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日本プロ麻雀協会の西日本管轄として関西事務局が誕生し5年。
登録選手は70名を数えるに至る。そろそろその最強を決める時ではないか。

日本プロ麻雀協会、西日本初、西日本発、西日本選手総参加の全国規模大会
「ウェスタン・チャンピオンシップ2009」開催!

最終ポイント成績

順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
堀 良三
40.2
-24.0
9.3
47.2
60.6
-52.9
2
上田 唯
36.5
-51.4
53.9
-38.1
8.2
63.9
3
下井 重貴
-32.5
6.6
-19.3
-15.3
-20.6
16.1
4
田内 翼
-44.2
68.8
-43.9
6.2
-48.2
-27.1

ウェスタン・チャンピオンシップ2009 決勝観戦記  (記:吉田 俊介)

日本プロ麻雀協会に籍を置いて三年。
恥ずかしながら初めて決勝の舞台を観戦することとなる。
諸先輩方の観戦記を拝見すると、一様に「決勝独特の雰囲気」と言う言葉が使われる。

初の関西協会のみのタイトル戦、ウェスタン・チャンピオンシップ(WCS)2009。

どのような決勝になるのか、一麻雀ファンとしても楽しみである。


栄えある決勝出場選手は、

「上田 唯」
今回の決勝面子で唯一の女流雀士であり、決勝の舞台もすでに経験している。
また、来期から本格的に活動の拠点を関東に移す為、
関西協会員としてはこれが最後の対局となる。
勲章を持って東京へと旅立ちたいところだ。
「下井 重貴」
今年の春、プロテストに受かったばかりの彼と出会った。
「今年から協会に入った下井です!よろしくお願いします!」
と挨拶されたのが、つい先日の事の様である。
普段は礼儀正しく控え目な男が、内に秘める闘志を前面に出し決勝の舞台に臨む。
「田内 翼」
今期協会に入会したばかりの文字通りのフレッシュマン。
その見た目や会話の受け答えも爽やかで好感の持てる青年である。
その青年は卓に着くと一転、切れ味鋭い牙を剥き出しにする。
攻撃的な麻雀でリーグ戦でも活躍しており今大会も期待が掛かる。
「堀 良三」
決勝出場メンバーでは最も古株である。
カンピューターの異名通り、場況を加味し自分の読みを信じて打つ。
決してセオリックとは言い難い打牌は観る者の目を惹き付けて尚勝利する。

協会に入会してまだ日の浅い二人を、上田・堀が迎え打つ格好となった。


【1回戦】
開局から親の堀に配牌でドラ2枚のチャンス手が入るも不発。
ストレートな手筋でテンパイは果たしたものの、平素の堀であれば配牌であったを重ねにいっていても不思議ではない。

意外にも堀はこれが初めての決勝戦。
普段通りの麻雀を打てるかが大きな鍵を握りそうだ。

続く1本場は、上田が丁寧に七対子を仕上げる。
 ツモ ドラ
今回の決勝面子では間違いなく大舞台の経験数は一番。
対局場でもいつも通りの笑顔とトークで周囲を和ませていた。

東2局、その上田の親番。
配牌でダブとドラのが対子。
これを和了って1回戦の決定打にしたいところ。
それに待ったを掛けたのが西家田内だ。
11巡目聴牌のタンヤオ三色。
場に2枚切れのカンを迷わずリーチ。
これを2巡後ツモり、裏1で3000-6000。

このWCS、田内は予選を惜しくも次点で敗退するが、まさかの準決勝当日のハプニングにより繰り上げ出場となった。
怖い物は何も無い。
前日の準決勝から通じて非常にリラックスしているように見受けられる。

その後、堀が二度500-1000を和了り南場に入る。

全員ノーテンを挟んで迎えた南2局は再び上田の親番。
ピンズの混一色に向かうも堀が5巡目リーチ。
 ドラ
上田も7巡目にはくっつき1シャンテンに到達するも・・・

 ポン
混一色をテンパイすれば放銃してしまう厳しい手格好だった。
ツモでのテンパイ打牌で8000放銃。

南3局は下井の親番。
終盤、上田がペンをチー。
先に形テンを入れていた堀の最終ツモは
上田の河はピンズが高く、染め手にも見える。
長考の末、上田の現物のを中抜く。
「ロン。」
ここまでずっと大人しかった下井、この局も決して目立った河ではなかった。
会心の12000である。

入会直後の前期、C3を昇級し、現在C2リーグでも首位を走る下井。
対局前に声を掛けると、決勝4人中、明らかに一番緊張していた。
この和了りが下井の普段のバランスを取り戻すきっかけとなるだろうか。

