テスト:関西女流スプリント

【担当記者:松浦裕充】
関西女流スプリント。
前期、後期2節ずつで行われる短期決戦の対局。関西女流プロの登竜門とも言われている。歴代優勝者も水瀬千尋や大島麻美、御崎千結など関西出身で活躍している面々が獲得している。今期の決勝メンバーはこちら。

前期1位 夏月 美勇 第8回女流スプリント優勝
前期2位 音無 愛音 第10回女流スプリント優勝
後期1位 鳥井 ゆう 女流雀王戦Aリーグ所属
後期2位 小松 慧  第3回、5回女流スプリント優勝

歴代優勝者が3名おり、鳥井はまだ優勝がないが、女流雀王戦Aリーガーと実力は十分。鳥井の初優勝か、夏月、音無の2回目の優勝か、小松の3回目の優勝か。小松が優勝すると単独3勝目になる。注目一戦が始まった。

1回戦(夏月-鳥井-小松-音無)
攻撃的な面子が揃った今回の決勝。東1局から手がぶつかる。先制リーチをしたのが親の夏月。


打点は低いが1枚切れのが狙い目。この先制親リーチに勝負したのが音無。親リーチに怯むことなく、無筋4枚切って追っかけリーチ。


音無がこれをツモあがり、前回優勝者音無が連覇に向けて上々の立ち上がりとなった。


この大会でまだ優勝がない鳥井は対局前に「最初のテンパイはなんでもリーチする」と言っていた。去年も言っていたような気もするが、本人は今日の運試しらしい。そのリーチは東3局に訪れた。
この局の先制リーチは音無。リーチドラ1。切りでを狙ったリーチ。


同巡、鳥井がピンフドラ2のテンパイ。は5枚見えており、先制リーチの現物。ダマの選択もあるが、鳥井は対局前の宣言通りリーチ。

この時点で鳥井の待ちは残り1枚だったが、最後のをツモアガり。

裏ドラはのらなかったが、満貫のツモアガり。ちなみに去年の運試しリーチは、開局に高め一通の4面待ちを親で追っかけリーチだったがアガれず、という結果だったので、今年の運試しリーチは上々の出来である。
鳥井はさらに次局に5巡目に先制でドラ単騎待ちの七対子でリーチをしてこれもツモアガる。

さらに裏ドラも付いて、倍満のツモアガり。このアガりが決定打となり、鳥井が初栄冠に向けて好スタートを切った。
1回戦終了
鳥井63.4 小松9.0 音無▲24.6 夏月▲47.8

【担当記者:松浦裕充】
2回戦(鳥井-夏月-音無-小松)
5回戦の短期決戦なので、実力も大事だが、展開や運にも左右されやすい。この面で好スタートを切ったのが鳥井。一方、ラスを引いてしまった夏月はトップを取って巻き返しを図りたい。そんな夏月に開局に手が入る。

形はそこまで良くないが、ドラのが対子になったところ。が重なると一気に満貫が見える手牌。早くをポンしたいが、山に深い。
最初にテンパイしたのは音無。役なしのカン待ち。がドラなので、即リーチの選択もあったが、ここは慎重にダマを選択。しかし、小松に切りリーチをされてしまう。

小松のリーチ宣言牌のを夏月がポンして、バックのテンパイ。初戦ラスの夏月としてはなんとしてもアガりたいところだ。

この時点では山に2枚。しかし、次巡の夏月のツモは無常にもだった。アガれない方。ここで、夏月はタンヤオ移行での対子落とし。タンヤオ牌を持ってくればテンパイ復活する。

しかし、持ってきた牌は。これは小松の当たり牌でもある。この局は流局で終わるが夏月にとっては不運な結果となった。

しかし、南2局夏月が親で先制リーチ。トップ目小松321、夏月298なので、これを決めるとトップが見えてくる。

同巡、追いついたのは小松。

この局を制したのは夏月。開局の鬱憤を晴らすツモアガり。裏ドラも付いて満貫。

オーラス、親が小松。点棒状況は
小松306 鳥井254 夏月398 音無42
アガってトップを決めたい夏月の配牌がこちら。

ドラが。ペン待ちのテンパイ。ダブリーをするか、変化に期待してテンパイ外しか。アガればトップということもあり、夏月はダブリーを選択。3着と5200点差の小松が少しやりにくくなるだろうということも考慮。実際、小松の手牌はこちら。

好配牌。ホンイツトイトイや七対子など見える。しかし、ダブリーを受けたので真っ直ぐいけなくなってしまった。
しかし、このリーチによって満貫直撃、ハネ満ツモでトップになる鳥井がドラ3で真っ向勝負。

