

≪大会レポート≫
麻雀愛好家の皆様、あけましておめでとうございます。
チャンピオンロード女流雀王シリーズの大会レポートを書かせて頂くことになりましたふゆつみ千明と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
2014年度、第13期女流雀王決定戦は豊後 葵、悲願の初優勝で幕を閉じた。
そして新年一発目のチャンピオンロード女流雀王シリーズ。
ゲストの歴代女流雀王には新女流雀王の豊後 葵、第11期女流雀王の冨本 智美、そして第7・8期女流雀王の朝倉 ゆかりの3名を迎えての開催となり、
豪華な顔触れに大きな拍手が沸き起こった。
別会場の八丁堀店では、水崎 ともみ・上野 あいみ・ふゆつみ 千明・有沢 奈央の4名のゲスト女流プロに加え、
日本プロ麻雀協会代表の五十嵐 毅が参加者の皆様を迎えうつことに。
しかし、赤有りルールの対局に長けたベテランも多いこの大会。一筋縄ではいかない。猛者たちに敗れ、次々と敗退していくプロたち。
2つの会場それぞれで白熱した戦いが繰り広げられ、見事決勝卓に残ったのは以下の4名だ。
小林 康人さん(+290.9)
90ポイント超えを含む4回のトップで決勝に進出。
チャンピオンロードは3度目の参戦。
住谷 輝行さん(+275.3)
唯一の八丁堀店からの決勝進出者。
4連勝スタートで一度もマイナスせず安定した成績で決勝へ。
丸江 茂さん(+233.1)
第4回フェニックスオープンに続いて、チャンピオンロード新人王シリーズでも優勝。
女流雀王シリーズも制することができるか。
大森 康弘さん(+211.0)
最高位戦日本プロ麻雀協会所属でチャンピオンロードでは毎回安定した成績を残しており、決勝経験も豊富。
初優勝なるか。
(カッコ内は6回戦終了時のトータルポイント)
決勝となる7回戦目、座順は大森→住谷→小林→丸江(以下、敬称略とさせて頂きます)
東1局、丸江の一人テンパイからのスタート。
続く東2局1本場では、早い段階で丸江に大物手が入る。
            ドラ
ひとまず - のノベタン形でダマテンに取り、静かにアガりを狙う。
その後、よりアガりやすそうな牌に変えるも、なかなかアガりに結びつかず巡目は進むばかり。
そんな中、終盤でドラの を引いた丸江。ピンフの - に受け変える。
この深い巡目ではドラ筋の - は出アガりがほとんど期待できない。
打点は高くなったがあまり好ましくない待ちになってしまったなと考えていたのではないだろうか。
すぐに大森からのリーチが入り、それならばと丸江も追っかけリーチに踏み切る。
結果は二人テンパイでの流局。
東3局2本場、なんと3巡目に親の小林に七対子ドラドラ赤のテンパイが入る。
1枚切れ絶好の 待ちでリーチ。これを掴んでしまったのは住谷。
18000は18600点の放銃となった。
            ロン ドラ 裏ドラ
一人大きく抜け出した小林。これだけでは終わらない。
続く東3局3本場。
ポン、 ポン、 大ミンカンと攻める住谷からまたもや小林がタンヤオドラ1をアガる。
2900は3800。
そして4本場は、ペン をチーして一通の1500は2700。
遅いと踏んだ手は鳴いてスピードアップ、確実にアガりをものにしている。
東3局5本場
大森がリーチ宣言牌の で小林に放銃。七対子のみ、2400は3900。
            
この手牌に を引いての放銃だった。
我慢が続き、やっとリーチと思った矢先の放銃。厳しい。
ついに6本場、なんとか小林の親を落とそうと住谷が動く。
ホンイツか?トイトイか?なかなかの打点を予感させる ポン、 ポン。
しかしその直後、無情にも親の小林からリーチが入る。
諦めない住谷は引いてきた を加カン!しかしリンシャン牌には小林のアガり牌の が眠っていた。
追い討ちをかけるかのように、新ドラが となり、裏ドラも に…。
18000は19800点の痛すぎる放銃となってしまった。
            ロン ドラ 裏ドラ 
この時点で小林の持ち点は7万点越え。
打ち切りの時間制限もある中、なんとか小林の親を落とし、自分自身も早く親で連荘しなければ小林をかわすのは難しい。
東3局7本場、ここで再び丸江にチャンス手が入る。
            ドラ
西家の大森はクイタンで軽いアガりを目指す。カン からのチーだ。
と 、そしてドラの を引き入れた丸江にも待望のテンパイが入る。倍満確定、一手変わり四暗刻だ!
