【担当記者:原田翔平】
2020年は日本中がコロナ禍で数々の麻雀大会が中止となっていく中、関西の協会女流プロが熱い戦いを繰り広げてくれた。 『関西女流スプリント』は今回で10回目を数え、近年では女流プロとして活躍していくに当たっての登竜門的な大会にもなってきている。 この関西女流スプリントは前期と後期の予選があり、どちらも二日間に渡り繰り広げられ各予選で勝ち上がった2名ずつが決勝に進出するシステム。 ■1回戦 東1局、戦いのゴングを鳴らしたのは楓愛のタンピン高め三色リーチ。 ドラ 楓愛は後期予選を1位で通過。 筆者とは以前の職場が同じで、私が良く知っているプロの1人。 出会ったころは右も左もタンヤオもわからない未熟な雀士だったが、対局前のインタビューを見ていると落ち着きや余裕があり、この決勝を通しても力を発揮できる麻雀プロになっていた。 関西女流スプリント決勝は2回目、前回の雪辱を願う。 鳥井 ゆうがソーズのホンイツ狙いからシフトチェンジし追いかけリーチを放つ。 ドラ 『まず最初のリーチはなんでも打ちます!今日の運試し!』 対局前のインタビューでこう宣言していた鳥井、なんでもどころか十分形のリーチ! 関西各地でゲストに行ったり大会では常に上位に食い込む女流Aリーガーだが、タイトルとはまだ無縁。初タイトルなるか? 決着は楓愛がをツモり1300/2600のアガリ。 東3局にいきなりの見せ場が! ドラ この配牌をもらったのは小松 慧。 小松は今回の決勝の中で一番のベテラン。 過去2回関西女流スプリントを優勝しており、この決勝の戦い方は知り尽くしている。 個人的にも小松とは昔同じ雀荘で働いていたり健康麻雀教室を一緒にしたりと関わりも深く、麻雀の成長も楽しみであった。 小松は2巡目でを重ね、三元牌が全て対子に。 あっという間に3副露し、高目大三元のテンパイ。いきなりざわつく配信画面の向こう側。 ポン ドラ 危険を感じた鳥井。 ドラ 跳満まで見えるこの手牌からをチーしてテンパイ取り。 すぐにで出アガり小松の大物手をかわす。 南2局1本場、ここまで見せ場が全くなかった音無 愛音。 普段健康麻雀教室や大阪子ども麻雀教室の講師をしたり、個人麻雀店に勤務する音無。 麻雀向上意欲がとても高く、勉強会の参加も積極的。 近頃は一北関西本部長からの特訓もあり、麻雀のバランスが良くなったという噂。 競技麻雀におけるホンイツの強さを学んだようで、ここまでの手組みにも多く組み込まれていた。 南家でポン、を引き入れこの形。
ツモ ポン ドラ を切ってホンイツに渡る。 上家からをチーして単騎とするとそのまま小松からアガり12000は12300。 これぞホンイツ特訓の成果! オーラス、親から順番に持ち点を確認。 楓愛24600 鳥井33000 小松6800 音無35600 配牌でイーシャンテンだった親の楓愛がもろた!と言わんばかりにリーチ! ドラ このリーチに追いついたのは小松。 高打点を目指した手組みで勝負手にしっかり仕上げリーチ! ドラ 楓愛からで出アガリ、12000の直撃でなんと3着に浮上。 少ないチャンスをきっちりものにした音無がトップを守り切った。 【1回戦スコア】 音無:+55.6 鳥井:+13.0 小松:△20.2 楓愛:△48.4