ここからを切りを選択。ホンイツで鳴いた方が早いと判断。
しかし、ツモが効かず、テンパイしたのが17巡目。小松もなんとかテンパイを入れて、この局は流局となった。
もし、夏月がダブリーをしていなければ、3巡目に待ちのピンフテンパイになっていた。
夏月もテンパイ外しだったかなぁーと言っていた。しかし、小松の手牌も鳴く可能性があったので、どういう結果になっていたかはわからない。夏月は次局アガればトップであったが、小松が2600は2700オールをツモアガり、夏月を捲ってトップで終了となった。

2回戦結果
鳥井▲15.3 夏月16.1 音無▲62.5 小松60.7 供託1.0
2回戦終了時スコア
小松69.7 鳥井48.1 夏月▲31.7 音無▲87.1 供託1.0

【担当記者:松浦裕充】
3回戦(小松-夏月-鳥井-音無)
夏月、音無が苦しい展開。もうラスは引けない上、小松、鳥井にトップを取られるわけにはいかない。小松、鳥井はトップを取って、優位に立ちたい。そんな3回戦、最初のチャンスは鳥井にやってきた。
東2局ドラ

一通、三色、さらにジュンチャンが見える手牌。鳥井は最高打点を見て切り。トップを取れば優勝にかなり近づくので、この手牌で決めてやるという意志のこもった一打。すぐにも引き、ジュンチャン三色のイーシャンテンになった。後がない音無もホンイツで対抗。

鳥井からをチーしてさらにドラのをポン。少し遠いがマンガンチャンスなので、積極的に鳴いていく。
鳥井が待望の高めジュンチャン三色テンパイ。高めのは3枚切れだが、リーチを選択。安めでも裏がのれば満貫。

鳥井がをツモアガり。裏がのって、満貫。トップに向けて大きなアガりとなった。

さらに親番になった鳥井は3900、5800は6100、2000は2600とアガり、リード大きく広げる。

南3局1本場
鳥井がトップ目のまま再び親番。音無、夏月の状況は厳しい。最低でも2着になり、連勝条件は残しておきたい状況。そんな中、トップ目鳥井からの先制リーチ。ドラは

さらに点差を広げにいく。しかし、このリーチに待ったをかけたのが音無。同巡に追いつきリーチ。

ラス親もあり、逆転のトップを狙う。夏月もチンイツで勝負をしたいところだが、2軒リーチには勝負できない。音無が鳥井から満貫をあがると、オーラスハネ満ツモトップ条件になるので、その可能性に賭けた。

アガったのは音無。鳥井からの直撃になるが、打点は2600は2900。夏月としてはもう少し高くアガって欲しかった。

南4局ドラ
点棒状況は
音無233 小松225 夏月172 鳥井370
音無は親で連荘狙い、夏月は倍満ツモトップでマンガンをアガると2着。鳥井とのトータルポイントを考えると2着には絶対にアガりたいところ。小松はハネ満ツモか鳥井から満貫直撃でトップ。鳥井はこのまま逃げ切りたい。
鳥井の配牌は789の三色で鳴いていけるなかなかの配牌。

しかし、先手は小松。ドラののシャンポン待ちリーチ。鳥井からの直撃かツモって裏ドラがのれば逆転トップだ。

小松はこのリーチを一発でツモアガり。裏ドラはのってないが、一発ツモならハネ満。鳥井を500点捲り逆転トップで連勝を決めた。トータルトップの小松がトップを取ったので、音無と夏月はかなり厳しい展開となってしまった。

トータルポイント的には小松対鳥井。しかし、4回戦目で小松との大きなトップラスを決めれば音無、夏月にもチャンスがある。勝負の行方はいかに。
3回戦スコア
小松57.5 鳥井14.0 音無▲22.7 夏月▲45.8
3回戦終了時スコア
小松124.2 鳥井62.1 夏月▲77.5 音無▲109.8 

【担当記者:松浦裕充】
4回戦(音無-鳥井-小松-夏月)
4回戦が始まる前のポイントは状況は
小松124.2 鳥井62.1 夏月▲77.5 音無▲109.8
最終戦を迎える前に100p差以内にはしておきたい。トップラスで80p縮まるのでもう少しポイント差があってもいいと思われるかもしれないが、現実的な条件が残っていない選手がいる場合、トップラスにすることが困難になってくる。
なので、夏月、音無はここでトップラスを決めないと厳しい状況である。鳥井は小松より上の着順を取ればいい状況だ。小松がトップを取ればかなり優勝に近づく。どのような展開になるのか。
東1局は親の音無が1000オールをアガり、1本場、点棒が動く。
東1局1本場 ドラ
音無がダブ東を鳴いて、連荘を狙う。

