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【大会レポート】


“新人王”
いずれの競技・スポーツにおいても共通して存在するタイトルである。
新人王と聞けば当然同期の中では出世頭、仮にそれほど活躍しなくても
「元・新人王」の肩書きがあればそれなりに注目される存在となる……

 

さて今回のチャンピオンロードは、ピチピチの現新人王から
フレッシュさの欠片も無い9年前の新人王まで揃っての『新人王シリーズ』となりました。
まずは現(第10期)新人王の逢川 恵夢から一言。

逢川 「麻雀打つときは真剣になっちゃうので、大阪人なのに面白いこと言えなくてすみません」

続いて第8期新人王の濱 博彰。

濱 「2年前に新人王獲ってから麻雀の成績はさっぱりです(笑)。なので今日は少しでもまともな成績を取りたいです」

 

 

実はこの人も新人王だった。第3期新人王の渡辺 順洋。

渡辺 「普段は運営ばっかりでなかなか皆様と麻雀打つ機会が無いので、今日はかなりプレミア級の大会になりますよ♪」

 

そして当時(9年前)ですらも新人の初々しさが微塵も無かった第2期新人王の阿賀 寿直。

阿賀 「今日はゲストとして恥ずかしくない成績を残すつもりです」

 

 

う〜ん、他のチャンピオンロードと比べるといまいち頼りないゲストプロたちですが(笑)
まあ逆に言うと一般参加者にとってはチャンスかもしれません。

さらにゲストではないプロ協会員の参加者も上位を狙っていきます。
チャンピオンロードで優勝もしくは決勝卓に進めば、グランドチャンピオン大会への進出も狙えますから、
タイトルの無い協会員にとっては大きなステップアップな大会でもあるのです。
 
もっとも、ドサクサにまぎれてこんなロートルも参加していますが…。

五十嵐 「なんだよ!俺が出ちゃいけないのかよ、ウヒッ!」

…まあ、エントリー費さえ払っていただければどなたでも参加できますから(笑)

 

さて、参加人数は66名。まずは半荘4回戦行い上位28名が次の5回戦に進出できます。

ここで渡辺・濱の2人は惨敗。
濱にいたっては笑顔で卓掃を行っています。

濱 「敗者は率先して仕事をしないといけないですから!」


新人王を獲ってもこの謙虚さが大事なんですね…
いつか実ればいいですが。

一方、逢川・阿賀の2人は共に最終戦で大トップ!
さすがここぞというときの集中力は違います。

さて、招かれざる客の五十嵐代表は…

五十嵐 「通過したよ…27位で」

さすが、ボーダーラインを見切っての打ち回し。
これがベテランの貫禄というものなのでしょうか。


4回戦までは比較的、和気あいあいとした雰囲気でしたが、5回戦以降はガチンコの真剣勝負感に満ち溢れています。
麻雀打ちは負けず嫌いが多く、「勝ちたい」よりも「負けたくない」という意識が働くため、自然に息詰まる雰囲気になっていくのでしょう。

さてこの5回戦の結果は…

逢川 「あ〜負けたぁ。めっちゃ悔しぃ。キィーー」

と悔しさと怒りをバネに逢川が得意(?)の「光速牌掃」を見せてくれます。

阿賀 「2着じゃダメなんだよな、2着じゃ」

とこちらは半ば放心状態の阿賀。

両人とも対局後の自己反省モードに入っていました。う〜ん、絡みづらっ!

