
関西所属女流による短期決戦「関西女流スプリント」が開催。

最終ポイント成績
順位 |
名前 |
TOTAL |
1回戦 |
2回戦 |
3回戦 |
4回戦 |
5回戦 |
1 |
水瀬 夏海 |
159.1 |
16.9 |
-39.4 |
61.8 |
58.3 |
61.5 |
2 |
麻生 ゆり |
27.7 |
62.5 |
52.9 |
-48.1 |
-19.5 |
-20.1 |
3 |
藤中 美穂 |
22.0 |
-20.5 |
4.4 |
7.8 |
12.2 |
18.1 |
4 |
石井 阿依 |
-208.8 |
-58.9 |
-17.9 |
-21.5 |
-51.0 |
-59.5 |
≪決勝観戦記≫
今年もこの季節がやってきた。
関西の女流プロは自分の一年間の集大成としてこの試合に意地とプライドをかけてのぞんでいる。
予選で負けてしまった者達は私も含め複雑な心境でこの日を迎えたのではないだろうか。
当日、真新しいコートに身を包んだ4人の顔には緊張している様子はなく、みな笑顔だった。
実力と経験を兼ね備えた4人が揃った第4回女流スプリント決勝。
それぞれが師に教えを請い、鍛錬を積み、この日のために準備してきたに違いない。
選手としてこの場に立ちたかったというのが本心ですが、今回は初の観戦記を務めさせていただきます可南です。
よろしくお願い致します。
選手紹介(敬称略)
水瀬 夏海 前半戦第1位
この4人中ではもっともキャリアが少ないが、その成長は著しい。
物怖じすることなく堂々とした彼女の麻雀はこのタイトル初代女王である実の姉、水瀬千尋を彷彿とさせる。
石井 阿依 前半戦第2位
名実ともに関西を代表する女流プロの一人。これ以上の説明は不要かもしれない。女流雀王戦Aリーガーで様々なタイトル戦の決勝の常連。
今回こそシルバーコレクター返上へ。
麻生 ゆり 後半戦第1位
いつものふんわり可愛らしい彼女からは、想像出来ない攻撃的かつ技巧派な麻雀。
今期は惜しくも雀王戦B2リーグ昇級を逃したが今後さらにステップアップしていくだろう。
藤中 美穂 後半戦第2位
昨年の夕刊フジ杯麻雀女王決定戦準優勝。その実力は折り紙つき。彼女の麻雀には迷いがなく、中途半端な打牌はしない。
攻守バランスの取れた冷静な麻雀を打つ。
★1回戦★
東1局 親・麻生
親の麻生にいきなりの本手が入る。
            ドラ
ここで をツモり、暗刻のドラの を切ればピンフドラ2のテンパイ。ここで麻生は 切りの 待ちダマを選択。
3枚、 1枚切れということもあり、この選択をしたのだろう。
石井が ポンのソーズホンイツ気配ということもあり、単騎ながら悪くない待ちに見える。
石井から のツモ切りがあった次巡、麻生が生牌の をツモり と入れ替え 単騎待ちのリーチ。
石井は攻めの姿勢を崩さない。
        ポン  ドラ
この形から一発目に持ってきた をツモ切り。そして次巡 をツモり、 ・ホンイツ・ドラのイーシャンテン。
をツモ切った彼女にはもうこの不要になった は止まらない。 を切り麻生に12000放銃。
ピンフでリーチ、 単騎ダマ、いろいろ意見はあるかもしれない。
しかし決勝戦という大舞台で東1局から彼女のこのアガリは、12000という点数以上に3人に恐怖感を与えたに違いない。
次局も麻生がアガリ、麻生のペースになりそうな2本場、ここで水瀬が果敢にリーチ。手がまとまりきらない3人がノーテンで親が流れる。
東2局3本場 親・水瀬
トップ目の北家麻生ひるむこと無く、
            ドラ
の形からカン をチー。
ドラの を早めにリリース。安牌を残しつつあえて手狭にし、守備的な仕掛けだ。
イーシャンテンだった藤中の9巡目。
            ツモ ドラ
を切って - 待ちピンフ・イーペーコーのリーチへ。
麻生、手がまとまり
         チー  ドラ
からツモ 。
を切れば - のテンパイ。しかしここは を切って放銃回避。
藤中が ツモ。裏は乗らず1300・2600(1600・2900)のアガリ。
東3局 親・藤中
先ほど親番が流れてしまった北家の水瀬に大物手が。
配牌
             ドラ
無駄ツモ無く手が入り、
            の形からドラの をポン。 を切りペン のテンパイ。
