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最終ポイント成績

順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
天野 すずめ
122.1
30.4
83.1
19.7
-21.4
10.3
2
鳥井 ゆう
99.1
30.4
-5.4
64.3
54.1
-44.3
3
可南
-81.8
-11.8
-28.8
-52.3
-41.8
52.9
4
大島 麻美
-139.4
-49.0
-48.9
-31.7
9.1
-18.9

≪決勝観戦記≫

2016年関西協会年明け1発目のタイトル戦、 『第5回関西女流スプリント』が1月17日に開催された。
観戦記を担当します。田村翔梧です。よろしくお願いします。(以下敬称略)

今年で5回目になる女流スプリント。まずはシステム紹介から。

◆前期、後期2回に分けて大会予選形式で10回戦。勝ち残りを2名ずつ決める。
◆決勝は残った4名で5回戦。見ての通りの短期決戦。とはいえ運だけで勝ち残れるほど簡単ではない。

次に勝ち残り選手紹介。
〜前期勝ち残り〜
前期は関東より蔵美里、水城恵利が参戦。普段より厳しい戦いが予想されていた。 そういった中勝ち残った選手はこちら。

前期1位通過・可南(第2回女流スプリント優勝)
協会5年目。今期雀王戦C1リーグを勝ち上がり、関西女流初のB2リーグへと昇級を決めた実力派。丁寧な手順とハートの強さが武器か。

前期2位通過・大島 麻美
協会1年目。新人ながら、プレッシャーに負けず接戦を制して勝ちあがり。
麻雀は未知数だが新人王戦も本戦ベスト16まで勝ちあがり経験あり。

〜後期勝ち残り〜
後期1位通過・鳥井ゆう
協会4年目。ここ数年で1番変化があったように見える。昔は攻め気が強い攻撃型といった印象だったが、今は攻撃力は残したままバランス感覚が大きく伸びたか。

後期2位通過・天野すずめ(第3回女流スプリント優勝)
協会6年目。攻撃型で手役派といった印象が強い。トップが偉い協会ルール向きの強さ。

☆1回戦

東1局は鳥井が丁寧に三色を追い高め三色のリーチ。ピンズは場に安くすぐにでも和了できそうだ。
 ドラ
ここに親の可南が安めで飛び込んで2600。
その後も東場、南場共に打撃戦。
失点→すぐさま和了を各々繰り返し決定打が出たのは南2局。
天野がこの3フーロからのドラ切り。
 ポン ポン ポン ドラ
大島がここで手詰まり。もうドラが見えてる以上役牌と何かのシャボやタンヤオトイトイに打たない限りは安いが押せる手ではない。
ここで3フーロ目が入る直前に通っているトイツのを落とすがこれが捕まる。
開かれた手は・・・8000。
 ロン ポン ポン ポン ドラ
そして1回戦オーラス。
この短期決戦では1回戦トップはグッと優勝が近づく。
可南 25500
鳥井 31100
大島 11700
天野 31700(親)
アガリやめがない以上天野は突き放したい。可南にツモられると3着落ちが濃厚になってしまう危険な状態。
鳥井、天野共に聴牌が入らず苦しむ中終盤可南が
 ドラ
からリーチ。場にマンズは高いが終盤でツモ。裏が1枚でも乗ればトップ・・・・
だが、裏ドラはで700・1300。
天野は着順落ちを覚悟しただろうが同着トップで耐えた。

1回戦
鳥井+30.4
天野+30.4
可南▲11.8
大島▲49.0

 

☆2回戦

2回戦は天野が突き放す。
東3局
 ドラ
配牌でこのチャンス手。
4巡目に
 ドラ
でリーチ。これに鳥井がここから
 ドラ
→さらにツモリーチと強く押すがこれが捕まり8000。

東4局。親の天野が4巡目リーチからの一発ツモで6000オール(リーチ一発ツモピンフドラ裏)
これでこの半荘は大勢が決した。

2回戦終了時
天野+83.1(+113.5)
鳥井▲5.4(+25.0)
可南▲28.8(▲40.6)
大島▲48.9(▲97.9)

 

☆3回戦

ここで天野にトップを取られるようだと勝敗が決まってしまう。
そして可南、大島はここでトップをとらなければ負けが濃厚になる。
大事な大事な3回戦。
動いたのは東2局。
南家・鳥井のリーチに東家・大島。
 ツモ ドラ
ここから長考の後、ドラのを勝負。
それを手が入っていた北家・可南がポンで
 ポン ポン ドラ
鳥井がすぐにを打ち上げて8000。

東4局に親の天野が早いリーチ。
可南が場1のを切るものの、それが一発で12000。(リーチ一発・ドラ)
天野にトップを取られるとかなりつらくなってしまうため、3者からは不穏な空気が立ち込めていた。
南入時で、
可南27500 大島16700 鳥井15800 天野40000
全員で天野を落とせるかどうか。
ここから鳥井が猛追した。

南3局。
3巡目で大島が
 ドラ
でリーチ。序盤ならうっかり天野が飛び込むかもしれないがここはダマでツモ直がよかったか?
特にに保障はなくうっかり飛び込むならダマのほうがよかった。
確かに4000・8000まで見えるが・・・
ここに鳥井が全勝負。

ツモ!!が手元に引き寄せられた。

東家・鳥井 
 ツモ ポン ドラ
同聴牌のをツモって大きな大きな6000オール。
可南15600 大島13600 鳥井34100 天野36700

さらに続いて南3局。
南家・天野 5巡目
 ドラ
ここから打。ちょっと「らしくないかな」という感想を持った。
普段の天野ならと払ってゆったり手組みをするイメージ。
そして9巡目、東家・鳥井からリーチ。
 ドラ
捨牌は、

