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≪大会レポート≫

関西で夏に行われるプロアマ混合タイトル戦の「NPMウェスタンカップ」も、今年で第5回を迎えた。
2回の予選をプロアマ混合で行い、どちらかを勝ち抜けば本戦に出場出来る。
本戦はシード選手(関西協会員タイトルホルダー、前年度優勝者)を加えた40名で行われる。
システムは3回戦終了時に24名が敗退。
4回戦終了時に8名敗退。5回戦終了時、上位4名が決勝に進める。ポイントは全て持ち越され決勝は半荘1回。

私は毎年ウェスタンカップに出場して今年で3回目。
去年、今年とシードで出場してるものの本戦成績はイマイチ。
今年こそは・・!と思い気合を入れて対局に臨んだ。

結果?
観戦記担当。後は察してください。
大会レポートに移ろう・・(文中敬称略)

4回戦のベスト16で協会員4人が激突。
一北寛人、石井阿依、小南昌平、高山真秀。
4人ともトップ条件。

東3局 親・石井のリーチと一北のテンパイにポン、ポンの西家・小南が真っ向勝負。
ツモで開けられた手が・・
西家・小南
 ツモ ポン ポン
「8000・16000」
一北が親番で猛追するも届かず、小南が勝ち抜け。

5回戦のベスト8A卓では首位を走る湯村、他はトップ条件の倉内、梅田、遠山が激突。
それまで+200超えのポイントを叩き、ラスを引いてもほぼ決勝当確の湯村。
出来る事ならここでトップを取り、決勝を楽にしたい。
大してトップ条件の他家3人。

大きな動きは南3局。
北家・倉内が5巡目に先制リーチ。
 ドラ
この手をリーチでアガリきれば決勝にほぼ残れる。当然のリーチ。
しかし「待った」をかけたのが東家・湯村。7巡目に
 ドラ
ツモり倍満。出アガリでも18000の鬼手リーチ。

緊迫しためくり合いが行われる中、数巡後湯村が引いた牌は・・・だった。
裏ドラはの6400。
なんと湯村、どっちでもツモり三倍満。もしツモっていたら決勝を待たずとも優勝だったかもしれない。

ベスト8B卓も緊迫したオーラス。
条件を満たしたテンパイを入れた新田が親リーチに押しきり条件クリアとなった。

白熱した5回戦を終え決勝進出となったのは以下の4名。

1位 湯村 創+159.2
「普段からセットやフリーでよく打っています」
そう落ち着いて話してくれた。一般選手ながら全く緊張してそうに見えず、普段通りの麻雀が打てそうだ。

2位 小南 昌平+157.3
プロ2年目の若手。荒いところが多いが腹を括った攻めが持ち味か。

3位 倉内 崇亘+148.3
私の同僚であり、よく知っている仲である。
バランスのとれた麻雀を打ち、非常に強い。

4位 新田 友一+140.6
関西協会員の中でも屈指の攻め派。
勿論手痛い目を見ることも多いが爆発力もあり、こういったワンデーの大会で強さを発揮できるタイプだと思える。

なんと4人が20ポイント以内の差である。
これはウマが10-30、オカが20の協会ルールにおいては「完全着順勝負」となるポイント差。
つまり決勝戦トップは無条件で優勝。2位なら無条件で2位といった非常にシンプルな条件だ。

各々が条件を確認後、
新田→小南→倉内→湯村の並びで決勝が始まった。

北家・湯村の配牌が良い。
 ドラ
345の三色まで見えるタンピン系の好手牌。

それに対して親の新田。4巡目に
  ドラ
からをポンして打。ファン牌の後重なりとトイトイ変化を見てのポンか。
私なら鳴かずにチートイツ本線でのんびりやりそうかな、と思っていた。