3人が役を特定する間もなく、次巡 ツモで ・ドラ3の2000・4000のアガリ。
東4局 親・石井
石井はここでまず一度アガリ、連荘したいところ。
しかし他の3人はすでにイーシャンテン。
麻生
            ツモ ドラ
ドラは だが、ここはアガリやすさ重視で に手をかける。
次巡 をポンして と入れ替えていた安牌の を切って - 待ちテンパイ。
藤中
            ドラ
から をツモり を切って 待ちのテンパイ即リーチ。
イーシャンテンだった水瀬もこの巡目、
            ツモ で を切って - 待ち追っかけリーチ。
藤中が を掴み水瀬にリーチ・タンヤオの2600放銃。
ここで水瀬が麻生に500点差をつけトップになり南入。
南1局 親・麻生
麻生の手牌
             ドラ
序盤だが、2枚切れの を残し迷いなく のトイツ落とし。攻守のバランスが取れている。
好配牌を貰った水瀬。
            から をツモり 切りピンフのリーチ。
石井も追いつき、
            から をツモり 切り、ドラ1のカン 待ち追っかけリーチ。
この を親の麻生が仕掛け、アガりに向かう。
しかし石井が を掴み水瀬にリーチ・ピンフの2000放銃。
南2局は麻生がトップ目水瀬の親をクイタンで流し1000点のアガリ。
南3局 親・藤中
ここまで配牌とツモに恵まれなかった石井、
            ツモ ドラ
手役派の石井三色同順まで狙える好配牌。
しかし次巡ツモが 。三色は消えたが雀頭ができて手が進む。
親の藤中は、
            ドラ
という苦しい形から ポン。石井に追いつくのは難しそうだ。
石井
            ツモ ドラ
を切って - 待ちのピンフのリーチが入る。
ここで親を落とすとトップが苦しくなる藤中、選択肢にオリは無い。テンパイを目指しつき進む。
終盤、
         ポン  ドラ
から をツモって 切りの 単騎でテンパイ。
その後、石井のアガリ牌である をツモって 切りのノベタンの - 待ちテンパイを経て次巡、
石井の本線とも言えるような ツモで を切り - 待ちテンパイへ。
この かなり薄かったが、次巡に残り1枚の をツモって のみの500オール。
南3局1本場 親・藤中
西家の麻生
            ドラ
ドラの無いこの手から1枚目の をポン。守備に自信の無い者には反応しづらい だ。
この局、麻生が1000点でもアガれば藤中はオーラス満貫ツモでは届かない。
この は多少のリスクがあっても鳴く価値のある だと判断したのだろう。
麻生は丁寧に手を進め、
         ポン  ドラ
ここから をポンして 切りのイーシャンテンに。最初の形からこうなるとは誰が予想出来ただろう。
ドラの がトイツのトップ目水瀬、メンツオーバーで難しい選択。
            ツモ ドラ
ここで をツモ切り。が、結果裏目ってしまう。鳴きたい も麻生を警戒する石井に止められなかなか手が進まない。
前局見事なアガりで連荘して望みをつないだ親の藤中も譲れないこの状況、
            から をチーして 切り - 待ちのタンヤオ・ドラ1のテンパイ。
続いて麻生も を暗刻にして と 待ちの ・トイトイのテンパイ。
藤中はここで3枚目の をツモ。これは2フーローの麻生、攻める水瀬共に切りにくいため、安牌の を切って 単騎待ちに。
しかしこの 切りで麻生のアガリ牌の がいつ出てもおかしくない状況に。
藤中次巡 ツモ。危険度で言えば の方がやや高そうに見える。 切りで麻生に5200(5500)放銃。
このアガりで麻生がトップでオーラスを迎えることになる。
麻生 41200
水瀬 38200
藤中 19500
石井 1100
南4局 親・石井
ここまでかなり辛い状況が続いた石井の配牌。
             ドラ
最後の最後にこんな手が来るなんてさすが石井。
しかし、麻生の手は軽い。
          ポン  ドラ
を仕掛け を切って好形のイーシャンテン。
石井はソーズのホンイツで手を進め、
            ツモ ドラ
を切ってイーシャンテン。
麻生石井が欲しい をツモって暗刻にし、 切り - 待ち發のみテンパイ。
その巡目石井も をチーして 切りの - 待ち ・ ・ホンイツ満貫のテンパイ。
