最終ポイント成績
順位 |
名前 |
TOTAL |
1回戦 |
2回戦 |
3回戦 |
4回戦 |
5回戦 |
1 |
御崎 千結 |
110.3 |
-44.4 |
68.5 |
13.0 |
2.7 |
70.5 |
2 |
大島 麻美 |
48.8 |
5.1 |
14.3 |
-22.3 |
65.5 |
-13.8 |
3 |
鳥井 ゆう |
-39.3 |
60.6 |
-29.5 |
-47.9 |
-46.3 |
23.8 |
4 |
miiko |
-119.8 |
-21.3 |
-53.3 |
57.2 |
-21.9 |
-80.5 |
≪観戦記≫
【担当記者・新田 友一】
関西女流の頂点を決めるスプリント決戦、第9回関西女流スプリントが開催されました。地方の小さなタイトル戦と侮るなかれ!!過去には、関東から実力者の参戦もあり、ここを勝って大活躍をおさめた選手もいます。
今回のファイナリストの一人、後期の予選を圧倒的大差で制した大島麻美は一昨年の女流スプリント優勝を皮切りに、モンド新人王、女流モンドを制している。そして今期、惜しくも敗れはしたが女流雀王決定戦へも進出しており、2度目の優勝へ向け順風満帆である。
その女流Aリーグで苦しい戦いを強いられたのは鳥井ゆう。ところが夏までの負けっぷりが嘘のような絶好調で残留を決めると、その勢いのまま後期2位で決勝へと進んだ。
前期1位で通過したのは、プロ2年目のmiiko。私自身も初めて彼女の麻雀を観ることになる。未知数の新星が関西を代表する実力者に襲い掛かるのか!?
そして、最後に紹介するのは雀王戦でもよく対局している御崎千結。その愛くるしい顔からは想像もできない男勝りな戦いっぷりでB2リーグまで上り詰めている。ついに掴んだ女流スプリント決勝の舞台、ここでも雀王戦で見せる力を発揮できれば実力は上位。
●1回戦(miiko→鳥井→大島→御崎)
東1局1本場、御崎がバラバラの配牌から高打点を見据えた手組みが実を結び、14巡目にリーチといく。
ドラ
このリーチで同じ待ちのテンパイを入れていた鳥井を降ろすことに成功したが、大島がとのシャンポン待ちでテンパイを入れると、御崎が最後のツモで掴んだのは・・・。
チー
ロン ドラ
東2局も鳥井がチンイツのテンパイだが、大島・御崎にうまく粘られ3人テンパイで流局。
こちらも大物手が決まらない。
東2局1本場12巡目
miikoの手牌がこちら
ツモ ドラ
ツモってきたをカンして、さらに手牌のをカン、急に場が沸騰する!
14巡目にはを引き入れ、四暗刻テンパイ
ドラ
これに対し、果敢に立ち向かうのは親番の鳥井。
ツモ ドラ
とが自分の目からはすべて見えており、は2枚切れとはいえ狙い目とみてリーチといく。
さらに大島。
ツモ
は3枚切れだが、が3枚見えておりほぼ確実に山にいる。
長考の末、意を決してを横に置く。
ところがなんてことでしょう、御崎も次巡に単騎の七対子のテンパイを入れる!
萬子が36枚中26枚も盤面に見えているというのに、四暗刻のmiiko以外の3者が場に安い萬子待ち、四暗刻の待ちはこのど終盤に山に2枚!!
いきなりの大興奮の展開も誰のアガリも発生せずに、流局となってしまう。
次局に鳥井がmiikoとのリーチ合戦を制し、貯まった供託をさらって一歩リード。
東3局2本場
大島のダブ東ホンイツにまたも暗カンからの3面張リーチのmiiko、これにドラ3で3フーロの御崎も真っ向勝負!