五十嵐 「俺の6000オールの牌が王牌に3枚もいたよ、チクショウ!」

と王牌に八つ当たりをする五十嵐代表もその愚痴を言うということは結果は当然…。

 

さて、いよいよ準決勝。
ゲストプロは全滅しましたが、協会員は3名残っております。

まず目に付いたのが3年目のフレッシュな水城 恵利。

4回戦・5回戦と連続トップで弾みをつけたいところでしたが…結果は3着で決勝進出ならず。

水城 「♪〜♪〜♪」

悔いが残らなかったのか鼻歌混じりでの牌掃。
美人は何やっても絵になりますな〜。


続いて大窪 貴大。
5回戦が終わって5位。
あと1順位で決勝に届く位置だったのですが…。

大窪 「あ〜もう、ダメっ! ○■が★△で☆◎だから…」

と、こちらは対照的に後悔の念しかないのか10ダースほどの愚痴を並べております。

最後にフレッシュかつ爽やかさがウリの2年目・浅井 堂岐。

5回戦のラスが響いて、トータル最下位で準決勝を迎える羽目になってしまいました。
目標を7万点に設定して、オーラスで爆連荘。
52000点まで稼いで最後の1局を迎えますが…

 リーチロン ドラ
なんと2着からハネ満直撃され、さらにトップまで入れ替わってしまいました。

 

お気づきかもしれませんが、実は4回戦から決勝進出までベスト3は不動の順位でした。
しかも木原 孝文さん、松崎 真也さんはチャンピオンロードは今回初参加!山中 直人さんも前回の雀竜位シリーズから参戦という、
チャンピンロードにとっては文字通りの「新人」たちが揃って決勝の椅子を獲得したのです。

 

 

★決勝戦★(丸山→木原→山中→松崎)

 

そして残る決勝の椅子をゲットしたのが、
浅井からデバサイのハネ満をアガった丸山春彦さんです。
実は準決勝から五十嵐代表は、付きっきりで丸山さんを観戦していました。

なんと丸山さんは五十嵐代表と無二の親友だとか!?

丸山 「そんな恐れ多い。単なる家が近いだけで色々遊んでもらっているだけです」
飲み、麻雀だけでなく草野球チームでも一緒だという。
五十嵐 「丸ちゃんはチームのエースだから。明日も先発だし、何ていったって唯一ランニングホームランができる選手なんだから」
足が速いんですか?
五十嵐 「いや…俺たちだとセカンドで息切れするから…」

五十嵐代表の場合、走る以前にバットにボールを当てるのすら至難な気がしてなりませんが…。

 

さてその丸山さん、起家にとってもっとも嬉しい、開局わずか4巡目に先制リーチを打ちます。

ところがション牌のは抑えられ、南家・木原さんと2人テンパイでの流局となります。

 


続く同1本場、北家の松崎さんが確定満貫の先制リーチ。
そのリーチの直後に丸山さんもタンキという苦しい待ちですが5800のテンパイを入れます。

 

 

お互いアガリ牌も当たり牌も掴まないまま、終盤に木原さんが追いつきます。
のくっつきの形で、ソーズにくっついてしまったため、
松崎さんの満貫アガリとなっていましました。

 

 

東2局、前局満貫の放銃となってしまった木原さんが親番です。

実は木原さんは、最高戦日本プロ麻雀協会が主催するアマチュアのための
最高峰タイトル戦『アマ最高位決定戦』の前年の優勝者、つまり「アマ最高位」なのです。

最高位戦を制圧した木原さんが次に目をつけたのが当団体…つまりプロ協会。
言うなれば道場破りですね(笑)

その木原さん、満貫の放銃を取り返すべく親番にもかかわらず重く打ちます。
三元牌を簡単に切らず伸びないマンズ・ピンズを徐々に払ううちに
ハネ満クラスのホンイツが見えてきました。

しかしこの局も松崎さんが、山中さんから満貫(・赤・ドラ)のアガりとなります。


東3局は山中さんの親番です。

細い体躯に純粋な瞳…見た目は若そうな山中さんですが、実は本当に若くなんと18歳!
そんな少年ともいえる年齢の山中さんですが、前局満貫の失点を若いアガリで回復させていきます。

2局連続テンパイ連荘の後、2本場で2000オール(ホンイツ・ドラ)。

 

 

 

3本場でポンテン即ヅモの2000オール(ダブ・ドラ)。

 