しかし、石井反撃及ばず麻生が水瀬から 出アガリトップで1回戦終了。
最初から最後まで見応えのある1回戦だった。
麻生 +62.5
水瀬 +16.9
藤中 △20.5
石井 △58.9
★2回戦★
東1局 親・藤中
藤中
            から ツモ。
親ということもあり、ここは迷いなく 切りで手役よりも受け入れ最大の形へ。
麻生はここで、
            ドラ
から をチーして を切り片あがり 待ち三色のテンパイを入れる。
イーシャンテンだった藤中 をツモり 切りの - 待ちテンパイ。
これをリーチして一発ツモ。裏ドラは乗らず2000オール。
次局は麻生が4巡目に のポンテン。藤中は1000(1300)放銃でサクッと親番を流されてしまう。
東2局 親・石井
11巡目水瀬
            ツモ ドラ
場に が3枚飛んでいたため、 を切ってシャンポンの - 待ちリーチ。
役無しドラ無しの愚形ということもあり序盤から手替わり待ちのダマテンだった親の石井が を掴み、
リーチ・一発・タンヤオの5200の放銃。
東3局 親・水瀬
西家の藤中9巡目
            からツモ 。
を切り 待ちイーペーコーのリーチ。
イーシャンテンの親の水瀬
            からドラの をツモり、ここは冷静に をトイツ落としで雀頭を入れ替える。
石井12巡目
            ツモ ドラ
を切って 待ちタンヤオのテンパイ。
親の水瀬も13巡目 をツモり、リーチ者に通ったばかりの - 待ちでテンパイ。
石井14巡目
            から をツモり を切ってリャンメンの - 待ち変化もここはリーチせず。
3者テンパイになったところで勝者は石井。 ツモで300・500のアガリ。
東4局 親・麻生
麻生
            ツモ ドラ
ここで麻生は 切りを選択。
この 切り、3巡後に1番意味をなす ツモで を切ってピンフ・三色確定の - 待ちリーチ。
そして早々と をツモって4000オールのアガリ。
次局も麻生、水瀬にドラのポンが入るも のみ1500(1800)でアガリ2本場へ。
東4局2本場 親・麻生 ドラ
石井6巡目
            から絶好のツモ
を切って - 待ちタンヤオのリーチ。
この時点で 山に5枚生き。ここまで苦しい形でしか聴牌できずにいた石井、ここはアガりたい。牌をツモる石井の手にも自然と力が入る。
しかしこの5枚全て石井以外の3者に流れてしまう。
流局。落胆した表情で石井が牌を倒し1人テンパイで南入。
南1局3本場 親・藤中
ドラの がトイツの藤中の4巡目。
            ツモ ドラ
迷いなく 切り 待ちドラ2のリーチ。
ここまで見る限りでは親番はテンパイ即リーチというのが藤中のスタイルのようだ。
4巡目親リーチという事もあり、全員現物を中抜き、藤中の一人旅。
終盤に安牌が無くなった水瀬だが、ワンチャンスになった暗刻の をしっかり止め流局。藤中一人テンパイ。
南1局4本場 親・藤中 ドラ
供託が2本に4本場、全員がアガりたいこの状況でも1枚目の をスルーした石井。
あくまでも門前にこだわりリーチして打点を作る。石井の麻雀はぶれない。
その甲斐あって、
            から をツモり 切りリーチ。
麻生もアガリまで遠いながらも仕掛ける。
麻生の手牌は終盤になると危険な余剰牌がほぼ無い。他家からのリーチ後も無理なくアガリに向かえるスマートな手格好をしている印象だ。
フーロー後の放銃率も低い。
しかし、どっしり貫禄のある麻雀を打った石井 ツモで1300・2600(1700・3000)。
南2局 親・石井
5巡目にして石井、水瀬、麻生の三者イーシャンテンでぶつかりそうな気配。
水瀬が最初にテンパイ。
            ツモ ドラ
切りで三色の と のシャンポン待ちのダマを選択。
すでに一つ仕掛けてイーシャンテンだった麻生
         チー  ドラ
この水瀬の切った を麻生がチー。ドラの をここで放す。ドラはまだ置く人が多そうだが、安牌の を残すのが麻生らしい。
石井は5巡目から手が進まない。
次巡麻生は をつもり 切り - 待ちのタンヤオテンパイ。
この巡目藤中が をツモ切りダブロンだが、上家どりで水瀬が三色の2600を出アガる。
南3局 親・水瀬
