プロアマ交流オープン戦である東北チャンピオンシップ。 今回は東北在住のプロ以外にも日本プロ麻雀協会代表の五十嵐毅・蔵美里の両名が参加いたしました!
≪大会レポート≫ 東北人は一般的に、人見知りで、自己主張をせず、穏やかな気質だと言う。 だが麻雀、特に大会においては、自己主張無しには勝ち抜けない。 一番強く勝ちを主張する者が、頂きに立つものだ。 生粋の東北人である私は、しかしこうも思う。 東北人は中々表には出さないが、その心の奥には熱いものを秘めているのだと。 朝、会場に着くと、すでに郷内が居た。前年度チャンピオンだ。 新聞を前に微動だにしない彼は、競馬の予想もプロ級だ。 最近、より勝つために馬語を勉強中だと言う。どこまでも勝利に貪欲な男だ。 幾多の名勝負を残してきた、この東北チャンピオンシップも今年で、数えるところ11回を迎えた。 今大会には、協会東北在住のプロ6名。 そして、ゲストプロとして五十嵐代表、蔵美里プロ、岩村政則プロ。 さらには、麻将連合の明村プロも参戦! 平成最後の大会だった前回は、郷内が優勝を達成したが、令和最初の今回は誰が優勝するのだろうか。 郷内は「連覇しちゃおっかな〜〜〜?(はなほじー)」とかうそぶいていたが、果たして・・・ 大会は予選4回戦+決勝1回戦で行われる。 4半荘はスプリントだ。五十嵐、岩村、明村と各ゲストプロが沈む中(酒の疲れか?) 全参加者中ただの一人、4連勝で爆走したのは、ゲストプロの最後の光、蔵プロ! 予選を通過したのはこの8人 蔵プロ 261.3 東海林プロ 183.9 大場さん 168.1 飯田さん 143.5 小舘さん 113.4 高島プロ 97.4 及川プロ 84.5 郷内プロ 81.1 ←しぶとい! こちらを順位順に、奇数をA卓、偶数をB卓に分けて同時にスタート。 2つの卓を合わせた中で、トータル1位が優勝となる うーーーーーん、厳しい!! ほぼ蔵プロとのトップラスが条件。現実的には、飯田さんまでがなんとか優勝を狙える位置か? 限りなく目無しに近い状態での戦いを、強いられる7人は、とてもしんどいだろうが、頑張ってほしい! (以下、敬称略) ★B卓 起家より、郷内→飯田→高島→東海林の周り 卓内トップの東海林は、A卓で蔵がラスを引くのを願いつつ、トップを狙うことになる。おそらく2着では厳しいだろう。 東1局 そう、東北にはこの男がいる。 郷内が11巡目に先制リーチ!即ツモりあげ4000オール(ヒヒーン!) 同1本場 またまた郷内、9巡目に先制リーチ! 最後方から一気か!!? しかし、子の高島が追っかけメンタンピンドラで8300の打ち上げ(ヒヒーン!?) 東2局 またしても郷内、13巡目にリーチ! しかし、これは流局で1人テンパイ。(ヒヒンッ!) 東3局 1本場 親の高島が、僅か5巡でチートイドラドラのテンパイ。 これに捕まったのが郷内、9900を献上。郷内はここで馬群に沈んだ。(ヒーン!) 高島の勢いは止まらない。次局6200オールをアガり一気に突き放す。 一度飯田に8000を放銃するも、次局すぐに8000を同じく飯田からアガリ返し南入。 南1局 ここまで音沙汰無し、卓内1位の東海林だが、ソウをカンしてリーチ。程無くツモで2000、4000の初アガリ。 トップまではまだまだ遠いがここから追い上げる事ができるか? 南2局 飯田は最後の親だが、テンパイをとる事ができず。 ここで高島と東海林の事実上の一騎打ちに。 南3局 取れる点棒はまだまだ取りたい親の高島が、6巡目に先制リーチ。 ここで突き放されたら堪らない東海林が、12巡目に意地の追っかけリーチ。 なんとか高島から4200をアガり、首の皮をつなぐ。 南4局 トップの欲しい東海林、高島との差は24000。親なのでハネマンでひとまくりだ。 一方のトップ目高島は、東海林までトータルでの素点がまだまだ足りない。 東海林が12巡目にをカンをすると、同巡テンパイの高島が裏ドラ期待でリーチ。 すぐにツモりあげる。期待の裏ドラは・・・乗らず!残念!2100、4100。 郷内 ▲56.0(25.1) 飯田 ▲29.9(113.6) 高島 +81.5(178.9) 東海林 +4.4(188.3) B卓からの優勝の目はほぼ無くなり、A卓の行方に注目が集まる。 ★A卓 起家より、大場→及川→小舘→蔵の周り 卓内1位の蔵と2位の大場の差は、93.2ポイント。