【ポイント成績】
順位 |
名前 |
TOTAL |
1日目 |
2日目 |
最終日 |
1 |
朝倉 ゆかり |
153.2 |
-22.0 |
131.0 |
44.2 |
2 |
眞崎 雪菜 |
95.4
|
-31.8
|
30.7
|
96.5 |
3 |
愛内 よしえ |
54.8
|
92.0
|
-84.0
|
46.8 |
4 |
夏川 七七 |
-304.4 |
-39.2 |
-77.7 |
-187.5 |
【2日目観戦記】
|1日目観戦記|3日目観戦記|
さて、1日目から2週間が経った決勝2日目。
始まるにあたり筆者が勝負のポイントになると考えていたのが、新鋭2名の緊張の度合いである。
そもそも初の大舞台となる1日目、両者が気負い無く麻雀を打てていたとは考えにくい。
この2日目は、前回よりある程度リラックスして対局に臨めると考えられる。
決勝まで残ってきた実力をどこまで発揮できるか、それが今日と明日、そして最終的な勝負の結果に影響を与えることは間違いないだろう。
6回戦(夏川→愛内→朝倉→眞崎)
東1局、この日も最初のアガリを決めたのは愛内だった。
ツモ ポン ドラ
朝倉のリーチを掻い潜っての300-500。いたって手なりでの無難な滑り出しとなる。
注目すべきが親番である夏川の12巡目の牌姿。
ツモ ドラ
かを切ればテンパイ。ただし朝倉のリーチが入っており、どちらも無筋である。
彼女の選択は切りのダマ。本人は知る由もないが、これにより朝倉への5200放銃を回避となっている。
形としては東1局でのいきなりの失点を防いだことになる。
だが一方で、ここで彼女がドラを勝負をしなかった事に、筆者は少々の不安を感じたのも事実である。
彼女はまだ緊張を払拭し切れていないのではないだろうか?
だって決して安全牌ではない。
打のリーチならば、両面で7700以上が確定。
これが彼女なりの勝負の仕方であればまた話は別だが、単純な弱気のチョイスだとしたら、肝心の勝負どころを見誤ってしまうだろう。
この懸念は、後の8回戦にて現実のものになる。
続く東2局、夏川が9巡目に積極的にリーチ。
ドラ
これに対して受け気味に打つ3者。そう簡単には前に出てこない。
迎えた13巡目、親番の愛内が以下の形となる。
ツモ ドラ
を切ればテンパイ。ただ役も無いカンチャンである。
は現物ではないが、ある程度のアガリ目を残すため長考の後に打とする。
するとこの愛内の動向を見た眞崎、直後に堂々のツモ切りリーチ。
つまり愛内のここまでのオリ気味の打ち方、そして先ほどの長考から手の内にあるもう一枚のを見越しての勝負である。
愛内のツモ次第では出ることもありえただろう。しかし彼女は手の中の現物を最優先で切っていき無事に放銃を回避する。
迎えた東3局、ここでの朝倉の配牌。
ドラ
とりあえず打。
そして次巡にはを重ね、ある程度の打点が見えてくる。
ツモ ドラ
打とした直後にをポン。まあほぼホンイツといった所だろう。
しかし、ここで朝倉の手からしばらく目を離して他家の後ろについていると、河に切られるドラの、そしてのトイツ。
ドラはとにかくのトイツ?あの形から?一体どんな手になった?
14巡目に朝倉がをポン。手牌を確認しに回ると、この格好。
ポン ポン ドラ
なんと安目字一色48000、高め大三元つき96000という予想を遥かに超えるテンパイ。見ているこちらも鳥肌が立ってきた。
高めのは既に一枚ずつ持たれているが、安目のは両方とも山である。
そして最後のを掴んだのは愛内。
ツモ チー ドラ
形式テンパイだったがノータイムでをトイツ落とし。慎重にオリる。
結果は朝倉の一人テンパイ、開かれた形を見て、全員が驚愕すると同時に胸を撫で下ろした。
この後に場をリードしていったのは愛内、かわし手やテンパイ料で加点を続け、南2局の自身の親番をトップ目で迎える。
それにしてもこの6回戦の彼女の出来は非常に良い。
初日終了時に筆者の中には、「愛内が2日目に追いつかれたら、巻き返す可能性は低いかもしれない」という予想があった。
理由は初日の彼女のいくつかの攻撃手順であり、それらが彼女がブレの大きい打ち手であるいう事を示していると感じたのだ。
朝倉と眞崎、この強豪2人のどちらか一方のみが相手ならば逃げ切れる可能性もあるが、2人同時となると不安があったのである。
しかしこの6回戦における堅実な受け、ソツのない手順の攻撃を見て、この評価は完全に上書きされる事となった。
ここでトップを取れば逃げ切りも本当にありえるのではないか?