【2回戦スコア】※()内はトータルポイント 小松 :+75.0(+54.8) 鳥井 :+16.3(+29.3) 音無 :△33.9(+21.7) 楓愛 :△57.4(△105.8) ■3回戦 東3局 親の小松がポンポンでテンパイ ポン ドラ 楓愛が四暗刻単騎にもなるイーシャンテン ドラ 鳥井が ドラ のリーチ となり楓愛は四暗刻がテンパイすればもも放銃となり絶体絶命。 ドラのを掴んだ小松が鳥井のリーチに回り、楓愛のは放銃回避となるもテンパイせず、鳥井の1人テンパイで流局。 南1局 親の楓愛が先制テンパイのダマテン ドラ タンピンや一通の好形変化もあり点棒状況、ポイント状況的に大物手を決めたいので見逃しの選択をしても面白い。 しかし 結果は流局で後のない楓愛が親番を繋ぐ。 南1局1本場 鳥井、小松のダマテンが入っているところに楓愛が小松に飛び込む3900は4200。 連荘したい楓愛は無念の親落ち。 南2局 親の鳥井が丁寧に仕上げリーチ。ツモって裏ドラものせ4000オール。 南2局1本場 楓愛 ドラ ここから切りダマを選択。 19400持ちの三着目であり、打点も好形も狙える切りテンパイ外しもあったが狙い通りの引き入れリーチ! 親のイーシャンテンキープした鳥井を捉えて3900は4200のアガリ。 南3局 34200点持ちトップ目の鳥井が早々にとをポン。 気になるは手牌に1枚だったがすぐに重ねて大三元のイーシャンテンに。 ポン ドラ 楓愛 ドラ を切れば音無に-待ちのダブ南ドラドラのテンパイが入り、そしてをきればもちろん鳥井が大三元の-待ちテンパイとなる絶体絶命の手牌。 しかしここはを切って一旦迂回のファインプレイ! その後、鳥井はポンで大三元テンパイ。 迂回した楓愛もかのどちらかを切れば単騎待ちテンパイと復活。 楓愛23600 鳥井34200 小松32000 音無10200(ラス親あり)。 トップがほしい楓愛は1300でもアガリたいのでテンパイを取って優勝のためのギャンブルをする選択もあるのかもしれないが楓愛の選択は我慢。 この局の結末は鳥井の1人テンパイで流局。 オーラス1本場 トップ目の鳥井、2着目の小松が副露して早々にテンパイ。 小松はトップのための条件は足りないが親番の音無が連荘した際にテンパイ料で縮めにいく作戦か。 そんな中、音無がしっかり仕上げてリーチ。 ドラ 南家の楓愛はトップになる条件が跳満ツモや鳥井からのマンガン直撃と厳しいが ドラ から切りリーチ。 結果、楓愛は小松から6400は6700直撃で二着浮上! 鳥井トップで3回戦は終了となった。 【3回戦スコア】※()内はトータルポイント 鳥井 :+57.2(+86.5) 楓愛 :+10.3(△95.5) 小松 :△15.7(+39.1) 音無 :△51.8(△30.1) ■4回戦 音無は優勝するためには1トップ、楓愛は2トップが必要という状況。 東3局 小松がをアンカン。 楓愛が仮テンのようなダマテンから ドラ とが一枚打たれたタイミングでツモ切りリーチを決行! 色々選択はあったが1人テンパイ流局。 後のない親番を連荘。 東3局1本場 小松が音無のリーチと他2人からの副露を受けるも愚形を2個捌いて1000/2000は1100/2100。 東4局1本場も小松の見せ場! 小松配牌 ドラ 純チャンや清老頭を目指せる配牌からをすぐポン。 ドラドラの楓愛もバックの仕掛けを入れる。 小松は→とツモりポンして ポン ドラ の清老頭テンパイを果たす。 小松は本日2回目の役満テンパイ! を加カンしてツモ番を増やす!アガリ牌はなんと山に4枚。 を切ればドラドラの片アガリテンパイとなる楓愛はを切らず迂回。 結果は終盤に形テンを入れた音無と小松の2人テンパイ流局で平和的結末に。 小松18300 楓愛28800 音無33500 鳥井19400 で南入。 南3局 小松が道中の選択を正解させ-高めタンヤオのリーチ。 一発ツモで裏ドラものせ3000/6000。 一発ツモ ドラ 裏ドラ オーラスの決着はあっさりついた。 