そして、流局・・・。
高打点のめくり合いが続くが、決まらない。
ひりひりとした勝負が続き、気がつけば東場のうちに1時間を超えてしまっている。
僅差のまま東場を終え、南1局。
大島が急所から仕掛けることに成功し、チンイツの2000-4000をツモあがると、南2局には御崎の5巡目3面張のメンタンピンに、同巡ピンフのみでテンパイした親の鳥井が現物待ちであるが追っかけ、一発ツモで裏ものせて4000オールでトップ目に立つ。
オーラス
満貫で3着浮上のmiikoが先制リーチ
ドラ
同巡にこちらも満貫でトップの大島が暗カンからの追っかけリーチ。
ドラ
この半荘、何度目の暗カンだろうか・・・、そして何度目の2軒リーチだろうか・・・。
この勝負を制したのはmiiko、大島からロンアガリして裏を乗せて3着へ浮上。
1回戦は鳥井が辛くも逃げ切った。
鳥井60.6 大島5.1 miiko▲21.3 御崎▲44.4
●2回戦(鳥井→御崎→miiko→大島)
東1局
1回戦をラスで終えた御崎がドラのをポンすると、ドラを切った親の鳥井のリーチも入り、終盤に手詰まったmiikoからアガリをものにする。
東2局の親番でも2000オールをツモアガリ、持ち点を40000点とすると、打点こそ低いが早い両面テンパイで次々と他家の手をつぶしながら加点を続ける。
御崎ダントツでオーラスを迎え他3者が僅差のため、御崎のトップは安泰かと思われたが、好配牌をもらった親の大島が黙ってはいなかった。
4巡目にリーチとすると、きっちりとツモりあげる。
ツモ ドラ
裏ドラ
さらに5800は6100、1500は2100と加点して、あっという間に点差は1万点を切る。
南4局3本場
5巡目に御崎の手が止まる。
ツモ ドラ
を切れば好形テンパイが約束されるが、できればリーチ棒を出したくない局面。
愚形であっても役有りが確定して、仕掛けも効く打とした。
次巡にをツモって、結局どちらにしても役有りテンパイを組めていたが、状況に応じた選択は光るものがある。
6巡目のダマテンの-待ちであれば、スンナリ・・・
とはいかないのが今日の展開。
一向に姿を現さない-、そして10巡目。襲い来る親の大島のリーチ。
ドラ
miikoからポンが入り、御崎がツモる予定だった牌が大島に流れた結果・・・!
ロン
なんとか御崎が逃げ切った。
大島は2半荘続けて、あと一歩のところでトップに届かなかった。
2回戦結果
御崎68.5(24.1) 大島14.3(19.4) 鳥井▲29.5(31.1) miiko▲53.3(▲74.6)
()内はトータル
●3回戦(鳥井→御崎→miiko→大島)
3人の先輩に先行され、一人沈みの状態で3回戦を迎えたmiiko。
東1局、御崎と同じカン待ちのめくり合いも御崎のツモアガリとなる。
東2局、御崎と大島が仕掛けて早い2人のテンパイ。
遅れを取っていたmiiko、不本意なテンパイ形となったが、負けられない思いは誰にも劣らない。
リーチ一発ツモ
ドラ 裏ドラ
打点こそ1000-2000ではあるが強い心意気が感じられるツモアガリだった。
その強い思いが、終盤になって実を結び始める。
南3局
先制リーチの鳥井にドラを重ねて追いついたmiikoの追っかけリーチ。
ロン ドラ
裏ドラ
鳥井からのロンアガリとなり、下記の点棒状況でオーラスを迎える。
鳥井13600 御崎37900 大島19200 miiko29300
南4局
大島からドラ2の3面張先制リーチ
ドラ
miikoが15巡目にやっと追いつくと、
テンパイで粘っていた御崎が手詰まってしまい親のmiikoに一発で飛び込んでしまう。
ロン ドラ
裏ドラ
このアガリでトップに立ったmiikoが逃げ切り、トータルトップだった鳥井が4着で4者のポイント差がぐっと縮まった。
3回戦結果
miiko57.2(▲17.4) 御崎13.0(37.1) 大島▲22.3(▲2.9) 鳥井▲47.9(▲16.8)
()内はトータル
●4回戦(御崎→miiko→鳥井→大島)
残り2半荘となり、御崎がこの4回戦でトップを取ると圧倒的優位となる。他3者はそれを意識しつつ、御崎より上の着順で終われればチャンスといったところ。
東3局3本場6巡目、
御崎の先制リーチを受けた大島の手牌
ツモ ドラ
ツモ切りたいがリーチの一発目、実際に当たり牌でありかなり危ない。
ここはじっくりと考え、「カン」の声。
ツモ ドラ
さらに難しい・・・。
ここはを切り、その後に通ったも切って粘り14巡目やっとテンパイが入るが・・・、
ツモ ドラ
ここも時間をかけて、選んだのは現物のを切ってオリ。
2枚切れので、この巡目では分が悪いと感じたか。
