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TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
佐井 孝太郎
60.5
11.0
8.0
7.4
-8.9
43.0
岸本 健秀
8.1
-3.2
24.4
35.3
-28.7
-19.7
吉田 光太
-23.0
21.7
-10.4
-30.9
27.5
-30.9
斉藤 勝久
-45.6
-29.5
-22.0
-11.8
10.1
7.6


10月13日、第二回オータムチャレンジカップの決勝戦が行われた。
この大会は一発裏ドラ無しルールを採用しており、通常の協会の公式戦より仕掛けや手役作りの巧拙が問われる
一層競技性を増した性質の対局となる。

会場の一番奥で、椅子に向かってストレッチをしている男がいる。
両手両足を淀みなく伸ばし、これから始まる決勝戦をベストなコンディションで迎えようとしていたのは、
決勝メンバーで唯一のAリーガー、「麻雀バカ一代」斉藤勝久であった。
かつては最高位戦日本プロ麻雀協会にも所属していた斉藤、
4人の中でも実力、経験共に1ランク上の文字通りAクラスの打ち手である。

新鋭岸本健秀の表情は固かった。
今年度後期のプロテストで合格を果たし、タイトル戦の決勝も無論初めてだという。
強豪達がマークをはずしている間に、するりと決勝の椅子に滑りこんだ。
いまだ現役の大学生でもあるという彼が、どこまで喰らいつけるのか。

対して、決勝前なのに穏やかな笑顔を覗かせていたのは、
関西在住の佐井孝太郎である。
それでも、物腰と表情の柔らかさの裏に、秘めた真剣な闘志も見え隠れするのは、関西人特有の気質なのだろうか。

エレベーターが開き、吉田光太が、現れた。涼やかな立ち居振る舞いの中にも、威風堂々としたものが感じられる。
第一回オータムチャレンジカップの覇者であり、その実力通り今回も順当な勝ち上がり。
先日念願の野口恭一郎賞も受賞し、自他共に認める協会の若きエースである。連覇にかける思いも、並々ならぬものがあるだろう。