と考えていたのだが、ここから残り2局で愛内を襲ったのはなんとも不幸な展開。
まず南2局、夏川が仕掛けて9巡目テンパイ。
ポン ポン ドラ
配牌ドラ2だった愛内、13巡目で以下の形となる。
ドラ
形的に少々厳しいが、現在2着の朝倉とまだ5000点弱の差、もう少々加点したい所。
朝倉が強い牌を切っており、テンパイもありえるが、とりあえずは一番警戒すべき夏川の現物を切り、前に出る。
すると朝倉の手牌が倒された。
ロン ドラ
一通、ドラ1で5200の放銃。これにより2着に転落。
そして最大の不運がオーラス。
4巡目に切った何気ないが、アガリトップの朝倉にストライク。
ロン ポン ドラ
朝倉は特に打点は必要ないがたまたまのドラ2。そしてこの3900放銃により愛内は2着から4着に急転直下となった。
この半荘の彼女の内容が本当に良かっただけに、この結末は不運としか言いようが無い。
朝倉+56.0 夏川+2.1 眞崎▲18.7 愛内▲39.4
6回戦終了時トータル
愛内+52.6
朝倉+34.0
夏川▲37.1
眞崎▲50.5
供託1.0
7回戦(朝倉→愛内→夏川→眞崎)
先ほどの不運なラスにもめげずに懸命に攻める愛内。
東1局起家にて2400。1本場には以下のアガリ。
ツモ チー ポン ドラ
2600は2700オールで一歩抜け出す。
迎えた2本場、初日も苦しかったが本日も未だに手が入っていない眞崎、9巡目先制テンパイ。しかも大物手。
ドラ
これに対して朝倉が10巡目にリーチ。
ドラ
もはやオリるという選択肢はありえない眞崎、次巡に引いたを暗カンした後におっかけ。
暗カン ドラ
これに対して夏川も突っかかる。
ドラ
愛内が堅実に一発消しをした直後、本来眞崎が掴むはずだったを朝倉がツモ。
ツモ ドラ 裏
1000-2000は1200-2200。得点的には裏が欲しかったが、この競り勝ちは大きい。
さらに朝倉はこの後も順調に加点していく。
東2局では終盤14巡目のピンフドラ1テンパイ。
ドラ
ピンズの高さと巡目から慎重にダマ。
これがうまい具合に三色にシフトし、流局直前に眞崎から8000。
ロン ドラ
さらに迎えた東3局親番。
ロン ドラ
最初は単騎で12000テンパイだったのを、アガり易さからに切り替え。これが愛内からのデバサイとなる。
まさに朝倉の独壇場になりつつあったこの半荘、更なる圧巻は南3局の朝倉の親番だった。
9巡目に夏川がリーチ。
ドラ
宣言牌はであり、いわゆるモロヒ。
は山に3枚生きており、アガれる可能性は十分だった。
それに対して愛内、慎重に対応して14巡目に以下のテンパイ。
ところが次に愛内が掴んだのは。が夏川の現物のため、小考後にツモ切り。
その瞬間だった。
朝倉「ロン」
ロン ドラ
本日2度目の役満テンパイ、安目の24000である。
「まさかここまでとは・・・・」
もともと朝倉はリーチに対して押してはいた。しかしこの手は全員の想像外にも程がある。
これにより朝倉の2連勝がほぼ確定。
オーラス突入時の点棒状況は以下の通り。
夏川22600
愛内400
眞崎3300
朝倉72400
連勝どころかあんな手を決められては、他3人の心が折れてしまわないだろうか。
そんな考えの筆者に対して、眞崎が見せたのがこのリーチ、そしてツモアガリだった。
ツモ ドラ 裏
リーチ・ピンフ・ツモ・裏1の1300-2600である。
一見平凡な手だが、これには眞崎の強い意志が込められている。
点棒的に彼女は2着すらもう厳しい。ならば上述の手、ダマテンできっちり3着キープと考える人間もいるだろう。
