第21期雀王決定戦観戦記 3日目

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第21期雀王決定戦観戦記
3日目 12回戦

【担当記者:中島由矩】

12回戦(浅井-仲林-渋川-松本)

日本でマラソン競技にペースメーカーがついたと公表されたのは、2003年の福岡国際マラソンが最初だった。ペースメーカーは、文字通りマラソン選手の走るスピードを調整する役割を担っており、ペースメーカーがついてから選手たちのタイムが上がったと見る向きもあるという。

第21期雀王決定戦は、11回戦を終えて首位の浅井(+113.9pt)から4位の仲林(△101.3pt)まで約200ptほどの差となっている。この12回戦は、マラソンで言うと、ペースメーカーが外れて先頭集団の駆け引きが始まる20km~25km付近と考えることができるだろう。

この12回戦で、トータルトップの浅井がトップを取れば、2位以下を大きく引き離すことに成功する。今後の展開によっては、最終4日目に残り3者がなにもできないケースもあるかもしれない。一方で、トータル4位の仲林がトップを取れば、この雀王決定戦を再び団子状態に戻すことになるだろう。

しかしこの12回戦で勝ち名乗りを上げたのは、そのいずれでもなかった。ここまでペースメーカーを風よけにして力をためていたその選手は、直線一気のごぼう抜きをしてみせたのだ。

南4局を迎えて、4者の点棒状況は以下の通り。
東家・松本11600
南家・浅井31700
西家・仲林38300
北家・渋川18400

東家の松本は真っ直ぐ手を組む。
親リーの権利を失うと他家を自由にさせてしまうことから、できれば門前でいきたいが、13巡目以降は形式テンパイを視野に入れた鳴きも使うだろう。9巡目・10巡目にはのトイツ落としを見せ、タンヤオ・ピンフのイ―シャンテンに構える。一刻も早く「リーチ」と宣言したい。

南家の浅井には、十重二十重の戦略が必要だ。

まず本線は8000は8300出アガリ。これならどこから出てもトップで終局できる。ちなみに1300/2600のツモアガリでも本場があるため条件クリアとなる。
仲林からは3200は3500の直撃でもトップになれる。

さらに、トータル首位の浅井には「この12回戦は2着でもよし」という考え方もある。特にこの12回戦トップ目の仲林は、ここまでトータル4位でもあり、自分以外の誰かがトップだとするならば、浅井から見て1番嬉しい選手と考えることができるだろう。

西家の仲林は現状トップ目で、自らがアガれば無条件でトップになれる。
上家の浅井が2着目なのだが、トータルポイントのことを加味すると、アシストも期待できる。1巡目と3巡目にドラのを落とし、上家の浅井はもとより松本と6800差である渋川からの差し込みもやや期待できるだろうか。

10巡目にカンを引き入れると、立直は自重して役なしのダマに構える。このカンをひょっこりツモればゲームセットだ。

北家の渋川は、4者の中で最も選択肢が幅広い。
最高は倍満ツモでトップだが、跳満ツモで2着ももちろんあるし、1000点で自身の3着を守る考え方もある。
お世辞にもいいとは言えない配牌ながらもじっと耐えて手を組む。ジュンチャン・ドラドラのイ―シャンテン。
しかし、受け入れはペン・カンと極めてせまく、ドラのも2枚見えていて暗刻になることが期待できない。

ネタバレにならないよう細心の注意を払いながら書いているのだが、この南4局はここからわずか1巡で決着する。まばたき厳禁のスプリント勝負だ。

イ―シャンテンの形としては苦しかった渋川が、ペンを引き入れてテンパイ。場に2枚切れているを切ってリーチといった。

少なくとも上の画像からは特に変わった様子が見られない。一発ツモでトップをさらう気概があるのか、はたまた着順争いのライバル浅井や、12回戦ここまでトップ目の仲林から12000を奪っての逆転を目論んでいるのか。
運命のカギを握る待ち牌のは、浅井の河に2枚、そして仲林の手の中に1枚あり、リーチ時点で山には残り1枚という状態だった。

リーチ時の渋川の表情をもう1枚。こちらはやや穏やかな面持ちにも見える。ここまでの手を育てておいて、まさか松本をオロして3着キープとは考えていないだろうが・・・
渋川のリーチを受け、松本は場に2枚切れのを打ち、浅井は現物のを並べ、仮テンの仲林は残念ながらツモれなかった。

渋川が一発で引き入れたは、萌葱色(もえぎいろ)のラシャを軽く跳ね、右斜めに着地した。渋川は麻雀漫画の監修も務めているが、これほど観衆の度肝を抜くアガリは、その漫画の中に果たしてあっただろうか。
現雀王・渋川難波。リーチ・一発・ツモ・ジュンチャン・ドラドラは、トップと19900点差を一撃でひっくり返す、会心で渾身の倍満ツモ。

渋川が12回戦トップで、トータル2位。トータル首位の浅井まであと41.9ptまで詰め寄った。
2着の仲林は目前の大魚を逃し、意気消沈。3着の浅井は貯金があるとはいえ、渋川の倍満ツモを被弾しない方が、並びとしてはよかった。
4着の松本は、トータル4位の仲林まであと13.1ptと、こちらも尻に火がついたものの、トータル首位の浅井まであと175.5pt差を埋めることだけを考えているだろう。


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