[1回戦] 起親から 佐井 吉田 岸本 斉藤

東1局

開局早々起親の佐井に、一つも無駄ヅモがない。あまりにも早過ぎて佐井自身少し戸惑いを感じたのかもしれない。
少考して3巡目にこの立直。

三萬四萬五萬七萬九萬二筒二筒四筒五筒六筒六索七索八索 ドラ六索

固さを振り切るように岸本が押すものの、結局は佐井の2000オール。試合開始3分の、先制ゴール。


東3局1本場

斉藤の8巡目。

五筒六筒八筒三索三索四索四索五索五索六索八索九索九索九索 ドラ八筒

場況から索子の上は、悪くない。斉藤はここから、打六索。ドラと索子の上を消さない、バランスの取れた一打。

斉藤は、ドラの扱いが非常に丁寧だ。豪打と男気が持ち味とされる斉藤だが、実はこんな繊細なところにも強みがある。

この局は、佐井の500・1000ツモで流れる。


東4局

斉藤の親番配牌。

一萬四萬六萬八萬八萬一索四索六索六索九索南發發發 ドラ五筒

發が暗刻なだけに、他の搭子がついて来ないのがもどかしい。それでもこれをやはり慎重に門前で仕上げ、11巡目に立直。

六萬六萬八萬八萬二索三索四索五索六索七索發發發 ドラ五筒

しかし、ひっそりと岸本が、ドラを隠していた。

六萬七萬八萬二筒三筒四筒五筒五筒五筒七筒八筒四索五索 ドラ五筒

9巡目に、この一向聴。ここに斉藤の立直を受けた吉田から、現物の六筒がこぼれる。

「…チー」手牌から、2牌をつまむ岸本。

「あれは絶対五筒七筒でチーして打八筒でしたね。」対局後に、悔しそうに語ってくれた。

岸本は、初の大舞台にも関わらず、全体的に非常に丁寧に打っていた。

それでも若さが出てしまったのは、決勝という舞台では仕方のないことか。
八筒は、斉藤の立直にはわからないが、少なくとも佐井の仕掛けには現物であった。

七筒八筒でチーした岸本は、打二筒で佐井の1000点に捕まる。

七萬八萬九萬三筒四筒白白 ポン一筒横一筒一筒 ポン南南南横 ロン二筒 ドラ五筒

ところで今回の決勝は、佐井のこうしたチャンス手を潰すかわし手が、随所で際立った。
もともと仕掛けの早い佐井の持ち味が、展開にぴたりと嵌まるのだ。

初戦は結局、唯一放銃無しで落ち着いて局を見ていた吉田が、微差でトップをさらう。

1回戦終了時(5−15の順位点)
佐井 +11.0
吉田 +21.7
岸本 ▲3.2
斉藤 ▲29.5


[2回戦] 起親から 岸本 吉田 斉藤 佐井

東4局

ここまで、斉藤に手が入らない。
対照的に軽めの手が入るのが、岸本と佐井。この局も、斉藤の配牌は、まとまった形を成してくれない。

一萬四萬六萬八萬九萬八筒二索五索七索七索九索九索白 ドラ五萬

それでも丁寧に、対子手へと寄せていく斉藤。

吉田の索子仕掛けに索子をかぶせ、ツモり三暗刻に仕上げた岸本の12巡目が、横に曲がった。

五萬六萬七萬九萬九萬九萬四筒四筒五筒五筒九筒九筒九筒 ドラ五萬

仕掛けを入れていた吉田が迂回している間に、15巡目、終盤だが斉藤に七対子ドラ単騎の聴牌が入り、八筒を強打!

五萬八萬八萬三筒八筒二索二索七索七索九索九索北北 ツモ三筒 打八筒 ドラ五萬

しかしこの聴牌打牌の八筒が、雀頭探しの旅に出ていた佐井の4面子と出くわしてしまう。

五萬六萬七萬二筒三筒四筒八筒二索三索三索四索四索五索 ロン八筒 ドラ五萬

この日の斉藤は、こうした聴牌打牌、立直宣言牌での放銃が非常に多かった。
自身の状態の悪さを、斉藤自身も感じていたのだろう、何度もおしぼりを手に当てる。


南1局

岸本の技巧が光る4000オール。9巡目が、分岐点。

五萬六萬七萬二筒三筒四筒四筒七筒八筒七索八索九索九索 ツモ八筒 ドラ八萬

ここから、八筒をツモ切り。10巡目の六萬もツモ切って、11巡目に八萬を引き、打九索

私なら、この時点でメンピンドラの四萬七萬待ちになっている。

だがその後岸本は六索を引いて再度打九索六筒を引いて三色で聴牌。

六萬七萬八萬二筒三筒四筒四筒六筒七筒八筒六索七索八索 ドラ八萬

最後のツモで一筒を引き寄せ、この半荘の趨勢を決めた。

オーラスは、ここまでおとなしくしていた吉田が1000・2000をツモアガり、ラスを抜ける。
ドラ暗刻が結局最後まで聴牌すらせず、結果2ラスを突き付けられた斉藤は、どんな気持ちだっただろう。

2回戦結果
岸本 +24.4
吉田 ▲10.4
斉藤 ▲22.0
佐井 +8.0

2回戦終了時
岸本 +21.2
吉田 +11.3
斉藤 ▲51.5
佐井 +19.0


[3回戦] 起親から 佐井 吉田 斉藤 岸本

東1局

岸本、3巡目から白發を叩いてブラフ気味に仕掛ける。これで少なくとも、中を1枚掴んでいる佐井の足は止まった。

ところが岸本は、その後立て続けに中を引き、ブラフは小三元混一色の本手に化ける。

二索三索六索七索八索中中 ポン發發發横 ポン白白横白 ドラ九筒

ここに14巡目、仮聴が入った斉藤から一索がこぼれて、12000。
ここまで極力繊細に打ち回していながら、牌運に恵まれなかった斉藤。この一索も耐えねばならなかったのか。