しかしここでリーチと言ったとして、放銃しても順位が変わる可能性が低い夏川と朝倉、 そして前に出るしかない愛内、誰かがオリる可能性は低いのである。
それならばと素点狙いの勝負、そして1300-2600という十分な結果を得ている。
「最終的に勝つために、できる事はすべてやる」
そんな眞崎の声が聞こえるようだった。
朝倉+92.4 夏川+0.0 眞崎▲18.7 愛内▲60.9
7回戦終了時トータル
朝倉+126.4
愛内▲8.3
夏川▲37.1
眞崎▲82.0
供託1.0
8回戦(眞崎→愛内→朝倉→夏川)
流局2回によって訪れた、東2局2本場。
眞崎が9巡目にテンパイ。
ドラ
リーチに行くかと思ったが、供託の2000を考慮してダマテンを選択。
これに対して朝倉・愛内は仕掛けて手を進めていく。
そして13巡目の夏川。
ドラ
この形から朝倉が切った八をチー。
チー ドラ
ドラの切りでテンパイ、彼女もまた供託を拾いに行く。
さすがにテンパイ確定に見えるこの仕掛けを見た眞崎、カン待ちのまま押さえつけのツモ切りリーチ。
河にはがあり、筋で釣れる可能性もある。
これにテンパイとなった朝倉が放銃。
ロン ドラ 裏
裏1で8000は8600の供託2000付き。しかもトータルトップからの直撃、これは大きい。
先ほどのオーラスに見せた優勝に向けた強い意志、それがようやく彼女にチャンスを引き寄せたか、と感じた。
ここからは夏川・愛内の2人が速攻で積極的に場を回していく。
どちらも自分の手と場を考慮しての仕掛けであり、リズムもよい。
さて迎えた南3局、朝倉の親番。ここまでの点数は以下の通り。
朝倉14100
夏川30600
眞崎31300
愛内24000
ここで点棒を稼げないと朝倉のラスは濃厚。
無論他家は速攻での親流しを意識する場面である。
そういえば似たような状況が初日の5回戦であった。 あの時は暫定トップ目だった愛内の親があっさりと流れたが、今回は如何に?
0本場は2人テンパイで流局、朝倉がなんとか親番を維持する。
1本場。眞崎の配牌。
なんとダブリーチャンスである。
ドラ
ダブリーは成らなかったが、3巡目にカンチャンの方を引き入れて磐石のリーチ。
ドラ
一方、この時点での朝倉の手。
ドラ
さすがに終わった。この半荘の朝倉はここまでだろう。
彼女自身も諦めたのか、この半荘での失点を最小限にする事を第一として、のトイツやを落として行く。
ところがほとんど危険牌を押す必要もなく進めた結果、9巡目にこの形。
ツモ ドラ
既にラスを甘受していたはずが、オリていた間のツモが神がかり。
点棒の少ないため、こうなるともはや攻めるのみ。現物のではなく無筋のを切って全ツ宣言である。
即座に夏川より出たをポンしてさらにを勝負してテンパイ。
ポン ドラ
眞崎がリーチした時点では想像すらできなかったこのテンパイ、完全な形勢逆転。
そして5巡後に朝倉がをツモ。大きな大きな2000は2100オールとなった。
さてこれにより一気にトップまで見えてきた朝倉。
次局2本場は1500は2100を夏川よりアガリ、ついには2着目となる。
そして次局がこの半荘、いやこの日最大のターニングポイントとなった。
ここで改めて点棒状況を確認したい。
朝倉25000
夏川24900
眞崎26700
愛内23400
もはや4人が横一線の大混戦である。
まず最初にテンパイしたのは夏川。7巡目に以下の牌姿。
ツモ ドラ
これを打のダマとする。
一方の朝倉、配牌はイマイチだったものの好ツモにより、8巡目に以下の形でリーチ。
ドラ
そしてこれを受けた夏川が以下の形。
ツモ ドラ
さて、どうするか。切り?切り?