なかなか誰も手が進まないこの局、2段目終盤に差し掛かったところで親の水瀬が動く。
            から をチーして 切り - 待ちテンパイ。
これをみて麻生も仕掛け、形式テンパイへ。
石井
            ドラ
からドラの をツモりテンパイ。 を切って - ・ 待ちドラ1のリーチ。
- 待ちでテンパイしていた親の水瀬、 をツモり 切り - 待ちに。以降は無スジをいくつも通し、石井の河底牌までおしきった。
石井最後にツモってきた牌はなんとドラの 。
水瀬にホーテイ・ ・ドラ1の5800の放銃。
南3局1本場 親・水瀬 ドラ
ここでも石井と水瀬の手がぶつかる事に。めくり合いを制したのは水瀬、石井からリーチ・ピンフの2900(3200)でアガる。
南3局2本場 親・水瀬
不運続きの石井6巡目
            ツモ ドラ
を切ってホンイツ・七対子・ドラ2のイーシャンテン。
一気に逆転まで見えるこの手、門前では苦しいと判断した石井、 をポンして 切りのイーシャンテン維持。
石井の上家という事もあり、ピンズが切りづらい藤中。現物の のトイツ落としの間に ツモって暗刻に。
            ツモ ドラ
2枚目の を切ってマンズがかなり安いこの場で絶好の - 待ちリーチ。これを一発でツモり藤中1000・2000(1200・2200)
南4局 親・麻生
点棒状況は以下の通り。
藤中24400
石井14100
水瀬28600
麻生32900
ラス目の石井3巡目
            ツモ ドラ
早い巡目でイーシャンテンだが、ドラ無しで打点が足りないため 落としリャンシャンテンに戻し手役を狙う。
            から をつもり 切り高め三色のイーシャンテン。
次巡 を引いて 切りの 待ちリーチ。 が出た場合は見逃しか。
中番になり2着目水瀬安牌が無くなり、スジの に手をかける。
裏ものってリーチ・三色・ドラ1の8000放銃。
これで石井は3着に浮上し、水瀬がラスに。麻生は2連勝で2回戦終了。
麻生+52.9(+115.4)
藤中+4.4(△16.1)
石井△17.9(△76.8)
水瀬△39.4(△22.5)
カッコ内はトータルスコア
麻生連勝で他3人にはかなり苦しい展開だ。とはいえ麻生もプレッシャーを感じているに違いない。
それぞれが残り3回戦をどう戦うのか目が離せない。
★3回戦★
東1局 親・水瀬
水瀬7巡目
            ツモ ドラ
切りの完全イーシャンテン。
同じく7巡目、西家の麻生
            ツモ
切りのイーシャンテン。
次巡親の水瀬 ツモで 切り - 待ちピンフのリーチ。
同巡、麻生も をツモりテンパイ。 切りの追っかけリーチをするが、これは水瀬のアタリ牌。
リーチ・一発・ピンフに裏ドラものって12000の放銃。
2回戦ラスの水瀬だか1本場、2本場と積み重ね着々と点棒を増やし幸先いいスタートを切る。
東1局3本場 親・水瀬
親の水瀬
            ツモ ドラ
切りのイーシャンテン。
ここから ツモで 切り 待ちのタンヤオ・イーペーコーのリーチ。
イーシャンテンの麻生、ドラの をノータイムでツモ切り。
            から
水瀬に合わせ打った藤中の をチー。トイツ落としの2枚目の を切っての - 待ちテンパイ。
こうなると石井の は止まらない。麻生に1000(1900)の放銃。
東2局 親・藤中
石井5巡目
            ツモ ドラ
が3枚切れということもあり、 落としを選択。次巡 ツモで ・ 待ちドラ1のリーチ。しかし石井これがなかなかアガれない。
そうしてる間に親の藤中
            ツモ
で追いつく。ここで 切りのカン 待ちリーチを選択。
なんとこの は山に3枚。
藤中これツモってリーチツモの1000オール。
東2局1本場 親・藤中 ドラ
開局に痛い放銃も折れることなく積極的に仕掛ける麻生。 を仕掛け、浮いた牌を上手く処理して300・500(400・600)のアガリ。
東3局 親・麻生
連勝中の麻生の親番、水瀬が動く。
            ドラ
ここから をポンして を切り4巡目 待ちの ・ドラ1のテンパイ。
そして6巡目、藤中
            ツモ
ドラの を切ってピンフのリーチ。
この巡目カン でテンパイしていた水瀬、 ツモで藤中の現物 を切ってカン 待ちに。