どう見えるだろうか?
私の視点からはリーチ前にの順で切られてからのリーチ。良形濃厚だ。
無スジ、特にピンズの上はかなり切りにくいな。そう思った。
対する天野。先ほどと変わらない牌姿
 ツモ
から打、ツモから打、さらにツモから切りリーチ!
相当腹をくくったのであろう。
 ドラ
奇しくも同聴。ここで引き勝った方がトップを制しそうかな。
そう思ったものの流局。

次局は鳥井が簡単なピンフをリーチツモ。ついにトップに躍り出た。
さらに次局は大島が300・500。
迎えたオーラス。天野も簡単にはトップを取らせない。
2000オールと700オールは800オールでまたトップ目に。
南4局2本場
可南9200 大島9800 鳥井37500 天野43500

天野にだけはトップを取らせるわけにはいかない。
しかし天野がさらに点差を広げに行くリーチ。
 ドラ
あがられたら事実上のゲームセット。

「ツモ!」

・・・・手を開けたのは鳥井。
 ツモ ドラ
天野からリーチ棒がでて出アガリでも条件を満たしたためダマ。
1300・2600でトップに返り咲いた。

3回戦終了時
天野+19.7(+133.2)
鳥井+64.3(+89.3)
可南▲52.3(▲92.9)
大島▲31.7(▲129.6)

残り2回戦。可南、大島は連勝条件。
天野がトップ、鳥井が3着以下ならばそれもゲームセット濃厚。

 

☆4回戦

4回戦は天野のダブルリーチで開幕。
 ドラ
ここに大島が飛び込んで2600。

東4局。天野が親で先制リーチ。
 暗カン ドラ
これをアガられると終了まであるリーチ。
待ったをかけたのは鳥井。
リーチ後にポン→強く無スジを切り飛ばし続ける。
数巡後、天野が力なくを河に置いた。
北家・鳥井
 ポン ドラ
値千金の12000。

しかし天野、手が落ちない。
手が入ってるのもあるが手順のミスが無く、何度も手をまとめあげた。
 ドラ
 ドラ
 ドラ
これらを全てリーチするものの流局。鳥井は加点したいもののまったく手が動かなくなってしまった。

南3局
大島18400 可南23500 鳥井39700 天野18400
大島、可南はここでトップをとらないと実質優勝の可能性が消えてしまう。
親は落ちたがどうにかしなければいけない。そんな思いを他所にまたも天野が先制リーチ。
南家・天野
 ドラ
ようやく手が入った可南も追っかけリーチ。
北家・可南
 ドラ
これを天野から討ち取れれば・・!

しかし天野、あっさりとツモで1300・2600。

南4局
大島17100 可南21200 鳥井37100 天野24600
何度も繰り返すが大島、可南はここでトップ必須。
鳥井は天野の着順を落としたいが自身のトップが大事なので天野に連荘されるわけにはいかない。そういったところだろうか。

誰の手もまとまってないところから大島がドラのを暗カンして先制リーチ。
 暗カン ドラ
これをあっさりツモ
裏が1枚でも乗れば天野を親かぶりでラスに落とし、自身は同着トップになれる。
転がった裏は・・・・だった。

4回戦終了時
鳥井+54.1(+143.4)
天野▲21.4(+111.8)
大島+9.1(▲120.5)
可南▲41.8(▲134.7)

条件を確認しておこう。
トップから+50 +10 ▲10 ▲30が付く協会ルール。
天野はトップを取れば無条件優勝。
天野が2着なら鳥井が4着なら無条件。3着なら11700点以上の差を付ける。

大島、可南は20万点ほど必要。
鳥井は以上を満たされなければ優勝。各々条件を確認して最終戦が始まった。

 

☆5回戦

可南→大島→天野→鳥井で5回戦スタート。(トータルトップが北家になる)
3900や5800が横移動する展開からターニングポイントとなった局はここだろう。
東3局
可南25600 大島15300 天野29900 鳥井29200
鳥井が5巡目でイーシャンテン
南家・鳥井
 ドラ
そこから3巡後、手牌は変わらない。
そこに入った可南の仕掛けが強烈。
西家・可南 8巡目
 ポン ポン ドラ
ポンから打
序盤にが切ってある。そして鳥井、同巡ツモ
2巡目に1枚自分で切ってる牌。

皆さんならここでどうするだろうか?
鳥井が出した答えは・・・・・ツモ切り。
可南の手が開かれた。
西家・可南
 ロン ポン ポン ドラ

止められる選択もあっただけに非常に痛い放銃となってしまった。
良形の三色含みイーシャンテンで、可南はまだ聴牌してない可能性もある。
押す要素もあるだけに責められた打ち込みではないのかもしれないが。

この後親が落ちるまでは大島、可南がアガり、天野、鳥井共に決定打、放銃が出ないまま局が進みオーラス。
南4局
可南35900 大島24100 天野24500 鳥井15500
天野はアガれば優勝。鳥井はラス親なので天野を逆転して伏せる。
可南、大島は現実的な条件は無いのでアガってこないだろう。
オーラス鳥井が粘るものの天野が
 ツモ ポン ドラ
自力でツモり2度目の優勝を決めた。

最終スコア
天野+10.3(+122.1)
鳥井▲44.3(+99.1)
可南+52.9(▲81.8)
大島▲18.9(▲139.4)

「ツイててよかったです!」
天野の優勝コメントだ。

ツイてる、ツイてないは結果の問題であり、そこに自分で出来る最善の過程を踏めるから結果に繋がる。
少なくとも私はそう思ってる。

そしてツイてたのは事実かもしれないが、全体を通してミスが少なく良い手組みをしてたのも天野だと感じた。
良い内容で結果も付いてくる。最高の形だと思う。

優勝は天野すずめプロ!おめでとうございます!

(文・田村 翔梧)


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