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≪大会レポート≫

関西で行われるウェスタンカップ。
プロアマ混合で2回の予選大会が行われ、それに勝ち残った選手とシード選手で本戦を争う。
第1回となる昨年は協会の吉田 俊介が腕自慢のアマチュア達を抑えて優勝した。

その本戦が大阪の天満橋会館にて8月5日に行われた。
もちろん、2回も予選に出場した自分も気合を入れて会場に向かった。

選手ではなく、運営というのはかなり悲しいのだが。

本日の運営は、宮崎 信一・小室 勇人・矢後 誠の3人。
かなり珍しい組み合わせである。
しかし全員運営はかなりの数をこなしているだけあり、打ち合わせや指示等一切なくとも
自然に持ち場が決まっていくのはなかなか頼りがいがある運営陣だと感じた。

さてこの本戦 予選1から15名、予選2からも15名、シード選手10名を加えた40名で行われる。

開始予定時刻には、全員がすでに1回戦の卓で対局準備が完了しているという意識の高さ。
滞りなく1回戦が開始された。

この本戦でのポイントは全て持ち越しとなる。
3回戦終了時に上位16名が4回戦へ進出。
4回戦終了時に上位8名が準決勝へ進出。
という具合に最長6半荘で争うシステムとなっている。

1回戦3着 2回戦トップで迎えた一北 寛人の3回戦。
3着でギリギリ予選通過か?という状況なのだが、目下ラス目。
その5巡目にこの手牌となった。
 ツモ ドラ
ここから打は場に1枚切られているが、残りは山に生きている。
その後対面から放たれたをスルーして最高打点を見据えるも結果は対面がアガりきる。

対局後聞いてみたのだが、
「ポイント持ち越しなのでギリギリで通過しても後が苦しくなる。
ならばあれだけの素材をもらったのならば、可能な限り高い点数でアガりたかった」

1半荘勝負であれば、ここで満貫を加点するという選択肢もあるのだろう。
しかし2回戦終了の時点でボーダーが高目だった今回、その先を見据えての選択である。
結果は3回戦敗退となる。

他にも昨年の覇者・吉田 俊介、ファイナリスト・加藤 哲郎さん、石沢勇人さんも敗退となる。
強豪と言われる方々が散る中、今回目立ったのは女性陣の躍進であった。
この時点で4名が4回戦へ進み、しかも3回戦終了時点で1位と2位が女性であった。

その後5回戦には3名が残り、決勝の舞台には2名が進出した。

関西では、麻雀大会の女性の参加率が確実にUPしてきている。
これからも女性の方には、積極的にいろいろな大会に参加してきていただきたいと思う。

さて決勝へ進んだのはこの4名である。

4回戦まで4連勝、5回戦こそ3着となったが251.5pのトップで通過は、協会の米崎 奈棋。
普段から麻雀教室や大会によく参加されているという山下 加代子さんが179.3p。
独自のコミュニティーで大きな麻雀イベントをされている樫原 貴哉さんは155.5p。
関西で最高位戦の活動を行っている今村 順平プロが137.8p。

決勝戦は 山下-樫原-米崎-今村の並びで多くのギャラリーが見守る中行われた。
現在トップは米崎だが、協会ルールはトップラスになると順位点で80p縮まる。
4名全員に優勝の可能性はある。

まずは樫原が先手を取る。
この舞台での東1局の配牌が好形のリャンシャンテン。
1巡目でイーシャンテンとして4巡目、自風のを暗刻にしてのリーチ。

高目のが今村から出て5200点。

続く東2局 樫原はダブ対子 米崎はドラ対子 それぞれ好配牌を手にする。
しかしそれを感じとったのか今村と山下が仕掛けていく。
結果は山下が樫原から1000点を出アガる。
先制して親番を迎えた樫原としては嫌な感じの放銃だったのではないだろうか?

米崎の親番となる東3局は、今村が先制リーチを打つも流局となる。

東4局、親の今村に配牌でダブが対子で入るも、この時点で山下と持ち持ちになってしまっていた。
一方で米崎の手がすばらしい変化を遂げる。
 ドラ
この配牌から薄いところを立て続けにひき8巡目に、
 ドラ
のテンパイでリーチ。
山下から出アガり。裏ドラもで5200点は5500点のアガり。

後半戦南1局。
南家の樫原が7巡目にこのイーシャンテンになる。
 ポン
三色同刻含みの高打点が期待出来る形である。
しかしテンパイ一番乗りは今村。10巡目に

となるも、すでにを米崎が3枚切り飛ばしている。
またドラがなので-は早くも4枚が場に見えている事となる。

これはダマを選択。樫原も手が進まずに親の山下が1000オールをツモアガった。
もし今村がこれを即リーチといった場合、山下がツモ切っていたドラは打てなかったであろう。
しかも樫原に大物手の雰囲気が漂っている。
今村はラス親。点数はオーラスに叩く事が可能と考え、ここは一歩引いて山下か樫原にアガりに期待していたのではないか?
一番条件が厳しいのは今村。米崎がラスになるのが理想である。
今村はかつて東京で最高位戦の活動をしていた時は研究会等に多く参加していたと聞いている。
決勝戦でも4人の中で一番場慣れしているように見えた。