彼女の結論はここで現物の切りのダマ。役無し両面でのテンパイ維持である。
しかし、次巡朝倉がをツモ切り。リーチをしていれば捕らえていた夏川、このチャンスを取り逃す。
そして次に引いた無筋ので、夏川は筋のを切って撤退。
ドラ
こうなると本来はアガリ番だったはずの夏川が、放銃候補の筆頭になる。
しかも数巡後に朝倉がをツモ切り、は完全に処刑台にあがる。
しばらく現物で耐えたものの、13巡目に遂にジ・エンド。
ロン ドラ 裏
捲られた裏ドラ表示牌のが夏川を地獄のさらに底へと突き落とす。非情の18900。
さて、本日の6回戦東1局を見て筆者が夏川に感じた不安が、まさにこの「勝負どころでのアガリ逃し」である。
この局最大の問題は、を打ったことでは無い。
そのを切り出す状況を作り出してしまったでのアガリ逃し、そしてその原因となる「弱気」なのである。
そもそもこの切迫した点棒状況において、先行両面のテンパイを1000点でアガってもアドバンテージとは言い難い。
ここはリーチによる加点、さらにツモや裏ドラを狙って積極的にトップを取りに行く姿勢を持つべきであった。
確かに6回戦東1局で、夏川は5200の失点を回避した。
しかしあの状況でドラを勝負できないということは、今後多くの局面で似たような日和りをしてしまう危険性がある。
麻雀というゲームはリターンを得るためにはある程度のリスクを負わなければならない。
この点を、ここまでの彼女は緊張のためか実践できていない印象がある。
無論このアガリによりショックを受けたのは愛内と眞崎も同じである。
せっかくラスのままでの封殺が目前だった朝倉が怒涛の連荘、そして遂にはトップほぼ確定のアガリ。
こうなったらもう眞崎は2着のキープ、愛内は3着キープを本線にあわよくばの2着を狙いに行くこととなる。
そしてオーラス1本場に愛内がツモアガり。
ツモ ドラ 裏
リーチ、ツモ、ドラ1
も1つおまけにハイテイがついて2100-4100。そして眞崎と愛内の差は10300点差。
・・・・・なんと愛内、1本場とハイテイツモの力で眞崎を100点まくり2着浮上となった。
愛内にとっては僥倖、眞崎にとってはもはや溜息しか出ない展開で8回戦終了。
この半荘終った後に眞崎が不貞腐れ気味に呟いた。
「今日も私ツイてないですかね?」
筆者もノータイムで返答。
「全くツイてません!」
しかしこの展開の悪さも、女王に課せられた試練であろう。
一方で朝倉は3連勝。このままだと2日目にしての決着までありえる。
朝倉+61.6 愛内+8.1 眞崎▲12.0 夏川▲57.7
8回戦終了時トータル
朝倉+188.0
愛内▲0.2
眞崎▲94.0
夏川▲94.8
供託1.0
9回戦(眞崎→夏川→愛内→朝倉)
まず抜け出したのは夏川。
東2局の親番にて、ようやくストレートに先手・高得点の形をもらい。11巡目にツモ。
ツモ ポン ドラ
4000オールにより、前局3900をアガった愛内をまくってのトップ目となる。
これで彼女も多少気負いを無くしただろうか?
しかし東4局1本場、彼女に困難が襲い掛かった。
11巡目に、朝倉と眞崎が同時にリーチ。
元々、夏川自身の手もそこそこの形であり目一杯に構えていたため共通の安牌はほぼ皆無。
13巡目、トータルトップかつ親番である朝倉への放銃を避けて打ったが眞崎への放銃となる。
は朝倉の現物、眞崎は朝倉の現張りで同巡果敢に追っ掛けたのであった。
眞崎
ロン ドラ 裏。
高めの8000は8300、トップの座を眞崎に明け渡す。
一方の眞崎、今まで手が入らない局面をよく耐えてきていた。
筆者を含めたギャラリーの多くは「眞崎がこのまま終わるはずはない」という期待と予感を持っていた。
そして自力で持ってきたこの南1局の親番で、ついに彼女が爆発する。
まず0本場はいたって自然な進行で愛内から1500のアガリ。
ロン ポン ドラ
1本場は3人テンパイでの流局。
そして2本場に5巡目リーチの7巡目ツモ。
ツモ ドラ 裏
トップ目から更に他家を突き放す大きな4200オール。
今まで自然な先手テンパイを組めること自体が少なかった彼女、徐々に風は吹き始めていた。
そして迎えた5本場、4巡目にて以下の形。
ドラ
四暗刻のイーシャンテン。ついにここで炸裂するのか?
