≪大会レポート≫
残暑厳しい8月25日、残暑に負けないほどの熱い戦いが銀座では繰り広げられていた____
『第3回チャンピオンロード〜新人王シリーズ〜』
今回は新人王シリーズということで、歴代の新人王3名が参加してくれたが、
他にも当協会の代表である五十嵐毅プロや現女流雀王の大崎初音プロも参戦し、
より豪華な顔ぶれが揃った大会となった。
実際の対局の方はというと、協会プロは12名参加した訳だが、
準決勝まで駒を進めたのは僅かに2名と、殆どのプロが一般の方々の前に屈する展開となっていた。
そんな中、準決勝開始時点では暫定7位だった岩村プロが、
独走状態だった一般の外山さんと準決勝で大きなトップラスを決めプロの意地を見せつけた。
そんな激戦を勝ち抜き決勝戦に残ったのは以下の4名。(以下、敬称略)
暫定1位(232.1P)
岩村 政則(日本プロ麻雀協会の運営とかする人)
予選の1回戦目で箱ラスになるも、暫定首位での決勝へ。
チャンピオンロード史上初の2回目の優勝なるか!?
暫定2位(231.3P)
芦田 哲也(一般)
この日、一度も連を外すことなく決勝へ。
その安定した麻雀で決勝の舞台も制するか!?
暫定3位(211.3P)
大森 康弘(最高位戦日本プロ麻雀協会所属)
他団体の若手プロで、筆者も彼がプロになった直後に何度か麻雀を拝見する機会があったのだが、目を見張るものがあった。
優勝候補筆頭と言っても過言ではない!?
暫定4位(199.6P)
外山 淳一郎(一般)
予選1回戦からいきなりの4連勝と波に乗り出すと止まらない。
先日行われた「第2回フェニックスオープン」決勝の雪辱を果たせるか!?
決勝戦は今までのポイントを持ち越して行うが、ご覧の通り上から下までが40ポイント以内にひしめく大混戦。
トップと2着で40ポイント差がつくこのルール。要するにこの半荘トップを獲った者が優勝となる!
稀に見る接戦を制し、優勝の栄冠を手にするのは一体・・・
【決勝戦】
並びは起親から外山→岩村→芦田→大森の順。
早速、起親の外山の配牌にが対子で赤ドラが2枚の勝負手が入る。
3巡目に岩村が切ったをポンした時点では三向聴だったが、ここから2巡で両面搭子を2つ埋め、
更には孤立しているにをくっつけるという最高の自摸が重なり、あっさりと6巡目にしてこの聴牌。
東1局 ドラ
ポン ドラ
ここからとのスライド、自摸切りを挟み、芦田からあっさりとが零れてしまう。
芦田としては不運としか言い様のない12000の放銃となってしまった。
ポン ロン ドラ
そしてここから、外山劇場の幕が上がるのだ!
東1局1本場 ドラ
東家 外山手牌
ツモ ドラ
5巡目でこの聴牌。
こっそりとを河に置き次巡、場に1枚枯れの絶好のを引き、打。
更に次巡、生牌の。少考の末に外山は迷いを振り払うべくツモ切りリーチを敢行。
これに、を対子で抱えていた岩村が痛恨の一発放銃!
リーチ一発ロン ドラ
東1局にして18300を失ってしまった岩村の夢は儚く散っていくのであった…。
サヨナラ岩村。
そして、まだ終わらぬ外山劇場!
東1局2本場 ドラ
チー ポン ツモ ドラ
4000は4200オール。
“さすがにもう優勝は外山で決まりだろう”と、誰もが思わざるを得ない豪腕ぶりを見せつける。
続く3本場でやっと外山の親が落ちる。
芦田が軽快に1000・2000は1300・2300を和了。
やっと親が回ってきた岩村だが、ここまで静観してきた大森からの3巡目リーチを受け、あっと言う間に1300・2600をツモられてしまう。
準決勝で見せ場を作った岩村だったが、やはりここまでのようだ。
ちなみに、東3局は岩村の1人ノーテンである。
そして東3局1本場、大森が魅せる。
4巡目で下記の一向聴。
ドラ
ここから、打。
ツモ→打。
ツモ→打リーチ
そしてなんと、一発目のツモが!
リーチ一発ツモ ドラ
目論見通りの3000・6000!
やはり、外山の独走を止められるのは大森が最有力か!?
だがしかし!!
今日の外山はこれしきでは止まらないのだ!
東4局で大森が9巡目にドラ3枚使いのリーチをかける。
そして次巡、突如、岩村が追い掛けリーチを放つ。
しかし、アガったのは外山。
岩村から外山へ1000点の移動。
長かった東場がやっと終わった。
優勝の行方は外山と大森に絞られたと言って良いだろう。
この時点での持ち点は、外山65200点、大森38000点。
そして迎えた南1局、またしても大森が魅せる。
13巡目に親の外山に下記のダマ聴牌が入る。
ツモ ドラ
この直後の大森の手牌が、これ。
ツモ ドラ
タイムリーに和了牌を掴まされるも、打。外山ツモ切りの後、大森に入る。
とにかく加点をしたい大森の気持ちからすると、親の河にそこまで強烈な情報も出ているわけでもないからさすがに止まらないか?
と思って観ていると、少考の末に大森が選んだのは、打。
対局後、「あの時の-は嫌な感じがしたんですよね」と語ってくれたように、
大森は常に冷静な判断と磨ぎ澄まれた感覚を持ち合わせていたように思う。
ここでもう一度言おう…。
だがしかし!!
こんなことでは外山は止まらないのだ!
大森にギリギリのところで止められた-だが、ツモれれば何の問題も無いのだ!!
ツモ ドラ
大森の大ファインプレーも水泡に帰す大き過ぎる4000オール。
尚、外山は続く1本場にも4000は4100オールをツモあがり、遂に90000点に到達し完全に勝負ありとなった。
『第3回チャンピオンロード〜新人王シリーズ〜』は、剛毅果断な麻雀を見せてくれた外山が制して幕を閉じた―――――
表彰式後の勝利者コメントで外山は、こんなコメントを残してくれた。
「こんなに良いことが経験できるなんて、麻雀を続けていて本当に良かったです」
外山さんの麻雀に対する愛情と喜びが凄く伝わり、胸が熱くなりました。
外山さん、本当におめでとうございました!
(文・藤井 真人)
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