待ちが変わってすぐ藤中が を掴み水瀬に ・ドラ1の2000放銃。
東4局 親・石井 ドラ
あっさり親が流れた北家の麻生
            からオタ風の にすぐさま反応して 切り。
ここからドラの を暗刻にしソーズを払う。次巡 ツモで 切りの最高倍満まで見えるイーシャンテンに。
この後麻生 ツモでホンイツか混老頭かの選択、 を切ってホンイツへ。
ここでイーシャンテンのトップ目・水瀬
            から ツモで 切り - 待ちタンヤオ・ピンフのリーチ。
水瀬と麻生の一騎打ちかと思いきや親の石井もなんとツモり四暗刻のイーシャンテン。
            ツモ ドラ
親の石井ここは引けない。リーチに対して完全に降りる気配の無い麻生にギリギリまでピンズは切りたくない。
切りで水瀬にリーチ・タンヤオ・ピンフの3900放銃。
南1局 親・水瀬
前局の大物手を逃した麻生、 をポンして字牌を1枚ずつ残しピンズに寄せる。
親の水瀬
            ツモ ドラ
イーシャンテンからのメンツ選択。少考して 落としを選択。
ここで石井
            のイーシャンテンの形から ツモり少考してドラの 切りノベタンの - 待ちリーチへ。
2巡後イーシャンテンだった親の水瀬
            ツモ ドラ
で が出る形になってしまう。
これが石井にリーチ・ドラ1の2600放銃。
放銃とはいえ、ダントツの水瀬、2連勝した麻生をラスに沈める3着石井への打点的にも悪くない放銃だ。
南2局 親・藤中
6巡目石井ドラのカン 待ちリーチ。
親の藤中、現物やスジ牌を切りながら中盤に七対子のテンパイ。こちらもドラの 待ちで追っかけリーチ。
両者放銃は無くなったが、残り3枚の は麻生・水瀬の手配の中。2人テンパイで流局。
南2局1本場 親・藤中
水瀬7巡目
            ツモ ドラ
ドラスジ - 待ちということもあり少考して 切りダマのピンフテンパイ。
早い段階で をポンしていた麻生も、
         ポン  ドラ
ツモ で 切り 待ちのテンパイ。
リャンカンと三面張が残ったイーシャンテンの石井
            ドラ
から絶好の ツモで 切り高め三色の - - 待ちのピンフリーチ。
これで三者テンパイに。
ここはやはり三面張の石井に軍配も、安めの ツモで若干渋い表情。
リーチ・ピンフ・ツモ700・1300(800・1400)
南3局 親・麻生
ここまでテンパイはするもなかなかアガリに結びつかない親の麻生、配牌で自風のドラの がトイツに。
これをアガれば優勝に限りなく近づく大事な局面になりそうだ。
対してこの局配牌に恵まれなかった水瀬、
            ドラ
ここから ツモを皮切りにほぼ無駄ヅモなしで5巡目。
            から ツモで 切り役無しカン 待ちのダマテンパイ。
テンパイの水瀬、ドラの もツモ切るが、麻生がこれをポン。水瀬どこまで押しきれるか。
のポンでイーシャンテンだった麻生
         ポン  ツモ ドラ
で を切り - 待ち満貫のテンパイ。
しかしここで水瀬が ツモで大きな大きな300・500のアガリ。
南4局 親・石井 ドラ
ここまでの点数状況は以下の通り。
連勝中の麻生ラス回避できるか。
水瀬 43800
藤中 19800
石井 22500
麻生 13900
麻生が開始早々動く。
            から をポンしてソーズを払いピンズのホンイツへ。
カン チー、 ポンで4cmのイーシャンテン。
   ポン  チー  ポン  ドラ
、 どちらにくっついても条件クリア。ここで ツモでカン 待ちの満貫テンパイ。
この麻生の仕掛けに降りてもいられない3着目の藤中
            ツモ ドラ
生牌の を押して - 待ちのピンフ・ドラ1のリーチ。
これを一発でツモり、リーチ・一発・ツモ・ピンフ・ドラ1の2000・4000。
これで藤中が石井を捲って2着に浮上。
前回ラスの水瀬がトップ、連勝の麻生がラスで3回戦終了。
水瀬+61.8(+39.3)
藤中+ 7.8(△8.3)
石井△21.5(△98.3)
麻生△48.1(+67.3)
★4回戦★
連勝した麻生がラスで試合は面白くなった。
しかし依然1トップでほぼ優勝が決まってしまう。4人全員が優勝を目指して負けられない大事な4回戦。