 


このアガリで2連続満貫をアガった松崎さんをわずかながらですが追い抜きます。
そしてさらにリーチ・ツモで「1000オールの4本付け」と若さの連荘を見せる山中さん。

 

 

 

5本場も先制リーチ→流局となり、他3人の顔に安堵の顔が…けれどもそれも一瞬の事。
6本場ではなんと2巡目リーチ! そして軽々とツモって4000オール(リーチ・ツモ・ピンフ・ドラドラ)。

このアガりで一気に松崎さんを突き放します。7本場になって、
ようやく丸山さんと木原さんの2軒リーチ。木原さんがアガって長い長い東3局が終了します。

 

東4局、またしても山中さんに先制リーチが入ります。

親番の松崎さん、受けつつもを暗カンからの…。

なんとリンシャンツモアガリで3200オール。

 

今度は逆にトップ目の山中さんを親番の松崎さんが猛追する形です。

松崎さんもこの日初めてのチャンピオンロード参加です。
他の団体が主催するオールカマーの大会に参加する内に競技麻雀にのめり込み、
ついにプロ協会のチャンピオンロードにも目をつけたとのことです。
 

その松崎さん、1本場2本場と先制リーチをかけるものの1人テンパイで流局。
そして3本場、場が一気に沸騰します。

松崎さんがドラの切りで3メンチャンリーチ。

 

 


その宣言牌のを鳴いた丸山さんはタンキ待ちテンパイで押します。

 

 

さらに木原さんも、なんとホンイツ小三元、シャンポン待ちに替われば大三元テンパイ!

…が手替わった瞬間、松崎さんへの放銃となってしまいます。

 



そしてやはりアガリ牌の枚数の差で松崎さんが4000オールのツモアガリ(リーチ・ツモ・ピンフ・イーペーコー・ドラ)。
このアガリで再び山中さんを抜いてトップ目に立ちます。

再逆転した松崎さん。
このまま山中さんを引き離したいところですが、残念ながらこの後はアガり運に見放されてしまいます。

 


親番が落ちた後、南1局では山中さんに5200(・赤・ドラ)を放銃。
再び山中さんが6000点差でトップ目に立ちました。

 


 

そして南2局では親番・木原さんが意地の6000オール!!
(リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・イーペーコー・赤・ドラ)

 

 

 

このアガりで木原さんが28500に。
44200点の山中さんを追い上げる追い上げる体勢に入りました。

しかし同1本場、山中さんがピンフ・赤のダマテンをツモアガリ。
確実に木原さんの親番を蹴って一騎打ちに持ち込むという、これまでの若さ溢れる攻撃から一転して、堅実な局回しに徹してきます。

 

 

南3局、自力で親番を持ってきた山中さんはさらに加点を狙ってリーチ。
これに2着目の松崎さんが飛び込んでさらにリードを広げます。

 

 

 

南3局1本場…ですが、90分打ち切りの制約のため、この局が最終局になってしまいました。
51100点の山中さんを追う38400点の松崎さん。
逆転するにはハネ満ツモが必要ですが…10巡目にタンキのチートイツでリーチをかけました。

ツモって裏ドラ勝負ならよりも山に残っていそうなで…
たしかにこの時点では1枚山に眠っていました!
 

こうなると1牌1牌ツモる手に力が入る松崎さんに対し、
「ツモるな!」と念を送る山中さんのある意味精神力の勝負となります。

最後は麻雀らしい決着となりました。南家の松崎さんには本来海底牌が回ってきます。
しかし…18巡目に山中さんから「カン」の声が!
松崎さんの最後のチャンスを潰す暗カンとなりました

しかも山中さんが引いたリンシャン牌は松崎さんの当たり牌である…。
当然切ることなく、安全牌を切って流局。

 


18歳の山中さん…
新人王シリーズにとってもっともふさわしい人が優勝したと言えるのではないでしょうか。

(文・ケネス徳田)

 

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