一方の湯村は、3巡目にはツモ、4巡目にはと引き入れ、
 ドラ
カンで5200のダマテン。

新田のがスレスレで間に合う。
脇二人は対応してオリ気味。2人の間で決着か。流石に湯村有利だ。

湯村が9巡目にを引き入れてリャンメンの8000変化でダマテン続行。
新田はを重ねたものの手牌があまり進行せず、1度切ったをツモ切って湯村に8000。

東2局は南家・倉内が魅せる。
 ドラ
7巡目に上家から切られるをノータイムでチー。
もうメンゼンでやっていても間に合わないという判断だろう。

倉内はこう行った判断が非常に鋭い。焦らず、遅すぎず。
14巡目、新田からリーチを受け
 ツモ チー ドラ
一発目にこの形。リーチの現物があるが・・・
倉内は強気の打。 
次巡、を力強くツモリ1000・2000。 
決勝という舞台でこの手順と押し引きが出来るのは凄いと感じた。


東3局は西家・新田の先制リーチに対し、マンズチンイツで東家・倉内が押し二人テンパイで流局。

東3局1本場(供託1.0)
北家・小南 2巡目
 ドラ
と楽しみな手牌。
小南は今日1日見るたびに字牌+一色ばかりといった恵まれた手牌が多かった。

6巡目で
 ドラ
この形。
ここからをポンして打。さらにを鳴いて打
満貫テンパイに辿り着くが脇がしっかり対応。粘った新田との二人テンパイ。

東4局2本場(供託1.0)
西家・小南の配牌、1巡目を見ると・・・
 ツモ→打 ドラ
え、こんなことあるの?字牌しか集まってこない契約でも結んでるのか?

そして8巡目に
 ツモ ドラ
が2枚切れで長考から打。さらに安全牌のと取りかえで打

しかしこれが倉内の仕掛けに捕まって1000は1600を献上。
私ならを切っていたかな、と思う。
是非は兎も角、その場合また違う展開になっていたであろう。
こういった勝負手を潰されるのは実に痛い。決勝1回トップ取りなら尚更だ。
アガリに結びつき難い役満や倍満クラスを狙うよりアガリやすそうな満貫を取りに行く方が良い気もするが・・・・

いよいよ南入。ここで持ち点を整理しておこう。
東家・新田 17000
南家・小南 21400
西家・倉内 32600
北家・湯村 29000
細かく加点した倉内がトップ目。しかしまだ全員に可能性がある状態。

南1局、親でアガリたい新田。トイツ手模様だったが、トイツ手拒否のタンヤオに渡り500オール。

南1局1本場、8巡目に東1局の満貫アガリから静観していた湯村が先制リーチ。
 ドラ
自分でを切っておりピンズが高くマンズが安い局面。が拾えそうと判断したのだろう。
周りの捨て牌も大人しく、そう煮詰まっていないように見えるのも拍車をかけたか。

しかし同巡、親の新田「リーチ!!」
気合の入った発声。

ツモに力が入る湯村。一発目にいた牌は・・・。

東家・新田
 ロン ドラ 裏ドラ
会心の12000。

南1局2本場。
新田31800、小南20900、倉内32100、湯村15200
倉内の5巡目リーチ。
 ドラ
からを切ってのリーチ。
これは結構、を切ってのシャンテン戻しにする人が多いのでは無いのだろうか?
少なくとも私はそうだ。

後で倉内に理由を聞いたところ、
「前巡小南くんがを切っているので引いたら切ってくれるし、そこまで悪い待ちではないと思った」とのこと。
結果は、南家・小南
 ドラ 
この仮テンに構えていたところ一発目に引いた牌が
当然ツモ切りで倉内に2600は2900放銃。

長引いていたらどうなっていたであろうか。今はもう知る術は無いが・・・。

南2局は小南→倉内へピンフ1000点。
ダマテンの-

局を消化したい1000点・・・なのだろうが、この局面、倉内本人も
「リーチのほうが良かった」と言っていたようにリーチした方が得な気がする。

見て頂ければわかるがまずピンズの場況が良い。
そしてたしかに局は消化したいが2着と3500点差。安全圏とは言えない。

メンピンツモ裏等の5200ツモであれば差は10000点近くなる。
点差を広げるためにもここまで待ちが優秀ならばリーチの選択は十分あったように思えた。
これが「後悔する一打」にならなければいいが・・・と観戦しながら感じていた。

