関西所属女流による短期決戦「関西女流スプリント」が開催。
最終ポイント成績
順位
|
名前 |
TOTAL
|
1回戦
|
2回戦
|
3回戦
|
4回戦
|
5回戦 |
1
|
可南 |
127.8 |
-16.2 |
7.8 |
66.1 |
7.6 |
62.5 |
2
|
蒼樹 里沙 |
79.7 |
62.0 |
-56.1 |
3.3 |
50.1 |
20.4 |
3
|
和國 加依 |
-59.6 |
19.1 |
68.6 |
-51.3 |
-42.3 |
-53.7 |
4
|
里見 寧々 |
-149.9 |
-66.9 |
-20.3 |
-18.1 |
-15.4 |
-29.2 |
≪決勝観戦記≫
はじめまして。11期前期入会の麻生 ゆりです。
今回女流スプリントの観戦記を担当させていただきます。
初の観戦記なので、てんやわんやしながら書きましたが、ぜひ最後まで読んで頂けると嬉しいです。
まずは選手紹介から。
前期1位:可南
第11期前期入会の新人。柔らかな笑顔が印象的な彼女だが、対局が始まると表情は真剣そのもの。
一生懸命打っているのがひしひしと伝わってくる。
彼女は、この日のために神社を3か所まわって必勝祈願をしたという同じ店の先輩が応援に来ており、
休憩時間には謙虚にアドバイスをもらう姿も。
前期2位:和國 加依
第8期後期入会。打点力の高さには定評がある。
試合前の本人いわく、
「他の3人は門前祝儀の店で働いており、鳴きが苦手だと思うので自分は鳴きを利用していきたい」とのこと。
後期1位:里見 寧々
可南と同じく第11期前期入会の新人。おっとりとした性格で、ゆっくりマイペースな打牌が印象的。
雀風としては、手役よりも広さ重視。精神的にもろい部分もあるが、一度アガりだしたら止まらない。
後期2位:蒼樹 里沙
第8期後期入会。昨年に続き2年連続の決勝となる。
華やかな姿が印象的で、卓上で時折見せる笑顔が素敵な彼女。
彼女の持ち味は何と言っても押しの強さ。リーチや仕掛けに対してもなかなかオリずに立ち向かってゆく。
待ちの良さにはあまりこだわらず、愚形リーチも多用し他家に対応させる雀風。
★1回戦★(可南→里見→和國→蒼樹)
東1局、まずは可南が和國からクイタンのみの1500をアガっての静かなスタート。
印象的だったのが、東2局1本場、親の里見が1枚ツモって下の形。
ドラ
、、、など打牌候補がいろいろある中、里見は小考しを選択。
その後、蒼樹からを切ってリーチが入る。里見はそれをポンして打。
それが蒼樹の-待ちに刺さり、3900は4200の放銃。
打牌選択によってはが使えなくもなかっただけに少し勿体ない結果となった。
続いて、東4局親の蒼樹からリーチが入った。
ドラ
蒼樹らしい他家をオロし、あわよくばツモろうというリーチ。
狙い通り、他家はオリ気味に打っていたが、15巡目、可南の手が
ドラ
の形となり、リーチ後蒼樹の捨て牌にを見て、スジのを勝負。
結果、3900の放銃となったが、親リーにもきっちり回し打ちテンパイをする粘り強さを見せた。
続く1本場で蒼樹が1000は1100オールをツモる。
ドラがの2本場、里見が6巡目に何気なく切ったが蒼樹のチートイドラドラに刺さり9600は10200の放銃。
これで、蒼樹が一歩抜ける形となった。
南1局4本場、可南が親で魅せる。
ドラ
チートイツと二盃口をみてを切りそうな手牌だが、可南はソーズの下がよいと思ったのかここから打。
その後をツモり、リーチしてツモ。6000は6400オールとなり一気に蒼樹とのトップ争いに食い込んできた。
二人の戦いになるかと思ったが、和國が黙っているはずがなかった。
南2局、流局や親の連荘で7本場までいった積み棒を和國が1000・2000は1700・2700のアガりで回収。
南3局、親で和國はリーチツモ裏1の2000オールをアガり、
続く1本場、果敢にをポンし、マンズのホンイツへ。
その直後、トップ目の蒼樹からリーチが入る。和國はここぞとばかりにシャンテンから押しまくる。
結果、二人テンパイで流局。