            ドラ
しかしこの - は、クイタン仕掛けの大森の手に5枚も使われており、この時点でかなり薄い。
その後、 をツモ切った丸江が、大森に1000は3100の放銃となった。
         チー  ロン ドラ
やっと小林の親を落とすことが出来た三者。
点差は大きく開いたものの、まだまだ追いつける。残された親番での大連荘を狙う。
東4局、先攻リーチをかけたのは南家の大森。ドラは無いが待ちが良くアガりの期待できる - 。
次巡追いついた親の丸江もリーチ。こちらはドラのペン と待ちは良くないが、789三色の親リーだ。
ここは大森が をツモって1300-2600。
南1局、親の大森がまたしてもリーチ。そして丸江も負けじと追いかける!
この勝負は、力強く をツモった大森の6000オール!ぐっとトップ目の小林に近付いた。
            ツモ ドラ 裏ドラ
この局小林は余裕のトップ目なのだが、役牌を仕掛けて積極的に攻める姿勢を見せていた。
最後まで手は緩めない。優勝は自分で掴み取るんだ!という強い気持ちが伝わってくるようだった。
南1局1本場連荘中の大森、早々と切られた役牌の は鳴かずにスルー。
ここは鳴いて早いアガりを目指すよりも、リーチをかけて少しでも高くアガりたいところだろう。
だが大森の手は思ったよりも進行が遅く、終盤になってもイーシャンテンのまま進まず。
この親番をノーテンで終えるわけにはいかないのだが、仕掛けられる牌もなかなか出ない。
ここは隙アリとばかりに仕掛けてきたのはトップ目の小林。終盤でいきなりの2フーロ。
引け!と祈る大森。しかし、テンパイすることができず、小林の1人テンパイで流局となった。
三者は小林との点差を縮めるどころか、一人テンパイで点差を広げられてしまった。
残りは3局だ。
南2局2本場、東場での放銃の後に全く手が入らなくなってしまった住谷、ここでやっと一つアガリをものにする。
      ポン  ポン  ロン ドラ
親の5800は6400。
南2局3本場、さあ、ここでアガリを重ねたい住谷。配牌は悪くないものの、なかなか手が進まない。
そうこうしているうちに、大森が の仕掛けに出る。
捨て牌はソーズのホンイツも匂わせる河だが、ドラの を使った手も十分考えられる。
また、大森にはもう親番が残されていない。現状トータルポイントは2位なので、このまま準優勝を目指して打ってくることも十分考えられる。
となると、単純に早いアガリの可能性が高いか。
しかし誰よりも手が早かったのはトップ目の小林。
3巡目七対子イーシャンテン、4巡目にはさくっとテンパイ。1枚切れの 待ちにとる。
そして終盤、 を仕掛けていた大森の手。
         ポン  ドラ
ここにドラの を持ってくる。シャンポン受けにも取ることは出来るが、ここは2位狙い。
アガりやすさを優先してツモ切りを選択。しかしその には小林のロンの声が…。
            ロン ドラ
同じ巡目に を引いてきた小林が、七対子の待ちを へ受け変えたところだったのだ。
8000は8900の放銃。
南3局、親の小林が6巡目に堂々とリーチ。
これに大森が一発で を放銃。12000。
南3局1本場、住谷が見事な純チャンを作り上げリーチをかける。
            ドラ
しかし、またしても小林に放銃となってしまう。2900は3200。
2本場は、ドラの を小林が仕掛け、ハイテイで ツモの4000は4200オール!
         ポン  ツモ ドラ
小林の持ち点はついに10万点を突破した。
南3局3本場、残り時間は2分。恐らくこれが最終局だ。
大森はアガればトータル2位。
住谷は1300・2600ツモor8000点をアガればトータル3位浮上、
丸江は大森からハネ満直撃or倍満ツモでトータル2位に浮上する。
程なくして、タンヤオで仕掛けた大森が、小林から1000は1900をアガり大森がトータル2位を確保した。
そして、皆の拍手に包まれ、小林の優勝が決まった。
長い戦いが終わり、安堵の表情を浮かべる小林さんに一言コメントを頂いた。
小林「チャンピオンロード自体はまだ3度目の参戦。実は1度目は100人中100位で…。
2度目もマイナス30くらいのスコアで終わってしまって、全く良いところが無かったんです。
だから、今日はスコアがプラスになったらいいなと思って打っていたので、
まさか決勝卓に残れるとは思いませんでした。
とにかくずっと緊張していましたが、こんな良い結果になってとても嬉しいです。
自分で自分にびっくりしています。ありがとうございました」
チャンピオンロード3度目の参戦で初優勝。
最後まで勢いのある麻雀で他者を寄せ付けず、見事な完封勝利だった。
お疲れ様でした。Congratulations!
(文/イラスト・ふゆつみ千明)
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