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順位
選手名
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
綱川 隆晃
64.5
30.3
23.8
69.8
-11.9
-47.5
2
金 太賢
7.4
14.2
9.6
-10.4
2.6
-8.6
3
水口 美香
-6.7
-29.4
-4.3
11.7
-24.7
40.0
4
木原 浩一
-66.2
-16.1
-29.1
-71.1
34.0
16.1

≪決勝観戦記≫

厳しいトーナメント戦を勝ち抜いて決勝に駒を進めたのは水口美香、木原浩一、金太賢、綱川隆晃の4名。
先の3人の頭文字は水木金だが、決勝が行われたのは月曜日(9月18日・敬老の日)である。
オータムチャンピオンシップ(以下、オータムCS)は協会では唯一の裏ドラ一発なしの公式戦。
それだけに、打点を高くする手作りやギリギリの読み合いが物を言う。

木原、金は協会内の決勝では常連と言っていい。特に11期は雀王、雀竜、ともに決定戦に残って戦っている。
日本プロ麻雀協会チャンネルでの配信時、対局前のインタビューで私(五十嵐)がそのことに触れると、
木原が「共倒れの記憶しかない」とコメント。金も苦笑いしていた。
たしかに11期雀王は鈴木たろう、雀竜位は渋川難波である。しかし、結果以上にやりづらい相手と認識しての発言かもしれない。
3度目の共倒れとなるか、それとも3度目の正直でどちらかが戴冠するか?

綱川は他のタイトル戦はともかく、このオータムCSに関しては決勝常連であり、3年前の覇者である。
オータムは最初の予選だけ大会形式だが、以後はトーナメント形式で進む。
綱川が強いのは裏ドラ一発なしだからか、トーナメント形式に強いからなのか?おそらくその両方なのだろう。
「壊れたシャワーの切り替え口の修理に5万円もかかる」と嘆いていたが、優勝賞金をもっとも欲していたのはこの男だろう。

水口は協会内タイトル戦の決勝は初。天鳳をやり慣れているので、7700、11600に違和感はない上に、シビアな順位争いにおける条件把握(点差を考えての手作り、出場所の良し悪し)に関しても、他3人に決して引けを取らない。昨年の蔵美里に次ぐ女流2人目の覇者となるだろうか?

 

★1回戦(座順・金−木原−水口−綱川)

卓に着いてすぐに起親の金に手が入る。
 ドラ
6巡目リーチ。金の頭の中では3900オール、悪くても2000オールは「もらった」の思いがあっただろう。
ところがここに水口が、ドラが一個あるだけの手で押し返す。
 ツモ ドラ
8巡目、打で追っ掛けリーチ。もろ引っ掛けである。これに即座に綱川が飛び込んだ。ノータイムの打牌であった。
綱川の手には共通安牌はなし。それにしてももう少し慎重に打牌を選んだほうが……と思われるだろうか?
裏ドラ一発ありルールなら水口のような手が5200、満貫になることは日常茶飯事だが、このルールではどこまでいっても2600止まり。
だからこそ攻める方も安易に引っ掛けリーチを打つことが少なくなり出現率が低くなる。
何より、親の金を重要視すれば、打一択の牌姿だった。意表を突く「モロヒ」で2600放銃。
綱川、「やられた」と思っただろうか?しかし、綱川よりも本手を潰された金の方がやられた感が強かっただろう。
水口、スタートから肚が括れている。本日の『氷の微笑』、内部では炎が燃えている。
しかし、水口にこの後、手は入らなかった。東3局3本場に喰いタンをアガッただけで終わる。
残りの局は綱川と金のアガリばかりである。
南2局の段階で、綱川46300、金31200と少し差はあったが、南3局に金が怒涛の攻めで4フーロ。
 ポン ポン ポン 加カン ドラ
すぐにを持って来てマチカエ。これがポンだけでなく、も4枚出ていて他が使いづらい牌。
最後の親番を流すわけにはいかない水口がテンパイ取りでこのを打ってしまう。
金、供託を含め9000点の収入で綱川に6100差と肉薄。
しかしラス親は綱川。この差ならノーテン終了が利く。
金はポン、ポン→加カンと攻め、
 加カン ポン ドラ
出アガリもOKの6400テンパイを入れるが、そこまで。
水口のリーチに最後のツモで危険牌を引き、自分のアガリがなくなったこともあってを抜いてテンパイを崩した。
実はこのとき、綱川はうまく回れてテンパイが入っていたのだが、もちろん手牌を伏せた。

1回戦成績
綱川+30.3 金+14.2 木原▲16.1 水口▲29.4 (供託1.0)

 

★2回戦(座順・木原−綱川−金−水口)

東1局、親の木原と金の2人テンパイとなった後の1本場、木原と水口の勝負手がぶつかる。
東家・木原
 ドラ
北家・水口
 ドラ
ともに七対子、木原はホンイツ、水口はドラ2。
11巡目、待ちのともに2枚残りで誰が掴んでも切る牌。
先に現れたのはだった。金が掴んで6400は6700の放銃。