トップラスならウマ分だけで80かわるので、十分射程内だ。 トップ3着でも素点次第では逆転も可能だが、やはりなんとかラスを押し付けたいところ。 蔵も、状況は当然理解しているので、山越しも十分あり得ると考えていることだろう。 さて東1局から東3局の1本場まで、流局が5回。遅いアガリが3回。 場を廻したくない3人と廻したいが手が入らない蔵の構図が続き、東4局を迎えた時点ですでに40分経過。 決勝は60分+一局なので、おそらく南場の1局か2局目で終わりだろう。 東4局の時点での点棒状況はこう。 大場 30,000 及川 32,600 小舘 17,000 蔵 20,400 有利な立場であるとはいえ、ここまでは苦しい蔵。 アガりを目指しはするものの、放銃も極力避けたくも有り、過度に無理はできない。 親番の蔵、7巡目にをポンして、攻守兼用ダブルバックの仕掛け ポン ここに大場がリーチをかぶせる。 ツモられれば親かぶりのある蔵、一発目に持ってきたのは無筋の。逡巡しつつもこれを切り飛ばす。戦う。 続く、、と切り飛ばすも、次ので撤退。この局は大場の一人テンパイで終わった。 アガリこそ無かったものの、放銃もせず、親かぶりもしなかったので、まずまずの結果と言えるかもしれない。 南1局 3本場 親番は大場、この親を流すことができれば、蔵の優勝がぐっと近づく。しかし、ここは大場ががんばる。 まずは小舘から1500は2400をアがる。蔵をラスに沈めるためには、本来ラス目の小舘からはアガりたくは無いのだが、自分が親番という事もあり、3着ラス差分の20000点は、ここで一気に稼いでしまおうと決めたのだと思う。 同4本場 蔵が仕掛ける。チー、チーと二つ鳴いてホンイツのテンパイ チー ドラ ノミの2000点ではあるが、ドラがなだけに迫力がある。 他家はおいそれと向かっては行けないだろう。 終盤の15巡目。大場が-の役無しテンパイをいれる。余った牌は、ドラの。行くか、行かずか? 大場はもしここで降りてしまうと、親番の無い状況で、23400点差をひっくり返さなければいけなくなる。 しかも時間的に、おそらく残りは2局。何のために前局ラス目からアガったのか?この親番に懸けるためだ。 後の話で大場は、このドラはほぼほぼ通ると思っていた。と話していたが、この局面は「通るか、通らないか?」の局面ではなく「通す」局面だろう。 大場がドラのを横に曲げて強烈に自己主張をした。「優勝するのは俺だ!」 その気合に押されたのかもしれない。安全牌に窮した蔵から、ロン牌がこぼれた。 2400は3600。打点は低いが、価値の高いアガり。ここは大場の気合勝ち。 南1局 5本場 丁度時間となり、この局を含めて残り2局となった。 先ほど嬉しいアガりを手にした大場だが、まだ繋がっただけだ。もうひとアガリする必要がある。 ここで、これまでまったく出る幕の無かった小舘が、ふいに及川から1000は2500の出アガり。 このアガり、見方によっては目無しの場違いなアガりに見えるかもしれないが、これは競技麻雀に精通した小舘による、絶妙な演出だ。 南2局 迎えた最終局。状況はこうだ。 大場 39,000 (59.0) トータルP(227.1) 及川 29,100 (9.1) (93.6) 小舘 16.100 (▲23.9) (89.5) 蔵 15.800 (▲44.2) (217.1) 大場は、蔵をラスのまま終わらせる事が条件。蔵は、小舘をまくり3着になる事が条件。 つまり先にアガった方が優勝。これは盛り上がる!ザッツ小舘プロデュース!! 果たして、この勝負を制したのは・・・ チー ツモ 優勝は大場哲! 過去に何度か決勝に残っているものの、常に煮え湯を飲まされてきただけに、大逆転による優勝は喜びもひとしおだろう。 元々強い打ち手と、周りからも評判の大場だが、長年彼を見てきた私は、大場の強さはその負けん気の強さにあると思っている。 終盤の気合のドラ切りリーチが正にそれで、見た目は素朴で大人しい雰囲気なのだが、その心は燃える鉄の様に熱いのだ。おめでとうございます! 最後に、私の高校の先輩でもある彼に一言もの申す「大場さん!手牌を縁にくっつけられると、牌姿が全っ然見えないっス!!」
(文・豊原 有太)
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