東1局 親・水瀬
麻生は早々と七対子のイーシャンテンに。
手の内に役牌の がトイツだったため が暗刻になったところでメンツ手に切り替えイーシャンテン維持。
藤中ドラは無いものの、
            ツモ ドラ
切りの - 待ちテンパイ即リーチ。
このリーチを受け好形のイーシャンテンだった石井、使えない ノータイムツモ切り。リーチ・一発・裏ドラの5200の放銃。
東2局 親・石井
親の流れた水瀬が積極的に仕掛ける。
藤中はマンズのチンイツ一直線。6巡目
            ドラ
ここから をポンして 切り、ペン 待ちのハネ満テンパイ。マンズを一枚も余らせず手出し ではテンパイに見えにくい。
水瀬も
     
チー  ポン  ドラ
ここから をツモり 切りカン 待ちの のみテンパイ。
2者テンパイのところで藤中の上家の麻生
            からツモがまさかの 。
自身が切った でポンが入り、かなり使い辛いこの 。イーシャンテン。一度は に手をかけるが長考して前巡通した 切り。
麻生がハネ満放銃を回避した次巡の藤中のツモは 。
もちろんこれをツモ切るが水瀬に1000点の放銃。
これは愚形ながらも積極的に仕掛けた水瀬と を止めた麻生のファインプレーと言える。
東3局 親・麻生
回を追うごとに積極的に仕掛ける水瀬。この局も序盤
            ドラ
から を仕掛け を切り ・ドラ1の - 待ちテンパイ。
早い段階からイーシャンテンだった藤中
            ドラ
ツモで 切り - 待ちテンパイ。麻生が親という事もあり ・ドラ1のダマを選択。
次巡4枚目の をツモり暗カンしてリーチかと思いきやこれもツモ切り。藤中一貫している。
イーシャンテンの石井。
            ツモ ドラ
安牌確保と三色狙いのリャンメン固定で 切り。
これが水瀬に ・ドラ1の2000放銃。
東4局 親・藤中
親の藤中になんとダブルリーチチャンス。
             ドラ
少考して 切り 待ちのダブルリーチ。
筆者も同タイトルでダブルリーチを見事成就させたのでその時を思い出し少しドキドキする。
さぁ、3人はこの親のダブルリーチにどう立ち向かうか。
水瀬
            ツモ ドラ
無スジの を切ってイーシャンテンに。
石井
            ツモ ドラ
切りでこちらも攻めの姿勢を見せる。
麻生はとても戦える形ではないため撤退。
藤中9巡目 をツモ。
ダブルリーチ・ツモ・裏ドラも乗せて4000オールでトップに浮上。
東4局1本場、藤中がダブ を仕掛ける。
水瀬は好配牌。ほぼ無駄ヅモなく6巡目
            ツモ ドラ
切りの - 待ちタンヤオ・ピンフ・ドラ1のリーチ。
この - かなり薄かったが、水瀬難なくツモ。裏ドラものり3000・6000(3100・6100)のアガリで水瀬トップで南入。
南1局 親・水瀬
親の水瀬
            ツモ ドラ
ドラの を持ってきたところでメンツ手を見切り 切りの七対子へ。
3回戦以降ここまで全く手にならない麻生、 を仕掛けるも苦しい形。
藤中
            ツモ ドラ
を切り役なしのカン 待ちテンパイ。ドラが ということもあり手がわり期待のダマを選択。
2巡後、藤中がドラの をツモり、打点も十分な形になったため 切りでピンフ・ドラ1のリーチ。
親の水瀬は完全に撤退。
安牌の無い麻生だが、副露してからの放銃はここまで無い。ここも凌いで藤中の1人テンパイで流局。
南2局1本場 親・石井
5巡目水瀬
            から ツモで二度受けの 落としのイーシャンテン。
藤中
            ツモ ドラ
ドラの を切りイーシャンテン。
麻生
            ツモ ドラ
少考して 切りでドラの を残してこちらもイーシャンテン。
形のかなり苦しい石井以外の三者がイーシャンテンとなり、これは波乱の予感。
最初にチャンスが来たのは藤中。
ツモでカン 待ちテンパイを取れるが、形が弱い上ソーズが良くないと判断し 切りのテンパイ取らずを選択。
なかなか手の進まない三者に対し、
ここに来て1番遅れをとっていた親の石井がラス をツモりまさかのテンパイ一番乗り。
            ツモ ドラ
切りのペン 待ちリーチ。