3本場、またまた親の和國が6巡目にリーチ。リーチのみのカン待ちだが、里見から出て裏が1つ乗り、3900は4800のアガり。
いつまで続くのかと思った親番も、4本場に蒼樹が可南から5200は6400をアガりオーラスへ。
点数状況は以下の通り。
蒼樹 43500
和國 38600
可南 23300
里見▲5400
オーラス、真っ先にテンパイをしたのは和國。ドラ1のカン待ち。
役はなくリーチしてツモればトップだがリャンメンへの手変わりを見たのかダマ。
その後、メンホンチートイをテンパイした可南が里見から見逃し、ツモ切りリーチ。
それを受け、同巡に和國もツモ切りリーチ。結果二人テンパイで流局し、蒼樹、和國、可南、里見の順で終わった。
★2回戦★(里見→蒼樹→可南→和國)
起親は、先ほど他3人に押し切られてしまった里見。なんとかトップをとって先ほどのマイナスポイントを挽回したいところ。
しっかりと両面待ちでテンパイするも流局。
続く1本場、里見はポン、ポンと立て続けにしかける。
普段の麻雀では、あまり無理な仕掛けからはいることなく、手の入らない時はじっと我慢して耐えている場面をよく見るだけに里見の気合を感じた場面だった。
この2回戦は東1局こそテンパイ料のやりとりのみの静かな始まりだったが、その後は大きな点棒移動が続く。
東2局、和國がリーチ。
ドラ
これを可南からを打ち取り、さらに裏ドラで12000は13200の大きなアガり。
さらに、東3局も和國がアガりきる。
ドラ
ホンイツに向かい仕掛けていた蒼樹からを出アガり、6400。
これで和國がダントツに。下3人から誰が抜け出すのか。
南2局 可南の配牌が以下の通り。
ドラ
自風のダブトイツ。ドラのトイツ。
これを3巡目ポン、6巡目にポンとまたたくまに-テンパイ。
ドラのをツモり、手牌のと入れ替えた蒼樹が8000の放銃となる。
南3局は和國がダメ押しの2000・4000をツモってオーラス。
和國 49600
可南 24500
里見 19700
蒼樹 6200
可南が6巡目にをポンし、7巡目には下の形でテンパイ。
ポン
しかし、この-がなかなかこぼれないままに、13巡目。
和國がを暗カンして、リーチ。
暗カン
なんとツモり四暗刻!
さらに里見もドラのを暗カン。
そして4巡目に一向聴だった蒼樹もここでようやくテンパイ。
ここにをツモり、新ドラの単騎の七対子でリーチ。
しかし、このリーチ宣言牌が可南の2000にささり、可南が2着を守りきる結果となった。
★3回戦★(蒼樹→和國→里見→可南)
ここまで、蒼樹と和國がトップ1回ずつ。ここで蒼樹、和國がトップだと新人2人はつらい展開になってしまう。
東1局、里見がドラが対子の気合の入る配牌。
ドラ
その後ドラを暗刻にし、テンパイ。
ツモ ドラ
ここからをきってリーチするも、をしかけていた和國に放銃となる。
東2局は可南がダブリー。
ドラ
そして即ツモ!2000・4000。
東3局は和國が序盤からポン、ポン、ポンと積極的にしかける。
和國の手牌
ポン ポン ポン ドラ
ドラがなのもあって、他家もまっすぐはいきづらい。
しかし、ドラのは可南の手の中に。
ドラ
-の満貫ダマテン。
これを蒼樹からうちとり、8000の収入。
東4局、親の可南が先制リーチ。
ドラ
を蒼樹から打ち取り12000。3局連続可南のアガりとなる。
しかし、ここから蒼樹が連続してアガり、追い上げる。
東4局1本場、2600は2900の出アガり。
南1局 2000出アガり。
南1局1本場 2600は2700オール。
南1局2本場も蒼樹テンパイするも、里見の500・1000は700・1200ツモで親が流れてしまう。
その後は小場が続き、オーラスを迎えて次のような点棒状況。
可南 48100
里見 22900
蒼樹 18300
和國 10700
ここで和國がリーチ。
ドラ
高めのをツモつもれば2着。安めのでも裏が1つ乗れば3着という綺麗な456の三色。
しかし、ダブをポンしている蒼樹も一向聴から押し、結果蒼樹が1000・2000をツモり、見事2着に浮上した。
★4回戦★(里見→蒼樹→和國→可南)