東4局

ここまでポイントリーダーの岸本も、それを若さで片付けられるのは本意ではないだろう。
一打一打丁寧に選んできた岸本の打牌が、また実を結ぶ。9巡目に親番でこの聴牌。

五筒六筒七筒七筒八筒九筒九筒二索三索四索東東東 ドラ九筒

ここに、仕掛けを入れていた佐井が、一向聴から九筒で飛び込んでしまい、12000。

佐井の仕掛けはこの日のゲームを作ってきたものの、これは大きな放銃。
平素穏やかな佐井も、打った瞬間は驚愕の表情を見せた。

これで岸本の持ち点は50000点を越えた。


南2局

それにしても吉田の落ち着きは半端ではない。

しなやかな牌捌き。その背筋が伸びた独特の横向きの姿勢。いつもと変わらない模打と表情。
ビハインドは大きく負っているはずなのに。

チャンピオンの余裕なのか。しかし前回の覇者だからといって、人を上から見下ろすような性格でもない。
何故このような表情ができるのだろう。
そんなことを考えながら卓外から眺めていると、いつもと同じ速さで吉田の手元に七索が置かれ、静かに手が開かれた。

二萬三萬四萬六萬六萬六萬八筒八筒二索三索四索七索七索 ツモ七索 ドラ西

「…1000オール」

そう、これなのだ。吉田に焦りは、微塵も感じられない。
例え断トツが出来上がろうと、展開が自分に向いてなかろうと、全て吉田の計算の内なんじゃないか?と思わされる。
第1回オータムチャレンジカップ優勝者。その揺るがぬ平静さは、誰にも真似できそうにない。