しかし、小松の手牌が大物手の予感。役役ホンイツ、トイトイ変化もある。

しかし、先手は鳥井。ドラのを重ね、先制リーチ。

鳥井からリーチを受けた小松だが、を鳴いて、ホンイツテンパイ。無筋を連打。ここは勝負に出た。

同巡、夏月もテンパイ。三色にならなかったが追っかけリーチ。

この局を制したのは鳥井。小松がを掴み、満貫放銃となった。小松がラス目になり、3者の望む展開になった。


東2局 ドラ
親の鳥井がカンで先制リーチ。攻撃の手を緩めない。待ちはあまり良くないが、この親リーチにはなかなか勝負にこれないだろうという思惑もある。

しかし、小松の手牌がまたもや勝負手。先ほどの放銃を取り返すのに十分な手牌だ。

誰もが鳥井ピンチと思っていたが、鳥井の1発目のツモはなんと。僥倖の4000オールだ。小松との点差を大きく広げる。


東2局1本場 ドラ
小松は手が入るものの、なかなかアガりに結びつかない。この局もドラのをポンする。

ドラのを切ったのは音無。その音無からリーチが入る。三色確定の両面リーチだ。

小松もなんとかテンパイするが、ここは音無がツモアガり。またもや、小松の勝負手は実らない。


東3局 ドラ
この半荘、なかなかアガれない小松。しかし、親番で先制リーチ。リーチピンフドラ1。これも裏ドラがのれば満貫だ。4連続で満貫級のテンパイ。

このリーチを受けて、音無の手牌。安全牌がない。手牌も好形のイーシャンテン。を勝負するが、小松への満貫放銃となった。これで小松は2着浮上となった。

南3局まで進み点棒状況は以下となる。
音無286 鳥井313 小松192 夏月209
親は小松。ラス目だが、親番なので、トップの可能性もある。他三者は小松がラスで自身のトップを取りたい状況。終盤戦の勝負所。この局は小松が1000オールをアガり、連荘する。

南3局1本場 ドラ
4者ともなかなかテンパイが入らない。そんな中13巡目、先制テンパイは親の小松。カンでリーチ。リーチドラ1。捨て牌的にも出やすい待ちになっている。

次巡、事件が起こる。小松がを持ってきて、アンカン。新ドラはなんと。場が一気に重くなる。これをアガられたらかなり厳しい。リンシャン牌は。これを夏月がチー。形は苦しいがタンヤオ三色ドラ1のイーシャンテン。小松の海底もこのチーで消せる。

運命の海底。夏月のツモは。小松のツモアガりを食い取った。しかし、安全牌がない。何を切るか。

必死に安全牌を探すが、どれも完全に否定できない。ピンズがほどよく切られていることもあり、を選択。しかし、これが小松への放銃となる。

との2択だった。しかし、捨て牌的にはの方が通りそう。小松のアタマは。もし、シャンポン待ちになっていたら、も当たる可能性があったということだ。夏月の選択ミスというよりは小松の捨て牌作りがうまかった。
このアガりで夏月、音無はかなり厳しい状況になった。鳥井も苦しいがまだトップが狙える点差だ。しかし、小松の勢いは止まらない。この後、親マンを2回ツモアガり、特大トップで4回戦を制した。


4回戦スコア
小松88.7 音無▲0.5 夏月▲33.2 鳥井▲55.0
4回戦終了時スコア
小松212.9 鳥井7.1 音無▲110.3 夏月▲110.7

【担当記者:松浦裕充】
5回戦(音無-夏月-鳥井-小松)
関西女流スプリントは2位~4位の賞金に差が無い。よって優勝以外は同じということだ。鳥井の条件はトップラス125,900点差の条件。音無はトップラス243,300点差、夏月はトップラス243,700点差。
2位の鳥井ですら現実的な条件ではない。それほど小松が強かった。最終戦は音無が国士無双をツモアガるが、この点差が縮まることはなく終了し、小松が3回目の優勝となった。
一番悔しかったのは鳥井だろう。4回戦でかなり有利な状況を作ることができた。ドラ表示牌のカンを一発でツモった時は鳥井が優勝かと思わせる場面もあったが後一押しが足りなかった。
音無、夏月もこの大会で優勝したことがある二人だ。ただ今日は展開的に厳しいことが多かった。
この3人に圧勝した小松。本当におめでとうございます。これからも4回、5回と獲りそうな強さだった。この小松を止める者は現れるのか。来年の女流スプリントに注目だ。

PAGE TOP