東2局、ここでトップをとらないとあとがない里見にドラ暗刻の手がはいる。
ドラ
これをリーチしてツモり、2000・4000。
東3局は、蒼樹に綺麗な手が。
ドラ
イッツー もピンフもつきそうなホンイツ一向聴。
しかし、先制リーチは可南。
暗カン ドラ
このリーチ宣言牌のをポンしてしぶしぶテンパイをとる蒼樹。
しかし、2人ともアガれず流局。
南1局も蒼樹にホンイツの手がはいる。
の形で一向聴。
和國のリーチを受けるも、和國からをポンしテンパイ。そして高めのをうちとり、8000は8600。
南2局は配牌からドラ対子の可南がアガりきり、2000・4000。
暗カン ドラ
混戦のままオーラスをむかえる。
可南 31500
蒼樹 30100
里見 24600
和國 13800
里見は8000アガればトップ。
可南と蒼樹は可南の親かぶりでもノーテン罰符でも着順が入れ替わるという僅差。
最初の仕掛けは2巡目の蒼樹。特急券のをポン。その後チー。
里見も4巡目から、、ポンとたてつづけにしかけて下の形。
ポン ポン ポン
とりあえずの2600テンパイ。
しかしこのままでは2着の蒼樹から出ても逆転しない実質の一向聴。
その後、ツモの両面に受けた後、ツモで打点が一気に4倍に。
をきって単騎にうける。
それに対し、逃げ切りたい可南の手牌は
ドラ
となかなか苦しい形。
そんななかラス目の和國からリーチがはいる。
和國の満貫ツモで可南は2着、ハネ満ツモで3着となってしまう。
蒼樹もしかけていてテンパイをとってくるだろうから、テンパイはとらないとトップはない。
もうあとツモが数回しか残っていない状態になってもやっと一向聴。
ここで上家からでたをチーしてテンパイをとるもが和國のロン牌。2着で終了となる。
ここまで一度もラスをひいていない可南に2連勝されると、他は5回戦が厳しくなるところだったが、
可南が2着に終わったことで、優勝争いは接混戦となった。
4回戦までのトータルポイント
可南 +65.3
蒼樹 +59.3
和國 ▲5.9
里見 ▲120.7
★5回戦★(和國→蒼樹→可南→里見)
最終戦は蒼樹の300・500ツモから始まった。
続く東2局、親の蒼樹のリーチを受けた同巡に可南もテンパイし追っ掛けリーチ。
優勝争いをしている二人のいきなりのリーチ合戦を制したのは可南。
をツモ、裏ドラで満貫のアガり。蒼樹に親被りさせ、優勝に一歩近づく。
可南は、東3局親番で2000点をアガリ点棒を上乗せするが、
その後蒼樹が700・1300は1000・1600のツモ、和國から3900の出アガりをし、可南との差を縮めていく。
しかし、南3局、可南が親番で安いアガりや聴牌で6本場まで積み、じりじりと蒼樹との点差を広げる。
だが、そこで終わらないのが蒼樹。以下の形でリーチ。
ドラ
を一発でツモり2000・4000は2600・4600のアガリ。
長かった戦いもついにオーラス。
点棒状況は以下の通り。
和國 6300
蒼樹 40400
可南 40200
里見 13100
蒼樹と可南の差はわずか200点で、どちらもあがれば優勝。
蒼樹は6巡目に里見からをポンし、その後を切って以下の形でテンパイ。
ポン ドラ
可南は、メンゼンで手を進め以下の形となる。
ここからを切り、ダマ。が出るのを期待する。
しかし、数巡後、をツモり悔しそうにツモ切る可南。
二人がテンパイの中、親の里見が以下の形でリーチ。
これを受けて、可南は一発で無スジのを引くが、ツモ切る。
里見の一発のツモ牌は。可南の優勝となった。
優勝は私と同期の可南プロでした!おめでとうございます!
実は私も女流スプリントの予選に前期も後期も出場したのですが、結果はあっさり敗退でした…
それだけに同期が決勝に2人も残り、しかも片方は優勝までしてしまうとは嬉しいんだけど、うらやましいような悔しいような…
でも、こんなどきどきする決勝戦の一部始終を見ることができて、良い経験になりました。
ありがとうございました。
(文・麻生 ゆり)
→予選成績はコチラ
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