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≪大会レポート≫

総勢100人参加となった女流雀王シリーズ、決勝に進んだ4人は、
藤森ナオ(+294.1)
本宮春樹(+241.5)
瀬本裕志さん(+221.1)
山下陽介さん(+185.8)
カッコ内はここまでのポイント。

圧倒的有利なのは藤森で、2着や3着、あるいは山下さんトップならばラスになっても優勝の可能性があります。
本宮はトップを取って藤森を3着以下に。藤森2着の場合は素点で12700点以上差をつけなければなりません。
瀬本さんは藤森と77.0ポイント差なのでトップラスならOK。藤森3着ならば17100点差が必要。
山下さんは苦しい。108.3ポイント差なので、藤森とトップラスにした上で28400点差が必要。かつ、本宮2着の場合はこことも15800差が必要。

ただし、ここに書いたのは本日の優勝条件。
チャンピオンロード今期最後の大会とあって、もうひとつ、グランドチャンピオン大会(以下GC)進出のためのGCポイント獲得という課題がありました。
他の参加者がすでに打ち終えているので、GC進出ボーダーが20ポイントで確定しています。
山下さん、本宮は十分なポイントを持っていてGC進出はすでに決定。
藤森はこの日優勝した場合のみ20ポイントに到達。2着以下ではダメ。
瀬本さんは3着以上ならば20ポイント以上に。4着の場合のみ届かずとなります。
どのみち優勝しかない藤森とGCポイントを気にする必要のない山下さん、本宮は優勝狙いでしょうが、瀬本さんは「優勝したいが、最悪4位にはなりたくない」というバランスで戦うことになります。

起家から山下―本宮―藤森―瀬本の座順で始まった決勝戦。
好調の藤森がここでもアガリ続けます。
東1局
をアンカンしてカンリーチと行った瀬本さんを、次の手で追っ掛けた藤森、
ドラ 裏ドラ
瀬本さんがを掴み5200放銃。瀬本さん、優勝よりもラス抜けに重点を置く戦いになるか?

東2局
藤森が赤1枚のペンリーチ。ツモッて1000・2000。

東3局 藤森の親番
ドラ1枚のこの手から、2枚目のをポン。
ポン ドラ
を鳴いて役は付いたがリャンシャンテンのまま。しかし、鳴いたあとのツモがよく、と引いて、
ポン ドラ
すぐに瀬本さんからが出て5800。
1本場もポン、123三色で2900+300。持ち点4万点を超えてノリノリですね。

トップにならなくても優勝の可能性がある藤森。だからといって、相手の出方を見ておとなしくする必要はない。
後々着順操作をする必要に迫られたとしても、点棒はいっぱい持っていたほうがやりやすい。
なにより、藤森が点棒を持つと他3者がやりづらくなる。アガリ続けるこの姿勢こそ最高の戦略。

同2本場、ついに藤森以外が初ホーラ。山下さん満貫ツモ。
リーチツモ ドラ 裏ドラ

逸機があったのが本宮。1巡目から自風を鳴いて8巡目にテンパイ。
ポン ドラ
次巡赤を引くと手の中のと入れ替え-のまま。ドラ打ちでが盲点になりながらも赤2ドラ1で満貫という手。
しかし-は山下さんに厚く持たれていた。もしも本宮が「もう1枚ドラ引いたらハネ満だ!」と欲張ってのマチにしていると、山下さんのリーチ打牌を捕まえていた。

東4局はまたも山下さん。
ドラ
このテンパイが9巡目、もちろんダマテン。これに藤森が放銃してしまう。
この一撃でトップは入れ替わる。山下さんから見ればデバサイですが、藤森からしたらどうでしょう?
山下さんのトップは他2人がトップになるよりも条件が楽。しかもまだ3万点以上持った2着目なのであわてる必要はありません。
しかし、ここから恐れていたことが……本宮の猛攻が始まります。