6巡目に引いてきたをノータイムで暗カン、直後に持ってきたドラのを手にとどめて10巡目に以下の形。
ツモ 暗カン ドラ
役満には届かないもののリーチをすればロンで12000、ツモれば6000オール以上となる手、無論を切ってリーチとする。
暗カン ドラ
これに対して次々巡、安牌に窮した愛内が筋ので放銃。
ロン 暗カン ドラ 裏
ダントツからまた更に突き抜ける18000は19500。そしてこれにより愛内は一気に箱下へ。
次局の夏川のアガリにより、ようやく眞崎の親番は終了。
ロン チー
ドラ
チーを入れたのは6巡目。一見もったいないようにも見える。
しかしこのは場に見えた3枚目であり、これを逃せばまた眞崎の連荘を許すことになりかねない。
この判断は慎重かつ的確と言えるだろう。
8回戦はなんとも苦い結果になった彼女だが、この9回戦は軽快な仕掛けにより場を回し、点棒を守ってきている。
これが本来の彼女のフォームだとしたら、あの放銃でむしろ開き直れたという所だろうか。
しかしこの時点で積み上げられた眞崎の点棒は既に74700。
オーラスに親番の朝倉が速攻の12000にて一矢を報いるものの、完全な独り舞台であった。
トータルラス目にトップを取ってもらうことは、朝倉にとっては喜ばしい出来事と言えなくもないが、
その相手が第4期より女流最強として協会に君臨している眞崎雪菜となれば、決して楽観視はできないだろう。
ひたひたと背後から忍び寄る足音に、朝倉が感じているプレッシャーは計り知れない。
眞崎+84.2 夏川+9.7 朝倉▲23.1 愛内▲70.8
9回戦終了時トータル
朝倉+164.9
眞崎▲9.8
愛内▲71.0
夏川▲85.1
供託1.0
10回戦(夏川→愛内→朝倉→眞崎)
3日目に現実的な逆転条件を残すためにも、この半荘での朝倉のトップはなんとしても避けたい。 できればラスを押しつけたい他3人。
これに対して大仕事をやってのけたのはやはり眞崎だった。
各人のアガリによりフラットな点棒状況で迎えた南1局。
ロン ドラ 裏
朝倉からの7700直撃。これで念願の朝倉ラスが現実的になってくる。
さて無論まだ朝倉のラスが確定というわけではないが、できれば自身をトップで終わらせたいと考える3人。
南2局、愛内の親番。0本場と1本場を1500でアガリ迎えた2本場。
まずは夏川が7巡目リーチ。
ドラ
カンチャン役ありだが、トップを狙っての積極的なリーチ。
対する愛内の手が9巡目に以下の形となる。
ツモ ドラ
ここはをカンして真っ向勝負を宣言。リンシャンをツモ切りしてリーチに出る。
暗カン ドラ
待ち枚数は夏川が残り3枚、愛内はたったの1枚。
枚数では夏川がかなり有利な勝負だった。しかしここで神の悪戯か、夏川が直後に掴んだのはなんと最後の。
ロン 暗カン ドラ 裏
12000は12600。愛内としてはとてつもなく大きな競り勝ち、そして加点である。
さらに3本場。今度は愛内、5巡目にテンパイ。
ドラ
このダマテンに9巡目、を引き入れて磐石の3面待ちとしてリーチ。
ドラ
これに対して朝倉が突っ張り、ソーズのホンイツをテンパイ。
ポン チー ポン ドラ
しかし愛内が6巡後に安めのをツモ。前回は分が悪い方の待ちに軍配があがったが、この局は確率通りの結末。
そしてとりあえず裏が1枚のれば上等、かと思いきや裏ドラ表示牌はなんと。
ツモ ドラ 裏
4000は4300オール。これにより本日最終戦のトップを決めた。
思えば初日を一人浮きのリードをもって迎えた愛内。
本日は朝倉への親倍、眞崎への親跳と、とにかく強烈な放銃により大きくポイントを減らす事となった。
しかしここでのトップ、そして朝倉のラスによって、一矢を報いる事ができた。
最終日を十分な目を残して迎えられることに、本人も多少気持ちが楽になったのではないだろうか。
愛内+79.0 眞崎+8.7 夏川▲31.8 朝倉▲55.9
10回戦終了時トータル
朝倉+109.0
愛内+8.0
眞崎▲1.1
夏川▲116.9
供託1.0
朝倉が抜けた状態の暫定トップ、一方で夏川が少々遅れを取った形となった。
まだ全員にチャンスは残っているという点では初日と同じ、だが少々異なる事情が2つ存在している。
まず1つ、残りの半荘数がもうあと5回という点。
そしてもう1つ、現状のトップ目が現女王の朝倉という点だ。
彼女を残りの回数で捲り返す。この事の困難さを、他3人は今日までの戦いで、肌で感じていることだろう。
朝倉が3者の追撃をどうかわすのか。背中をとらえるとしたら、誰なのか。
明日、いよいよ第8期女流雀王が決定する。
(文:竹中 慎)
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