトータルトップに躍り出た。

1本場、堀に簡単な手が来ない限りはおそらくこれが最終局。
薬王寺は堀から5200直撃か1600・3200ツモを目指す。
山浩は堀からハネ満直撃か倍満ツモ。
田内は薬王寺から倍満直撃か倍満ツモに条件が緩和された。

1番現実的な条件である薬王寺、配牌は良くも悪くもないというところ。
 ドラ
ドラや一盃口を絡めての満貫ツモをイメージというところか。
ここにと引き、4巡目のツモが4枚目の
メンツ をぶっ壊すことになるが、ここはカンでドラを増やす。

新ドラがとなり、リーチツモタンヤオを絡めると条件をクリア出来る。
面白くなってきたが、ここからのツモが酷かった。
メンツどころか形が良くなることすらない。
リャンシャンテンから全く進むことなく、ただただツモ切りを繰り返す。

そのまま流局し、全員が手牌を伏せた瞬間に堀の2度目の優勝が決まった。

堀+61.1 薬王寺+12.2 山浩▲19.4 田内▲53.9

(最終結果)
堀  +24.6
薬王寺+8.6
山浩 ▲15.0 
田内 ▲18.2

 

堀とは縁がある。
4期前の第1回大会、堀が初優勝した時の採譜者が私。
今期のウェスタンカップで私が初優勝した時の採譜者が堀。
そして、今回の堀の優勝も私が採譜者である。

決勝進出が決まった前日に堀は採譜者を私に指名してくれていたようだ。
ゲン担ぎのようなものだろうが、素直に嬉しい。

来年もし私が決勝に残った場合は、今度は私が堀を採譜者に指名する番かな。
いや、その時は王者と決勝の舞台で戦えた方がいいか。

(文・田村 洸)

 

準決勝

準々決勝

予選スコア

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