このリーチに対し全員降りて石井の1人テンパイで流局。
南2局2本場 親・石井
石井、水瀬ともに七対子のイーシャンテン。
麻生もすぐさま
            からカン をチーして 切りのリャンシャンテン。
そこから をツモり 切りで手を進める。
七対子とメンツ手の両天秤にかけていた石井、ここで
            ツモ ドラ
切りで 待ちの七対子テンパイ。
この を麻生がチーして 切りの - 待ちのタンヤオ・ドラ1のテンパイ。
仮テンの状態だった石井ここでドラの をツモ。 を横に曲げた。これをアガれば逆転も見える。
しかし麻生次巡 ツモで500・1000(700・1200)のアガリ。
南3局 親・麻生
水瀬ここでも1枚目の を仕掛けリャンシャンテン。打点よりもこの親を流したい。
石井
            ツモ ドラ
切りでこちらもリャンシャンテン。
親の麻生は、
           
ツモ ドラ
切りのイーシャンテン。
打点が欲しい石井、 ツモもドラの にはギリギリまで手をかけたくない。受けは少し狭くなるが 切りのイーシャンテン。
麻生 ツモでトイツの をさばいて形を整える。
一番遅れをとっていた藤中
            ツモ ドラ
切りで全員がイーシャンテンに。
唯一フーローしている水瀬、周りをケアしながら
         ポン  ツモ ドラ
で 切り 待ちテンパイ。
藤中も をツモり 切りの - 待ち役なしテンパイ。終盤ということもありリーチはかけず。
これを藤中すぐにツモ。ツモ・ドラ1の500・1000。アガった藤中トップでオーラスへ。
南4局 親・藤中
持ち点は以下の通り。
水瀬 33100
石井 9000
麻生 20500
藤中 37400
ラス親トップの藤中、そして連勝を狙う2着の水瀬両者手がいい。
水瀬
            ツモ ドラ
を引き入れた直後の ツモで 切り。とりあえず中ぶくれドラの 待ちで満貫テンパイ。
を外しても 以外はマンズどれを引いてもダマで条件クリア。
トップで優勝への望みを繋げたい藤中、早い巡目からイーシャンテンも
            ツモ ドラ
から手が進まない。 - がかなり薄くなり水瀬圧倒的に有利な状況。
ここで水瀬が ツモでドラの を切り - - 待ち高め満貫のテンパイ。安目の でも出アガリトップ。
藤中も をツモり苦しいながらも - 待ちテンパイ。
しかし次巡藤中 ツモでこれをツモ切り、水瀬にタンヤオ・イーペーコー・ドラ1の5200放銃。
これでなんと水瀬も2連勝となり最終戦麻生、水瀬のほぼ一騎打ちとなった。
水瀬+58.3(+97.6)
藤中+12.2(+3.9)
麻生△19.5(+47.8)
石井△51.0(△149.3)
水瀬は麻生より着順が上なら無条件で優勝。
麻生はトップで優勝。ただし、水瀬が2着の場合は9800点差以上のトップ。
藤中トップの場合、13800点差以上をつけての水瀬ラス、麻生が3着なら藤中の優勝。
麻生2着の場合4000点差以上なら藤中、それ以下なら麻生優勝となる。
今回本来の実力が発揮できないでいる石井、親が落ちるまでアガリ続け粘ってほしい。
★5回戦★
東1局 親・藤中
水瀬、麻生それぞれ 、 をポン。
麻生はドラの がトイツ。
配牌から暗刻だった を槓子にした親の藤中、順調に手を進め8巡目
            ツモ ドラ
切り 4枚使いの - 待ちリーチ。
を仕掛けた麻生
         ポン  からツモ 。
藤中現物の を切り、 ・ドラ2のイーシャンテン。
を仕掛けた水瀬は のトイツ落としでほぼ降りの構え。
次巡麻生、ツモ 。悩んでこれをツモ切り。ここは勝負所と判断したようだ。そして次巡 ツモでテンパイ。
ドラスジの を切れば高め三色の - 待ち、前巡通った 切れば - シャンポン待ちテンパイ。
麻生ここは安全な 切りを選択。
しかし2巡後 ツモで、これを悔しそうにツモ切る。
結果流局で藤中・麻生の二人テンパイ。
東1局1本場 親・藤中
ここでも麻生、水瀬がそれぞれ1枚目の 、 をポン。
水瀬はリャンメン・リャンメンの ドラ1のイーシャンテン。
麻生も形は悪いが のみのイーシャンテン。
石井
            ツモ ドラ
を切ってこちらもイーシャンテン。
間に合わないないと判断した親の藤中は バックの仕掛けで をポン。