南4局

東家・岸本51700点 南家・佐井28400点 北家・斉藤24000点 西家・吉田15900点の並び。

岸本が抜けた現在、他三者の着順勝負である。吉田だけはかなり厳しい位置にある。

しかし、それでも吉田の眼は諦めていない。

五萬三筒四筒六筒八筒三索四索四索七索八索南西中 ドラ三筒

タンピンの見えるこの配牌だが、2着まではハネツモ条件。
震えるほど正確な手順でペアを増やし、10巡目に配牌で1つだった対子は、ついに6つまで増えた。

三筒四筒四筒六筒八筒八筒三索三索四索四索七索中中 ツモ七索 打六筒 ドラ三筒

場況的に索子の上が丸生きで、2枚目の七索はまるで当たり前のように吉田の手に収まる。

「リーチ」凍てつくような声が会場に響く。

国士一向聴まできていた斉藤の背中に、火がついた。現物だが、ぶんと打牌を振り下ろす。

しかし、その氷刀と灯火を、一瞬にして打ち砕いたのは、佐井である。

三萬三萬三萬四萬五萬五萬六萬五筒六筒七筒發發發 ツモ四萬 ドラ三筒

この佐井のかわし手が、何度吉田と斉藤のチャンスを摘んできただろう。

強豪吉田と斉藤の二人を沈めて、折り返す後半戦。もちろんこのまま二人も、黙ってはいない。

3回戦結果

佐井 +7.4
吉田 ▲30.9
斉藤 ▲11.8
岸本 +35.3

3回戦終了時

佐井 +26.4
吉田 ▲19.6
斉藤 ▲63.3
岸本 +56.5


[4回戦] 起親から 斉藤 吉田 佐井 岸本

東3局

8巡目に、佐井の親立直。捨牌は、

中西二萬二筒七筒三索
二索八筒横

ドラは七索である。
ここに三萬を、すっと押す吉田。そして13巡目に牌を横にして、静かに牙を剥く。

四萬四萬六萬七萬八萬四筒五筒六筒三索四索五索五索六索 ドラ七索

吉田が一発目にドラ七索を引き寄せて、大きな満貫。
七索待ちだった佐井が、歯を食いしばって牌を流す。


南2局1本場

今大会のターニングポイントとも言うべき一局。

3巡目に早々に白を仕掛けていた岸本は、7巡目の九萬もチーしてこの聴牌。

二萬三萬四萬四萬五萬六筒六筒 チー九萬横七萬八萬 ポン白白白横 ドラ中

配牌には暗刻が無かった佐井が、次々牌を重ね11巡目に四暗刻を聴牌。

一萬一萬一萬八萬八萬八萬一筒一筒九筒九筒九筒九索九索 ドラ中

大きく息を吸い込み、「…立直」温和な佐井が、静かに吼えた。この半荘、佐井がやっと反撃の狼煙を上げる。
重い空気が辺りを包んだ。

一筒は、山にいない。九索は2枚とも、山で佐井の手が伸びるのを待っていた。

2巡後、牌の巡りは岸本に九索を掴ませる。
岸本は3回戦までのアドバンテージがあり、ドラも場に見えてないこの局面で、できれば押したくないところ。

一索南八索七萬四筒九萬
發南五索五索横

五索は対子落としである。だが、この捨て牌に安牌がない。

結局岸本に出来たことといえば、目をつぶって九索を放ることぐらいであった。

この半荘の三者の課題である、岸本のラス。それをこの1局が、決定付けた。

南3局

ここでトップが是非とも欲しい斉藤に、ついに本手が入る。

一筒二筒三筒五筒七筒七筒七筒八筒八筒九筒東北北 ドラ九筒

上手くいけばハネマンから倍マンまで見える手。9巡目に岸本から出た六筒もスルーし、バットを長く持って構える。
しかし無常にも11巡目、親の佐井から立直の声。

六筒チーで刻むべきだったか?そう考え終わらないうちに佐井の手元に五筒が置かれ、2000オールのアガリ。

二萬三萬三萬四萬四萬五萬六萬六萬六筒七筒六索六索六索 ツモ五筒 ドラ九筒

南3局1本場

珍しく斉藤が、焦りのせいか遠いところから仕掛けていった。

七萬二筒四筒六筒一索一索四索四索六索七索南南發 ドラ二索

西家である。ここから、一索をポン。

この一発裏無しのルールでは、通常よりもやや混一色が有利であろう。翻数が稼げ、周りに対応させることができる。
トータルトップの岸本がトータルラス斉藤の上家であったため、多少は甘い牌が岸本からこぼれてくるのを期待したかもしれない。
岸本にとっては、斉藤がトップの方がいいはずだ。

岸本が五索を下ろし、斉藤に字牌が寄った。

四索四索南南南發發 チー五索横六索七索 ポン一索一索一索横 ツモ四索 ドラ二索

1300・2600のアガリとなったが、トップの吉田にはまだ届かない。できれば發でアガリたかったところだろう。

オーラスは吉田が3900で逃げ切り、結局この半荘を制す。

4回戦結果

斉藤 +10.1
吉田 +27.5
佐井 ▲8.9
岸本 ▲28.7

4回戦終了時

斉藤 ▲53.2
吉田 +7.9
佐井 +17.5
岸本 +27.8

[最終戦] 起親から 佐井 岸本 吉田 斉藤

佐井、岸本、吉田の三人は、切迫している。一番欲しかったラス親を引けた斉藤も、爆発すればまだ目は期待できる。

東ラスまで、岸本の放銃が目立つ。前に出る吉田も、アガリに結びつかないまま叩かれた。
斉藤、佐井が点棒を積み上げる。

東4局2本場

最終戦に相応しい、本手同士のぶつかり合い。
気合いをこめた岸本の立直は、決して安くないことが表情と捨牌から伝わってきた。

四萬五萬六萬九萬九萬三索四索五索六索七索七索八索八索 ドラ九萬

この岸本の立直に対し、吉田は小三元混一色。

二索三索四索四索五索六索發發中中 ポン白白白横 ドラ九萬

いつもと変わらない落ち着いた様子で、静かに押す吉田。

斉藤と佐井が傍観する中、少し強めにアガリ牌を引き寄せたのは岸本であった。

四萬五萬六萬九萬九萬三索四索五索六索七索七索八索八索 ツモ九索 ドラ九萬

息を吹き返す岸本。逆に吉田は、少し厳しくなったか。


南2局

ここまでの点棒状況は、北家・佐井38500点 東家・岸本28000点 南家・吉田17600点 西家・斉藤35900点。

もう親番もなくリードしている佐井は、全局流すだけだ。この日佐井は、様々なかわし手を駆使してきた。
最後に3局だけ、あと3局だけかわせばよい。
もちろん岸本はこの親番が、最大の山場である。