南1局1本場
今回は米崎にドラのと自風のが配牌から対子で入る。
しかし残りの形がどうも苦しい。

今村が切ったを仕掛けるもその後はなかなか有効牌がひけない。
すると山下から先制リーチがはいる。

高目三色同順のこのリーチ。
山下が力強くをツモアガり、4000は4100オールのアガり。

南1局2本場
樫原の手が大きく変化する。
 ドラ
これが11巡目に、

本戦から決勝まで何回か樫原を見ていたのだが、打点がかなり高い。
しかしこの局は、米崎が樫原から3900は4500を出アガる。

南2局
終盤にフリテンながらテンパイにこぎつけた樫原。
この親番が流されると非常に苦しくなってしまう。
ここでリーチといくが、フリテンとはいえ-がこの時点で山に4枚生きていた。
 ドラ
6000オールも期待出来るリーチであったが、その樫原が欲しいを同巡に引き込んだ米崎が樫原から1300点を出アガる。
 ロン

樫原には非常にキツイ1300点であった。

南3局はまたもド級の手作りをしていた樫原から山下が1000点を出アガりオーラスとなる。

オーラス。一番可能性のある山下ですら16000点直撃という非常に厳しい条件となった。
しかし、ラス親の今村が粘る。

1人テンパイ・1300オール・1人テンパイ・1000オールと、どんどん加点してついに米崎をかわしてこの半荘の2着となる。
これで山下も条件がかなり楽になり、優勝条件が現実的となった南4局5本場。
11順目に今村がこのリーチ。
 ドラ
16巡目、安全牌がなくなった山下がを静かに河に置いた。
しかし、ピクリともしない今村。

確かに、ここで山下の点数を削ると米崎が一気に楽になる。
対局後今村に話を聞いたが、
「アガってもよかったんですけどね。でも優勝を見るのなら4000オールが欲しかった」
と答えてくれた。

対局前は、4人の中では一番厳しい条件であったが、
「優勝して最高位戦の力を見せたいと思います」と言っていたが、
優勝に対して一番貪欲な姿勢を見せてくれたのが彼だったと思う。

しかし今村の思惑通りにはいかず、流局で1人テンパイ。
このテンパイ料で、この半荘ついに今村がトップ目となる。

しかしここからが問題である。
現在米崎は3着目。7万点以上の差をつけなければならない。
そろそろ米崎からの直撃が欲しいところだ。

トータルトップ目の米崎は、このオーラスは我慢の連続。
アガりさえすれば優勝となるのだが、下家の今村から終始プレッシャーをかけられる。
しかもポイント的には、対面の山下が肉薄してきている。
テンパイはするも、すぐにオリに回される状況が続いていた。

その米崎 まずまずの配牌から9巡目にテンパイを果たす。
 チー チー ドラ
この時点で親の今村は自風のを鳴いているが、ソーズのホンイツのリャンシャンテン。
ソウズが場に非常に高いし-は薄いが、米崎に追いついている人は今のところ誰も居ない。
ここで決まるかな?と思ったが、ソーズを嫌った今村が終盤17巡目にテンパイを入れる。
 チー ポン

するとここが勝負所と感じたのか 山下がリーチ。

米崎から直撃かツモで条件をクリア出来る。
ここで米崎のツモが
共通の安全牌は無いのだが、山下に放銃するとその時点で終了である。
ツモ切りしたに今村が「ロン」
米崎の放銃となった。しかしこの放銃で山下の逆転手を潰したのだから値千金の放銃である。
しかも、今村と山下の点差が広がったのため、山下の条件が少し厳しくなった。
直撃したとはいえ、今村もこのオーラスは薄氷の上を歩いているような状況である。
上家米崎にプレッシャーを与え続けなければならない。
その状況での粘りは観戦者も驚いていた。

そして、8本場を迎え米崎が7巡目にこのテンパイを入れる。
 チー ドラ

このオーラス何度目のテンパイだろうか?
テンパイしては潰され続けてきた米崎だが、このテンパイが一番優秀であった。
ドラ筋とはいえ この-は山に5枚居る。
14巡目、今村からが放たれて決着がついた。

関西在住ながら、積極的に東京でもプロ活動を行う米崎の初タイトルに、
最後まで残っていた観戦者から惜しみない拍手が贈られた。
本戦には残れなかったが、応援に駆けつけたファンの多さからその人気の高さは窺える。

その米崎に対局後、話を聞いてみた。

「ポイント差がある状況での決勝卓だったが、しっかりと打つ事ができたと思います。
 対局が進むにつれて状況が苦しくなったのですが、追い込まれるまでは何があるかわからないので勝負にいけませんでした。
 オーラスは常に最悪の展開を考えながら、そうならないように心がけていました」

―――決勝卓で優勝は途中意識しました?

「意識はしなかったです」

―――今日1日の麻雀を振り返って見ると?

「運よく裏ドラが乗ったり一発でツモったりで、親で4000オール・6000オールなど高打点のアガりが多かったです。
 雑にならないように丁寧に打つことができたのがよかったと思います」

―――今後の抱負など

「次のオータムチャレンジカップでも好結果を残せるように頑張ります」

 

対局が終わって間もないのに、米崎はすでに次の目標を見据えていた。

(文・矢後 誠)

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