東2局は金が仕掛け、満貫ツモ。
 ツモ ポン ポン ドラ

綱川1人テンパイ後の東4局は綱川が喰いタン三色ドラ1の1100・2100。
南1局は水口がリーチツモドラ1の1000・2000と、3900以下のアガリがない。
裏ドラ一発がないぶん、打点が下がりそうなものだが、それは表面上のことである。
ドラも役もないリーチが満貫になることはアリアリルールでは多々あるが、このルールではそんなことはないので、リーチのみはほとんどない。
喰い仕掛けに関しても、リード者が確実にアガれそうな早く好形のテンパイを取れるときなどの例外を除けば、ドラや手役を絡めて打点を作ろうとする。そのため、裏ドラ一発なしルールのほうが安手が出なくなるというパラドックスが成り立つ。
決勝ではその傾向がますます強くなるといえるだろう。

南2局、木原と金が激しい喰い仕掛け合戦。前述したように安い手であるわけがない。
北家・木原
 ポン ポン ドラ
金からをポンしたときに、混老頭もにらんで残しを選択し、打ちだしたのはドラの。これを金がポン。
南家・金
 ポン 打 ドラ
少々無理目の仕掛け。そしてこのとき離したにポンテンが入る。
北家・木原
 ポン ポン ポン ドラ
さらにをカンして打点アップ。6400か2000・3900という手に。

遠い仕掛けだった金も中盤に追いつく。
南家・金
 ポン ドラ
もはやどちらもオリられない。
シャンポン4枚丸生き、は3枚残りという勝負だったが、を木原が掴んでしまう。
これで金は水口を3300かわしてトップに立つ。

ラス前は綱川の1人テンパイ。
綱川はアガリは東ラスの1000・2000(プラス1本場)だけだが、1人テンパイが2回あり、これで水口に並び、かつ金の射程圏内に。
金36400、綱川33800、水口33100という点棒状況のオーラス、親の水口が2巡目にリーチ。
東家・水口
 ドラ
一人旅になるかと思われたが、あまりに早く、ベタオリもしづらいうちに綱川が8巡目に追いついた。
西家・綱川
 ツモ→打リーチ ドラ
ノミ手だが、水口のリーチ棒と1本場もあって出アガリでも同点トップになる。1回戦トップの綱川はそれでも良しだっただろう。
ところが11巡目、金が追いつき、ソウズの上はまったく通っていなかったがを勝負して、ここもリーチ棒を出す。
北家・金
 ドラ
この勝負を制したのは……自力でをツモりあげた綱川だった。
なお、ここまで木原のアガリに関していっさい触れていないが、無視しているわけではない。実際にノーホーラなのだ。
木原はいったいいつアガるのだろう。

2回戦成績
綱川+23.8 金+9.6 水口▲4.3 木原▲29.1

2回戦終了時トータルスコア
綱川+54.1
金+23.8
水口 ▲33.7
木原▲45.2
(供託1.0)

 

3回戦、またも綱川にトップを取られると勝負がほぼ決まってしまうということは水口、木原の共通認識だろう。
2着2回の金は現状30ポイントほどの差なのでそこまで切羽詰まった感はないが、これ以上差を広げられては苦しくなる。
そうして始まった3回戦、東2局に金が水口とのリーチ勝負に勝って4000オール。
 ツモ ドラ
他の二人には失礼だが、このまま金がトップを取れば残る2回が一騎打ちとなって盛り上がると思われた矢先だった。
東3局、水口の親で綱川が国士無双をツモ。

決定打と言っていい。
ツモアガリだけにどうしようもない。水口もミスなく七対子をテンパイしたのに間に合っていない。
防ぎようがなかった……と思われたのだが、のちに木原が次のように語っている。
「安手をアガッてもしようがない立場なのでをツモ切ってホンイツに向かったあとに綱川の国士に気付いた。先に気付いていれば国士を阻止するために-のリーチが打て、防げていた」

牌譜を見てもらいたい。

木原7巡目のツモ切りが逸機である。ここでできたのシュンツを留め、素直に打とすれば、8巡目のツモで、
 ドラ 
となって、切りリーチ。綱川の10巡目ツモ切りで国士を未然に防げていたということだ。

2連勝のあとの役満ホーラでほぼ決まりだが、金だけは違う。
2連続2着でポイント差が近く、この半荘も先に親満をツモっていることもあって、まだ2万点程度の差。逆転は可能だ。
ところが次局、ダブ東・ドラ3に放銃してしまう。(牌譜参照)