中盤麻生
         ポン  ツモ ドラ
はフリテンだが三面張変化もみて 切りの - 待ちテンパイ。
水瀬
         ポン  ツモ ドラ
を切って - 待ちのテンパイ。
この を待ち望んでいた親の藤中これをポンして
       ポン  ポン  ドラ
を切ってペン 待ちテンパイ。
三者テンパイになったところで石井も ツモってテンパイ。ドラ1の - 待ち立直を打つが、水瀬が をツモり500・1000(600・1100)
東2局 親・石井
を仕掛けた麻生
         ポン  ドラ
をチーして 切り - 待ちテンパイ。
サクッと ツモで300・500のアガリ。
東3局 親・麻生
西家の藤中7巡目
            ツモ ドラ
切りの - ・ 待ちの変則三面張のリーチ。
この立直を受け水瀬
            ツモ ドラ
生牌の を切り序盤は食い下がるも、有効牌が引けず撤退。
親の麻生もギリギリまで粘りを見せるがテンパイできず藤中の1人テンパイで流局。
東4局1本場 親・水瀬
親の水瀬9巡目
            ドラ
を仕掛けて 切りのイーシャンテン。
次巡 をツモりドラの を切って - 待ちテンパイ。
石井10巡目
            ツモ ドラ
切りで、三色のカン 待ちリーチ。
この巡目イーシャンテンだった麻生
            ツモ ドラ
でテンパイ。 を切って追っかけリーチ。
石井のアガリ牌の 、山に沢山生きていたが親の水瀬が吸収してしまう。
結果石井が を掴んで麻生にリーチのみ1600(1900)放銃。
大きなアガリが出ず、拮抗したまま南入へ。
南1局 親・藤中
最後の親番を落とせない藤中、形は苦しいが を仕掛けアガリに向かう。
しかしなんと水瀬、高め一気通貫の配牌イーシャンテン。
水瀬
            ツモ ドラ
で難なくテンパイ。 切りの - - 待ちピンフ高め一気通貫のリーチ。
このリーチを受け石井
            ツモ
イーシャンテンになったところで少考して 切り。水瀬リーチ・ピンフ一気通貫で8000出アガリトップに。
南2局 親・石井
親の石井、 を仕掛けて
         ポン  ドラ
から をツモ切り。ここは高打点であがって望みを繋げたいところだ。
しかしここで藤中から
            ツモ ドラ
切り - 待ちタンヤオピンフのリーチが入る。
藤中がラスト1枚の をツモって裏ドラもなんと 。リーチ・タンヤオ・ピンフ・ツモ・ドラ2の3000・6000。
土壇場で藤中がトップに。
南3局 親・麻生
親の麻生、コツコツアガリを積み重ねるも状況はかなり厳しい。
ここにきてドラの が暗刻となり、牌をツモる麻生の手にも力が入る。
            ドラ
ここから をポンして 切りタンヤオ・ドラ3のイーシャンテンに。
二段目にさしかかった所で ツモも、カン 待ちは弱いとの判断かテンパイ取らずで 切り。
この間に、水瀬
            ツモ ドラ
切りでなんとツモり四暗刻のテンパイ。
石井
            ツモ ドラ
トイツ選択の 切りでこちらもツモり四暗刻へ向かう。
終盤に差し掛かり麻生せめてテンパイはして連荘したいところだが、 を掴んでしまう。これをツモ切り、水瀬に三暗刻・トイトイの満貫放銃。
藤中 38100
石井 2500
麻生 19900
水瀬 39500
オーラス親番の水瀬は牌を伏せれば優勝。
麻生は倍満ツモ条件に。
南4局 親・水瀬
伏せれば優勝の水瀬、早々とタンヤオをテンパイし2000点を石井から出アガって少しどよめきが起きた。
そして1本場になった水瀬の手牌。
            
これにはまた会場からどよめきが起こる。
結果全員ノーテンで流局。手牌を伏せた瞬間水瀬からいつもの可愛い笑顔がこぼれた。
第4回女流スプリント優勝は水瀬 夏海。

“天真爛漫”
私が抱く水瀬のイメージだ。
水瀬は心から麻雀を楽しんでいる。
だから彼女の麻雀は見ている人間を楽しくする。単純なようで難しい事だと思う。
どんどん強くなる水瀬を今回目の当たりにして、負けたくないと思ったのが素直な感想。
なっちゃん、おめでとう。
(文・可南)
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