その岸本の配牌。

二萬三萬四萬四萬五萬四筒五筒一索三索四索五索東南 ドラ白

悪くない。岸本もそう感じたはずである。

8巡目、南にポンの声を発したのは、局を進めたいはずの佐井。
しかしその捨牌は、ただのかわし手ではないことを明確に主張していた。

一索七萬五萬三萬六索發
一筒西

直後に、ドラの白を掴む岸本。

一萬二萬三萬四萬四萬五萬七萬四筒五筒三索四索四索五索 ツモ白 ドラ白

この白だけは、切ってはいけない。岸本に残された道は、白を使いきっての形式聴牌のはずであった。


しばらく頭を抱え悩む岸本。考えた末に叩き出した結論は、文字通りに叩き出すこと。

祈るようにして放たれた白は、ポン!の発声と共に佐井の対子に吸い込まれる。

二筒二筒五筒五筒五筒七筒九筒 ポン白白白横 ポン南南南横 ドラ白

直後に八筒を手元に手繰り当て、優勝の感触までもグッと引き寄せる佐井。思わず声が漏れる岸本。
局を潰すどころか、勝負を決定付けるほどの大きなアガリとなった。

南3局

親番のない岸本の優勝は難しい。今度こそ佐井は流すだけだ。1巡目からドラの九索を離す。

親の吉田vs佐井だ。

9巡で、だいぶ形はまとまった吉田。

八萬八萬八萬二筒二筒七筒二索三索四索四索五索六索八索 ドラ九索

1巡目に切ったドラが10巡目に、再び佐井の手元に来た。
佐井がそれを涼しい顔でツモ切った時、目線だけ動かして僅かだが吉田は佐井を見た。

そのドラに、意外なところから買い手がつく。岸本からの大きなポンの声。

佐井がトップなら、岸本は200点差につけた2着でないと優勝ができない。
22000点持ちの岸本は、50500点持ちトップの佐井を実質捲りにいかないといけないのだ。
つまり、このラス前でハネ直倍ツモくらいしないと厳しい。

五萬五萬九萬東東東南南中中 ポン九索横九索九索 ドラ九索

それでも岸本は、諦めていなかった。佐井からの直撃は無いにしても、仕上げれば倍ツモ。
眼鏡の奥に、炎が宿る。

しかし吉田のくっつき待ちも、岸本の対々も、佐井の捌きが待ってはくれなかった。

二萬三萬四萬五萬六萬七萬六筒八筒二索二索 ポン三筒三筒三筒横 ツモ七筒 ドラ九索

あれほど落ち着いた輝きを放つ吉田の眼が、ここにきてやっと、悲しく曇った。

南4局

圧倒的有利な佐井vs親の斉藤である。しかし斉藤の手は遅い。

あっという間に七対子を作り上げた佐井が、直後の岸本の五索を捕まえてゲームセット。

いつのまにか厳しい表情になっていた佐井が、最高の笑顔に変わった瞬間に、誰からともなく拍手が起こった。

3、4回戦終了までぴったりと2着につけ、最終戦でスッと前に出た。
佐井は関西勢の中でも評判が高く、その仕掛けの速さとゲーム回しの巧さに定評があった。
今それが、最高の形で結果を現した。

5回戦結果

佐井 +43.0
岸本 ▲19.7
吉田 ▲30.9
斉藤 +7.6

トータルポイント

佐井 +60.5
岸本 +8.1
吉田 ▲23.0
斉藤 ▲45.6

文:藤原 哲史


優勝者佐井のコメント

「応援してくださった皆さん、運営してくださった方々、今日はどうもありがとうございました。これからも謙虚な気持ちを忘れずに頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。」

 

 

 

 

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