更に下井が1500を加点後の南3局2本場。
堀と田内の二件リーチに七対子テンパイの下井が放銃。

普段の下井なら場一のを対子落としで回ってるのではないだろうか。
この8000が決定打となり、トップは田内。

1回戦終了時
田内+68.8 下井+6.6 堀△24.0 上田△51.4


【2回戦】
1回戦は全員が殴り合う展開となり、皆エンジンも掛かっているだろう。

東1局、親は下井。
またもや開局にドラ2の好配牌を得た堀。
今局は配牌になかったを重ねてポン。
満貫テンパイを入れる。

 ポン ドラ
その後下井からリーチが入るも危険牌を掴むことなく和了り、幸先良いスタートを切る。
一方の上田は親リーチの現張りテンパイが入ってしまったが故に手痛い放銃。

東2局、東3局はそれぞれ堀、田内の一人テンパイで流局。

流れ2本場で迎えた東4局、親の上田がリーチツモ七対子を和了。
1シャンテンに到達した8巡目、四暗刻の芽を断つ打として残したを捕らえ、和了り切る。

 ツモ 打 ドラ
関連牌は場にが一枚ずつ切れているだけであり、多くの人はを外すのではなかろうか。
上田だけの七対子である。

続く3本場も上田が和了り、トップ目に立つ。

どこまでも続きそうな上田劇場を阻止したのは堀。
積み棒を浚う500-1000で再逆転。

南場に入るも、下井と田内の親はあっさり流れて接戦の様相を呈する。

続く南3局は上田の一人テンパイ。

そして迎えたオーラス。
親の上田は30000点持ちの2着目、トップ目堀は30800点持ちと僅差である。
その堀が4巡目、捨て牌を横に向ける。

 ドラ
流石に決まった。
しかしこの、リーチの時点で山に残り3枚。
この3枚が深く、親の上田が15巡目にペンで追いつく。
上田は親で押すのは分かるが、やや疑問の残る手順である。
しかし、このを堀があっさり掴んでしまう。

上田、大きな4800直取りでこの半荘を制する。

2回戦終了時
田内+24.9 上田+2.5 下井△12.7 堀△14.7


【3回戦】
2回戦を終えた段階でトータルポイントが平たくなる。
平たいが故に、戦略が立て辛い3回戦となった。

東1局、下井の翻牌仕掛けと上田のリーチが入る。
これに親の堀がドラの単騎で立ち向かい放銃。
下井が1000の和了り。
静かなスタートとなる。

東2局は親の下井がリーチも田内が現物待ちの3900を和了る。

東3局は親の田内がリーチ。
今度は下井がお返しとばかりに現物待ちで5200を和了る。

東4局は親の上田のリーチが実り1300オール。

二度の流局を挟み、南1局は堀の親番。
3巡目のドラドラリーチをツモ和了り、一躍トップ目に躍り出る。

続く4本場は田内が和了り、独走を阻止。

南2局は親の下井が3900を出和了り。
前巡平和テンパイからのイーペーコー手変わり。
平和に受けず変則三面待ちとするが枚数が微妙であり、待ちの方が優秀そうである。
下井9巡目
 ツモ 打リーチ ドラ

続く1本場は田内が堀からの5200でトップ目に立つ。

南3局は堀が上田から5200。

これでトップから3着まで300点差の大混戦。
オーラスは和了り勝負…かと思いきや、親の上田が6巡目リーチ。
結果はリーチツモ三暗刻で4000オール。

トップからラスまで4300点差の息の詰まる展開となる。

この大混戦を堀が制してトップ。

3回戦終了時
堀+32.5 田内+31.1 下井△28.0 上田△35.6


【4回戦】
残すところ2半荘となったこの4回戦、上田と下井としては自分がトップを取るのが理想だが、最低でも田内か堀のトップは阻止しておきたい。

東1局は下井がリーチで3900を親の上田から出和了り。

和了って迎えた下井の親番だったが堀に500-1000で流される。

東3局は田内の親番。
下井が果敢に攻めて2副露したところですでにテンパイを入れていた田内が、ドラドラ七対子をツモ切りリーチ。
このリーチに下井が押しきり、大きな3900をものにする。
逆に田内は勝負手を最悪の形で蹴られてしまう。

早い展開で東4局になったが、堀の親番で一時停車。
好配牌から平和ドラ1を曲げてツモって裏を乗せる。
追いすがる下井に「諦めろよ」と言わんばかりの4000オールである。

