≪大会レポート≫
去る11月24日、第5回チャンピオンロード〜オータムCCシリーズ〜が開催された。
100名を超える参加者に、歴代シリーズでも最多のオータム覇者7名が立ち塞がる。
…かと思いきや、私を含めた5名は早々に敗退。
残る選手達の戦いを指を咥えて見守る羽目になった。
ひとまず終戦後の腹ごしらえを終え、ため息と共に会場へ戻ってきた頃には準決勝の最中。
見れば、それぞれの卓に協会員が散っている。
トータルトップでホクホク顔の代表はさておき、残るオータム覇者のうちひとり、吉田 基成が紅一点の竹居 みつきと戦っていた。
竹居はAリーガー・矢島 亨の主催する研究会にも積極的に顔を出す勉強熱心な女流選手だ。
この準決勝でも技ありの七対子を決めるなど研究の成果を見せた竹居だったが、大トップ条件にはやや届かず。
終始苦しい展開が続いた吉田と共に残念ながらここで敗退となった。
別卓で戦っていたもう一人のオータム覇者・菊地 俊介も、
13期後期入会の新人、江崎 文郎に渾身の6000オールを引かれここでお役御免。
結局、自作自演する気まんまんの覇者たちは敢え無く全滅。
協会員からは準決勝を2着でまとめた五十嵐、そして先程紹介した江崎が決勝へ残った。
対するは本日5回戦中4トップと勢いに乗る森さん、島方さん。
主催の大会ではイマイチ勝ち切れない協会員とその代表、ここはプロの意地を見せたい。
ここまでのトータル、そして決勝の座順は起家から下記の通り。
東家・五十嵐(272.3)
南家・森さん(270.8)
西家・島方さん(246.7)
北家・江崎(300.6)
五十嵐、森さん、江崎はトップを取れば優勝。
島方さんのみ、自身がトップでも江崎を2着に残すと若干の素点が必要となる。
東1局、まずは西家の島方さんが7巡目に先制リーチ。
そこに江崎はこの形。
東1局 江崎(北家) 7巡目
ツモ ドラ
は生牌、は1枚切れだが特に関係ない。
島方さんは6巡目に、そしてを連続手出ししてのリーチ。
一発裏ドラに赤まであるチャンピオンロードで、この切り出しにシャンポン形はほとんどない。
あるなら連続で有効牌を引いたか、テンパイ即待ち変えの七対子といったところ。
いずれにせよ、好形のリーチに比べれば可能性は低い。
ここはノータイムでを切ってほしいところだったが、江崎は長考の末切り。
入会1年足らずで初の決勝戦、さすがに緊張を拭い切れないか。
そんな江崎を尻目に島方さんが悠々ツモアガリ。
東1局 島方さん(西家) 9巡目
ツモ ドラ 裏ドラ
裏こそ乗らないが1300・2600と幸先のいいアガリとなった。
島方さんは次局も7巡目リーチ、これに五十嵐が飛び込み5200。早くも大きなリードを得る。
だが、このルールではまだまだ安心できる点差ではない。
東3局は五十嵐が高目ハネツモのリーチを打つも全員に対応され流局し、続く東4局。
親の江崎にとっては正念場だったが、河に現れた3枚目の牌が無情にも横に曲がる。
東4局 森さん(西家) 2巡目
ロン ドラ 裏ドラ
ここまで息を潜めていた、森さんのダブリー。
しかも字牌待ちとなれば流石に回避する術もなく、島方さんが捕まってしまう。
痛恨の満貫、これでトップ目が入れ替わった―――
と思う間もなく、南1局はまたも島方さんの5巡目リーチ。
南1局 島方さん(西家) 5巡目
ドラ
がやや使いづらくなっているのを見るや迷いなく踏み込んできた。
後のない五十嵐が上手くかわしてテンパイを入れるも、結果は島方さんのツモアガリで2000・4000。
1局ごとにトップの入れ替わる激しい攻防となったが、これで勝負あり。
最後も自分でアガリを決めて、終わってみれば僅か8局、1時間足らずの幕引きとなった。
4位は当協会代表・五十嵐 毅。
決勝までは絶好調で「今日は俺を中心に地球が回ってるんじゃないか」なんて言うほどだったが、
終わってみれば4位とある意味「らしい」結果となった。
だが、対局後すぐに私が話しかけても嫌な顔ひとつせず検討を始める姿は、
是非協会の若手にも見習って欲しいところだ。
3位は森 秀人さん。
決勝は中々前に出る機会を得られず、決定打になってもおかしくないダブリーも島方さんの力強さの前に屈する結果となった。
しかし、苦しい時に耐え忍ぶからこそあのダブリーでトップ目に立てるのであって、
途中で顔を上げていれば、例え一瞬でも浮上の目はなかっただろう。
麻雀において、ともすれば最も重要なことを教えていただいたように思う。
2位は江崎 文郎。
正直言って私が一番に応援していた選手だったが、やはり初決勝ということでプレッシャーに負けてしまった部分もあった。
やりようによっては十分優勝を狙える位置だっただけに、悔しさも大きいだろう。
だが、それも先人たちの通ってきた道。
この気持ちを忘れずに歩んだ先で、きっと大きな何かを得ることが出来るはずだ。
そして、優勝は島方 武司さん。
決勝は8局中アガリが7局、うち4局が島方さんと圧倒的な展開だった。
押すべきを押し、引くべきを引く。
例えば南1局の七対子、ダマテンに構えてしまう人もいるのではないだろうか。
しかし、臆することなくあくまで勝ちを主眼に捉えた結果がこの優勝だと私は感じた。
勝つために必要な事を、改めて勉強させられる決勝戦だったと思う。
島方さん、優勝おめでとうございます!
(文・綱川 隆晃)
|