南3局。倉内36300、湯村15200、新田31800、小南16700
親が無く残り二局の小南。最低でも満貫クラスのアガリが欲しいところか。

北家・小南 3巡目
 ドラ
西家から出るをスルー。
この手を3900にはしないという意思。しかし倉内にこれ以上アガられると苦しい状況。間に合うか?

さらには小南の6巡目
 ツモ ドラ
ここからをツモ切り。は2枚切れ。
チートイツ一直線か。メンツ手のメンホンは捨てたということなのだろう。

北家・小南 15巡目 
残り巡目もあとわずか。しかし全員の手がイーシャンテンで硬直する中、
 ツモ ドラ
小南渾身のメンホンチートイツテンパイ。

あとは待ちをどう取るか?も生牌。

しかし小南はノータイムで切りリーチを選択した。
は湯村と新田に1枚ずつ山には1枚。は山に2枚だった。

全くアガれそうにない・・後ろで見ててそう思った。

小南、リーチ一発目
ツモ牌を捲るとそこには・・

北家・小南 16巡目
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
執念?いや奇跡の4000・8000。
一躍トップ目に躍り出た。

後に「なんでにしたの?」と聞いたところ、
小南「僕が好きなんですよ」となんともな回答をもらった。

世間的には「?」な方も多いかもしれないが個人的にはこの意見はそこまで嫌いではない。
「差がある選択」をするならば自分の好みだけで選ぶのはそれは間違いだろう。

しかし「ほぼ差がない」選択をするのならばそういう「自分の好み」を決めておくのはいいと思っている。
何故なら所謂「裏目」に出ても「自分はこうなった時はこっちの牌って決めているから仕方ない」等といった脳内処理が出来るからだ。

麻雀は非常にメンタルが大事なゲームであり、
そういった「メンタルに影響を及ぼす可能性」がある現象を機械的に処理出来るというのは大きなプラス要素であるのではないか。

話が脇に逸れてしまったが遂にオーラス。長かった1日も終わりに近づいてきた。
オーラス、点数を見てみよう。最初にも触れたがトップが無条件優勝だ。
東家・湯村11200、南家・新田27800、西家・小南32700、北家・倉内28300

全員に条件がある。
湯村は親なのでアガリ続けるだけ。
小南はアガリトップ。
新田、倉内は小南を逆転すればよし。点差は新田4900点差、倉内4400点差とそこまで大きく開いていない。

全員条件を確認した後、オーラスが開始された。

新田、倉内と条件を満たすテンパイを入れるのが厳しい牌姿の中、東家・湯村が6巡目に先制リーチ。
捨牌が

(ツモ切りはのみ)

そこに真っ向勝負したのがアガリトップの小南。
自風のを鳴いてイーシャンテンだった。
 ポン ドラ この形に
上家の新田がリーチ現物のを切る。
小南がこれをチーして無スジのを切ってタンキテンパイ。
さらに次巡。無スジのを引くがこれもツモ切り。
次巡ツモ。流石に顔を歪める。仕方がないか。
そしてツモ。三面張に変化し打
これは凄いと思った。 
アガリトップとは言えの順で手出しのリーチに対してと切っていける力は私には無い。