続く1本場は上田が2000を田内から、南1局は下井が上田から1300をそれぞれ出和了る。

安手で局が潰れて堀にとっては楽な展開。

南2局に親の下井が上田に8000を放銃。

南3局も上田が和了り、必死の猛追も一歩届かず。トップは堀。


【5回戦】
最終戦を迎え、ここまでのトータルポイントは
堀+93.1 田内△17.1 上田△27.4 下井△48.6

田内、上田、下井に共通で利する事は堀をラスにすることである。
三者共にその上で素点を稼がなくてはならない。
この厳しい条件下で最後の闘牌は始まった。

東1局は親の上田が6巡目リーチ。
 ドラ
堀のが出てもおかしくない局面はあった。
堀の粘り勝ち。

続く1本場。
南家の堀が5巡目にを鳴く。
これがポンテンの混一色。
待ちがだけに下井と田内からは出ないものの親の上田は致し方ない。
5200と供託の大きな和了りを拾う。

続く東2局。
親が堀だけにすんなり流れるか、手の入った者が親被りさせるかと思いきや堀の捨て牌が横を向く。
7巡目の平和ドラ1、待ち。
萬子がいい場況と考えてのリーチだろう。
しかし上田から高めハネ満の追いかけリーチ。

 ドラ
「これを直撃すれば…」
そう考えたであろう上田だが、逆に親に打ち込む。
裏ドラもで12000。
流石に決定打である。
会場にいる誰もが、九分九厘堀の優勝と思っていたであろう。

しかしドラマは続く。

まずは下井が東3局の親番でじわりと堀の持ち点を削る。

局が進んで南1局、上田の親番。
堀の一人ノーテンの直後の1本場。
親の上田が4巡目に門前混一色テンパイ。
河は大人しく、6巡目には一気通貫までつく。
次巡、堀が掴んだで事態は急変した。
会心の12000直撃である。

下井、田内にとってもこれは大きい。
何よりも驚いたのは上田。
この和了りを皮切りに堀からの直撃3回を含めて、9連荘である。

9本場を迎え、各者の持ち点は
上田45500 下井32500 田内17600 堀4400
そして、順位点を含めたこの時点でのトータルポイントは、
上田+38.1 堀+37.5 下井△36.1 田内△39.5
トータル首位が上田に変わる。
勿論、堀がラスの並びが出来た為、田内下井にもチャンスが生まれている。

この連荘を流したのは下井。
堀のリーチの現張り平和を上田から。
これ以上、上田に走らせるわけには行かない。
この連荘中、きっちり黒子に徹した下井が牙を剥く。

南2局、堀の親番。
牙を剥いたのは一人ではなかった。
田内のリーチはツモればハネ満である。
更に下井も追いかけ同テン満貫。
ここは堀の生命力が勝り、二人の和了り牌を吸収して流局。

南3局、下井の親番。
先程の供託を浚いに行く下井を上田が襲う。
6巡目リーチに下井が捕まり、再び上田がトータルトップに躍り出た。

最終局を迎え、各自の条件が確認される。
ラス親の田内はこの半荘のトップを取ること。
堀は1600以上の出和了か400-700以上のツモ。上田からの直撃は1000で逆転。
下井は堀からは倍満以上の直撃。ツモなら三倍満以上。上田からは役満以上、田内からはダブル役満以上である。
上田は和了れば優勝となる。

息詰まる熱戦。

上田が早々と6巡目に平和の1シャンテン。
しかし肝心の両面が場に4枚瞬く間に切られ、タンヤオに切り替えて動く。

上田9巡目
 チー 打 ドラ
この鳴きは冴えている。

しかし、この動きで場が大きく動く。
親の田内も追い付こうとを両面チー。
この二人の動きは最終戦、最後の最後まで殴られ続けた堀に条件を満たしたテンパイを入れる。
「…リーチ。」
静かに、そして力強く堀の牌が横を向く。
田内が掴んだで勝負は決した。


ファイナリストコメント
田内「次点からここまで勝ち上がれて良かったです!」
下井「…何もありません。もっと強くなります。」
上田「関西最後の対局が決勝でとても良かったです。関西の皆さんこれからも頑張って下さい。」

優勝者コメント
堀「裏ドラが良く乗ってツイていました。嬉しいです。」


若手二人の好対象のコメント、そしてこれが関西最後の対局となる上田、謙虚な王者堀。

東2局で決したかに見えたドラマは清々しい幕切れとなった。

準決勝以下の成績はコチラ

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