勝負を賭けてカンから同じリャンペーコーのカン待ちでリーチと行った金。一発目のツモ切りが恨めしい。
金にマチカエさせた要因はただ一点。綱川4巡目の打だ。ここから綱川にはが薄いと読んだ。
その4巡目の綱川。木原、水口の捨て牌から、この二人からのポンは難しいと見て、
 ツモ
この形からチャンタを捨て、七対子のイーシャンテンにもなる形を選んでの切りだったのだが、結果として金を惑わせる好材料となった。
痛すぎる直撃だが、金は心折れることなく南1局にハネ満をアガり、水口は南3局の親でリーチツモタンヤオ2000オール、リーチツモ七対子3200オールと粘った。長かった水口の親が流局で終わり、5本場で迎えた綱川が親のオーラス。木原以外の3者の点棒状況は、
綱川63100 水口41300 金36100
ここで金がリーチ。
 ドラ
ドラでのアガリはもちろん、5本場で供託1本ということもあって水口からの直撃、ツモでも2着浮上である。
しかし、点差を確認した後、通っている打ちでもテンパイなのに、金の条件を見透かしたかのようにをツモ切って、リャンメン11600テンパイを維持する綱川。
 ツモ切り ドラ
金はスルー。すでに決めていたことだ。
ここで見逃し、ツモれずに終われば、綱川の傍若無人タイムに入るのはわかっている。しかし、ここで「ロン」と言ってしまえば、
「いいの?トータル2番手が3着で終わらせて?差が開くばかりだよ」
と、綱川がほくそ笑むだけなのだ。

この見逃しが金の見せた最後の意地だったと思う。
この局の結果は金がを掴んで11600+5本場を献上。役満からさらなる追加点で超の付くダントツ。
水木金を大気圏外に飛ばし、実質上、勝負が決した。この半荘もノーホーラで終わった木原に至っては木星どころか冥王星の距離である。

3回戦成績 
綱川+69.8 水口+11.7 金▲10.4 木原▲71.1

3回戦終了時トータルスコア
綱川+123.9
金+13.4
水口▲22.0
木原▲116.3
(供託1.0)

ここからは蛇足である。
4回戦、開局早々木原がリーチツモ一通をアガッた。ヤキトリ解消である。
「焼かれて、もう飛びアガレナイ」「唐揚げでないので油でアガッテナイ」など諸説あるが、とりあえずサンマが4人麻雀になった。
3人は優勝は無理であると悟りながらも、それが打ち手の義務であるかのように手を作り、アガリを競った。
それを横目で見ながら局を進める綱川。結果、3着で終わるが、23100点持ちと失点は少なく、大勢に影響はない。

そして最終戦、綱川は満貫を振りまくって箱点で終わる。が、明確に意志を持った箱点である。
東3局4本場(親・水口)
木原リーチ
 ドラ
綱川を即放銃。

東4局(親・綱川)
水口ヤミテン
 ドラ
綱川放銃。

南2局1本場(親・金)
金10巡目リーチ
 ドラ
水口13巡目リーチ
 ドラ
14巡目、綱川は金の現物であるをツモ切って水口に満貫放銃。

東4局の放銃は自分が親番であり、水口はヤミテンだったのでちょっとちがうが、東3局4本場と南2局1本場の放銃は勝利を確実にするための
「はい、どうぞ!」である。
大量リードに守られた綱川は点差を守ることより局消化を優先させた。つまり、早く確実なゴールを積極的に選んだのである。

東3局4本場の満貫放銃は冥王星が海王星の距離になっただけである。それで水口の親は流せた。
南2局1本場はもっと凄い。
8巡目、金のリーチを受けたときの綱川は、
 ドラ
この形でテンパイは取れたが、現物のを切ってテンパイ取らず。
水口リーチ後にをツモると、待ってましたとばかりにツモ切った。
自分のタンヤオ変化を考えてすでに打ったを連打してもよさそうなものだが……。
も金の現物ではあるが、水口のリーチは、
 ドラ
のテンパイで、金のリーチ後に2巡粘ってからのツモ、打リーチである。
「ノーテンで2巡粘ったとは考えられません、ソバテンですよね。トータル2番手の金の親を終わらせましょう。ハネ満でも倍満でも振ります。はい、どうぞ」
綱川の切ったにはそう書かれてあった。99.9%の勝利を99.999%に格上げする意志を持った放銃であった。
同時に綱川がトーナメントに強い理由を見せつけた局でもあった。
勝ち上がり条件が整っていれば、局を進めたほうがいい。競争相手の親は一刻も早く終わらせたほうがいい。
トーナメントの鉄則だが、わかっているつもりでも、皆さんどうですか?
筆者はこの局、を連打しそうである。それでは綱川に、トーナメントで勝てないだろう。

綱川隆晃、オータム史上初の二度目の戴冠。
解説陣の誰もが認める、非の打ちどころのない強さであった。

4回戦成績
木原+34.0 金+2.6 綱川▲11.9 水口▲24.7

5回戦成績
水口+40.0 木原+16.1 金▲8.6 綱川▲47.5

最終トータルスコア
優勝・綱川隆晃+64.5
2位・金太賢+7.4
3位・水口美香▲6.7
4位・木原浩一▲66.2
(供託1.0)

なお、優勝賞金の一部は公約どおりシャワーの修繕に使われたそうである。
おめでとう、いい湯に浸かってください。

(文・五十嵐 毅)

第12回オータムチャンピオンシップ決勝戦 | FRESH! by AbemaTV

 

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