しかし、大島の次のツモ牌は、そして直後に御崎のツモの声。
ツモ ドラ
裏ドラ
跳満や満貫のアガリ手順があっただけに、大島の心の悲鳴が聞こえる。
さぞや気を落としているだろうと思いきや、続く東4局、miikoの先制リーチにひっそりとドラ暗刻で現物待ちのヤミテン。
あっさりと鳥井から出アガリ、トップ目へ。
さらに加点を続け5万点を超え盤石の展開。
南2局
珍しい現象が起きる。
鳥井が絶好のツモで、高めツモは二盃口で倍満の先制リーチ
ツモ ドラ
切りリーチ。
と、そこへ
ツモ
御崎も二盃口で追っかける。
すでにダマテンを入れていた親のmiiko
ツモ
こちらは、高めタンピン一盃口へ手替わり3人目の追っかけリーチ。
3人合わせて五盃口の対決は、流局となる。
無情にも、唯一あがれる手順があったとしたらmiikoの河と手牌を合わせた二盃口だっただろうか(笑)
じわりじわりと、追い詰められてきた大島だったが、最後の親番でさらに加点して念願の今日初トップを飾りトータル首位で最終戦を迎えることになった。
4回戦結果
大島65.5(62.6) 御崎2.7(39.8) miiko-21.9(-39.3) 鳥井-46.3(-63.1)
●5回戦(御崎→鳥井→miiko→大島)
優勝の条件を見てみると、御崎と大島はほぼ着順勝負、miikoは大島を4着に御崎を3着に沈めて素点で両者と約2万点差、鳥井は特大トップで並びが必要。
そんな中始まった最終戦、東1局にいきなりゲームは大きく動く。
大島の先制リーチに、超好配牌を手にしていた親の御崎から待ってましたと言わんばかりの追っかけリーチ!
大島
ドラ
御崎
ドラ
この2人のリーチはピンチでもあるがチャンスでもあるmiiko、
三色含みの一向聴で粘ったものの御崎の当たり牌を掴んで切ってしまうと・・・
捲られた裏ドラは雀頭の
御崎
ロン ドラ
裏ドラ
リーチ棒も合わせて、いきなり着順勝負の大島に2万点差を突きつける。
続く1本場でも2600オールをツモり、優勝がグッと近づく。
東1局4本場
miikoの先制リーチに真っ向勝負の鳥井が、miikoからロンアガリ。
ポン
ロン ドラ
続く東2局の親番で6000オールをツモり、持ち点は59000点。
さらに1本場、
ポン
ドラ
であがれば、優勝までかなり近づく勝負手だったがここはmiikoに12000を返上することになる。
南入時点で持ち点は、
御崎 53500
鳥井 46700
miiko -13300
大島 13100
御崎は鳥井には、まくられても6万点差をつけられなければいい。大島との点差は4万点あり圧倒的に優位。安定したゲーム回しで南2局の鳥井、南3局のmiikoの親を無難に落とし、鳥井・miikoには現実的な条件はなくなった。そして、大島とのリードを46800点に広げている。
あと1つ、大島の親を落とせば優勝だ。
オーラス0本場
先に両面でテンパイを入れたのは御崎、そのとき大島は・・・まだ二向聴。
ところが開かれる手牌は14巡目にテンパイをいれた大島の手牌。
ロン ドラ
オーラス1本場
大島配牌
ドラ
この配牌が7巡目にこうだ。
ツモ ドラ
なんて生命力だ、追い詰められれば追い詰められるほど力を発揮している。
8巡目に好配牌だった御崎がピンフのテンパイで追いつき真っ向勝負!!
ドラ
待ちの枚数は-が残り2枚に対して、-は5枚。
いや、枚数なんて関係なかった。
大島の生命力が、御崎にを掴ませて裏ものせ5800の直撃。
オーラス2本場
大島
リーチツモ
ドラ 裏ドラ
オーラス3本場
大島
チー
ツモ ドラ
あと18700点差、もう4000オール一発でほぼ並びというところまで来ている。
オーラス4本場
御崎9巡目に先制リーチ
ドラ
そのとき大島は、
ツモ ドラ
を切る手順にはならない。
本当に凄まじい生命力だ。
何枚も無筋を切り飛ばすのに放銃しない大島の生命力に、心を破壊されそうになっていた御崎だったが、ついに、ついに女神が微笑んだ。
御崎
ツモ ドラ
裏ドラ
最後の最後まで、目の離せない展開、素晴らしいゲームを演出した4名に感謝します。
そして長時間にわたる戦いの中、一打一打丁寧に最も的確な判断を下し続けてきたのは御崎だっただろう。
1回戦の苦しい展開から始まったものの、その後の安定感は抜群で優勝に相応しい素晴らしい戦いであった。
最後のツモのあと、点棒授受を終えると解放されたかのようなホッとした笑顔がとても印象的でした。
ここからさらなる大舞台で結果を残した歴代優勝者のように、この先も御崎の笑顔が見られるのを祈っています。
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