ドラ マンガンツモでトップの音無リーチ! を一発でツモり逆転トップ終了! 【4回戦スコア】※()内はトータルポイント 音無 :+55.3(+25.2) 楓愛 :+9.5 (△86.0) 小松 :△15.6(+23.5) 鳥井 :△49.2(+37.3) ■5回戦(最終戦) まずトータルポイントの確認と優勝条件。 鳥井37.3 音無25.2 小松23.5 楓愛▲86.0 上3人はトップを取った人または楓愛がトップの場合は2着の人が優勝。 楓愛が優勝するためにはトップを取ってさらに二着と約8万点以上差を付けることが優勝条件である。 東1局 鳥井が2巡目に今通ったばかりの単騎の七対子リーチを小松から3200でアガりリード。 この後もかわし手を実らせた鳥井が32600点持ちでアタマひとつ抜け出す。 東4局 音無がカンを引き入れ ドラ から切りリーチ。が一枚切れだが自分の河にはがある引っ掛けリーチ。 そのままをツモっての1300/2600 南入して点棒状況は 小松19100 音無28800 楓愛22100 鳥井30000 現状の優勝はトップの鳥井。 親の小松が連荘を狙ってポン、チー、チーで1500点の単騎テンパイ。 その後、単騎→の亜リャンメンへ待ちが変化。 音無 ドラ から2枚切れでがドラということもあり切りのテクニカルなリャンシャンテン戻し。 を引いて切り。を引いて待ち選択。を切って-待ちで小松と同じ待ちの勝負手テンパイをダマテン。 ドラ 楓愛が放ったに2人からロンの声がかかるが、頭ハネで小松が価値のある1500。 しかし1本場は鳥井が1000は1300で流し、南2局は流局で音無が連荘。 南2局1本場 ドラ東 親の音無が勝負手を再び冷静なダマテン。 ドラ これをアガリきり12000は12300で音無リード! 音無42100 楓愛5300 鳥井32300 小松20300 南2局2本場 小松がドラドラのリーチを成就させ裏ドラ1枚の8000は8600で追撃。 ロン ドラ 裏ドラ 南3局は音無が1000点でかわしオーラスへ。 鳥井31300 小松28900 音無43100 楓愛▲3300 楓愛はトリプル役満ツモで優勝。 あとの3人は全てトップになることが優勝条件なので鳥井はトップになった後に局を終わらせること。 小松は跳満ツモまたは音無からのマンガン直撃または鳥井か楓愛からの倍満でアガリ。 そして音無はこの局をそのままの着順で終わらせることで優勝となる。 音無が2巡目に優勝を手繰り寄せる気迫の仕掛け。 ドラ からチー。 さらにチー、チーしてこの形。 チー ドラ まだまだぐちゃぐちゃ!笑 跳満ツモ条件の小松は ドラ から跳満一直線の切り。 その間に音無がを引いて気迫のテンパイ! チー ドラ 小松が ドラ
の優勝条件が揃ったイーシャンテン。(はオタ風) 発は2枚切れなのだが跳満ツモと音無から満貫直撃を狙いたいので引きはダマにしたい。 まもなくしてを引きテンパイ。難しいリーチ判断だが小松はダマを選択。 のツモまたはを食いタン濃厚の音無から直撃すると優勝! 決着は小松がをツモ!だがそれはツモアガれない。。。 フリテンツモを狙った小松がをそのまま場に放ち音無が初タイトルに輝く! 5回戦を通して非常にアグレッシブな麻雀と高打点への手組みがマッチして優勝を掴み取った音無愛音。 とある関西女流プロの新しい歴史の幕開けである。 【5回戦スコア】※()内はトータルポイント 音無:+64.1(+89.3) 鳥井 :+11.3(+48.6) 小松 :△12.1(+11.4) 楓愛 :△63.3(△149.3)
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