「小南の勝ちか・・」そう感じた。も通して三面張待ち。流石に勝てる気がする。

緊迫しためくり合いの中、湯村がを暗カン。

そして小南が引く
西家・小南
 ツモ チー ポン ドラ

生牌・・・

しかしこの手で決めると腹を括っていたのであろう。
まで切った以上、このは止まらない。

ツモ切ったは無常にも・・

東家・湯村
 ロン 暗カン ドラ 裏ドラ

・・・・12000点(リーチ・白・ドラ 3翻60符)
静かに湯村は申告した。

流石に落胆する小南。しかしまだ終わっていない。
再度点数を確認しよう
東家・湯村23200、南家・新田27800、西家・小南20700、北家・倉内28300

新田と倉内は条件が軽くなってアガリトップ。小南もまだ終わっていない。

オーラス1本場
南家・新田 5巡目
 ドラ
ここに上家の湯村から出るを当然のチーで前進。

北家・倉内 同巡
 ドラ
倉内もイーシャンテン。

東家・湯村 6巡目
 ドラ
親の湯村もイーシャンテンだ。
小南は手が重い。三者で誰が先にアガるか・・?

1番乗りは北家の倉内。
 ツモ ドラ
「よりによって・・・役なしのカン」という声が聞こえてきそうなテンパイ。
倉内の選択はダマ。 
直前に親に切られたで自信がないのとツモの手変わりを見てとのこと。

その瞬間、東家の湯村から
「リーチ!」

これを受けて
南家・新田
 ツモ チー ドラ
からノータイムで打

「ロン!」

東家・湯村
 ロン ドラ

リーチ・一発・・・・・

裏ドラ

裏々の12000。
湯村が親満2連発で一気にトップへ。

新田の手には全くいらないがの方が放銃率は僅かに低かったかもしれない・・
本人も後に言っていた。
二発目放銃の7700で済んでいれば?もしくはツモられなら?色々変わっていたかもしれない。

オーラス2本場
東家・湯村34500、南家・新田14500、西家・小南23700、北家・倉内27300

各者が配牌を開ける。
新田、倉内共に条件を満たすアガリは厳しい・・・湯村は伏せれば終了。
配牌も良くはないのでそこまで無理にアガリにはいかなそうか。

ハネ満ツモ、出アガリ倍満条件の小南は?

西家・小南 配牌
 ドラ
なんとドラのが暗刻。も小南のことが好きなのだろうか。

6巡目にを暗カン。周りの空気が変わる。今までクールに打っていた親の湯村も顔を歪めた。
新ドラは。その時点での小南の手牌が、
 ツモ 暗カン ドラ

・・・なんなんだこれは。出アガリでも倍満を満たしてしまった。
あとはターツ選択。
小南の選択は落とし。
平場なら当然の選択だろう。しかし麻雀には「場況」が必ずある。

そしてこれが大きなミスとなってしまった。
ソーズが安くマンズが高い場況。ここはソーズ残しだった。
本人も切った瞬間、唇を噛みしめた。

上家・新田から切られる・・・

親の湯村は警戒してオリ気味。倉内、新田は手を作っているが進行しない。

まだだ、まだわからない。

そしてついに10巡目。を引き待望のテンパイ。
西家・小南
 暗カン ドラ
脇からの出アガリもOK。

は場況状マンズが高いにも関わらずこの時点で3枚山にあった。

3枚山にあっただったが、あっと言う間に湯村に2枚吸収され残り1枚。

残り3巡。ドラのを引き更に暗カンの小南。
周囲が苦笑いする。

次巡、を暗刻にしてタンキに待ち変え。
さらにを引き待ち変え。

しかしも山に残っておらず流局。

親の湯村が静かに手牌を伏せた。

その瞬間、会場が拍手に包まれ「第5回NPMウェスタンカップ」の優勝者が決定した。

 

決勝後に何点かインタビュー。

―――――今日1日通してどうでしたか?

「ツイてました。ただしっかりと打てていたとは思います」

―――――優勝コメントお願いします!

「普段からよく色んな雀荘にも行きますし、大会にも出ています!同卓した際にはよろしくお願いします!」

 

謙虚で気持ちのいいコメントでした。

優勝は、湯村 創さん!
あらためておめでとうございます!

(文・田村 翔梧)


 

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