南1局は本宮がリーチ。
ドラ
リーチ打牌は。親番の山下さん37400、藤森32000、本宮自身は20800という点棒状況で、ダブを狙ってシャンポンに受けましたが、1人テンパイで流局。

南2局1本場、親の本宮が3巡目にリーチ。
ドラ
ドラのを一発でツモッて4000オール。一気にトップに立ちます。
2本場は瀬本さんが七対子をドラマチでリーチ。
本宮は親番とはいえ、すでに藤森相手にトップ3着という優勝条件を満たしているので無理しません。
瀬本さんと、終盤粘ってテンパイを入れた藤森の2人テンパイで流局。

南3局、3本場で流れてきた藤森の親番、なんとかテンパイで連荘するも、同4本場で山下さんのハネ満が炸裂。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
藤森痛恨の親被り……か?
いえ、山下さんが本宮をまくってトップになったために、優勝条件が再び藤森に転がり込んだ。
逆に苦しくなったのが本宮。山下さんとは13800差。残り1局では満直、ハネツモが必要。

オーラス、ハコ割れの瀬本さんが7巡目に打牌を横に。
ドラ
この親リーチには誰も立ち向かう理由がないので、全員無抵抗でオリ。特に、藤森とのトップラス条件必須の山下さんは「親満2回くらいツモッて藤森さんをまくってくれないかな」と応援する立場。
瀬本さんをツモって決勝初アガリ、4000オール。
ツモ ドラ 裏ドラ
これで4者の持ち点は、
山下42000、本宮28200、藤森19000、瀬本10800

瀬本さんはまだアガリ続けなければなりませんが、いったん3着に浮上すると、優勝よりもGC進出を優先させるかも。
本宮の条件は変わらず。そして藤森は、1本場なので満貫打つとラスに落ちます。
そして10巡目、山下さんからリーチ!
同巡、藤森にもテンパイが入る。
ツモ ドラ
ちなみに山下さんの捨て牌は、

(リーチ)
見事に現物1個もナシ。
だからといってテンパイを取るために打ち出さなければいけないのは、無スジ、ド真ん中、ドラそば、しかも赤いという四重苦。
卓上最凶の危険牌!
なんでこんな牌が残っていたのかと言われても、ペンが不安かつドラ引きを考慮していたからなのでしかたない。
問題は相手リーチ一発目のこのタイミングでのテンパイ。もしも山下さんが裏ドラ期待の手ならば、「赤が一発で出るなら無条件」となるかもしれない。
沈黙の時が流れる。1分以上はあった。藤森は自分の心臓がバクバクする音が聞こえただろう。
最後まで残って観戦していた人たちも微動だにしない。藤森の苦悩が手に取るようにわかるから。対局者たちも藤森が下す決断をじっと待っている。
筆者はメモを取りながら、「現物はないけれど、を怖がるなら、はじっこで高目になりにくいのトイツ落としかな」と思って見ていた。
藤森は決断した。エマージェンシーランプと同じ色の牌をそっと置いた。山下さんから声はなかった。
最大の難関をクリアすれば、あとは藤森のもの。瀬本さんはまだアガリ続けるしかない。本宮も山下さんがリーチしてノーガードになったいま、直撃チャンスで前に出てくる。
3巡後、瀬本さんがをツモ切った……。


「もしかすると、切り考えた?」という質問に、藤森は「ちょっと考えた」そうです。
「回れるとして雀頭のくらいですが、現物ではなかったですし、オリきれないと判断しました。また、テンパイがバレても-マチはアガれると判断しました。初の決勝で後悔しない打牌選択をしました」
正直、藤森のキャリアでよく勝負できたと思う。
なお、山下さんのリーチは、
ドラ
「藤森さんからの出アガリのみ。ツモってもツモ切る」
と仰っていましたが、安目のでも一発ならアガって裏ドラに賭けるでしょう。そうすると、裏ドラはで1枚あり、藤森はすべてを失うことになっていました。
初決勝で、この戦い方は立派。グランドチャンピオン大会でもひと波乱起こすかもしれません。

                                                                          (五十嵐 毅・文)

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